巨大な台風19号の被害が広い地域で発生しました。被災された方々にはお見舞い申し上げます。
気象庁は、巨大であるがゆえに長時間の風雨による災害発生を唱えていましたし、広域での警戒を求めていました。
しかし多くのメディア、特に各局の各ワイドショー番組は、15号の千葉での風による被害の報道を繰り返す流れに偏向し、東京への直撃に集中した事前報道でした。
気象庁のコメントのなかで、遠回しにこのことを指摘し、メディアに反省を促している様に聞こえた部分があったと気付いたのは考えすぎでしょうか。
勿論、その偏向報道に気づいて反省しているメディアや番組は皆無に等しい。
某モーニングショーの某玉川氏の得意の何でも政府批判に繋げるコメントでは、早速これで政府は防災建設に走ると民主党政権設立当時の「コンクリートから人へ」標語をぶち上げ、ツイッターで人の命を軽視しているとバッシングを受け、翌日なにやら言い訳をしていましたね。
冒頭から話が横道にそれてしまい恐縮です。
国民の命と財産を守るためには、コンクリートも何でも必要ならば排除すべきではないと唱えておられるのは、田中秀臣上武大学ビジネス情報学部教授。
今回の台風で利根川水系の「八ツ場(やんば)ダム」と、「スーパー堤防」が注目をあびたと田中教授。
八ツ場ダムは、利根川水系の上流ダム群の一つであり、民主党政権が掲げた「コンクリートから人へ」のスローガンは、この洪水調節方式を破綻させる行為だったとの治水の専門家土屋信行氏の説を紹介しておられます。
民主党政権発足時、前原氏が中止を打ち出した八ツ場ダムは、今月 1日に来年の運用開始を見据えて、貯水試験を始めたところだったのだそうですが、今回の台風に関しては、一定の治水上の効果があったのだそうです。
地球温暖化がもたらすものかどうかはここではふれませんが、毎年繰り返すというかむしろ増えている自然災害。そこから国民の命や財産を守るには、どうすれば良いのかの具体的対策が求められます。
その対策の妨げになっているものの犯人のひとつが、「財政緊縮主義」だと田中教授。この「財政緊縮主義」こそが財務省の絶対的な信条であり、そのため、今回の河川氾濫でも明らかなように、防災インフラの虚弱性をもたらしている権化だとも。
旧民主党発足時、財務省の主導する公共事業削減などの政府支出カットにあまりにも傾斜しすぎた。国民の生活や安全を忘れた愚策だったと。
国民の命と財産を守るためには、コンクリートも何でも必要ならば排除すべきではない。
最低で極端な議論といえば、民主党政権下で行われた、スーパー堤防(高規格堤防)廃止に至る「事業仕分け」はその典型だとも田中氏。
そして、日本に巣くう「本当の悪」が誰なのか、今さらながら再確認できた。それが、財務省の「財政緊縮主義」だと。
さらに財務省の緊縮主義は、日本のマスコミを歪んだ形で汚染している。その一例として今回の台風を受けた、日本経済新聞の 1面に掲載された論説記事で、防災インフラの長期的整備の必要性が高まっていても慎むべきだ、という論を挙げておられます。
長期金利が低率でマイナスにもなりえている世界情勢のなか、国債を発行して、長期の世代にまたがって防災インフラを整備する。長期的な経済停滞を防ぐために「国土強靱省」のような省庁や、オランダなどで先行例のある国土強靭ファンドの新設といった提言をしておられます。
中国の高度成長を支えてきたのは、公共投資。古くは、米国のニューディール政策。日本の高度成長も公共インフラへの投資が起爆材となっていました。
今、再びのオリンピックに向けた公共投資(一巡してしまいましたが)や、高度成長期に建設されたインフラの老朽化に伴う改修工事など、公共投資が着手されて雇用や景気を支えています。
日本経済の活性化にも、増える自然災害への対応の為にもそして、自道運転などの新社会対応の為にも、公共投資による牽引が求められているのですね。
少子化対策と併せて、政府の長期財源創出による投資が求められます。
# 冒頭の画像は、2019年10月1日から試験的に貯水を開始した群馬県長野原町の八ツ場ダム
この花の名前は、ヒヨドリバナ
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気象庁は、巨大であるがゆえに長時間の風雨による災害発生を唱えていましたし、広域での警戒を求めていました。
しかし多くのメディア、特に各局の各ワイドショー番組は、15号の千葉での風による被害の報道を繰り返す流れに偏向し、東京への直撃に集中した事前報道でした。
気象庁のコメントのなかで、遠回しにこのことを指摘し、メディアに反省を促している様に聞こえた部分があったと気付いたのは考えすぎでしょうか。
勿論、その偏向報道に気づいて反省しているメディアや番組は皆無に等しい。
某モーニングショーの某玉川氏の得意の何でも政府批判に繋げるコメントでは、早速これで政府は防災建設に走ると民主党政権設立当時の「コンクリートから人へ」標語をぶち上げ、ツイッターで人の命を軽視しているとバッシングを受け、翌日なにやら言い訳をしていましたね。
冒頭から話が横道にそれてしまい恐縮です。
国民の命と財産を守るためには、コンクリートも何でも必要ならば排除すべきではないと唱えておられるのは、田中秀臣上武大学ビジネス情報学部教授。
台風19号、八ツ場ダムが教えてくれた深刻すぎる「緊縮汚染」 2019/10/16 田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)
東日本を縦断し、記録的な暴風や大雨をもたらした台風19号は各地に深刻な爪痕を残した。被害の全貌がいまだにはっきりしないが、死者・行方不明者が多数に上り、多くの方々の生活の場が奪われ、ライフラインも切断されてしまっている。
今回、被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げたい。そして、一刻も早い復旧・復興を願っています。
筆者の勤め先である上武大は群馬県内の二つのキャンパスからなるが、それぞれが利根川水系の河川のそばに位置している。特に伊勢崎キャンパスでは、13日の夕方にすぐそばを流れる利根川本流が氾濫危険水位を超える可能性があったため、伊勢崎市から避難勧告が出された。
幸いにして氾濫しなかったが、周辺に住む多くの学生たちや、普段から見知った地域の方々を思うと気が気ではなかった。その利根川といえば、今回の台風で、同水系の上流、吾妻(あがつま)川にある八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)が注目を浴びた。
八ツ場ダムは、今月1日に来年の運用開始を見据えて、貯水試験を始めたばかりだった。本来であれば、水をためてダムの安全性を確認する「試験湛水(たんすい)」を進め、3~4カ月かけて満杯になる予定だったが、今回の台風の影響で水位が1日で54メートルも上昇し、満水時まで10メートルほどに迫った。
関係者によれば、今回の台風に関しては、八ツ場ダムに一定の治水上の効果があったという。八ツ場ダムが利根川流域の氾濫を事実上救ったといってもおおげさではないかもしれない。
八ツ場ダムといえば、民主党政権下で政治的な理由から建設中止が発表されたことがある。さらに地域住民も賛成派と反対派に分かれたことで、問題は深刻化した。
今回の台風被害を契機に、インターネットを中心として、民主党政権時代の「脱ダム」や、スーパー堤防(高規格堤防)の事業廃止(後に限定的に復活)などの記憶が掘り起こされ、旧民主党出身の国会議員らが批判を浴びている。
それは率直にいって妥当の評価だろう。旧民主党政権は、デフレ不況の続く中でそれを放置する一方で、財務省の主導する公共事業削減などの政府支出カットにあまりにも傾斜しすぎた。国民の生活や安全を忘れた愚策だといってもよいだろう。
ただ、当時の民主党政権の「脱ダム」に象徴される公共インフラ削減に対しては、国民世論の強い後押しもあったことは指摘しておきたい。政権発足直後、民主党の緊縮政策=デフレ政策で日本経済が危機を迎える、と筆者があるラジオ番組で発言したところ、後で番組に空前の抗議が起きたという。
事実、筆者のツイッターもまさに「民主党政権信者」たちの抗議で炎上した。当時、筆者の意見を後押しする人はほとんどいなかったことは、自分の記憶に今でも鮮明に残っている。世論がこれから賢明であることを伏してお願いしたい。
去年、テレビ朝日系『ビートたけしのTVタックル』に出演したとき「日本の防災」をテーマに議論を交わしたことがあった。その際、同じく出演していた治水の専門家、土屋信行氏から著書『首都水没』(文春新書)を頂いた。
本書では、八ツ場ダムの建設中止が、利根川水系や荒川水系の洪水調節方式を崩壊させる愚の骨頂であると指摘されている。洪水調節については、利根川も荒川も上流に「ダム群」、中流に「遊水地群」、そして下流に「放水路」か「堤防補強」で対応している。
八ツ場ダムは上記のように、利根川水系の上流ダム群の一つであり、民主党政権が掲げた「コンクリートから人へ」のスローガンは、この洪水調節方式を破綻させる行為だった、と土屋氏は著作で記している。
今回の台風でもそうだが、最近の大規模な自然災害でよく分かることは、「コンクリートから人へ」のような政治スローガンに踊らされることなく、どのような防災インフラが必要なのか、それを真剣に考えることの大切さである。
国民の命と財産を守るためには、コンクリートも何でも必要ならば排除すべきではないのだ。単純で極端な二元論は最低の議論と化してしまう。
最低で極端な議論といえば、民主党政権下で行われた、スーパー堤防(高規格堤防)廃止に至る「事業仕分け」の議事録を今回読んだが、その典型だった。また、日本に巣くう「本当の悪」が誰なのか、今さらながら再確認できた。
その議事録によると、財務省主計局の主計官がコストカットを求めたことに対して、国会議員や有識者、国交官僚といった他の委員が「忖度(そんたく)」をしていたことがうかがえる。もっと言及すれば、出席した財務官僚が納得しなければならない、という「財務省中心主義」が見えるのである。
つまりは、みんな財務省の顔色をうかがっているのだ。これでは、主権者が国民ではなく、一官僚であるかのようだ。
このコストカットありきの姿勢、今でいう「財政緊縮主義」こそが、財務省の絶対的な信条であり、そのため、今回の河川氾濫でも明らかなように、防災インフラの虚弱性をもたらしている権化である。まさに「人殺し省庁」といっても過言ではない。
その信条が、今日も仕事の一環で国民の生命を危機に直面させているのだ。まさに恐怖すべき、軽蔑すべき官僚集団である。
さらに財務省の緊縮主義は、日本のマスコミを歪(ゆが)んだ形で汚染している。今回の台風を受けて、日本経済新聞の1面に掲載された論説記事が話題になった。
書かれていることは、公共工事の積み増しの抑制と自助努力の要請である。今の日本では、防災インフラの長期的整備の必要性が高まっていても慎むべきだ、というのは非合理的すぎる。
例えば、費用便益分析を単純に適用しても、今の日本の長期金利がかなりの低水準で推移していることがポイントとなる。つまり、国債を発行して、長期の世代にまたがって防災インフラを整備するコストが低い状況にあるのだ。
むしろ、国土を永久的に保つ必要性からいえば、永久国債を発行しての資金調達もすべきだろう。日経の上記の論説はこのような点からかけ離れていて、まさに緊縮主義の行き着く先を示してもいる。
そこで、長期的な経済停滞を防ぐために「国土強靱(きょうじん)省」のような省庁や、オランダなどで先行例のある国土強靭ファンドを新設すれば、国民の多くは長期の財政支出が続くことを期待して、デフレ停滞に陥るリスクを「恒常的」に予防する。この恒常的な防災インフラ投資が、金融緩和の継続とともに、日本の経済停滞を回避するための絶好の両輪になるだろう。
もちろん、このような規模の大きい財政政策には既得権益が発生し、国民の資産を掠(かす)める官僚組織や業界団体が巣くう可能性は否定できない。また、それらを完全に排除できると考えるのも楽観的すぎる。
それでも、このような国民の「寄生虫」たちを一定レベルに抑制した上で、長期的な防災インフラの整備を進めることは、国民にとって大きな利益をもたらすことは疑いない。これこそ政治とわれわれ国民が立ち向かう価値あるチャレンジではないだろうか。
東日本を縦断し、記録的な暴風や大雨をもたらした台風19号は各地に深刻な爪痕を残した。被害の全貌がいまだにはっきりしないが、死者・行方不明者が多数に上り、多くの方々の生活の場が奪われ、ライフラインも切断されてしまっている。
今回、被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げたい。そして、一刻も早い復旧・復興を願っています。
筆者の勤め先である上武大は群馬県内の二つのキャンパスからなるが、それぞれが利根川水系の河川のそばに位置している。特に伊勢崎キャンパスでは、13日の夕方にすぐそばを流れる利根川本流が氾濫危険水位を超える可能性があったため、伊勢崎市から避難勧告が出された。
幸いにして氾濫しなかったが、周辺に住む多くの学生たちや、普段から見知った地域の方々を思うと気が気ではなかった。その利根川といえば、今回の台風で、同水系の上流、吾妻(あがつま)川にある八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)が注目を浴びた。
八ツ場ダムは、今月1日に来年の運用開始を見据えて、貯水試験を始めたばかりだった。本来であれば、水をためてダムの安全性を確認する「試験湛水(たんすい)」を進め、3~4カ月かけて満杯になる予定だったが、今回の台風の影響で水位が1日で54メートルも上昇し、満水時まで10メートルほどに迫った。
関係者によれば、今回の台風に関しては、八ツ場ダムに一定の治水上の効果があったという。八ツ場ダムが利根川流域の氾濫を事実上救ったといってもおおげさではないかもしれない。
八ツ場ダムといえば、民主党政権下で政治的な理由から建設中止が発表されたことがある。さらに地域住民も賛成派と反対派に分かれたことで、問題は深刻化した。
今回の台風被害を契機に、インターネットを中心として、民主党政権時代の「脱ダム」や、スーパー堤防(高規格堤防)の事業廃止(後に限定的に復活)などの記憶が掘り起こされ、旧民主党出身の国会議員らが批判を浴びている。
それは率直にいって妥当の評価だろう。旧民主党政権は、デフレ不況の続く中でそれを放置する一方で、財務省の主導する公共事業削減などの政府支出カットにあまりにも傾斜しすぎた。国民の生活や安全を忘れた愚策だといってもよいだろう。
ただ、当時の民主党政権の「脱ダム」に象徴される公共インフラ削減に対しては、国民世論の強い後押しもあったことは指摘しておきたい。政権発足直後、民主党の緊縮政策=デフレ政策で日本経済が危機を迎える、と筆者があるラジオ番組で発言したところ、後で番組に空前の抗議が起きたという。
事実、筆者のツイッターもまさに「民主党政権信者」たちの抗議で炎上した。当時、筆者の意見を後押しする人はほとんどいなかったことは、自分の記憶に今でも鮮明に残っている。世論がこれから賢明であることを伏してお願いしたい。
去年、テレビ朝日系『ビートたけしのTVタックル』に出演したとき「日本の防災」をテーマに議論を交わしたことがあった。その際、同じく出演していた治水の専門家、土屋信行氏から著書『首都水没』(文春新書)を頂いた。
本書では、八ツ場ダムの建設中止が、利根川水系や荒川水系の洪水調節方式を崩壊させる愚の骨頂であると指摘されている。洪水調節については、利根川も荒川も上流に「ダム群」、中流に「遊水地群」、そして下流に「放水路」か「堤防補強」で対応している。
八ツ場ダムは上記のように、利根川水系の上流ダム群の一つであり、民主党政権が掲げた「コンクリートから人へ」のスローガンは、この洪水調節方式を破綻させる行為だった、と土屋氏は著作で記している。
今回の台風でもそうだが、最近の大規模な自然災害でよく分かることは、「コンクリートから人へ」のような政治スローガンに踊らされることなく、どのような防災インフラが必要なのか、それを真剣に考えることの大切さである。
国民の命と財産を守るためには、コンクリートも何でも必要ならば排除すべきではないのだ。単純で極端な二元論は最低の議論と化してしまう。
最低で極端な議論といえば、民主党政権下で行われた、スーパー堤防(高規格堤防)廃止に至る「事業仕分け」の議事録を今回読んだが、その典型だった。また、日本に巣くう「本当の悪」が誰なのか、今さらながら再確認できた。
その議事録によると、財務省主計局の主計官がコストカットを求めたことに対して、国会議員や有識者、国交官僚といった他の委員が「忖度(そんたく)」をしていたことがうかがえる。もっと言及すれば、出席した財務官僚が納得しなければならない、という「財務省中心主義」が見えるのである。
つまりは、みんな財務省の顔色をうかがっているのだ。これでは、主権者が国民ではなく、一官僚であるかのようだ。
このコストカットありきの姿勢、今でいう「財政緊縮主義」こそが、財務省の絶対的な信条であり、そのため、今回の河川氾濫でも明らかなように、防災インフラの虚弱性をもたらしている権化である。まさに「人殺し省庁」といっても過言ではない。
その信条が、今日も仕事の一環で国民の生命を危機に直面させているのだ。まさに恐怖すべき、軽蔑すべき官僚集団である。
さらに財務省の緊縮主義は、日本のマスコミを歪(ゆが)んだ形で汚染している。今回の台風を受けて、日本経済新聞の1面に掲載された論説記事が話題になった。
書かれていることは、公共工事の積み増しの抑制と自助努力の要請である。今の日本では、防災インフラの長期的整備の必要性が高まっていても慎むべきだ、というのは非合理的すぎる。
例えば、費用便益分析を単純に適用しても、今の日本の長期金利がかなりの低水準で推移していることがポイントとなる。つまり、国債を発行して、長期の世代にまたがって防災インフラを整備するコストが低い状況にあるのだ。
むしろ、国土を永久的に保つ必要性からいえば、永久国債を発行しての資金調達もすべきだろう。日経の上記の論説はこのような点からかけ離れていて、まさに緊縮主義の行き着く先を示してもいる。
そこで、長期的な経済停滞を防ぐために「国土強靱(きょうじん)省」のような省庁や、オランダなどで先行例のある国土強靭ファンドを新設すれば、国民の多くは長期の財政支出が続くことを期待して、デフレ停滞に陥るリスクを「恒常的」に予防する。この恒常的な防災インフラ投資が、金融緩和の継続とともに、日本の経済停滞を回避するための絶好の両輪になるだろう。
もちろん、このような規模の大きい財政政策には既得権益が発生し、国民の資産を掠(かす)める官僚組織や業界団体が巣くう可能性は否定できない。また、それらを完全に排除できると考えるのも楽観的すぎる。
それでも、このような国民の「寄生虫」たちを一定レベルに抑制した上で、長期的な防災インフラの整備を進めることは、国民にとって大きな利益をもたらすことは疑いない。これこそ政治とわれわれ国民が立ち向かう価値あるチャレンジではないだろうか。
今回の台風で利根川水系の「八ツ場(やんば)ダム」と、「スーパー堤防」が注目をあびたと田中教授。
八ツ場ダムは、利根川水系の上流ダム群の一つであり、民主党政権が掲げた「コンクリートから人へ」のスローガンは、この洪水調節方式を破綻させる行為だったとの治水の専門家土屋信行氏の説を紹介しておられます。
民主党政権発足時、前原氏が中止を打ち出した八ツ場ダムは、今月 1日に来年の運用開始を見据えて、貯水試験を始めたところだったのだそうですが、今回の台風に関しては、一定の治水上の効果があったのだそうです。
地球温暖化がもたらすものかどうかはここではふれませんが、毎年繰り返すというかむしろ増えている自然災害。そこから国民の命や財産を守るには、どうすれば良いのかの具体的対策が求められます。
その対策の妨げになっているものの犯人のひとつが、「財政緊縮主義」だと田中教授。この「財政緊縮主義」こそが財務省の絶対的な信条であり、そのため、今回の河川氾濫でも明らかなように、防災インフラの虚弱性をもたらしている権化だとも。
旧民主党発足時、財務省の主導する公共事業削減などの政府支出カットにあまりにも傾斜しすぎた。国民の生活や安全を忘れた愚策だったと。
国民の命と財産を守るためには、コンクリートも何でも必要ならば排除すべきではない。
最低で極端な議論といえば、民主党政権下で行われた、スーパー堤防(高規格堤防)廃止に至る「事業仕分け」はその典型だとも田中氏。
そして、日本に巣くう「本当の悪」が誰なのか、今さらながら再確認できた。それが、財務省の「財政緊縮主義」だと。
さらに財務省の緊縮主義は、日本のマスコミを歪んだ形で汚染している。その一例として今回の台風を受けた、日本経済新聞の 1面に掲載された論説記事で、防災インフラの長期的整備の必要性が高まっていても慎むべきだ、という論を挙げておられます。
長期金利が低率でマイナスにもなりえている世界情勢のなか、国債を発行して、長期の世代にまたがって防災インフラを整備する。長期的な経済停滞を防ぐために「国土強靱省」のような省庁や、オランダなどで先行例のある国土強靭ファンドの新設といった提言をしておられます。
中国の高度成長を支えてきたのは、公共投資。古くは、米国のニューディール政策。日本の高度成長も公共インフラへの投資が起爆材となっていました。
今、再びのオリンピックに向けた公共投資(一巡してしまいましたが)や、高度成長期に建設されたインフラの老朽化に伴う改修工事など、公共投資が着手されて雇用や景気を支えています。
日本経済の活性化にも、増える自然災害への対応の為にもそして、自道運転などの新社会対応の為にも、公共投資による牽引が求められているのですね。
少子化対策と併せて、政府の長期財源創出による投資が求められます。
# 冒頭の画像は、2019年10月1日から試験的に貯水を開始した群馬県長野原町の八ツ場ダム
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