そのせいかどうか、3.5島とか、4島とかの話題がメディアに頻繁に取り上げられ、ロシアでは日本の国論の分裂状況が取り上げられているのだとか...。
財団法人「日本国際フオーラム」(今井敬会長)は30日、北方領土を巡るロシアとの交渉で択捉、国後、色丹、歯舞の4島返遠を目指す政府方針を堅持するよう求める緊急アピールを発表した。
アピールは「単なる利害・損得ではなく、国家存立の基本にかかわる問題だ。日本には歴史的にも法的にも4島返還を要求する根拠がある」と強調した。また、麻生首相が2月の日露首脳会談後に「向こうが2島、こっちが4島では進展しない」と述べたことや、谷内正太郎政府代表が毎日新聞のインタビューで「3.5島(返還)でもいいのではないか」と語ったとされることを、「対露外交の基軸を否定するかのごとき発言だ」と厳しく批判した。
アピールには、丹波実・元駐露大使や袴田茂樹膏山学院大教授ら有識者ら約90人が賛同した。
自民党北方領土対策小委員会は、1982年に制定された特別措置法に、北方領土を「我が国固有の領土」と明記する法改.正を行う方針を決めた。ビザなし交流事業などを「特別な措置を講じるべき施策」として推進する方針も盛り込む。すでに公明党や野党にも打診しており、超党派で今国会での改正を目指す。
対象となる「北方領土問題等解決促進特別措置法」は、元島民への援護の充実を図り、領土の早期返還実現を目指す目的で議員立法.で制定された。しかし、北方4島の日本への帰属は明示していなかった。元島民}から改正の要望を受け、同.小委員会が昨年末から検討してきた。
北方領土は歴史的には、日本が江戸時代に 4島を自国の領土とし、18世紀になってロシアが勢力を伸ばしたころから両国間の国境問題が発生したのでした。1875年には、樺太をロシア領とする変わりに、千島列島を日本領とする条約を結んでいました。
遊爺(戦後生まれです)が幼い頃、樺太の南半分と、千島列島の途中までが日本になっている地図をみたことがありますし、しばらくはそう信じていた記憶があります。
国際条約として生きているのは、戦後の1951年の「サンフランシスコ講話条約」で、日本は千島列島を放棄しています。争点は、北方 4島を千島列島に含めるか否かで、日本は含まないと主張しているのです。
戦後の両国の交渉の中で、1956年、当時の鳩山一郎首相は、歯舞、色丹 2島返還を盛り込んだ日ソ共同宣言に署名しています。ただし、平和条約締結後引き渡すこととなっていて、東西冷戦の激化とともに、ソ連お得意の手のひら替えしで、領土問題は存在しないとのソ連の姿勢転換でご破算になりました。
勿論、不平等条約(共同宣言)であり、白紙に戻って良かったのですが...。
その後、ソ連の経済状況が悪くなると、返還と経済支援とを天秤にかけた交渉が持たれるようになり、エリツィン大統領は、川奈での交渉の席で4島返還に「ダー(わかった)」と答えたこともあったのでした。(後に拒否)
我が国の現在の基本姿勢は、北方領土の日本への帰属が確認されるのであれば、実際の返還の時期及び態様については、柔軟に対応するなど、以下の外務省の頁の通りです。
外務省: 北方領土問題について
河村長官は、首相会談で北方領土問題が主要議題のひとつになるとした上で、「日本側が提案を行う考えは現在はない。ロシア側の対応に注目している」とのことですが、化石燃料で脱ロシアを検討するEC諸国を控え、またサハリン1、2の稼働に対する安定需要国への売り込みがみえみえのプーチン首相に騙されない様、しっかりふんどしを締めて対応していただかねばなりません。
手のひら返しが伝統の国です。首相交代が見えていた時期は、来日を延期していたのに、9月までには総選挙があるこの時期に来日するのは、政権交代や、首相の交代がないとみたのか、経済がよほど苦しくて麻生首相をたらし込んで、今のうちに有利な約束をとりつけようとしているとしか考えられないのですが...。
日本がサンフランシスコ講和条約で放棄した「千島列島」に北方4島は含まれていない。
ソ連は戦争が終わってから北方4島を占領した。日本が北方領土問題の解決を通じて求めているのは、歴史的な正義の実現だ。
問題解決には、
①極東・シベリア開発における日本の資本と技術の重要性
②中露関係
③ロシアと米欧との関係
といった要素を見極める必要がある。「2島」「3・5島」だとかいうのは、バナナのたたき売りの議論で、国益を損じる。麻生首相は「向こうは2島、こっちが4島では進展しない。政治家で決断する」と述べたが、軽率な発言だ。竹島や尖閣諸島も半分でいいのかということになる。領土の問題は国家の存立にかかわる。これまで、その座標軸を動かそうとした首相は一人もいない。簡単に譲ると国際的に侮られる。
丹波元ロシア大使の発言は、あちこちで取り上げられていますね。
終戦時のソ連の手のひら替えしを持ち出すまでもなく、現在のECへの化石資源供給の姿勢、脱ソ連のグルジア、ウクライナ他の国々への帝国主義的締め付け。
国論が定まらない、というより、国家より政局=保身に没頭する政治家ばかり日本は、今が攻め落とすチャンスと見られているのでしょう。
世界、特に東欧諸国の平和のため、ロシア軍拡阻止のため、ロシアからの石化資源の長期安定(安定するはずがない)多量購入契約だけは避けて欲しい。サハリン1、2を非常識な強権発動で乗っ取られたことを、忘れてはいけません。
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