遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

日欧EPA大枠合意 世界の通商交渉の流れが変わる可能性も

2017-07-06 23:58:58 | 日本を復活させる

 難航していた、日欧EPAが、大筋合意に漕ぎつけられました。人口減での国内市場縮小を、TPPの推進で海外市場を取り込み、アベノミクス第三の矢の柱としたかったところ、米国の離脱でとん挫した日本。かたや米国との経済連携交渉が食の安全のあり方などを巡って対立し、昨秋以降は交渉が事実上中断しているEU。今回の交渉が行き詰まれば日・EUそろって、通商戦略が今後数年、停滞してしまう懸念があったことが、背景にあったのですね。
 G20開催直前に、世界のGDPの3割を占める日・EUのEPA進展は、保護主義の台頭けん制になるのでしょうか。
 

自由貿易推進で結束 日欧EPA大枠合意…保護主義台頭に危機感 : 読売プレミアム 2017年7月6日5時0分

 【ブリュッセル=広瀬謙哉】日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)交渉が5日、ブリュッセルでの閣僚級協議で大枠合意に達した。チーズと乗用車という難航分野で、最終的に双方が歩み寄ったのは、米トランプ政権の誕生などにより世界的に強まる保護主義への危機感からだ。日EUともに、7~8日にドイツで開催される主要20か国・地域(G20)首脳会議を前に交渉をまとめ、自由貿易の推進をアピールする狙いがあった

 ブリュッセルで午後0時半(日本時間午後7時半)から始まった岸田外相とマルムストローム欧州委員(閣僚に相当)の会談は、わずか1時間15分で終わった。
 会談の終了後、記者会見に臨んだ岸田氏は、はっきりとした口調で、「日EUが率先して自由貿易の旗を掲げ続けなければならない」と強調した。「ぜひ、日EUの自由貿易の旗を守ろうという思いを世界にアピールしたい」とも語った。

 
日本とEUが交渉決着を急いだ背景には、トランプ米政権の登場で、通商戦略の見直しを迫られている苦しい現状がある

 日本政府は、日米など12か国が署名した環太平洋経済連携協定(TPP)を成長戦略の柱に据えてきた。しかし、米国が1月にTPPからの離脱を決めたことで、大きく目算が狂った。
 EU側は2013年から始めた米国との経済連携交渉が食の安全のあり方などを巡って対立し、昨秋以降は交渉が事実上、中断している。さらに、英国との今後の貿易関係を決めるEU離脱交渉も抱えている。仮に
今回の交渉が行き詰まれば日EUそろって、通商戦略が今後数年、停滞してしまう懸念があった

 日本とEUが今回、自由貿易の推進で結束を示したことで、
世界の通商交渉の流れが変わる可能性がある


 
日本は世界の国内総生産(GDP)の合計の3割を占める日EUのEPAを推進することで、米国をTPPを含む自由貿易の枠組みに「復帰」させる呼び水にしたい考えだ。EUとのEPA発効によって欧州勢が日本市場で存在感を高めれば、米国の農業団体や産業界からトランプ政権に通商政策の転換を求める声が高まる可能性もある。

 自動車などの工業製品や、日本食ブームにのせた食品の輸出拡大を期す日本と、チーズやワインの輸出を伸ばしたいEUとのせめぎあい。双方がゆずり合っての合意となったのですが、そこには、期待と不安が混在しているのは、自由貿易交渉の常ですね。
 

G20へ成果アピール 日欧EPA大枠合意 保護主義の台頭けん制 (7/6 読売朝刊)

<前略>
■期待と不安
 大枠合意に達した交渉の行方を見つめてきた国内の関係者の間には、期待と不安が交錯している。
 日EU・EPAの実現は、日本からの輸出に強みを持つ
乗用車などの製造業
にとって、欧州市場で販路を拡大する大きな弾みになる。EUは日本製の乗用車に10%の関税をかけている。既に関税が撤廃された韓国車と比べて日本車は不利な競争を強いられている。乗用車の関税が撤廃されれば、同じ競争条件で並べることになる。
 
日本酒メーカーや日本茶、ブランド牛などの生産者
にとっては、海外での日本食ブームを背景に欧州への輸出を拡大するチャンスが広がる。
 
消費者の暮らしに
も変化が訪れそうだ。EUで生産されるチーズやワインなどの関税が撤廃・削減されることは事実上の値下げと同じ効果がある。
 ただ、長い伝統を持ち、高い品質で知られる欧州産のチーズやワインの輸入が増えれば、
日本の小規模農家などにはマイナスの影響が及ぶ可能性がある。農水族議員は酪農や畜産農家などに対する国内対策の拡充を求めている。

 世界のGDPの3割を占める自由貿易圏が誕生することで、米国の孤立化が際立ちます。既に発効している日豪EPAに加え、日・EUのEPAが実現すれば、それぞれが日本市場で存在感を高めることとなり、米国の農業団体や産業界からトランプ政権に通商政策の転換を求める声が高まる可能性もあります。
 米国との二国間交渉での抑止力にもなりますし、米国のTPP復帰への呼び水にもなる可能性が期待されます。
 更には、日本とEUが今回、自由貿易の推進で結束を示したことで、米国だけでなく、世界の通商交渉の流れが変わる可能性があると、記事では指摘されています。

 英国の離脱で行きづまり感も出ていたEU(フランス大統領戦で歯止めはかかりましたが)、米国の離脱で、「TPP11」を模索する環太平洋諸国といった、自由主義経済圏での自由貿易が頭打ちの様相を示すなか、参加国を増やし外見では隆盛にも見える中国主導の「一帯一路」政策。日・EUのEPAが、世界貿易の流れの主導権を取り戻せるのか。発効にはEU諸国の承認が必要で、時間がかかるとのことですが、期待を持って見守りたい話ですね。



 # 冒頭の画像は、EUのトゥスク大統領(左)、ユンケル欧州委員長(右)と握手を交わす安倍首相




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