遊爺雑記帳

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マクロン発言は気にするな 欧米の対中見解は一致

2023-04-21 01:33:55 | 米中新冷戦時代
 フランスのエマニュエル・マクロン大統領が先週訪中。欧州は中国に対する米国の姿勢には従わないと宣言し、世界を騒がせています。
 WSJ経済担当チーフコメンテーターのグレッグ・イップ氏が、気にするなと、解説しておられます。
 
マクロン発言は気にするな 欧米の対中見解は一致 - WSJ グレッグ・イップ WSJ経済担当チーフコメンテーター 2023年 4月 20日

 中国は長い間、西側諸国との地政学的な競争において米国と欧州を分断しようとしてきたフランスのエマニュエル・マクロン大統領が先週、欧州は中国に対する米国の姿勢には従わないと宣言したことで、中国の戦略は成果を上げたように見えた

 しかし、見かけは当てにならない。
実は欧州連合(EU)はこの1年で中国に対する姿勢を決定的に変えた欧州の人たちは米国人よりも穏やかな言葉を使い中国との経済関係について「デカップリング(切り離し)」ではなく「デリスキング(リスクの低減)」を望むと話す。ただ実質的には、欧州のデリスキングと米国のデカップリングはほぼ同じように見える。欧州は中国に対して経済的な防衛策を構築しつつあり、その中には米国よりもさらに踏み込んだものもある

 
欧州と米国の足並みがそろってきたことは、いかなる調整も経ていないため、見過ごされがちだ。実際、重要な鉱物や半導体への支援といった欧州の幾つかの措置は、中国の産業政策への対応でもあり米国への対応でもある。先週ワシントンに集まった西側諸国の指導者たちは、中国に対して共有する懸念が互いに対する保護主義に退化するのではないかとの危惧を表明した。

 
中国にとって残念なことに自己主張する欧州の姿勢は、米国の指導力への服従を反映するものではないからこそ、より持続力があるだろう。欧州の対中強硬姿勢はむしろ、中国の戦略上およびイデオロギー上の方向性、とりわけウクライナ侵攻以降の対ロシア支援に関して欧州自身が再評価を行った結果だ。

 ベルリンに本拠を置く
シンクタンク「メルカトル中国研究所(MERICS)」のミッコ・フオタリ所長は、米国と欧州が「並行したプロセス」を通じてこの見解にたどり着いたと指摘する。「結局のところ、われわれを結束させたものは中国の行動だ。台湾に関する行動、ロシアに関する行動、国内での行動と、貿易や投資をめぐる行動だ」

 
米国と欧州の調整不足は先週あらわになった。北京で中国の習近平国家主席との会談を終えたマクロン氏は記者団に対し、台湾問題に関して「最悪なことは、われわれ欧州人が米国に追随しなければならないと考えることだろう」と述べた

 
この発言は大きな批判を招いたが、西側諸国の当局者と外交官は落ち着いていたマクロン氏はシャルル・ドゴールの時代にさかのぼるフランスの伝統に従っていると彼らは見なした(ドゴールは欧州が米国から独立した外交政策を進めることを提唱していた)。また、マクロン氏の主張はもっともだとも考えた。つまり、米下院議長だったナンシー・ペロシ氏による昨夏の台湾訪問など、実際には台湾に安全をもたらさないジェスチャーを通じて中国との対立を深めるべきではないということだ。中国軍が台湾を威嚇するための演習を始める中、フランスは現状維持を支持する姿勢を強調するため、フリゲート艦を派遣し、台湾海峡を航行させた

 
欧州の中国に対する新たな考え方を理解するためには、欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長が、マクロン氏とともに中国を訪問する直前の3月30日に行った演説原稿を読むといいその一部は、米バイデン政権の国家安全保障会議(NSC)が書いたと言っても違和感がない

 
フォンデアライエン氏は「中国共産党の明確な目標は、世界秩序の体制を中国中心のものに変えることだ」と述べた。「われわれは、自国企業の資本・専門技術・知識が、体制上のライバルでもある諸国の軍事・情報収集能力の強化に利用されることがないよう注意する必要がある

 フォンデアライエン氏はこの演説と今月18日の発言の中で、米国がどんな行動を取ろうとも欧州は中国と関わることが必要だ、との考えも示した。しかし、
言葉より行動の方が大きな意味を持つEUは近年、一連の対中防衛策を講じている

 
その例を以下に挙げる。EUは中国との間で2020年に最終合意した投資協定から距離を置いた。EU企業と競合する域外国企業が政府から補助金を受けた場合に、調査を行い、対抗措置を取るため「外国補助金に関する規則」を定めた。不当な経済的威圧行為を阻止するための規則の導入を決めた。同規則は、リトアニアが国内に台湾の代表機関「台湾代表処」の開設を認めたことに反発した中国が、リトアニア産品の輸入を禁止したことを受けたものだ(米国はこのような規則をまだ制定していない)。EUはまた、レアアース(希土類)など、電子機器・磁石・再生可能エネルギー設備に不可欠な素材の域内での生産・加工の目標を設定する規則についても、策定作業を進めている。EUはレアアースの98%を中国から調達している

 
デンマーク国際問題研究所の欧州・中国経済関係専門家であるルーク・パティ氏は、EUのこれまでの支援のおかげで「今後3年間にサプライチェーン(供給網)の複数の導線が一気に成長し、2020年代の終わりまでにはレアアースを使ったEV用永久磁石の代替サプライチェーンが欧州にできるだろう」と話す

 
欧州各国政府は現在、機密性の高い分野への中国による投資を阻止することが常態化している。イタリアは過去2年間で何度も阻止しており、ドイツでも昨年秋に2度の差し止めを行った。デンマークの調査会社ストランド・コンサルトによると、20年には31カ国中16カ国で4G通信網の機器の半分以上が華為技術(ファーウェイ)などの中国製だった。5G通信網では、こうした状況は8カ国にとどまるという。

 
とはいえ欧州と米国のいずれも、デカップリングの実現には、政策だけでなく民間企業の対応も必要だということに気付くだろう。企業を駆り立てるのは売り上げであって、イデオロギーではない。多国籍企業は中国関連事業のリスクをヘッジしたいところだが、完全撤退できる企業はほとんどなく、投資を増やしている企業もある

 
自動車コンサルティング会社ZoZoGoの創設者マイケル・ダン氏によると、米国が国内における再生可能エネルギー関連の製造基盤の構築を図っているにもかかわらず、 テスラ は今年、EVの40~50%を中国で製造する予定だ。テスラが自社のサプライチェーンを中国に持ち込んだことで同国内の競合他社は活気づき、その勢いはテスラの市場シェアを奪うほどになっているとダン氏は指摘する。それでもテスラは中国への投資を拡大している。今月は上海に大型蓄電池「メガパック」の生産工場を設立することを発表した。

 
中国は多国籍企業のデカップリングをできる限り難しくしようと躍起になっている。米国の輸出規制に対抗するため、米半導体企業に対し、他国で販売している製品を中国でも販売する場合に限り買収を承認している。

 
マクロン氏の訪中に合わせ、エアバスは中国に2本目の最終組み立てラインを設ける計画を発表した。こうした投資は売り上げ確保のためには必要だが、同社は組み立ての対象を、現時点で中国が技術を持たない広胴機ではなく狭胴機にとどめている。ある欧州当局者は、エアバスは「技術を共有すれば、同じ技術を持つ中国版を生むことになり、瞬く間に中国から追い出されることを分かっている」と述べている。

 中国は長い間、西側諸国との地政学的な競争において米国と欧州を分断しようとしてきた。
 今回のマクロン大統領の宣言は、中国の戦略は成果を上げたように見えた。

 しかし、見かけは当てにならない。実は欧州連合(EU)はこの1年で中国に対する姿勢を決定的に変えた。欧州の人たちは、中国との経済関係について「デカップリング(切り離し)」ではなく「デリスキング(リスクの低減)」を望むと話す。
 実質的には、欧州のデリスキングと米国のデカップリングはほぼ同じように見える。欧州は中国に対して経済的な防衛策を構築しつつあり、その中には米国よりもさらに踏み込んだものもあると、グレッグ・イップ氏。

 欧州と米国の足並みがそろってきたことは、いかなる調整も経ていないため、見過ごされがちだ。
 欧州の対中強硬姿勢はむしろ、中国の戦略上およびイデオロギー上の方向性、とりわけウクライナ侵攻以降の対ロシア支援に関して欧州自身が再評価を行った結果だ。
 中国にとって残念なことに、自己主張する欧州の姿勢は、米国の指導力への服従を反映するものではないからこそ、より持続力があるだろうと、グレッグ・イップ氏。

 ベルリンに本拠を置くシンクタンク「メルカトル中国研究所(MERICS)」のミッコ・フオタリ所長は、米国と欧州が「並行したプロセス」を通じてこの見解にたどり着いたと指摘する。「結局のところ、われわれを結束させたものは中国の行動だ。台湾に関する行動、ロシアに関する行動、国内での行動と、貿易や投資をめぐる行動だ」と。

 EUは近年、一連の対中防衛策を講じていると例示されています。

 デンマーク国際問題研究所の欧州・中国経済関係専門家であるルーク・パティ氏は、EUのこれまでの支援のおかげで「今後3年間にサプライチェーン(供給網)の複数の導線が一気に成長し、2020年代の終わりまでにはレアアースを使ったEV用永久磁石の代替サプライチェーンが欧州にできるだろう」と話しておられると。

 中国が、レアアース磁石技術の囲い込みを公表していることは諸兄がご承知の通り。
 中国、EV中核部品のレアアース磁石技術を禁輸へ…脱炭素分野で覇権確立狙いか : 読売新聞

 欧州各国政府は現在、機密性の高い分野への中国による投資を阻止することが常態化している。
 20年には31カ国中16カ国で4G通信網の機器の半分以上が華為技術(ファーウェイ)などの中国製だった。5G通信網では、こうした状況は8カ国にとどまると、グレッグ・イップ氏。

 とはいえ欧州と米国のいずれも、デカップリングの実現には、政策だけでなく民間企業の対応も必要。
 多国籍企業は中国関連事業のリスクをヘッジしたいところだが、完全撤退できる企業はほとんどなく、投資を増やしている企業もあると。

 自動車コンサルティング会社ZoZoGoの創設者マイケル・ダン氏によると、米国が国内における再生可能エネルギー関連の製造基盤の構築を図っているにもかかわらず、 テスラ は今年、EVの40~50%を中国で製造する予定だ。テスラが自社のサプライチェーンを中国に持ち込んだことで同国内の競合他社は活気づき、その勢いはテスラの市場シェアを奪うほどになっているとダン氏。
 それでもテスラは中国への投資を拡大している。今月は上海に大型蓄電池「メガパック」の生産工場を設立することを発表したと。

 ただ、テスラがインドからの招致をされている報道もありましたが、どうなっているのでしょう。
 インド政府、テスラの現地生産誘致 「中国より低いコストに」 | Reuters

 アップルは、中国依存を減らし、人口が中国を抜き世界一となるインドへの注力に転換していますね。
 アップル、インドでのiPhone生産を70億ドル強に3倍増-関係者 - Bloomberg

 中国は多国籍企業のデカップリングをできる限り難しくしようと躍起になっている。米国の輸出規制に対抗するため、米半導体企業に対し、他国で販売している製品を中国でも販売する場合に限り買収を承認していると、グレッグ・イップ氏。

 低賃金、低固定費、世界一の人口の消費力で、鄧小平の改革開放経済と、世界の工場としての投資先として発展を遂げてきた中国経済。
 習近平の独裁政治が確定された今後。世界の企業は、今後も中国への投資を増やし続けるのでしょうか!

 日本は、あの媚中・二階氏が、林氏が外相に就任し空席となっていた親中議連会長の座に就き訪中するのだとか。
 またぞろ、習近平の天皇陛下接見の、天皇の政治利用を復活させかねず、欧米の動きと逆行行動をしかねない!



 # 冒頭の画像は、マクロン大統領と習近平



  この花の名前は、ダイリントキワソウ


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