トランプ氏が中国製品に一律関税を課し、最大で税率60%になると警告するなか、中国は以前より豊富な対抗手段を誇示し始めていると、WSJ。
米中の新冷戦時代は、加速する様相ですね。
中国は以前より豊富な対抗手段を誇示し始めていると、WSJ。
米国は大量に中国製品を輸入し、米国の対中輸出の約3倍にも上るため、中国は関税だけで報復措置を同じだけ講じることができない。またそれを実行すれば、中国経済のさまざまな問題点を悪化させるリスクもある。
自分より強い敵と戦う時と同じく、自国の強みを生かし「てこの原理」で最大限の効果を引き出すことが重要だ。米国に痛みを与える取り組みは、その多くが米国自身の戦略にヒントを得ていると!
来月退任するジョー・バイデン大統領の政権が中国の先端半導体へのアクセス制限を強化していた。
中国の市場規制当局は9日、エヌビディアに対する反トラスト(独占禁止法に相当)調査を始めると発表。
中国が法的手段を使ってトップクラスの米企業を標的にすることもいとわない姿勢が浮き彫りになったと、WSJ。
南カリフォルニア大学のアンジェラ・チャン教授(法学)によると、第1次トランプ政権下で初めてこの戦略が用いられたのだそうです。
2018年の米中貿易戦争のさなか、中国は米半導体大手クアルコムによる蘭NXPセミコンダクターズ買収案への承認を保留したと指摘。これが事実上、貿易交渉を有利に進める切り札となった。この買収計画は結局、中国の承認を得られずに不成功に終わったと、WSJ。
中国が世界規模の企業合併を詳しく調査する権限を持っていることが、てこの働きをする(同国に密接な関係があるとは思えない取引さえも対象になる)。中国の規制当局は2022年、米半導体大手インテルがイスラエルの半導体受託生産会社タワーセミコンダクターを52億ドルで買収する案を撤回させるために同様の手段を用いた。インテルの野心的な再建計画は、その重要な部分で決定的打撃を受けたのだそうです。
ただ中国は依然として外国からの投資を積極的に呼び込む必要があり、行き過ぎには注意しなければならない。特定の米企業とのビジネスを邪魔したり拒否したりすれば、米政府や外国企業が他の選択肢を探すきっかけを与え、中国の長期的な立場を弱める可能性があると、WSJ。
こうした慎重さは、中国が取引制限対象の外国企業や団体、個人を列挙した「信頼できないエンティティーリスト」の作成の過程にも表れているとも。
中国の「リスト」は2023年初めまで空白のままだった。米軍が中国のスパイ気球だと疑う飛行体を撃墜したのを受け、中国は米防衛関連企業2社を「信頼できないエンティティー」に指定したのだそうです。
ただ、不明瞭さは中国のエンティティーリストの注目すべき特徴だと、WSJ。
だがその不透明さが、米国に圧力をかける幅広い裁量を政府に与えるため、有効な手段になることはほぼ間違いないとも。
9月、中国商務省は、米PVHをエンティティーリストに載せるかどうかを調査中だと発表。
PVHは2020年、新疆綿を使用する衣料品工場や紡績所との一切の関係を絶つと発表。それに続いて米国は、強制労働の報告を巡って新疆で生産した綿製品を輸入禁止にした。
PVHが中国のリストに入れば、中国との間で売買禁止になる可能性がある。そうなれば同社は、昨年の世界売上高の6%を占めた急成長市場から締め出されることになると、WSJ。
それ以外にも、中国は不均衡に大きな強みを持つ分野を米国への反撃に利用していると。
重要鉱物の生産における支配的地位などだ。
中国は先週、ガリウム、ゲルマニウム、アンチモンなどの対米輸出を原則として禁止し、グラファイト(黒鉛)の輸出審査も厳格化すると発表。
中国は近年、多種多様な鉱物の生産で支配的地位を占めるようになり、多くの戦略的鉱物でむしろ中国の支配力は強まっているのだそうです。
半導体の材料となる金属のガリウムの場合、中国は低純度ガリウム生産の約98%を占める。中国の禁輸前に米地質調査所が公表した調査結果によると、中国産のガリウムとゲルマニウムの輸出を完全に制限した場合、米国の国内総生産(GDP)は34億ドル(約5190億円)減る可能性があるのだと。
中国が優位性をてこに圧力をかける分野の一つが量産型ドローンだ。この分野で中国は他を大きく引き離し、世界最大の生産量を誇る。米国が支援するウクライナをはじめ他の国々も取り組んでいるが、電池やカメラ、電気モーターの調達に課題を抱える。それらのサプライチェーンが中国を経由しているためだと、WSJ。
中国外務省は先週、米ドローン技術企業十数社に制裁を課すと発表。ウクライナにドローンを納入する企業が含まれる。新興ドローン企業のシールドAIもその一つ。同社の人工知能(AI)を搭載した長距離ドローンはウクライナの戦場で活用されているのだそうです。
シールドAIのライアン・ツェン最高経営責任者(CEO)は、すでにサプライチェーンを中国以外にシフトしたと述べ、「(制裁は)不可避だと思われたので、実際起きたことに驚きはない」と。
とはいえ、米国のドローン各社がサプライチェーンの「脱中国依存」を進めるスピードは遅い。中国は4枚の回転翼がついたクアッドコプターや一人称視点(FPV)ドローンなどの小型ドローンが飛ぶのに必要な電池とモーターの世界的な供給を依然支配している。またミサイルや船舶、ドローン、衛星などを動かすモーターに使われる磁石も、中国が90%以上を供給していると、WSJ。
米中新冷戦時代のトランプ氏復活の第二ラウンド。
第一ラウンドとは進化し、中国にも強みが増していて難敵となりそう。トランプ氏のお手並みが期待されます。
と同時に、日本の対貿易の方向も気がかり。
脱中国で、国内回帰やベトナムやインドへの移転も唱えられ、気配はありますが如何。。
# 冒頭の画像は、中国当局の標的とされている、米半導体大手エヌビディアのジェンスン・フアンCEO
この花の名前は、ヒゴギク
↓よろしかったら、お願いします。
遊爺さんの写真素材 - PIXTA
米中の新冷戦時代は、加速する様相ですね。
中国が強気の反撃、トランプ次期政権の貿易戦争にらみ - WSJ
エヌビディアへの調査や重要鉱物の禁輸、ドローンをめぐる最近の動き 米国に報復を行う可能性を示唆
By Rebecca Feng Heather Somerville and Jon Emont (= WSJと略称) 2024年12月13日
ドナルド・トランプ次期米大統領の1期目には、中国ははるかに規模の大きい米経済に関税で対抗するのは難しいと悟り、他の方法で痛みを与えるべく迅速に動いた。多くの場合、それはトランプ氏の戦術を借りることだった。
トランプ氏の2期目が近づく中、中国は以前より豊富な対抗手段を誇示し始めている。同氏が次期政権は中国製品に一律関税を課し、最大で税率60%になると警告するなか、中国はこうした対抗手段を頼みとする公算が大きい。
中国は今月、米半導体大手エヌビディアに対する規制当局の調査を始めたほか、著名な米アパレルメーカーをブラックリストに載せると警告し、重要鉱物の対米輸出を禁止し、無人機(ドローン)のサプライチェーン(供給網)に圧力をかけた。一連の動きに手がかりを得るならば、中国の対抗手段は主に非関税措置となりそうだ。
米国は大量に中国製品を輸入し、米国の対中輸出の約3倍にも上るため、中国は関税だけで報復措置を同じだけ講じることができない。またそれを実行すれば、中国経済のさまざまな問題点を悪化させるリスクもある。
むしろ自分より強い敵と戦う時と同じく、自国の強みを生かし「てこの原理」で最大限の効果を引き出すことが重要だ。米国に痛みを与える取り組みは、その多くが米国自身の戦略にヒントを得ている。
中国の市場規制当局は9日、エヌビディアに対する反トラスト(独占禁止法に相当)調査を始めると発表。その約1週間前には、来月退任するジョー・バイデン大統領の政権が中国の先端半導体へのアクセス制限を強化していた。中国によると、エヌビディアは2020年にイスラエルのネットワーキング企業買収に関して中国から条件付き承認を得たが、その条件に違反した疑いがある。
規制当局の調査実施のタイミング(買収から5年近く経過)や標的企業の注目度の高さ(技術革新の最前線にいる米テック大手)から、中国が法的手段を使ってトップクラスの米企業を標的にすることもいとわない姿勢が浮き彫りになった。
南カリフォルニア大学のアンジェラ・チャン教授(法学)によると、第1次トランプ政権下で初めてこの戦略が用いられた。チャン氏は、2018年の米中貿易戦争のさなか、中国は米半導体大手クアルコムによる蘭NXPセミコンダクターズ買収案への承認を保留したと指摘。これが事実上、貿易交渉を有利に進める切り札となった。この買収計画は結局、中国の承認を得られずに不成功に終わった。
このような場合、中国が世界規模の企業合併を詳しく調査する権限を持っていることが、てこの働きをする(同国に密接な関係があるとは思えない取引さえも対象になる)。中国の規制当局は2022年、米半導体大手インテルがイスラエルの半導体受託生産会社タワーセミコンダクターを52億ドルで買収する案を撤回させるために同様の手段を用いた。インテルの野心的な再建計画は、その重要な部分で決定的打撃を受けた。
今回、中国の規制当局はエヌビディアがどんな間違いを犯した可能性があるのか、なぜ条件付き承認からこれほど長期間が経過した後に問題を提起したのかを、何も語らなかった。だが業界ウオッチャーは、中国が米国に反撃の意思を示すメッセージだったことをほぼ確信している。
不明瞭な「リスト」
ただ中国は依然として外国からの投資を積極的に呼び込む必要があり、行き過ぎには注意しなければならない。特定の米企業とのビジネスを邪魔したり拒否したりすれば、米政府や外国企業が他の選択肢を探すきっかけを与え、中国の長期的な立場を弱める可能性がある。
こうした慎重さは、中国が取引制限対象の外国企業や団体、個人を列挙した「信頼できないエンティティーリスト」の作成の過程にも表れている。2019年に初めて発表したこの動きは、米商務省が中国の通信大手、華為技術(ファーウェイ)とその関連会社に対して講じた措置を借用したもので、サプライヤーが「エンティティーリスト」に載った企業とビジネスを行う前に当局の許可を取るよう義務づけている。
だが、中国の「リスト」は2023年初めまで空白のままだった。米軍が中国のスパイ気球だと疑う飛行体を撃墜したのを受け、中国は米防衛関連企業2社を「信頼できないエンティティー」に指定した。
不明瞭さは中国のエンティティーリストの注目すべき特徴だ。ある事業体がリストに載り続ける期間に制限はなく、リスト入りの基準や削除の基準は米国のブラックリストに比べてはるかに曖昧だ。だがその不透明さが、米国に圧力をかける幅広い裁量を政府に与えるため、有効な手段になることはほぼ間違いない。
9月、中国商務省はカルバン・クラインやトミーヒルフィガーなどのブランドを傘下に持つ米PVHをエンティティーリストに載せるかどうかを調査中だと発表した。PVHが中国の新疆ウイグル自治区で生産した綿製品を「事実に基づく根拠なしに」ボイコットした疑いがあるという。PVHは2020年、新疆綿を使用する衣料品工場や紡績所との一切の関係を絶つと発表。それに続いて米国は、強制労働の報告を巡って新疆で生産した綿製品を輸入禁止にした。中国共産党はこの疑惑を否定している。
PVHへの警告が出された前日には、米商務省が国内のコネクテッドカー(ネットに接続された車)に中国製とロシア製の部品を使うことを禁じる規制案を発表していた。PVHが中国のリストに入れば、中国との間で売買禁止になる可能性がある。そうなれば同社は、昨年の世界売上高の6%を占めた急成長市場から締め出されることになる。
重要鉱物やドローンも
それ以外にも、中国は不均衡に大きな強みを持つ分野を米国への反撃に利用している。例えば、ドローンのサプライチェーンにおける優位性や、半導体・電池・防衛装備品に不可欠な重要鉱物の生産における支配的地位などだ。
中国は先週、ガリウム、ゲルマニウム、アンチモンなどの対米輸出を原則として禁止し、グラファイト(黒鉛)の輸出審査も厳格化すると発表した。
中国は近年、優れた技術力や稼働コストの低さもあり、多種多様な鉱物の生産で支配的地位を占めるようになった。米国と米同盟国は重要鉱物の採掘・加工の拡大を進めてきたが、西側企業は中国との価格競争に苦戦し、多くの戦略的鉱物でむしろ中国の支配力は強まっている。
半導体の材料となる金属のガリウムの場合、中国は低純度ガリウム生産の約98%を占める。中国の禁輸前に米地質調査所が公表した調査結果によると、中国産のガリウムとゲルマニウムの輸出を完全に制限した場合、米国の国内総生産(GDP)は34億ドル(約5190億円)減る可能性がある。
中国が優位性をてこに圧力をかける分野の一つが量産型ドローンだ。この分野で中国は他を大きく引き離し、世界最大の生産量を誇る。米国が支援するウクライナをはじめ他の国々も取り組んでいるが、電池やカメラ、電気モーターの調達に課題を抱える。それらのサプライチェーンが中国を経由しているためだ。
中国外務省は先週、米ドローン技術企業十数社に制裁を課すと発表した。ウクライナにドローンを納入する企業が含まれる。新興ドローン企業のシールドAIもその一つだ。同社の人工知能(AI)を搭載した長距離ドローンはウクライナの戦場で活用されている。
ここでも制裁の見通しを踏まえ、すでに多くの企業が無線機やコンパス、モーター、電池を中国以外から調達する方法を探っている。
シールドAIのライアン・ツェン最高経営責任者(CEO)は、すでにサプライチェーンを中国以外にシフトしたと述べ、制裁の見通しと米国の国家安全保障上の制限により、長らく中国からの購入は「商業的に実行不可能」だったと述べた。
「(制裁は)不可避だと思われたので、実際起きたことに驚きはない」とツェン氏は語る。
とはいえ、米国のドローン各社がサプライチェーンの「脱中国依存」を進めるスピードは遅い。中国は4枚の回転翼がついたクアッドコプターや一人称視点(FPV)ドローンなどの小型ドローンが飛ぶのに必要な電池とモーターの世界的な供給を依然支配している。またミサイルや船舶、ドローン、衛星などを動かすモーターに使われる磁石も、中国が90%以上を供給している。回路基板の場合、中国製品は迅速に納入され、価格も安いのが実情だ。
エヌビディアへの調査や重要鉱物の禁輸、ドローンをめぐる最近の動き 米国に報復を行う可能性を示唆
By Rebecca Feng Heather Somerville and Jon Emont (= WSJと略称) 2024年12月13日
ドナルド・トランプ次期米大統領の1期目には、中国ははるかに規模の大きい米経済に関税で対抗するのは難しいと悟り、他の方法で痛みを与えるべく迅速に動いた。多くの場合、それはトランプ氏の戦術を借りることだった。
トランプ氏の2期目が近づく中、中国は以前より豊富な対抗手段を誇示し始めている。同氏が次期政権は中国製品に一律関税を課し、最大で税率60%になると警告するなか、中国はこうした対抗手段を頼みとする公算が大きい。
中国は今月、米半導体大手エヌビディアに対する規制当局の調査を始めたほか、著名な米アパレルメーカーをブラックリストに載せると警告し、重要鉱物の対米輸出を禁止し、無人機(ドローン)のサプライチェーン(供給網)に圧力をかけた。一連の動きに手がかりを得るならば、中国の対抗手段は主に非関税措置となりそうだ。
米国は大量に中国製品を輸入し、米国の対中輸出の約3倍にも上るため、中国は関税だけで報復措置を同じだけ講じることができない。またそれを実行すれば、中国経済のさまざまな問題点を悪化させるリスクもある。
むしろ自分より強い敵と戦う時と同じく、自国の強みを生かし「てこの原理」で最大限の効果を引き出すことが重要だ。米国に痛みを与える取り組みは、その多くが米国自身の戦略にヒントを得ている。
中国の市場規制当局は9日、エヌビディアに対する反トラスト(独占禁止法に相当)調査を始めると発表。その約1週間前には、来月退任するジョー・バイデン大統領の政権が中国の先端半導体へのアクセス制限を強化していた。中国によると、エヌビディアは2020年にイスラエルのネットワーキング企業買収に関して中国から条件付き承認を得たが、その条件に違反した疑いがある。
規制当局の調査実施のタイミング(買収から5年近く経過)や標的企業の注目度の高さ(技術革新の最前線にいる米テック大手)から、中国が法的手段を使ってトップクラスの米企業を標的にすることもいとわない姿勢が浮き彫りになった。
南カリフォルニア大学のアンジェラ・チャン教授(法学)によると、第1次トランプ政権下で初めてこの戦略が用いられた。チャン氏は、2018年の米中貿易戦争のさなか、中国は米半導体大手クアルコムによる蘭NXPセミコンダクターズ買収案への承認を保留したと指摘。これが事実上、貿易交渉を有利に進める切り札となった。この買収計画は結局、中国の承認を得られずに不成功に終わった。
このような場合、中国が世界規模の企業合併を詳しく調査する権限を持っていることが、てこの働きをする(同国に密接な関係があるとは思えない取引さえも対象になる)。中国の規制当局は2022年、米半導体大手インテルがイスラエルの半導体受託生産会社タワーセミコンダクターを52億ドルで買収する案を撤回させるために同様の手段を用いた。インテルの野心的な再建計画は、その重要な部分で決定的打撃を受けた。
今回、中国の規制当局はエヌビディアがどんな間違いを犯した可能性があるのか、なぜ条件付き承認からこれほど長期間が経過した後に問題を提起したのかを、何も語らなかった。だが業界ウオッチャーは、中国が米国に反撃の意思を示すメッセージだったことをほぼ確信している。
不明瞭な「リスト」
ただ中国は依然として外国からの投資を積極的に呼び込む必要があり、行き過ぎには注意しなければならない。特定の米企業とのビジネスを邪魔したり拒否したりすれば、米政府や外国企業が他の選択肢を探すきっかけを与え、中国の長期的な立場を弱める可能性がある。
こうした慎重さは、中国が取引制限対象の外国企業や団体、個人を列挙した「信頼できないエンティティーリスト」の作成の過程にも表れている。2019年に初めて発表したこの動きは、米商務省が中国の通信大手、華為技術(ファーウェイ)とその関連会社に対して講じた措置を借用したもので、サプライヤーが「エンティティーリスト」に載った企業とビジネスを行う前に当局の許可を取るよう義務づけている。
だが、中国の「リスト」は2023年初めまで空白のままだった。米軍が中国のスパイ気球だと疑う飛行体を撃墜したのを受け、中国は米防衛関連企業2社を「信頼できないエンティティー」に指定した。
不明瞭さは中国のエンティティーリストの注目すべき特徴だ。ある事業体がリストに載り続ける期間に制限はなく、リスト入りの基準や削除の基準は米国のブラックリストに比べてはるかに曖昧だ。だがその不透明さが、米国に圧力をかける幅広い裁量を政府に与えるため、有効な手段になることはほぼ間違いない。
9月、中国商務省はカルバン・クラインやトミーヒルフィガーなどのブランドを傘下に持つ米PVHをエンティティーリストに載せるかどうかを調査中だと発表した。PVHが中国の新疆ウイグル自治区で生産した綿製品を「事実に基づく根拠なしに」ボイコットした疑いがあるという。PVHは2020年、新疆綿を使用する衣料品工場や紡績所との一切の関係を絶つと発表。それに続いて米国は、強制労働の報告を巡って新疆で生産した綿製品を輸入禁止にした。中国共産党はこの疑惑を否定している。
PVHへの警告が出された前日には、米商務省が国内のコネクテッドカー(ネットに接続された車)に中国製とロシア製の部品を使うことを禁じる規制案を発表していた。PVHが中国のリストに入れば、中国との間で売買禁止になる可能性がある。そうなれば同社は、昨年の世界売上高の6%を占めた急成長市場から締め出されることになる。
重要鉱物やドローンも
それ以外にも、中国は不均衡に大きな強みを持つ分野を米国への反撃に利用している。例えば、ドローンのサプライチェーンにおける優位性や、半導体・電池・防衛装備品に不可欠な重要鉱物の生産における支配的地位などだ。
中国は先週、ガリウム、ゲルマニウム、アンチモンなどの対米輸出を原則として禁止し、グラファイト(黒鉛)の輸出審査も厳格化すると発表した。
中国は近年、優れた技術力や稼働コストの低さもあり、多種多様な鉱物の生産で支配的地位を占めるようになった。米国と米同盟国は重要鉱物の採掘・加工の拡大を進めてきたが、西側企業は中国との価格競争に苦戦し、多くの戦略的鉱物でむしろ中国の支配力は強まっている。
半導体の材料となる金属のガリウムの場合、中国は低純度ガリウム生産の約98%を占める。中国の禁輸前に米地質調査所が公表した調査結果によると、中国産のガリウムとゲルマニウムの輸出を完全に制限した場合、米国の国内総生産(GDP)は34億ドル(約5190億円)減る可能性がある。
中国が優位性をてこに圧力をかける分野の一つが量産型ドローンだ。この分野で中国は他を大きく引き離し、世界最大の生産量を誇る。米国が支援するウクライナをはじめ他の国々も取り組んでいるが、電池やカメラ、電気モーターの調達に課題を抱える。それらのサプライチェーンが中国を経由しているためだ。
中国外務省は先週、米ドローン技術企業十数社に制裁を課すと発表した。ウクライナにドローンを納入する企業が含まれる。新興ドローン企業のシールドAIもその一つだ。同社の人工知能(AI)を搭載した長距離ドローンはウクライナの戦場で活用されている。
ここでも制裁の見通しを踏まえ、すでに多くの企業が無線機やコンパス、モーター、電池を中国以外から調達する方法を探っている。
シールドAIのライアン・ツェン最高経営責任者(CEO)は、すでにサプライチェーンを中国以外にシフトしたと述べ、制裁の見通しと米国の国家安全保障上の制限により、長らく中国からの購入は「商業的に実行不可能」だったと述べた。
「(制裁は)不可避だと思われたので、実際起きたことに驚きはない」とツェン氏は語る。
とはいえ、米国のドローン各社がサプライチェーンの「脱中国依存」を進めるスピードは遅い。中国は4枚の回転翼がついたクアッドコプターや一人称視点(FPV)ドローンなどの小型ドローンが飛ぶのに必要な電池とモーターの世界的な供給を依然支配している。またミサイルや船舶、ドローン、衛星などを動かすモーターに使われる磁石も、中国が90%以上を供給している。回路基板の場合、中国製品は迅速に納入され、価格も安いのが実情だ。
中国は以前より豊富な対抗手段を誇示し始めていると、WSJ。
米国は大量に中国製品を輸入し、米国の対中輸出の約3倍にも上るため、中国は関税だけで報復措置を同じだけ講じることができない。またそれを実行すれば、中国経済のさまざまな問題点を悪化させるリスクもある。
自分より強い敵と戦う時と同じく、自国の強みを生かし「てこの原理」で最大限の効果を引き出すことが重要だ。米国に痛みを与える取り組みは、その多くが米国自身の戦略にヒントを得ていると!
来月退任するジョー・バイデン大統領の政権が中国の先端半導体へのアクセス制限を強化していた。
中国の市場規制当局は9日、エヌビディアに対する反トラスト(独占禁止法に相当)調査を始めると発表。
中国が法的手段を使ってトップクラスの米企業を標的にすることもいとわない姿勢が浮き彫りになったと、WSJ。
南カリフォルニア大学のアンジェラ・チャン教授(法学)によると、第1次トランプ政権下で初めてこの戦略が用いられたのだそうです。
2018年の米中貿易戦争のさなか、中国は米半導体大手クアルコムによる蘭NXPセミコンダクターズ買収案への承認を保留したと指摘。これが事実上、貿易交渉を有利に進める切り札となった。この買収計画は結局、中国の承認を得られずに不成功に終わったと、WSJ。
中国が世界規模の企業合併を詳しく調査する権限を持っていることが、てこの働きをする(同国に密接な関係があるとは思えない取引さえも対象になる)。中国の規制当局は2022年、米半導体大手インテルがイスラエルの半導体受託生産会社タワーセミコンダクターを52億ドルで買収する案を撤回させるために同様の手段を用いた。インテルの野心的な再建計画は、その重要な部分で決定的打撃を受けたのだそうです。
ただ中国は依然として外国からの投資を積極的に呼び込む必要があり、行き過ぎには注意しなければならない。特定の米企業とのビジネスを邪魔したり拒否したりすれば、米政府や外国企業が他の選択肢を探すきっかけを与え、中国の長期的な立場を弱める可能性があると、WSJ。
こうした慎重さは、中国が取引制限対象の外国企業や団体、個人を列挙した「信頼できないエンティティーリスト」の作成の過程にも表れているとも。
中国の「リスト」は2023年初めまで空白のままだった。米軍が中国のスパイ気球だと疑う飛行体を撃墜したのを受け、中国は米防衛関連企業2社を「信頼できないエンティティー」に指定したのだそうです。
ただ、不明瞭さは中国のエンティティーリストの注目すべき特徴だと、WSJ。
だがその不透明さが、米国に圧力をかける幅広い裁量を政府に与えるため、有効な手段になることはほぼ間違いないとも。
9月、中国商務省は、米PVHをエンティティーリストに載せるかどうかを調査中だと発表。
PVHは2020年、新疆綿を使用する衣料品工場や紡績所との一切の関係を絶つと発表。それに続いて米国は、強制労働の報告を巡って新疆で生産した綿製品を輸入禁止にした。
PVHが中国のリストに入れば、中国との間で売買禁止になる可能性がある。そうなれば同社は、昨年の世界売上高の6%を占めた急成長市場から締め出されることになると、WSJ。
それ以外にも、中国は不均衡に大きな強みを持つ分野を米国への反撃に利用していると。
重要鉱物の生産における支配的地位などだ。
中国は先週、ガリウム、ゲルマニウム、アンチモンなどの対米輸出を原則として禁止し、グラファイト(黒鉛)の輸出審査も厳格化すると発表。
中国は近年、多種多様な鉱物の生産で支配的地位を占めるようになり、多くの戦略的鉱物でむしろ中国の支配力は強まっているのだそうです。
半導体の材料となる金属のガリウムの場合、中国は低純度ガリウム生産の約98%を占める。中国の禁輸前に米地質調査所が公表した調査結果によると、中国産のガリウムとゲルマニウムの輸出を完全に制限した場合、米国の国内総生産(GDP)は34億ドル(約5190億円)減る可能性があるのだと。
中国が優位性をてこに圧力をかける分野の一つが量産型ドローンだ。この分野で中国は他を大きく引き離し、世界最大の生産量を誇る。米国が支援するウクライナをはじめ他の国々も取り組んでいるが、電池やカメラ、電気モーターの調達に課題を抱える。それらのサプライチェーンが中国を経由しているためだと、WSJ。
中国外務省は先週、米ドローン技術企業十数社に制裁を課すと発表。ウクライナにドローンを納入する企業が含まれる。新興ドローン企業のシールドAIもその一つ。同社の人工知能(AI)を搭載した長距離ドローンはウクライナの戦場で活用されているのだそうです。
シールドAIのライアン・ツェン最高経営責任者(CEO)は、すでにサプライチェーンを中国以外にシフトしたと述べ、「(制裁は)不可避だと思われたので、実際起きたことに驚きはない」と。
とはいえ、米国のドローン各社がサプライチェーンの「脱中国依存」を進めるスピードは遅い。中国は4枚の回転翼がついたクアッドコプターや一人称視点(FPV)ドローンなどの小型ドローンが飛ぶのに必要な電池とモーターの世界的な供給を依然支配している。またミサイルや船舶、ドローン、衛星などを動かすモーターに使われる磁石も、中国が90%以上を供給していると、WSJ。
米中新冷戦時代のトランプ氏復活の第二ラウンド。
第一ラウンドとは進化し、中国にも強みが増していて難敵となりそう。トランプ氏のお手並みが期待されます。
と同時に、日本の対貿易の方向も気がかり。
脱中国で、国内回帰やベトナムやインドへの移転も唱えられ、気配はありますが如何。。
# 冒頭の画像は、中国当局の標的とされている、米半導体大手エヌビディアのジェンスン・フアンCEO
この花の名前は、ヒゴギク
↓よろしかったら、お願いします。
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