遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

中国の分断作戦にASEAN各国は耐えられるのか

2012-01-11 23:27:16 | EEZ 全般
 米国が展開する中国包囲網に対する、中国政府や人民解放軍の反攻に注目していますが、中国政府は想定通りに札束攻勢で包囲網の各国の分断にとりかかってきていて、ASEAN各国の分断に注力しているようですね。
 ベトナムが主導して開始した、二国間交渉から多国が連携して交渉にあたろうとして以来中国は二国間交渉を主張し、ASEAN各国の連携を分断する工作を進めていましたが、その作戦を強化してきているということですね。
 

米中せめぎ合い激化 難しさ増すASEAN 南シナ海問題めぐり外相会議 (1/11 産経)

 【シンガポール=青木伸行】南シナ海の領有権、海洋の安全保障問題をめぐる米国と中国のせめぎ合いは今年、激しさを増すとみられている。米国はアジア・太平洋地域への関与をいっそう強め、中国は経済協力関係をテコに、東南アジア諸国連合(ASEAN)の分断工作を強化する
。ASEANの対応と立場は、一段と難しくなりそうだ。
 ASEANは10日、カンボジア・シエムレアプで非公式外相会議の夕食会を開いた。11日の同外相会議と合わせ、南シナ海問題について話し合う。
 アジア・太平洋地域における米中の軍事バランスは、米国が圧倒的に優位な状況にある。フィリピン政治暴力テロ研究所のロンメル・バンロイ所長は「米国は兵力と装備を世界に展開、配備できる能力がある唯一の国。そうした野望を中国も抱いているが、装備の更新・近代化が予想以上に早いとはいえ、実際に能力を備えるまでには10年以上を要する」とみる。
 そのうえ、中国の海洋権益拡大に対処するための米国の関与強化は今後、「後方支援拠点の確保、戦闘艦や前方展開戦力の配備という形で、東南アジアに徐々に顕在化してくる」(軍事筋)という状況が加わる。中国の空母運用には数年を要するとみられていることもあり、バンロイ氏は「米国優位の状況は中長期的にも変わらない」と話す。
 
米中のせめぎ合いは「東南アジアの戦略的な重要性を高めている。そこにはASEANを分裂させる潜在性もある」
と指摘するのは、東西センター(米ハワイ)の客員研究員、ブロンソン・パーシバル氏だ。有識者の一部には、ASEANは中国との経済関係、米国との安全保障関係の二者択一を迫られている-という論調が見受けられる。
 
中国はいっそうの分断工作をASEANに仕掛けてくる
との見方が強い。デラサール大学(フィリピン)のレナト・カストロ教授は(1)対中「強硬派」のフィリピン、ベトナムと、「穏健派」のブルネイ、マレーシアという南シナ海の領有権を争う当事国間の分断(2)当事国と、ラオス、カンボジアなど非当事国の分断-を強めてくるとみている。
 今年のASEAN議長国は「中国寄り」といわれるカンボジアであることから、「南シナ海問題では、米国や日本とASEANとの連携強化も難しくなる」(東南アジア外交筋)ことが予想される。
 東南アジア研究所(シンガポール)のトビアス・レティグ准教授は「中国共産党総書記の今年の交代がASEANにどう影響するのか、注目する必要がある」と指摘する。


 中国や北朝鮮の国防戦略で、日米への戦術の第一ステップは日米の分断です。
 海や川を境に敵対し陣を構築するとき、対岸に陣を張る場合と、自岸に構築する場合があります。太平洋をはさんで、対岸の日本や台湾に陣を張っているのが米国の戦術ですね。
 アジアでの筆頭の国力を持つ日本と、世界に冠たる米国の同盟を分断することが、中国にとっても北朝鮮にとっても、重要な戦術となりますし、多国間の戦いでは当然の戦術と言えます。
 
 鳩が引き起こした日米同盟の亀裂は、中国にとっては笑いが止まらない"棚ボタ"だったことでしょう。

 ベトナムが主導して始まった、他国が連携しての中国の覇権への対抗戦術が、ASEAN内でもまとまったり揺らいだりし、ASEAN + 米国の形を産み、更に米国のアジアシフトも誘発し、米国が主導する中国包囲網へと発展しました。
 この間でも中国は二国間交渉を主張し、ASEAN各国の分断を進めていて、各国が揺さぶりにあい揺れ動いてきました。ベトナムやフィリピン、インドネシアでさえも、中国との経済交流の餌は追い求めています。

 米国の中国包囲網攻勢の強まりに対し一時たじろいだ中国も、様々な対抗手段を繰り出してくることが想定されますが、正攻法の連合軍の分断作戦を一段と強化する戦術は、一定の効果をあげる可能性は見込まれます。
 対中「強硬派」と「穏健派」の分断。領有権を争う当事国間の分断。当事国と非当事国の分断。と、分断の目は多岐に存在するのです。

 しかしながら、ASEANの各国もしたたかです。記事で「中国との経済関係、米国との安全保障関係の二者択一を迫られている」との説が引用されていますが、その両立を目指すのが外交手腕であり、ミヤンマーの参戦も含め各国は分断されそうになったり、連合を取り戻したりしながら国益を増やすべく、しぶとく戦っていくと考えます。

 日本も米国も、ASEAN各国の動きに一喜一憂せず、じっくりと連携をふかめていくべきでしょう。
 目の前の利益を追求しても、中国の属国への道を進み最後は陥落してしまうことは避けたいと、どの国も意識はしているはずです。
 とはいえ、中国の分断作戦に揺れ動くことは事実で、今後も各国の動きには注目が必要ですね。





  この花の名前はもリンドウ  撮影場所=六甲高山植物園

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