毎日がしあわせ日和

ほんとうの自分に戻れば戻るほど 毎日がしあわせ日和

久々の映画 「インセプション」 は ことさら味わい深かった

2018年03月07日 15時16分06秒 | 大好きな本・映画・ほか


映画 「インセプション」 の内容に触れる記事となっています。

もう何度もテレビ放映されている作品に必要かどうかはわかりませんが、いちおう 「ネタバレ注意」 とさせていただきますね。













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おととい久々にBSで 映画 「インセプション」 を観たのですが、これまでスルーしていたあるシーンにハッとしました。

アリアドネがコブの潜在意識内で 「設計士」 としての手ほどきを受ける場面での 合わせ鏡のシーンです。

夢にあれこれ手を加え過ぎたアリアドネは 潜在意識に “異物” としてカンづかれ、通行人の注目を浴びたり 敵意のこもった表情でぶつかってこられたり。

アリアドネとコブ以外の人物は 意識の主コブの投影だから 構うなと言ってくれと要請するも、「潜在意識はコントロールできない」 とあっさり退けられ、そこで彼女がやおら通りに出現させたのは、大きな扉のような二枚の鏡。

この二枚を コブと自分を挟んで向かい合わせにし、二人の無数の像がずらりと並ぶ鏡の通路に立ち、一枚に軽く触れてこなごなにすると 鏡は消え失せ、その先に伸びる大通りには もはや二人を氣にかける人はいません。

初見から印象的なシーンで なにか心理的操作みたいなことかな? と思ってはいたのですが、今回あっと思いましたよ。

貴秋的解釈で言えば、真我とマインドの合わせ鏡に挟むことで 引っかかりやわだかまりが消えたっていうことじゃないですか。




クリストファー ・ ノーラン監督、レオナルド ・ ディカプリオ主演の映画 「インセプション」 、過去にこちらこちらで書かせてもらっているとおり もうどれだけ観たかわからない作品で、内的に大きな影響を受けていますが、今回は コブが 「犯罪容疑者として追われる身から 子どもたちの待つ家に無事帰り着く」 という一連のプロセスが とりわけ目につきました。

自身の失敗がもとで 愛する妻モルを失ったコブ。

その罪悪感は 潜在意識内のモルの姿に投影され、彼女の妨害という形で 他者の意識へ潜入する仕事に支障をきたすようになります。

この 「罪悪感が自らの足を引っ張る」 構図が、今回ことさらリアルに感じられました。

罪悪感や劣等感がセルフイメージを低下させ、そんな自分にそぐわないと感じる成功や幸せや平穏を 無意識のうちに片っ端からぶち壊すからくりを、自身の中にまざまざと見せつけられたためでしょう。

そんなコブの救世主が、アリアドネ。

ギリシャ神話で英雄テセウスを迷宮から脱出させる手助けをした王女と同名のこのアリアドネ、まさにコブの意識の迷宮脱出の大きな助けとなります。

コブの恩師であり義父でもあるマイルス教授の 「学生時代のコブより優秀」 との評価に違わず 合わせ鏡を使い 向けられた疑念や敵意をあっさりクリアした手腕もさもありなん、彼女が強引にコブの心の奥底に踏み込んで 彼の陥った状況を客観的に把握し手助けしたからこそ、彼はモルと向き合い 罪悪感に決着をつけた上で、虚無に落ちたサイトーを連れ戻し 無事作戦を成功させることができたのです。




「インセプション」 はもちろんフィクションですが、現実世界の私たちそれぞれの中にも モルとアリアドネがいるんだと思います。

モルは 幼いころのつらい体験から潜在意識に植え付けられた (インセプションされた) 否定的な思考や記憶や感情。

これがマインドに働きかけると、マインドはとめどなく空回りして 負の物語を再生し続けることで 私たちの人生を縛ります。

いい悪いではなく、モルは コントラストの世界で 「本来の自分ではない性質を体験したい」 という私たちの魂の望みをつかさどる存在なのでしょう。

一方で、当初はモルより影が薄いけれど、望みどおり負を体験し尽くしたら 脱出の導き手となってくれるアリアドネも ちゃんと私たちの中に待機しているのですね。

熱さず激さず物静かだけれど、こちらが投げやりになろうが絶望しようが逆上しようが いささかもペースを乱されることなく淡々と働きかけ、最終的にはきっちり目的を達する頼もしい存在です。

貴秋が “在る” を認識するまでの道のりを思い返すと、随所にそんなアリアドネのサポートを感じずにはいられません。




意識操作の達人でありながら (いや あるゆえに かな?) 罪の意識で自身をがんじがらめにして 窮地に陥れ続けてきたコブが、子どもたちへの愛情をバネに サイトーの差し出したチャンスを “信じて跳び” 、アリアドネの助けと仲間の協力を得てモルと決別し、新たな人生を歩み出す。。。。そんなふうに見えた今回の 「インセプション」 、これまで以上に味わい深かったです (^^)