きのうの記事で 「美しき緑の星」 についての動画を二つご紹介しましたが、その流れで見つけたこちら。
とりわけ好きなシーンのひとつです (^^)
ご存知ない方のために説明しますと、主人公ミラの二人の息子があとから地球にやってくるんですね。
が 空港でトラブルを起こしてしまい、わが子を救うためミラがやたらと放った “切断” に 4人の男性が巻き込まれてしまいます。
ミラの切断第一号で 以来地球滞在中の世話役兼庇護者のようになったマックスが、あきらかに様子のおかしいこの4人があるオーケストラの団員で その晩オペラ座で公演があることを聞き出し、二人で様子を見に来てみると。。。。。という場面なのですが、誰と誰がその4人かは すぐにおわかりいただけると思います (笑)
客席のミラは 事態の収拾を図って今度は “接続” しようとしますが どうやら失敗、指揮者 ・ ソリストから他の団員までがおかしなことに ( ̄∇ ̄;)
もう一度やってみるがうまくいく保証はないと言うミラを押し留め 「様子を見よう」 と言うマックスですが。。。。
少し前に書いた演奏家の 「職人魂」 とはこういうものかとつくづく思いましたよ。
求められればどんなふうにでも弾いてみせる、と。
切断されておかしくなってるのに そろいもそろってあの演奏。
ソリストは目が据わったような表情ながらも超絶テクニックを披露するし、指揮者は楽しげに踊りまわりながらもちゃんと指揮してるし、しまいにはオーケストラメンバー全員が踊り出しながらも演奏は見事に息合ってるし。
ここでの役者さんたちも本職の演奏家さんじゃないかと思うんですが、そうだとしたらみなさんなんて芸達者なんでしょうね。
で、このとき “切断” されたのはいったいなんだったんだのか。
あっさり言ってしまえば 「ほんとうの自分でないもの」 ということになるのでしょうが、中でもこのステージに反映されたものはというと、演奏中に例の4人がラップ口調で言っていたセリフにヒントがありそうです。
“音楽理論は大嫌い
音楽は理屈じゃない
音楽するのに必要なもの、それは爆発するエネルギーだ!”
「音楽は理屈じゃない」、たしかにそうなんですが、しかしプロとして活躍し続けていくためには 音楽上のものもそうでないものも含めてさまざまな理屈や制約を呑まざるを得ないのが現状だと思うんですよ。
クラシック演奏家を名乗るからには 人の作った曲を勝手に変えたりアドリブ入れたりなんてできない (作曲家が 「ここは自由に演奏してOK」 と指定しているところは別ですが) し、なによりも演奏を聴きにくる人たちを満足させなければならない。
お金を払ってくれる人に見放されたら どれほど音楽を愛していようと優れた腕を持っていようと演奏家としてやっていけなくなるのが、今のこの世界の社会的経済的システムなのですから。
ずっと大好きな演奏を続けながら生きてゆきたいと強く望めば望むほど、おのれの心を大なり小なり制約の枠の中に押し込めざるを得ないのが、演奏家というもの。
その制約の枠をぽんと外されたことが、あの自由奔放なステージを生んだと思うのです。
あのなんでもありの演奏の なんと生き生きして楽しそうだったことよ、まさに爆発したエネルギーのほとばしり。
そもそも 「音を楽しむ」 から 「音楽」 なんですものね。
最初は唖然呆然だった聴衆も、しまいにはけっこう楽しそうに聴いてたし。
身内に演奏家がいるおかげで 音楽界の裏事情を漏れ聞くなんてこともたまにあるわけですが、音楽を愛する人なら誰でも あんなふうにのびのび自由に音楽に携わりながら生きていける世界になることを願ってやみません。
おしまいに、映画ではなくこの実在世界での超楽しいクラシック動画をご紹介させていただきます。
グスターボ ・ ドゥダメル指揮 シモン ・ ボリバル ・ ユース ・ オーケストラ ~ バーンスタイン 「ウェストサイドストーリー」 から 「マンボ」
この 「マンボ」 って もともと陽氣な曲ですが、それがさらにこのノリで、指揮者もオーケストラも聴衆までひっくるめて会場丸ごと切断されたんじゃないかと思うほど楽しい動画、元氣をもらいたいときによく見ます♪
指揮者のグスターボ ・ ドゥダメルさんは 南米ベネズエラ出身ということもあってかとても開放的な印象で笑顔の素敵な方、この動画を見ただけですっかり魅了されました。
毎年テレビで見ているウィーンフィル ・ ニューイヤーコンサートで 昨年指揮者を務められたときは、飛び上がるほどうれしかったです (*^ー^*)