★★★★ 2021年/日本 監督/劇団ひとり
芸に人生を賭けた師弟の物語が実に抑制的に描かれていて驚いた。カットバックを用いた時制の行き来やラストの長回しなど、映画的演出も上品でスムーズ。時代を掴む者と取り残される者という普遍的物語とあのビートたけしの売れない時代という個の物語としての魅力が見事に両立する秀作。
とにかく柳楽優弥がすばらしい。モノマネ感が前傾に来ると、とてもじゃないけど見れなかったと思う。シャイだけど内には秘めるものがあって、毒もあるひとりの芸人としての実在感。クランクイン前に真似るのは一旦やめようと提言した劇団ひとりの判断は正しい。