太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

実在しない番地

2020-04-09 10:50:47 | 日記
実家の住所の番地の話である。
実家は、戦後、祖父母が住み始めてからずっと、〇〇町1-1(仮)だ。
10年前、姉家族が同居することになり、二世帯住宅に建て替えた。
表札には、ふたつの名字が彫られ、番地がひとつ増えた。
両親は1-1で、姉家族は1-2、になったのだ。
同じ建物なのに?とは思ったが、二世帯が住むとそういうこともあるのだろうと
誰も深く考えず、1-1と1-2で使い分けてきた。

ところが、昨年12月に父が他界し、
姉が母の代理でその後の処理に駆け回っていたところ、
〇〇町1-1という、もともとの番地が、実はもう存在していなかったことが判明した、というのだ。

「えーー!いつから?」
という私に姉が言う。
「家を建て替えたときに、番地が1-2になったらしいんだよ」
「お父さんもお母さんも知らなかったってこと?」
「でも市から、番地を印刷した金属の札が郵送されてきたはずなんだって」
表札と一緒に掲げる、あれか。
「その札、どうしたのさ?」
「だからぁ、たぶんお父さんが、ナンだこれ?とか言って、ポイしたんじゃないかなあ」
あの父なら、ありうる・・・・・

10年間、実在しない番地に手紙を書き、その番地で運転免許の書き換えだってしてきた。
そのうえ、昨年12月に帰国したときに、必要があって住民票をとったのだが、
ちゃんとその実在しない番地の住民票がとれた。
それを姉に言うと、
「自分の住民票をとるようなことは、案外簡単らしいんだよね。
私だって、今回、お母さんの代理でいろんな手続きをするにあたって、初めてわかったんだから」
そんなものなのか。

なんでこんなことになったのか、今ではもう誰にもわからない。
母がもう少しシャープだったら、いろいろ聞きだすこともできただろうけど。
「だから、アンタも免許証とかいろいろ、住所を変えたほうがいいよ」
「それはそうだけど、日本に行ったときに少しずつやるしかないじゃん。めんどくさいなあ、なにからどうすればいいのさ」
「正直に説明するしかないんだよ。どこに行っても、みんな同情してくれるよ」

まるで狐につままれたような話である。