太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

ぎすぎすをまあるく包む

2020-04-13 12:12:56 | 日記
今年ほど影の薄いイースターもないだろう。
エッグハントもなし。
教会に行く人たちも、今年はどうしただろうか。
店の売り場に、買う人のいないイースター関連のウサギのチョコレートやぬいぐるみ、
エッグハント用のバスケットが、寒々しささえたたえて陳列されている。

8日ぶりの外出。
カイルアのファーマーズマーケットと、隣のホールフーズ、さらに隣のドラッグストアに行った。
ファーマーズマーケットは一時は中止になっていたのだが、先週から一部のベンダーのみ開店できるようになった。
普段は、たくさんの店が隙間なく並び、美味しそうなワッフルやチーズの香りが漂い、
生演奏もあって、たくさんの人たちが集まり、日曜の朝を楽しむ。

それがなんとも寂しいマーケット

コーンが置いてあるのは、この間隔で並んで、買い物をする順番が来るのを待つため。
一人が買い物を終えると、一人が入る。
人が待っているかと思うと、あれこれ見ないで、そそくさと買い物をする。

ドラッグストアも、また並ぶ

1度に店内に入れる人数が決まっているから、誰かが出るまで気長に待つ。
ホールフーズは、マイバッグの持ち込みが禁止になっていた。
先週は、確か持って入れたはず。
マイバッグが汚染されているかもしれない、ということらしいけれど
それを知らずにマイバッグを出した私に、レジ係が
「ちょっとちょっと!マイバッグはもう使えなくなったのよ。今度から車に置いてきて」
と怖い顔で言う。
レジの横の壁沿いに、大量の空き段ボール箱がうずたかく積み上げられており、
必要な人はそれに入れて持ち帰る。

(その段ボール箱が汚染されていないって証拠はあンのか?
ウィルスを店に持ち込まないでほしいというなら、
こっちだってウィルスを家に持ち帰りたくなんかないわさ)

きつい言い方をされた反動で、ついつい反抗心がもたげてくる。
段ボールは使わずに、手で提げて、外に出てからマイバッグに入れたけど。

なんだか、ぎすぎすしてしまって嫌だなあ。
スーパーマーケットでこうなのだから、医療現場では推して知るべし。
このパンデミックで、仕事を失ってしまった多くの人たちは、
働く人たちに対して、仕事がないよりずっといいだろう、と思って見ている。
どちらも、ぎりぎりのところで懸命にやっているのだ。


ブルーな気持ちでいたら、メールが来た。
彼女は昨年、私に作品をオーダーしてくれたことがきっかけで、連絡をとりあっている日本人。
コロナウィルス騒ぎから、彼女とは連絡をとっていなかった。
彼女も観光客相手の仕事をしているので、私とほぼ同じ時期から自宅待機をしていて、
医療関係で働く友人のために、ボランティアで毎日マスクを手作りしているそうだ。

『シロさんのところは、マスクはじゅうぶんにありますか?
もし足りないようだったら、すぐに郵送しますよ。あまり上手ではないけど』

メールの文字が、にじんで見えた。
人のやさしさが、身にしみる。

少し前、トイレットペーパーがないんだという話を、気軽に日本の友人にメールをしたら、
「トイレットペーパーを送ろうか?」と言う。
もちろん気持ちだけいただいたけれど、友人は本当に送ってくれるつもりでいたはずで、
そのことがほんとうにありがたく、心に水分が満ちてプルプルになった。




ぎすぎすしていることに文句を垂れていたけれど、
ぎすぎすをまあるく包むだけのやさしさと余裕が、私にはなかったということだ。

自然だけが、元気いっぱい

私は人に教えられてばかりだ。
ぎすぎすをまあるく包むエキス(?)を、私の中心からひねりだそう。
私にだって、きっとあるはず。