『国盗人』
シェイクスピアの傑作『リチャード三世』を狂言に翻案化した時代劇。
野村萬斎でシェイクスピアといえば世間的には『ハムレット』だと思うんだけどぐりはこの舞台は観てなくて、『間違いの喜劇』をやはり狂言で表現したコメディ『まちがいの狂言』は観ている。
シェイクスピアといえば古典だし、悲恋やら歴史的悲劇やら重めなテーマが多いようなイメージがあるけど、作品そのものには喜劇的な要素も大きい。シェイクスピアが活躍したエリザベス朝時代には彼の舞台は完全な大衆演劇だったわけで、日本の歌舞伎と同じく、一般庶民が家族連れで楽しむごく気楽な娯楽だった。芸術性やら文学性はともかく、笑えてなんぼである。笑えただけじゃなくて芸術的に文学的に優れていたから結果的に古典になったけど、それはもともとは観客を楽しませるためにつくられた演劇の余得みたいなものともいえるかもしれない。
『国盗人』の主人公は15世紀に実在したイングランド王リチャード3世がモデル。薔薇戦争末期、血で血を洗う政権争いを戦ったヨーク朝最後の王で、実際にシェイクスピアが描いたほどの極悪人かどうかはわかっていないが、『国盗人』の主人公・悪三郎はもうもう滑稽なほどの超ウルトラ極悪人である。目的のためなら肉親だろうが誰だろうが相手構わず欺いては殺しまくる。
でもその動機がすんごい矮小なの。醜くて誰も愛してくれないからだってさ。笑えるよ。アホかい。
最後の最後にはその動機─愛の不在─がしっかりと主人公の運命のもとへめぐってくる。因果応報である。
シェイクスピア劇は先述の通り基本は喜劇なので狂言に置き換えるのには実に向いていて、この『国盗人』もシリアスでありつつしっかりとシャレありギャグあり歌あり踊りありのコメディにもなっている。おもしろかったです。とっても。ものすごーく、萬斎さんらしい舞台でした。
コシノジュンコの衣装もかっこよかったし、ヘアメイクもよかった。
『まちがいの狂言』のときも萬斎さんひとり二役ででずっぱりだったけど、『国盗人』も出てないシーンは皆無に近いくらいでずっぱり。みてる方が疲れて来そうなくらいの大活躍。つくづくこの人スゴイです。そんなん常識ですけど、改めてみるとそのスゴさにまた畏れいる。白石加代子のひとり四役も技術的にはすばらしいとは思いますが。
立ち見も出ていてカーテンコールはスタンディングオべーション。人気のプログラムなのだねー。
ぐりはいつなんでこの舞台を観よーと思ったのか、動機をすっかり忘れてしまった(爆)。けど観れてよかったです。ハイ。
シェイクスピアの傑作『リチャード三世』を狂言に翻案化した時代劇。
野村萬斎でシェイクスピアといえば世間的には『ハムレット』だと思うんだけどぐりはこの舞台は観てなくて、『間違いの喜劇』をやはり狂言で表現したコメディ『まちがいの狂言』は観ている。
シェイクスピアといえば古典だし、悲恋やら歴史的悲劇やら重めなテーマが多いようなイメージがあるけど、作品そのものには喜劇的な要素も大きい。シェイクスピアが活躍したエリザベス朝時代には彼の舞台は完全な大衆演劇だったわけで、日本の歌舞伎と同じく、一般庶民が家族連れで楽しむごく気楽な娯楽だった。芸術性やら文学性はともかく、笑えてなんぼである。笑えただけじゃなくて芸術的に文学的に優れていたから結果的に古典になったけど、それはもともとは観客を楽しませるためにつくられた演劇の余得みたいなものともいえるかもしれない。
『国盗人』の主人公は15世紀に実在したイングランド王リチャード3世がモデル。薔薇戦争末期、血で血を洗う政権争いを戦ったヨーク朝最後の王で、実際にシェイクスピアが描いたほどの極悪人かどうかはわかっていないが、『国盗人』の主人公・悪三郎はもうもう滑稽なほどの超ウルトラ極悪人である。目的のためなら肉親だろうが誰だろうが相手構わず欺いては殺しまくる。
でもその動機がすんごい矮小なの。醜くて誰も愛してくれないからだってさ。笑えるよ。アホかい。
最後の最後にはその動機─愛の不在─がしっかりと主人公の運命のもとへめぐってくる。因果応報である。
シェイクスピア劇は先述の通り基本は喜劇なので狂言に置き換えるのには実に向いていて、この『国盗人』もシリアスでありつつしっかりとシャレありギャグあり歌あり踊りありのコメディにもなっている。おもしろかったです。とっても。ものすごーく、萬斎さんらしい舞台でした。
コシノジュンコの衣装もかっこよかったし、ヘアメイクもよかった。
『まちがいの狂言』のときも萬斎さんひとり二役ででずっぱりだったけど、『国盗人』も出てないシーンは皆無に近いくらいでずっぱり。みてる方が疲れて来そうなくらいの大活躍。つくづくこの人スゴイです。そんなん常識ですけど、改めてみるとそのスゴさにまた畏れいる。白石加代子のひとり四役も技術的にはすばらしいとは思いますが。
立ち見も出ていてカーテンコールはスタンディングオべーション。人気のプログラムなのだねー。
ぐりはいつなんでこの舞台を観よーと思ったのか、動機をすっかり忘れてしまった(爆)。けど観れてよかったです。ハイ。