『エイズ感染爆発とSAFE SEXについて話します』 本田美和子著
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ここでは何度かHIV/エイズについてのネタを書いてますが、実をいうとまとまった資料となる専門書はこれまできちんと読んだことがない。
というか、一般読者向けのHIV/エイズの専門書というのは、日本では近年ほとんど刊行されていないのだ。出ていても海外の翻訳書だったり薬害エイズについての本だったりして、日本に住んでいるごく一般の日本人が、自分の問題として読むべき本はとても少ない。
この本は去年の東京国際レズビアン&ゲイ映画祭の会場で販売されていて、いつか読もうと思って放置していたのを今年の映画祭で思いだしてやっと読んだ。1年越し。遅過ぎ。
これはもう、とりあえず日本全国の高校の図書館に一校につき一冊ずつ常備して、夏休みの課題に指定すべき本です。大学では学生全員に読ませてレポートを書かせるべし。
著者は東京でHIV/エイズの専門病院に勤務する女性内科医で、メインとなる前半の座談会では4人の一般女性とHIV/エイズについて詳しく語りあい、後半のインタビューでは実際に彼女が担当している若い女性患者に感染者としての生活について訊いている。
だから基本は「ごくふつうの日本の女性」向けの本になっています。だからものすごく読みやすい。やさしい。わかりやすい。
HIVはどんなウィルスで、どんなことをすれば感染するのか、感染したらどうなるのか、検査するにはどうすればよいか、もし陽性だったらどうすべきか、どんな治療があるのか、お金がどれだけかかって、生活はどうなるのか、そんなごく日常的なレベルの話が、疑問も含めて微にいり細にわたってこまかく書かれている。
この本にも出てくる「カレシの元カノの元カレを、知っていますか。」という公共広告機構によるエイズ検査促進キャンペーンのコピーだが、現実に毎日患者と向きあっている医師にとってはいい広告なのだそうだが、ぐりはあのぼんやりしたデザインのせいもあってさほどリアリティを感じなかった。
だが、最近になってこのコピーを思いだした出来事があった。
何度か触れたドラマ『Queer as Folk』の一場面を観ていたときだった。
主人公たちがベッドで戯れながら、以下のような会話を交わす。少し長いが引用する。
Justin:We're lucky.
Brian:What ? Living in this land of plenty ?
Justin:Mmm...
Brian:Roll over.
Justin:No... Every time Michael and Ben have sex, think about what they have to deal with.
Brian:It's Michael's choice.
--omission--
Justin:No matter how long they are together, even if it's forever, they can never do it raw.
Brian:Uhmm... neither have we.
Justin:But we could, if we wanted. I mean, we're both negative.
Brian:Do you want me to fuck you bareback ?
Justin:Yes...
Brian:Come inside your tight little ass ?
Justin:Do it... Fuck me...
Brian:Fuck yourself.
Justin:What ?
Brian:You stupid little twat. Never let anyone fuck you without condoms.
Justin:You're not just anyone.
Brian:Yeah, I'm sure that's what Ben thought about the guy who infected him. Put it on me. I want you safe. I want you around for a long time...
ジャスティン:オレらラッキーだね。
ブライアン:何が? この豊かな地に生きてることがか?
ジャスティン:うーん。
ブライアン:うつぶせになれよ。
ジャスティン:ヤダ。マイケルとベンはするときいつも考えなきゃいけないことがあるんだよ。
ブライアン:マイケルの問題だろ。
--中略--
ジャスティン:どんだけ長く、一生つきあってても、絶対ゴムなしでやれないんだよ。
ブライアン:うーん。オレらもやってねえ。
ジャスティン:でもやりたきゃやれるじゃん。どっちもネガティブじゃん。
ブライアン:ナマでやりたいのか?
ジャスティン:うん…
ブライアン:中に出してほしいか?
ジャスティン:やって… して…
ブライアン:勝手にしろ。
ジャスティン:は?
ブライアン:おまえはアホか。誰ともゴムなしでやるんじゃねーぞ。
ジャスティン:あんたはそのへんの誰かじゃねえ。
ブライアン:ああ、ベンも相手のことをそう思ってたろう。(コンドームを渡し)つけろ。おまえには安全でいてほしい。長生きしてほしい…
(ぐり訳:意訳 ちなみに動画はココにありますが、全裸の男×2がでてくるのでそーゆーのが苦手な人はクリックしちゃダメですよ)
番組を観ていない人のために説明すると、ブライアンとジャスティンは恋人同士、マイケルはブライアンの親友でベンというボーイフレンドと交際を始めたばかり。ベンはHIVに感染している。
ブライアンとジャスティンはそれぞれ遊びで他の相手ともセックスするが、常に必ずコンドームをつけている。
この会話で重要なのは最後の「あんたはそのへんの誰かじゃねえ」「ああ、ベンも相手のことをそう思ってただろう」というやりとり。ふたりは互いに相手を信じあい、大切に思っているが、ほんとうに愛する相手を守るためにはそれだけでは足りないという事実を的確に示す会話である。
ほんとうに愛する相手を守り、かつ自分も守るために、コンドームは絶対に必要なのだ。そしてそれこそが、真の愛なのだ。
この本では、HIVがいかに身近で、誰もが感染する恐れのあるウィルスであるかがはっきりと書かれている。
どんなにパートナーを愛し信じていても、そのパートナーの前の相手までは信じることはできないし、その前の相手の昔のパートナーとなれば完全に他人である。そのうちの誰かが過去に東南アジアの売春窟で遊んでたり、ドラッグの回しうちをしていても、ぐりにも、あなたにも、そんなことはまったくわからない。だって赤の他人だから。
本田医師の担当患者のなかには、あとにも先にも性行為は一度しかしていないという人や、感染しているのに風俗でナマでやりまくっているという人もいるし、ゲイであることを妻に隠して二重生活をしていて感染したという既婚者もいる。
そんな感染者が、日本には現在1万2千人いる。これは国が把握している感染者数で、実際にはこの3倍以上は確実にいるとみられている。つまり推計3万6千人以上ということになる。
さあ、これでも「わたしは/オレは関係ない」といいきれますか。
それと、最近はよい治療薬ができてHIVに感染しても発病を遅らせ、症状を抑える治療が可能になったことはよく知られてるけど、現在でもエイズで死ぬ人は皆無ではないこともしっかり書いてある。
かんたんにいえば、クスリでの治療が有効なのは、感染していてもまだ発症していない段階までだ。発症したことで感染が発覚した場合は、残念ながら望みはかなり乏しくなる。そうなってしまうと、クスリでの治療でも効果は期待できない。さまざまな感染症にかかり、苦しんで亡くなるという運命から逃れるのは難しい。
だからこそ、性経験のある大人ならみんな検査を受けるべきだし、誰とする時も常にコンドームを使用するべきなのだ。感染していても自分でそのことを知らない人が日本だけで2万人以上いるのだから。
とはいえ、実はぐりはまだ検査を受けたことはない。今まで必要性を感じたことがなかったから。
でも、この本を読んだら、やっぱり検査するべきだなと思ったです。
大人のエチケットとして、常識として、そういう意識を持つという、スタイルが大事なんだなと、思いましたです。
HIV/エイズに関する最近のニュースと情報リンク。
インドの女性、性行動で夫を信用すべきでない=担当相
厳しいご意見ですが事実です。世の男性は心してもらいたいです。
HIV急増、とくに30―40代で深刻
先月の記事ですが。
エイズ検査・症状・HIV感染
かなりストレートな情報が簡潔にまとめられたサイト。
HIV検査・相談マップ:エイズ検査・性感染症検査の情報検索ページ
いつどこで検査をすればいいのかすぐわかるマップ。
HIV/AIDS先端医療開発センター
大阪のHIV/エイズの専門病院。わかりやすく情報をあつめたサイト。
日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス
治療や福祉、人権や生活環境の保護など主に社会的側面から感染者を支える団体
Living Together計画
HIVと共存して暮すためのイベントなどを企画している団体
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ここでは何度かHIV/エイズについてのネタを書いてますが、実をいうとまとまった資料となる専門書はこれまできちんと読んだことがない。
というか、一般読者向けのHIV/エイズの専門書というのは、日本では近年ほとんど刊行されていないのだ。出ていても海外の翻訳書だったり薬害エイズについての本だったりして、日本に住んでいるごく一般の日本人が、自分の問題として読むべき本はとても少ない。
この本は去年の東京国際レズビアン&ゲイ映画祭の会場で販売されていて、いつか読もうと思って放置していたのを今年の映画祭で思いだしてやっと読んだ。1年越し。遅過ぎ。
これはもう、とりあえず日本全国の高校の図書館に一校につき一冊ずつ常備して、夏休みの課題に指定すべき本です。大学では学生全員に読ませてレポートを書かせるべし。
著者は東京でHIV/エイズの専門病院に勤務する女性内科医で、メインとなる前半の座談会では4人の一般女性とHIV/エイズについて詳しく語りあい、後半のインタビューでは実際に彼女が担当している若い女性患者に感染者としての生活について訊いている。
だから基本は「ごくふつうの日本の女性」向けの本になっています。だからものすごく読みやすい。やさしい。わかりやすい。
HIVはどんなウィルスで、どんなことをすれば感染するのか、感染したらどうなるのか、検査するにはどうすればよいか、もし陽性だったらどうすべきか、どんな治療があるのか、お金がどれだけかかって、生活はどうなるのか、そんなごく日常的なレベルの話が、疑問も含めて微にいり細にわたってこまかく書かれている。
この本にも出てくる「カレシの元カノの元カレを、知っていますか。」という公共広告機構によるエイズ検査促進キャンペーンのコピーだが、現実に毎日患者と向きあっている医師にとってはいい広告なのだそうだが、ぐりはあのぼんやりしたデザインのせいもあってさほどリアリティを感じなかった。
だが、最近になってこのコピーを思いだした出来事があった。
何度か触れたドラマ『Queer as Folk』の一場面を観ていたときだった。
主人公たちがベッドで戯れながら、以下のような会話を交わす。少し長いが引用する。
Justin:We're lucky.
Brian:What ? Living in this land of plenty ?
Justin:Mmm...
Brian:Roll over.
Justin:No... Every time Michael and Ben have sex, think about what they have to deal with.
Brian:It's Michael's choice.
--omission--
Justin:No matter how long they are together, even if it's forever, they can never do it raw.
Brian:Uhmm... neither have we.
Justin:But we could, if we wanted. I mean, we're both negative.
Brian:Do you want me to fuck you bareback ?
Justin:Yes...
Brian:Come inside your tight little ass ?
Justin:Do it... Fuck me...
Brian:Fuck yourself.
Justin:What ?
Brian:You stupid little twat. Never let anyone fuck you without condoms.
Justin:You're not just anyone.
Brian:Yeah, I'm sure that's what Ben thought about the guy who infected him. Put it on me. I want you safe. I want you around for a long time...
ジャスティン:オレらラッキーだね。
ブライアン:何が? この豊かな地に生きてることがか?
ジャスティン:うーん。
ブライアン:うつぶせになれよ。
ジャスティン:ヤダ。マイケルとベンはするときいつも考えなきゃいけないことがあるんだよ。
ブライアン:マイケルの問題だろ。
--中略--
ジャスティン:どんだけ長く、一生つきあってても、絶対ゴムなしでやれないんだよ。
ブライアン:うーん。オレらもやってねえ。
ジャスティン:でもやりたきゃやれるじゃん。どっちもネガティブじゃん。
ブライアン:ナマでやりたいのか?
ジャスティン:うん…
ブライアン:中に出してほしいか?
ジャスティン:やって… して…
ブライアン:勝手にしろ。
ジャスティン:は?
ブライアン:おまえはアホか。誰ともゴムなしでやるんじゃねーぞ。
ジャスティン:あんたはそのへんの誰かじゃねえ。
ブライアン:ああ、ベンも相手のことをそう思ってたろう。(コンドームを渡し)つけろ。おまえには安全でいてほしい。長生きしてほしい…
(ぐり訳:意訳 ちなみに動画はココにありますが、全裸の男×2がでてくるのでそーゆーのが苦手な人はクリックしちゃダメですよ)
番組を観ていない人のために説明すると、ブライアンとジャスティンは恋人同士、マイケルはブライアンの親友でベンというボーイフレンドと交際を始めたばかり。ベンはHIVに感染している。
ブライアンとジャスティンはそれぞれ遊びで他の相手ともセックスするが、常に必ずコンドームをつけている。
この会話で重要なのは最後の「あんたはそのへんの誰かじゃねえ」「ああ、ベンも相手のことをそう思ってただろう」というやりとり。ふたりは互いに相手を信じあい、大切に思っているが、ほんとうに愛する相手を守るためにはそれだけでは足りないという事実を的確に示す会話である。
ほんとうに愛する相手を守り、かつ自分も守るために、コンドームは絶対に必要なのだ。そしてそれこそが、真の愛なのだ。
この本では、HIVがいかに身近で、誰もが感染する恐れのあるウィルスであるかがはっきりと書かれている。
どんなにパートナーを愛し信じていても、そのパートナーの前の相手までは信じることはできないし、その前の相手の昔のパートナーとなれば完全に他人である。そのうちの誰かが過去に東南アジアの売春窟で遊んでたり、ドラッグの回しうちをしていても、ぐりにも、あなたにも、そんなことはまったくわからない。だって赤の他人だから。
本田医師の担当患者のなかには、あとにも先にも性行為は一度しかしていないという人や、感染しているのに風俗でナマでやりまくっているという人もいるし、ゲイであることを妻に隠して二重生活をしていて感染したという既婚者もいる。
そんな感染者が、日本には現在1万2千人いる。これは国が把握している感染者数で、実際にはこの3倍以上は確実にいるとみられている。つまり推計3万6千人以上ということになる。
さあ、これでも「わたしは/オレは関係ない」といいきれますか。
それと、最近はよい治療薬ができてHIVに感染しても発病を遅らせ、症状を抑える治療が可能になったことはよく知られてるけど、現在でもエイズで死ぬ人は皆無ではないこともしっかり書いてある。
かんたんにいえば、クスリでの治療が有効なのは、感染していてもまだ発症していない段階までだ。発症したことで感染が発覚した場合は、残念ながら望みはかなり乏しくなる。そうなってしまうと、クスリでの治療でも効果は期待できない。さまざまな感染症にかかり、苦しんで亡くなるという運命から逃れるのは難しい。
だからこそ、性経験のある大人ならみんな検査を受けるべきだし、誰とする時も常にコンドームを使用するべきなのだ。感染していても自分でそのことを知らない人が日本だけで2万人以上いるのだから。
とはいえ、実はぐりはまだ検査を受けたことはない。今まで必要性を感じたことがなかったから。
でも、この本を読んだら、やっぱり検査するべきだなと思ったです。
大人のエチケットとして、常識として、そういう意識を持つという、スタイルが大事なんだなと、思いましたです。
HIV/エイズに関する最近のニュースと情報リンク。
インドの女性、性行動で夫を信用すべきでない=担当相
厳しいご意見ですが事実です。世の男性は心してもらいたいです。
HIV急増、とくに30―40代で深刻
先月の記事ですが。
エイズ検査・症状・HIV感染
かなりストレートな情報が簡潔にまとめられたサイト。
HIV検査・相談マップ:エイズ検査・性感染症検査の情報検索ページ
いつどこで検査をすればいいのかすぐわかるマップ。
HIV/AIDS先端医療開発センター
大阪のHIV/エイズの専門病院。わかりやすく情報をあつめたサイト。
日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス
治療や福祉、人権や生活環境の保護など主に社会的側面から感染者を支える団体
Living Together計画
HIVと共存して暮すためのイベントなどを企画している団体