大相撲春巡業の舞鶴場所での「女人禁制」問題が、国内、世界で大問題となっているにもかかわらず、次の6日の宝塚場所においても公益財団法人・日本相撲協会のその姿勢には何らの変化も見せなかった事が残念である。主権者である宝塚市民や国民の人権を無視し、侵害したという事を認識できないようである。国民とは異なる協会の意識、価値観に違和感を感じた。
中川宝塚市長は前日の5日、土俵上の挨拶について、企業などでつくる巡業の実行委員会を通じて日本相撲協会に「土俵上で挨拶したい」と要請したが、協会と実行委は「伝統に配慮して昨年同様に土俵下で挨拶してほしい」と断ったため、市長は土俵下の台上から挨拶をした。しかし、その内容は日本相撲協会に対する、穏やかな口調ではあるが公衆に直接訴えかけた厳しい抗議であり、その勇気は称賛に値し、その意義は大きい。
主権者国民の支持を得られない「大相撲」は「国技」という言葉に値しないし、「国技」という言葉を使うべきではない。それでもなお「女人禁制」を「伝統」として固執する事は、それは単なる「偏狭」な価値観に固執しているだけであるとしか言えないもので、日本相撲協会はマニアックな独善的組織に過ぎないという事であり、公益財団法人としての資格を有しているとはいえず、剥奪すべきである。
以下に、宝塚中川智子市長の挨拶を紹介しよう。
「私も小さい時から相撲が大好きで、いつも相撲を楽しみに見ていました。そして今、開催地の市長として、挨拶させて頂きます。私は女性市長ですけども人間です。当たり前の事です。実は開催地の男性市長さんは土俵の上に立って、挨拶します。私は土俵の外で、挨拶させて頂いています。でも皆さん、そして相撲協会の方に聞いて頂きたい。女性であるという理由で、この宝塚市の市長でありながら、土俵の上で挨拶できない、これは悔しいです。辛いです。私は考えてもらいたい。相撲協会は伝統を大事にし、国技である相撲をずっと守ってらっしゃいました。伝統は大事にすべきです。でも今、時代はどんどん変わり、女性の知事、市長も増えています。その時に女性は、絶対に土俵の上に上ってはいけないのでしょうか。いけないという意見もあるでしょう。でも、相撲協会の皆さん、そして皆さんに考えてもらいたい。伝統を守りながら、変えるべきものは変えていく。変革する勇気も大事ではないでしょうか。皆さん、思いっきり私の心のうちを聞いて頂いて感激です。来年も宝塚場所があると思います。その時はこの上から挨拶できるように、共に力を貸して下さい。」
※思考停止に陥るところに進歩発展はなく、堕落腐敗を深め独善に陥るだけである。
※望ましい伝統は基本的人権の尊重をうたう憲法を無視したものであってはいけない。