英国では、名誉革命(1688年)によって、スチュアート朝の祖ジェームズ1世国王が始めた、「王権神授説」に基づく絶対主義政治に終止符が打たれ、国民の「基本的人権」や「議会主義」の原則が確立され、英国「立憲政治」の基礎が築かれた。その内容は、逃亡の機会を与えられた当時の国王ジェームズ2世が去った後に迎えられたジャームズ2世の長女メアリーとその夫ウイリアム3世が共同で発布した「権利の章典」に象徴的に示されている。
※ジャームズ1世国王の説く「王権神授説」とは? 「国王はまさしく神とよばれてよい。何故ならば、国王は地上において神の権力にも似た権力を行使しているからである。……神は意のままに創造し破壊し、あるいは形成し破棄しる権力、生殺与奪の権力、すべてを裁き、なにものにも責任を負わない権力を持っている。それと同じような権力を国王は持っているのであり、国王は臣下を形成し廃棄し、取捨・生殺の権力を持ち、すべての臣下のあらゆる場合の裁き手であり、しかも神以外のなにものにも責任を負わない。神は何をなしうるかを論じるのが無神論であり冒瀆であるように、国王は何をなしうるかを論じたり、国王はこういう事はなしえないと言ったりする事は、臣下の僭越であり国王に対する侮辱である。」
「権利の章典」パロディ
「権利の章典」の正式名称は、「臣民の権利および自由を宣言し、王位継承を定める法律」(1689年12月16日制定)であり、その趣旨は、ジェームズ2世国王の不当な支配を攻撃し、国民の権利を守ろうとしたものである。『人権宣言集』田中英夫訳を基にそのパロディを以下に紹介したい。
「1 岸田自公政権は、行政権により、国会の承認なしに法律の効力を停止し、または法律の執行を停止しうる権限があると称しているが、そのような事は違法である。
2 岸田自公政権は、行政権により、法律を無視し、または法律の執行をしない権限があると称し、最近このような権限を僣取し行使したが、そのような事は違法である。
4 行政権に名を借り、国会の承認なしに、国会が認め、もしくは認むべき期間よりも長い期間、または国会が認め、または認むべき態様と異なった態様で、岸田自公政権の使用に供するために金銭を徴収する事は、違法である。
13 また一切の不平を救済するため、また法律を修正し、強化し、かつ保全するため、国会をしばしば開かねばならない。」
(2023年5月20日投稿)