関西電力の経営陣や阪急電鉄の経営陣も「傲慢」で「浅薄な思考判断」しかできず「質が悪」くなってしまったようだ。このような変化は企業経営者だけの事ではないけれど(安倍政権が象徴的である)。「商売」は「消費者」への「押し売り」では成り立たない。「押し売り」を続けるようならば「不買運動」を実施する事になる。「経営方針改善」がまず第一であろう。
14日、関西電力は、高浜原発3、4号機の運転差し止めに対して大津地裁の仮処分決定を不服として、「保全異議」と「運転差し止めの執行停止」を申し立てた。「2基の安全性は確保されており、住民の人格権が侵害される具体的な危険性はない」「具体的な安全対策について詳細に主張、立証しており裁判所は誤認している」と主張している。記者会見では「地裁決定は国の新規制基準を全面否定している。主張を客観的に検討、判断したとは考えられず不当だ」と批判した。
さらに、17日には、「関西経済連合会」の森詳介会長(関電会長)や角和夫副会長(阪急電鉄会長)らが仮処分決定を批判した。角副会長は「関経連」の記者会見で「憤りを超えて怒りを覚えます。なぜ一地裁の裁判官によって、(原発を活用する)国のエネルギー政策に支障をきたす事が起こるのか。こういう事ができないよう、速やかな法改正をのぞむ。再稼働で電気料金が値下げされると、鉄道事業の電気代が年5億円安くなるとみていた」と裁判官を批判するとともに法改正を訴えた。
森会長は「値下げができなくなった事が関西経済に与える影響は小さくないと考えており、一日も早く不当な決定を取り消していただかなければならない」と訴えた。
また、関電の八木社長は18日の記者会見で「上級審で逆転勝訴した場合、(申し立てた住民への)損害賠償請求は検討の対象になりうる。運転停止による損害は月100億円、住民への損害賠償請求について一般論として検討対象になりうると思っているが、今決めているわけではない」と発言した。
このような発言に対して当然の事として、住民側の弁護団と脱原発弁護団全国連絡会が連名で「抗議文」を送った。「八木社長の発言は申立人への恫喝で、断じて容認できない。全国の原発に、新たに運転差し止めの仮処分が申し立てられるのを牽制する目的としか考えられない」と撤回を求めた。
これに対して関電側はご丁寧にも談話を出した。「発言は『一般的に逆転勝訴した場合に初めて損害賠償請求の検討の対象となり得るものである』と説明したもので、損害賠償については現時点で何も決まっていない。今回の申立人を恫喝したり、牽制したりする目的で申し上げたものではない」と。しかし、住民側だけでなく第三者からみれば、このような関電側の「ご丁寧な談話」が、住民側からの「抗議内容」が的を射ている事を裏付けていると確信させた。
ここに登場する人物の発言に共通するのは、「原発の再稼働は関西経済発展に貢献する」という理屈である。そこには当然の事として関西電力や関連産業に莫大な利益を生む事が計算済みであり、端にそれだけを実現する事が彼らの使命であり責任であり正しい事であると確信している事を自ら明らかにしている。ここに経営陣の「傲慢さ」を見る事ができる。そして、その理屈は、国民が原発に対して問題視している事に故意に一切触れず、「電気料金が安くなる」(事実ではない)の一点だけを主張している事である。また、安倍政権が決めた事になぜ一裁判官が反対するのかと司法に対して非難し、裁判官が反対できないように(安倍政権に)法改正を希望しているとともに、仮処分申請をし「運転即時差し止め処分」を導いた住民側に向けては、前代未聞であるが、そのために蒙るとされる「損害」の「賠償請求」をするかのような主張をしているのである。
今回の事件に関わって登場した人物の「発言」は、「人権はそれを守ろうとする自らの闘いや努力によってこそ保障される」時代に突入した事を象徴するものである。
(2016年4月2日投稿)