原子力資料情報室の連続ウェブ講座の第7回(2021年10月5日)で講演した澤井正子(核燃料サイクル阻止1万人訴訟原告団)の講演要旨を以下に紹介します。再処理工場がいかに危険であるかを確認しよう。
「再処理工程で、使用済み核燃料を剪断する際に希ガスなどの気体放射能が大量に放出される。続いて高温の硝酸で溶解し、化学物質を用いてウラン、プルトニウム、核分裂生成物を分離する。ここで核分裂生成物を含む高レベル廃液が発生する。高レベル放射性廃棄物のガラス固化工程では不具合が相次ぎ、ガラス固化体が製造できなくなっている。核物質管理上の問題から、分離したプルトニウムは日本では核兵器への転用防止のため、同量のウランを加えたプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)の形で製品化する。再処理工程では、原発より何桁も多い放射性物質を排出する。液体廃棄物は海洋放出管で沖合3㌔の海底から放出、気体廃棄物は3本の排気塔から大気中に拡散させる。政府は住民の被爆線量を0.022Sv/年と評価しているが、その内訳は評価のたびに異なっている。海産物、農畜産物による内部被爆も懸念されるが、影響を過小評価している。付近の大陸棚外縁断層は学会で活断層であると認識されているが、政府は否定している。また、再処理工場は多くの建屋の集合体であり、それを地下トンネルでつないでおり、化学物質を送る配管があるため、耐震性に大きな問題がある」
(2023年8月22日投稿)