岸田首相が1月4日、三重県伊勢市での年頭の記者会見で、「インフレ率超す賃上げ実現要請」と「異次元の少子化対策挑戦」を表明した。しかし、この表明が、かつてのドイツ・ヒトラーによる、大衆(国民)を欺瞞する世論操作と同じ手法でしかなかった、という結末となるのではないかと安易に信用できない。
ヒトラーは『わが闘争』で、「大衆(国民)の支持を得ようと思うならば、我々(ナチス)は彼ら(大衆、国民)を欺かねばならぬ。……巧みな宣伝をたえず用いれば、人々に天国を地獄と見せる事も、その逆に、もっと惨めな状態を楽園のように見せる事もできる。諸君(ナチス)の言う事を大衆(国民)に信じさせる秘訣は、諸君(ナチス)の言うウソの大きさにある。大衆(国民)は小さなウソよりも、大きなウソを信用する。なぜならば、彼ら(国民)は、小さなウソは自分でもつくが、あまり大きなウソは恥ずかしくてつけないからである。……人々(国民)の大多数は、その態度および性質において女性的であるから、彼ら(国民)の活動や思想は、冷静な考慮によって動機づけられているというよりは、感情によって左右されている。……宣伝の効果は、したがって、常に感情に働きかける事に向けられねばならぬ。……大衆(国民)の組織者(ナチス)は……大衆(国民)の弱点と野獣性につけ込むように努めねばならない。」と述べている。
また、以下のようなナチス・ヒトラーの国民支配の手法を述べていることも紹介しておこう。
「被征服民族(「国民」に換言)に対して学校教育を強制してもいけない。ロシア人・ウクライナ人・キルギス人(いずれも「国民」に換言)などが読み書きできる事は、我々(ナチス・ドイツ)の害になるばかりだ。読み書きができると、頭の良い者が、歴史的知識を獲得し、政治的思考をわがものにして、ついにはドイツに反逆するおそれがあるからだ。したがって、彼ら(「国民」に換言する)に教育を与えるよりも、ラジオ拡声器を各村落に備えてニュースを流したり、娯楽を提供したりした方がよい。……ラジオではむしろ音楽だけを放送すべきであり、軽快な音楽によって労働意欲を増進させるべきである。……衛生学の知識を被征服民族(「国民」に換言)に与える事は、彼ら(「国民」に換言)の人口を急激に増加させる事になるので望ましくない。……東欧占領地で被征服民族(「国民」と換言)に武器を持たせる事は最大の不合理である。そんな政策をとれば支配民族(ナチス・ドイツ)の方が必ず没落する。」
上記の内容は、かつて、麻生副首相が2013年7月29日に発言した「ナチスの手口……」という言葉の意味が、このような意味でもある事という事を示すものである。国民は自公政権を上回る知恵を有さねばならない。政治は知恵比べである。
(2023年1月6日投稿)