OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

再開は景気良く♪

2008-08-28 10:24:55 | Jazz

諸般の事情から休止していたブログを再開致しました。その間のお話は追々書いていくことにして、まず本日は――

Dizzy Atmosphere (Specialty / JAZZBEAT)

最もジャズらしいジャズといえば、やっぱりハードバップでしょう。それは黒人特有のビートと粘ったフィーリング、俗にファンキーと称される感覚とイケイケなノリ、そしてジンワリと気持ち良くなる哀愁♪ たまりませんね、少なくともサイケおやじは、そう思います。

で、そのハードバップの発生については諸説あるものの、やっぱり黒人ミュージシャンの常日的演奏から自然に生まれたものでしょう。誰かの発明なんてことは、決してないと思います。

さて、本日の1枚はそんな証拠物件とでも申しましょうか、結論から言えばジャムセッション盤のひとつなんですが、参加メンバーが物凄く熱い面々ばかり! 全編にキメが入ったアレンジも施されていますが、決して「作り物」ではない爽快なアルバムです。

録音は1957年2月27日、メンバーはリー・モーガン(tp)、アル・グレイ(tb)、ビリー・ミッチェル(ts)、ビリー・ルート(bs)、ウイントン・ケリー(p)、ポール・ウェスト(b)、チャーリー・パーシップ(ds)、さらにアレンジャーとしてロジャー・スポッツとべーニー・ゴルソンも参加していますが、彼らは全員、当時のディジー・ガレスピー(tp)楽団のレギュラーでした。アルバムタイトルもそれに所以するものです。

そしてちょうどロスに巡演してきたところで吹き込まれたのが、このセッションというわけですが、原盤会社のスペシャリティは黒人R&Bやゴスペルを主に作っていたので、こうしたモダンジャズ物は少なく、もちろん内容の良さもあって、ある時期までは幻の名盤として崇められていました。

それが昭和50(1975)年に我が国で発売され、後にCD化もされましたが、今回のご紹介はその最新リマスター盤で、しかも嬉しいボーナストラックがついています――――

Dizzy Atmosphere (1957年2月18日録音)
 01 Dishwater (arr.Roger Spotts)
 02 Someone I Know (arr.Roger Spotts)
 03 D.D.T. (arr.Roger Spotts)
 04 Whisper Not (arr.Benny Golson)
 05 About Time (arr.Roger Spotts)
 06 Day By Day (arr.Benny Golson)
 07 Rite Of Spring (arr.Roger Spotts)
 08 Over The Rainbow (arr.Roger Spotts)
 09 Whisper Not (alt. take / arr.Benny Golson)
 前述したメンバーによる快演セッションで、まずド頭の「Dishwater」からしてゴリゴリにブッ飛ばしたハードバップの真髄が楽しめます。まずウイントン・ケリーのイントロから成り行き任せのアドリブでツカミはOK! テーマリフに続き、当時18歳のリー・モーガンが怖いもの知らずの突進を聞かせれば、ビリー・ルートがその場を揺るがすバリトンの咆哮で応戦します。さらにアル・グレイとビリー・ミッチェルが血管ブチキレの爆裂アドリブ! これはもうハードバップ天国への直行便ですねっ♪ 要所を締めるアレンジも効果満点だと思います。
 また同様に熱いのが「D.D.T.」で、エキサイティングなラテンビートも内包した調子の良いノリノリの演奏♪ ビリー・ミッチェルの白熱したテナーサックスがどうにもとまない、山本リンダ現象です。
 一方、スロー哀愁路線では、なんといっても「Whisper Not」でしょう♪ ベニー・ゴルソンが書いたこの名曲は前年12月にリー・モーガンのリーダーセッションで既に吹き込まれていますが、そのブルーノート盤「Lee Morgan Vol.2」に勝るとも劣らないのがここでの演奏です。もちろんリー・モーガンが主役となり、あのゴルソンハーモニーが彩を添えるという黄金の展開♪ あぁ、泣きのミュートトランペットが心に染み入りますねぇ~~~♪ ちなみにオマケの別テイクはオープンでグルーヴィに吹いていますが、もちろん素晴らしく、ウイントン・ケリーのファンキー節も良い味出しまくりです。
 他にもアル・グレイが哀愁トロンボーンの味わいを聞かせる「Day By Day」、ビリー・ミッチェルがソフトな情感を滲ませる「Over The Rainbow」と、有名スタンダード曲の演奏解釈も抜かりはありません。
 とにかく全編が素晴らしいモダンジャズ全盛期のセッションになっています。特にリー・モーガンが、やっぱり溌剌としていますねっ♪
 そして今回のリマスターはステレオミックス! 左にホーン陣、右にリズム隊が定位した所謂「泣き別れ」ですが、音圧のメリハリが効いたリマスターですから、結果オーライでしょう。個人的にはリズム隊3者の音の構成が良く聞こえるので満足しています。本当に凄いリズム隊ですよ!
 ただし残念なのは、この時のセッションから「Someone I Know」と「Over The Rainbow」の別テイクが未収録だった事ですが、まあ、いいか……。

Charlie Persip's Jazz Statesmen (1957年2月27日録音)
 10 Reggie Of Chester
 11 Blues After Dark
 これも前述「Dizzy Atmosphere」のセッションと同時期にロスで録られたセッションです。メンバーはリー・モーガン(tp)、ペニー・ゴルソン(ts)、ウイントン・ケリー(p)、チャーリー・パーシップ(ds)、そしてレッド・ミッチェル(b) と Wilfred Middlebrooks(b) が交代で参加していますが、アルバムとしては当時の西海岸では大勢力だったハワード・ラムゼイが率いるライトハウス組との共演オムニバス盤「Double Or Nothin' (Liberty)」に収録されていたものです。
 そして2曲ともベニー・ゴルソンのオリジナルということで、琴線に触れるメロディは「お約束」ですが、リー・モーガンの卓越したアドリブ能力は流石! 
 まずアップテンポの「Reggie Of Chester」では例のトリッキーなフレーズで颯爽と吹きまくり、続くブルースの「Blues After Dark」では粘っこいファンキー節の連発です。
 もちろんベニー・ゴルソンも例のモゴモゴブリブリの語り口で熱く迫っていますし、ウイントン・ケリーの飛び跳ねグルーヴも見事♪ チャーリー・パーシップも的確なドラミングで好感が持てます。気になる西海岸のベーシスト2人も気合の入った熱演だと思います。
 ちなみに今回のリマスターはモノラルミックスながら、低音域もしっかりと出ています。

Lee Morgan Quintet (1960年7月録音)
 12 A Bit For Sid
 13 Suspended Sentence
 14 Menor Strain
 こちらはリー・モーガンのリーダーセッションで、メンバーはリー・モーガン(tp)、ウェイン・ショーター(ts)、ボビー・ティモンズ(p)、ジミー・ロウサー(b)、アート・テイラー(ds) という疑似メッセンジャーズ! もちろんリー・モーガンも本家ジャズメッセンジャーズのスタアとしてバリバリに突っ走っていた頃ですから、悪いわけがありません。
 まず「A Bit For Sid」では奇々怪々なフレーズで周囲を戸惑わせるウェイン・ショーターに対し、弾ける若さのリー・モーガンが痛快! ボビー・ティモンズのゴスペル節も良い感じです。
 そして続く「Suspended Sentence」は如何にもウェイン・ショーター作曲らしいスピード感満点の演奏ですから、尺取り虫の背中のようにウネウネと俊敏に動く作者のテナーサックスが最高です。もちろんリー・モーガンも大熱演! さらに素晴らしいのがテンションの高いリズム隊で、本当に悶絶させられますよっ♪
 またオーラスの「Menor Strain」も痛快至極な名演で、ここでもリズム隊が大ハッスル! ボビー・ティモンズの硬派なスイング感は最高ですし、アート・テイラーのハイハットも鮮やかなんですが、このあたりはモノラルミックスの特性を活かしたリマスターの良さも堪能出来ます。
 ちなみにこの3曲はオムニバス盤「The Best Of Birdland (Roulette)」に収録されていたんですが、初CD化でしょうか? アナログ盤は日本プレスで私有していましたが、音質にキレが無く、ここまで気持ち良く楽しめませんでしたので、実はこのセッションがお目当てで、このリマスター盤を買ったというわけです。ズバリ正解♪♪~♪

ということで、不満も無いわけではありませんが、とにかく音が良くなっていますし、リー・モーガンに的を絞った編集としては結果オーライだと思います。デジパック仕様のジャケットも良い感じ♪

そして何よりもモダンジャズ本流の輝きが日常的に記録された名演集として、素直に楽しめると思います。

やっぱりジャズは良いですねっ♪

コメント (6)
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