■In The Beginning / Jimi Hendrix (Shout)
さて、ジミ・ヘンドリクスの命日……。
何故、死んだ……、と言うより先に、我々ファンは、神様がジミヘンをこの世へ使わせてくれた事に感謝するべきでしょう。
ですから、ジミヘンの没後、いろいろと作られてきた未発表音源集の諸々が悲喜こもごもであっても、それはあくまでも聴いて後の結果論であって、初めて接する時のワクワクドキドキ感は、かけがえのないもの!
例えば本日ご紹介のアルバムは、1972年頃にカナダ(?)のレコード会社が出した、権利も参加メンバーも曖昧な1枚なんですが、ジミヘンのギターに関しては、これぞっ! というフィーリングが唯一無二に楽しめます。
A-1 Hey Leroy, Your Mama's Callin' You
A-2 Free Spirit
A-3 House of the Rising Sun / 朝日のあたる家
B-1 Something You Got
B-2 Let the Gods Sing
B-3 She's a Fox
既に述べたとおり、収録セッションに参加したメンバーは不明ながら、それでもギターは2本が明確に聞こえますし、他にベースとドラムス、キーボードも適宜入っています。
しかも音質は決して悪くないのですから、最低でもリハーサルスタジオでのレコーディングでしょう。
また、ボーカルと掛け声を担当しているのはロニー・ヤングブラッドというR&Bのミュージシャンで、それだけが現在まで、まあ、なんとか判明している事実ではありますが、ご存じのとおり、ジミヘンが下積み時代に草鞋を脱いでいたのが件の親分のグループであり、初めてプロとしてのスタジオレコーディングを経験したのも、1963年冬に同バンドと一緒であったという説もあります。
しかし、ここで聴かれる演奏は明らかなフィードバック奏法、そしてニューロックとしか言いようのないフレーズ構成とポリリズムっぽいロックビート、さらにはバンド全体のグルーヴがファンキーロックしているのですから、これは巷の噂どおり、1966年の渡英直前のセッションだと思うほかはありません。
それはインスト中心であり、特にA面の「Free Spirit」は完全なニューロック、また続く「House of the Rising Sun / 朝日のあたる家」もアップテンポ仕立の強引なノリに熱くさせられますよ♪♪~♪
ところが、これは当時から言われていたことなんですが、実はここに収められている演奏はジミヘンではなく、巧みな贋作!?
それが今日までの、もうひとつの真相と疑われています。
う~ん、そう思えば、確かにエレキベースの音やグリグリのグルーヴが、1966年にしては進歩的過ぎる感じもしますし、ギターに使われているであろうエフェクターで作り出されたサウンドの響きが、英国で作られたエクスペリエンスよりも、はっきりした意図があるような……。
ちなみにジャケットに記載されたプロデュースは「Vidalia Productions」というあたりも、なにか思わせぶりな気がしますよねぇ~~。
でも、それでも良いんですよねぇ~、サイケおやじはっ!
なんていうか、気持良く騙されれば、それもファン冥利って事でしょうか。
例え贋作であったとしても、思わず熱くなって聴けるのが、このレコードなんですよっ!
本物であっても、極端に音が悪いブートよりは良心的!?
と言っては問題かもしれませんが、妙に憎めないのは確かです。
あぁ、尊敬すべき故人の命日であるにもかかわらず、本日は不遜な文章で申し訳ございません。
どうか、それもサイケおやじのジミヘン愛とご理解願いとうございます。
そして合掌。