OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ロギンス&メッシーナの愛すべき魅力

2009-05-28 11:51:41 | Loggins & Messina

愛する人 / Loggins & Messina (Coulmbia / CBSソニー)

1970年代前半、サイモンとガーファンクルの不在を癒してくれたボーカルデュオのひとつが、ロギンス&メッシーナでした。

この2人は1972年に正式なデビューを果たしたわけですが、まずジム・メッシーナはニール・ヤングやスティーヴン・スティルス、そしてリッチー・フューレイがやっていた今では伝説の名バンドになったバッファロー・スプリングフィールドの末期メンバーであり、それ以前は十代の頃からエレキインストバンドでささやかな成功を収めていた、知る人ぞ知るの存在でした。そして皆様もご存じのように、前述のバッファロー・スプリングフィールド解散の後には、リッチー・フューレイと元祖カントリーロックの最高バンドだったポコを結成し、アメリカでは大きな人気を集めています。乾いた音色のギタープレイも良い感じ♪♪~♪

一方、ケニー・ロギンスは優れたソングライターとして1960年代末頃から業界では注目の存在であり、例えばニッティ・グリッティ・ダート・バンドで1971年にヒットした「プー横丁の家」等々の代表作を持っていましたし、自身も歌やギターでデモテープ作りや様々なセッションのアルバイトをやっていたのが、デビュー前の活動でした。

で、この2人がケニー・ロギンスのデビュー盤制作で邂逅し、本来はプロデューサーの立場だったジム・メッシーナが現場復帰というか、ついにはロギンス&メッシーナとして発売されたのが「シッティン・イン (Coulmbia)」という好アルバム♪♪~♪

これは我が国でもリアルタイムの1972年に発売され、音楽マスコミでは忽ち絶賛されましたが、実はサイケおやじは当然ながらアルバムは買えず、どうにか国営FMラジオ放送からエアチェックしたテープを聴いていたわけですが、正直、ピンっとくるものがありませんでした。

なにしろ当時はストーンズがライブ全盛期の勢いで作った傑作盤「メインストリートのならず者」、スティーヴィー・ワンダーの「心の詩」、ディープ・パープルの「マシンヘッド」、クリームの「ライブ Vol.2」等々に加え、ポール・サイモン、ニール・ヤング、アメリカ、マナサスあたりの名盤が毎月のように出ていたのですからっ! 今となっては凄い時代でしたが、それゆえにロギンス&メッシーナは地味な存在として当たり前だったのです。

しかし翌年になって事態は好転というか、当時としては例外的にシンプルでスカっとしたR&Rの「ママはダンスを踊らない」がシングルヒット♪♪~♪ さらには2作目のアルバム「ロギンス&メッシーナ (Coulmbia)」が再び業界からの高評価によって、いよいよ我が国でもブレイクしたというわけです。

そして本日ご紹介のシングル曲、原題「Thinking Of You」が追い撃ちの大ヒット♪♪~♪

しかも前述したアルバム「ロギンス&メッシーナ」に収録のテイクとは、完全に異なるシングルバージョン!

まずドラムスのイントロから始まっていたアルバムテイクとは決定的に違う、最高にカッコ良いエレキギターのリズムカッティングに、グッと惹きつけられます。またアルバムテイクではブラシ主体だったドラムスが、ここではスティックで8ビートを強調したノリの良さ♪♪~♪ さらにアルバムバージョンではジム・メッシーナのソロだったメインのボーカルを、ケニー・ロギンスとのユニゾンといって過言ではない、まさに歌の楽しさを強調したものに変えた事も結果オーライでした。

楽曲全体に漂うホンワカムードを演出するジム・メッシーナのボリューム奏法による絶妙のギター、間奏でのバイオリンというか、カントリーフィドルの浮遊する楽しさ、そしてハートウォームな曲メロの素晴らしさ♪♪~♪

ケニー・ロギンスのコーラスワークは言わずもがな、驚くべきは演奏全体のリズム的な濃密度を高めているのが、クラヴィネットの大胆な使用でしょう。

このクラヴィネットは、同時期に大ヒットしていたスティーヴィー・ワンダーの「迷信」によって一躍広められたキーボードシンセのひとつですが、基本はカントリー系ソフトロックの西海岸的な味わいが強い「愛する人」の演奏に、こんな斬新ファンクなイメージの楽器を使ってしまうセンスには、今更ながらに驚かされます。

そういう先進的な試みは、実はロギンス&メッシーナの本質というか、この曲のヒットに釣られて後追いで聴いた前述のアルバム「ロギンス&メッシーナ」のA面ド頭には、当時のメジャーな白人バンドには珍しいほどソウル&ファンキーな「Good Friend」という、まさにトンデモ系の歌と演奏が入っていたのですから、二度吃驚でした。

そして彼等の作り出す音楽を聴くにつれ、そうしたファンキーでジャジー、ある意味ではプログレっぽい部分とハートウォームな歌と楽曲の魅力が相乗効果となり、ますます私の心をとらえていくのですが、それは後のお話です。

その意味で、昭和48(1973)年の春から初夏にかけて大ヒットしていた「愛する人」は、決して忘れられない曲になりました。

ちなみにジャケット右下に入れられた「JEANS MUSIC」というロゴが、今となっては微笑ましいですよね。

当時はイーグルスがブレイクする前でもあり、所謂「ウエストコーストロック」なんて言葉はあったかもしれませんが、その実態は極めて曖昧でしたから、こうしたシンプルでありながら都会的なイメージも併せ持ったハートウォームなロックを、各社が次のトレンドとして積極的に売っていた歴史的な証として、それを味わっていただきたいところです。

あぁ、それにしても「愛する人」っていう曲は、リアルタイムでも甘くて親しみやすい魅力に溢れていましたが、それは今でも不滅だと思いますねぇ。

ズバリ、良い曲♪♪~♪

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