■ムーンライト・シャドウ / ナンシー・ルー (CBSソニー)
海外のヒット曲へ日本語の歌詞を附した、所謂洋楽カバーの歌謡曲は我が国レコード産業の切り札のひとつだった事は今も変わらないとはいえ、その選曲センスやアレンジの良し悪し、そして演じる歌手やグループの存在感も大きいと思われます。
平たく言えば、どんなに素敵な楽曲を見つけても、それを歌謡曲としてカバーした場合のジャストミート感は絶対に外せないんじゃ~ないでしょうか?
さて、そこで本日ご紹介したいのは、昭和59(1984)年にナンシー・ルーが出した掲載のシングル盤A面曲「ムーンライト・シャドウ」でして、結論から述べさせていただければ、これは前年にイギリスのマルチミュージシャンとしてプログレポップとも云える分野で人気を確立していたマイク・オールドフィールドがヒットさせた自作自演の傑作「Moonlight Shadow」に安藤芳彦がオリジナルとは無関係な日本語の歌詞をアダプトしたニューミュージック寄りのポップス歌謡♪♪~♪
しかも歌っているナンシー・ルーは台湾人のキュートなアイドルシンガーではありましたが、何故か……、大きなブレイクも果たせぬままに帰国した、その活動末期に、こんな素敵なシングルトラックを出していたというあたりは、なかなか味わい深いものがあるというか…… (^^;
それはマイク・オールドフィールドのオリジナルバージョンのミステリアスなポップフィーリングを活かしつつも、松原正樹が幾分メリハリの効いたアレンジを施したミディアムアップの演奏パートが結果オーライ♪♪~♪
もちろん、松原正樹本人であろうギターの響きは本家マイク・オールドフィールドの繊細にして芯の強いギタープレイを意識していたであろう事は言わずもがな、なかなかの力演じゃ~ないでしょうか (^^♪
ですから、ナンシー・ルーも自らの持ち味であるチャイニーズ系の節回しで切々と歌うスタイルを貫いていて、結果的にヒットしたとは言い難くはありますが、個人的には好きな仕上がりです。
ちなみにマイク・オールドフィールドのヒットバージョンで歌っていたのはスコットランド出身のマギー・ライリーであり、そのクールでハートウォームなボーカルスタイルとナンシー・ルーの歌いっぷりは相当に異なりますが、それはそれで十人十色の好き嫌いでありましょう (^^;
また、当時の我が国ではマイク・オールドフィールドの「Moonlight Shadow」はシングルカットされていなかったという記憶なんですが、楽曲そのものはFMラジオ放送の洋楽番組等々で流れまくっていましたからねぇ~~♪
そ~ですよ、その頃からというか、昭和50年代頃からはラジオの音楽番組は、ほとんどFM放送がメインとなり、エアチェック用の番組表を纏めた雑誌が音楽情報誌の役割も果たす様になっていましたですねぇ~~ (^^♪
今となっては隔世の感ではありますが、仕事場でもラジオを流しながら勤務出来る会社も普通に存在していましたから、昭和という時代は大らかでありました (^^♪
閑話休題。
ということで、最後になりましたが、マイク・オールドフィールドのオリジナル原曲歌詞の内容は亡くなってしまった愛おしい人に会いたい……、云々という事から、ジョン・レノン追悼歌と云われていましたが、真相は……、ど~なんでしょうかねぇ……。
だからこそ、ここに制作されたナンシー・ルーの歌謡曲バージョンの味わいも深いのかもしれませんし、それこそはサイケおやじの独断と偏見として、お許しを請うばかりでございます <(_ _)>