■冬なぎ / 西島三重子 (EXPRESS / 東芝)
あれやこれやとゴタゴタが続き、心身ともに寒くなっている本日のサイケおやじが取り出したのは、西島三重子が昭和61(1986)年9月に出した掲載のシングル盤でして、もちろん針を落とす気分は、A面収録曲「冬なぎ」です。
そして流れて来るのは映画音楽モードのクラシック系スローバラードなんですが、そこには同曲が当時公開された「離婚しない女(松竹・神代辰巳監督)」の主題歌だったという真相がありまして、だからこそ平野肇が綴った歌詞の世界の思わせぶりと西島三重子の附したメロディの深い味わいが、宮川泰の如何にも「らしい」アレンジ共々にジャストミートの仕上がりなんですねぇ~♪
実際、レコードに針を落としても、しばらくは前述したとおりのクラシック調の演奏が続き、そこでようやく歌い出される西島三重子のソフトで神聖な節回しには、思わずグッと惹きつけられます (^^♪
あぁ……、西島三重子はデビュー期から、ちょいと「あばずれ」風味の声質と節回しを個性的に表現していましたから、捨て鉢な風情とかネクラな心情吐露も十八番にしていた印象がありますので、ここで初めて彼女の歌声に接する皆様が、そんな初期の音源を後追いで聴かれれば、ちょいと驚かれるかもしれません。
しかし、少なくともサイケおやじにとっては、どっちも「西島三重子」なんですよ (^^♪
ちなみに件の映画本篇は萩原健一、倍賞千恵子、そして倍賞美津子の三角角形がストーリーのメインに据えられた、ソフトボイルドなサスペンスミステリ作品で、原作は連城三紀彦の同名小説、そして監督はサイケおやじが常にノー文句で鑑賞させられてしまう神代辰巳!
ですから、このレコードを聴いていたら、映像各場面が思い出されて、感傷的な気分に満たされてしまったですよ (^^;
う~ん、DVDかBDあったら、買おうかなぁ~~、この「離婚しない女」を、ねっ!
ということで、この世は何時も不条理に満たされ、そこで苦しむ我々は皆、冷え切った心に救いを求めるのが普通でありましょう。
もちろん、サイケおやじは本質的に心が弱いので、尚更に……。
そんな自虐も感傷も、ハードボイルドにするには、まだまだ時間が必要かなぁ……、と思うばかりなのでした。