■遠くで汽笛を聞きながら / アリス (リードボーカル / 堀内孝雄) (東芝)
あの大惨事・神戸地震から21年が過ぎ去りました。
以前にも書いた事があったと思いますが、実はサイケおやじには、件の大災害で死んでも不思議ではなかった運命のいたずらがあったのです。
それは悲劇の前日、ちょうど関西へ出張していたサイケおやじは珍しく仕事が順調に捗り、昔っから様々にお世話になっていた、その時は神戸在住の先輩を訪ねる約束が早くなるというウキウキした気分でした。
そして先輩の自宅を訪ね、ご家族と一緒に旧交を温めるという楽しい雰囲気から、自然に今夜は泊まっていくようなお誘いを先輩の奥様から頂き、すっかりサイケおやじもその気になってしまったところが、流石は先輩から厳しい一言がっ!
それは、仕事に余裕が出来た時は、早く次の段取りをやっておけという、つまりは明日は東京で1日早く、次の仕事に入れっ!
という、実に当たり前の現実に即したアドバイスでありましたので、サイケおやじはご厚意に甘えたいという気持ちを抑えつつ、最終の夜行バスで別れを告げたのですが……。
なんとっ!
その翌日早朝、あの大震災がっ!!
しかも先輩の家は全壊し、先輩と奥様は命を落とし、溺愛していたお嬢様だけが、どうにか助けられたという悲劇の顛末は、ひとつ間違えれば、サイケおやじも同じ家で被災していたわけですから、今も複雑な心境で、1月17日は、ご冥福を祈るばかりです。
さて、そこで本日は、そういう経緯で亡くなった先輩がカラオケで十八番にしていた「遠くて汽笛を聞きながら」を取り出してしまいました。
説明不要かと思いますが、これは昭和51(1976)年に発売されたアリス名義のシングル曲でありながら、実質的にはメンバーの堀内孝雄が自作のソロプロジェクト的名唱であり、アリス解散後も自分の代表作として歌い続けている傑作ですから、カラオケでも人気があるのは当然でしょう。
そう……、あの夜も先輩は、降りかかって来る悲劇を全く知らず、カラオケ屋で気持ちの入った「遠くで汽笛を聞きながら」を歌っていました。
その歌声も、あの時のご家族団らんも、サイケおやじは決して忘れていません。
生かされている自らの運命を大切しようと思うばかりです。
合掌。
コメント、感謝です。
個人的には「ブルーにこんがらがって」を自らの裏テーマにしております。
悲劇は避けられないからこそ、悲劇だという論理もあるようですが、そこにある運命の変転を受け入れるのは、相当にしんどいです。
だからこそ、現在の幸せを大切にしなければ、バチあちりですから。
すごい体験ですね。サイケおやじさんは「運命のいたずら」と仰いましたが、私はディランの血の轍に入ってる、「運命のひとひねり~Simple Twist Of Fate」と言う言葉が脳裏に浮かびました。(歌詞の内容はともかく…)
このような経験されたのであっては、「遠くで汽笛を聞きながら」を忘れることは出来ませんね。亡くなられたご先輩と奥様の冥福を祈ります。