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思想というものの普遍性

2006年06月06日 10時34分53秒 | Weblog
 
漢字学者の白川静さんが、文芸春秋に書いた
「皇室は遥かなる東洋の叡智」を読んでいたら、
興味深い指摘があったので抜粋して紹介します。

近代日本の明治維新と昭和の敗戦にふれた部分です。

 近代日本は近代西洋という異質の文化に接することになった。
  なかでも重要な出来事は明治維新と昭和の敗戦。
  明治維新では、日本の従来の文化を一応、
  維持しながら西欧的なものを調和的に取り入れるというかたちで成功。
  それは、当時の指導者が東洋の教養を深く身につけていたから。
 儒教的な教養を身につけ、戦国策のような権謀術数の世界も学び、
  朱子学・陽明学といった中国の学問を通じて、
  非常に緻密な思索力を鍛えてきた。
 異文化との戦いを経験していない日本人は、
 異文化との壮絶な戦いの記録である中国の古典を読み、
  自分たちの精神を鍛えていた。

  一方、昭和になって、中国・アメリカとの戦争に
 のめりこんでいった時の日本で盛んに論じられたのは、
 いわゆる日本主義なるもの。
 わが国には、古代から神話の世界や皇室があると、
  天皇を現人神に祀り上げた。
 西欧に対して一見、日本の伝統を主張するように見えるが、
 大きな危険がひそんでいた。
 天皇が続いている事実そのものが尊い、と主張する
 日本主義は一種の思考停止。
 議論や思考をそこでとどめ、それ以上は進めない。
 まったく別の歴史を持ち、異なる文化を持つ相手に、
 わが国の天皇は伝統である、事実として受け入れ敬え、
 と言っても相手が説得されるはずはない。

 思想というものに不可欠な普遍性を欠いている。
  西洋の科学技術の摂取ばかりに目がいき、東洋の古典と対話し、
  大人になる修練をないがしろにしたからかも知れない。

ちょっと部分的な引用で、著者の文脈から外れますが、
興味深い指摘だと思います。
現時点で、日本人は自らの思想を普遍的にする努力を
しているのでだろうか?と反省させられました。


                   落石






 
コメント (2)
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