★戦時中の俳句、いわゆる「戦火想望俳句」に関心があり捜しているのだがなかなか見つからない。
とりわけ従軍中の最前線の句というのには御目にかかれない。そんなとき俳句ネットをうろうろしていたら、次の様な句に出会った。
作者は三橋敏雄。
射ち来たる弾道見えずとも低し
嶽々(やまやま)の立ち向ふ嶽(やま)を射ちまくる
嶽を撃ち砲音を谿に奔らする
砲撃てり見えざるものを木々を撃つ
そらを撃ち野砲砲身あとずさる
戦車ゆきがりがりと地を掻きすすむ
同じように戦時俳句を作って有名な敏雄の師渡辺白泉は戦争を次のように詠んでいる。
三宅坂黄套わが背より降車
遠き遠き近き近き遠き遠き車輪
銃後と言ふ不思議な町を丘で見た
憲兵の前で滑つて転んぢやつた
戦争が廊下の奥に立つてゐた
玉音を理解せし者前に出よ
新しき猿股ほしや百日紅
両氏とも優れた戦争句であるが、そのリアルな緊迫感という点で私は敏雄の句が好きである。
とりわけ従軍中の最前線の句というのには御目にかかれない。そんなとき俳句ネットをうろうろしていたら、次の様な句に出会った。
作者は三橋敏雄。
射ち来たる弾道見えずとも低し
嶽々(やまやま)の立ち向ふ嶽(やま)を射ちまくる
嶽を撃ち砲音を谿に奔らする
砲撃てり見えざるものを木々を撃つ
そらを撃ち野砲砲身あとずさる
戦車ゆきがりがりと地を掻きすすむ
同じように戦時俳句を作って有名な敏雄の師渡辺白泉は戦争を次のように詠んでいる。
三宅坂黄套わが背より降車
遠き遠き近き近き遠き遠き車輪
銃後と言ふ不思議な町を丘で見た
憲兵の前で滑つて転んぢやつた
戦争が廊下の奥に立つてゐた
玉音を理解せし者前に出よ
新しき猿股ほしや百日紅
両氏とも優れた戦争句であるが、そのリアルな緊迫感という点で私は敏雄の句が好きである。