新聞の片隅に載ったニュースから(70)
「学校武装論」に米大統領懐疑的 年内の銃規制意欲(2013.1.1 中日新聞)
【ワシントン=竹内洋一】オバマ米大統領は三十日、NBCテレビのインタビューで、東部コネチカット州の小学校での銃乱射事件を受け、有力ロビー団体「全米ライフル協会(NRA)」が提唱した全学校への武装警備員配置について「より多くの銃を学校に配備することが唯一の解決策ではない」と懐疑的な見方を示した。
大統領は、殺傷力の高い攻撃用銃器の販売禁止や銃購入者の身許調査厳格化への支持を重ねて表明。銃規制強化について「二期目の一年目に実現したい」と延べ、二〇一三年中の関連法案成立に意欲を示した。
大統領は事件後、再発防止に向けた具体策を一三年一月中にまとめ、議会に示す方針を表明。バイデン副大統領をトップとする作業チームが具体案の検討に着手している。
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アメリカではしばしば銃の乱射事件が起こりますが、昨年末の12月14日にコネチカット州ニュータウンの小学校で起きた事件は児童20人が犠牲となった(他に教員など6人死亡)だけに全米に大きなショックを与え、前々から問題となっていた銃規制の意見が高まっているそうです。そうした中でのオバマ大統領の規制強化の見解表明でした、
アメリカ開拓時代には銃で家族と財産を守ったという伝統があり、アメリカ合衆国憲法には「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有しまた携帯する権利は、これを侵してはならない。」という条項があります。これについては、民兵を組織するための州の権利であって、個人に銃所持を認めたものではないという学説もありますが、連邦最高裁判所は2008年7月に「この条項は個人の武装を認めたもの」とする判決を示しました。
それでも事件が起こる度に規制を要求する立法運動が起こりましたが、銃器の普及活動を行なっている全米ライフル協会などのロビー活動で規制がなかなか実現しませんでした。
これらのニュースが伝えられた中で、私が一番ビックリしたのは、全米ライフル協会のラビエール副会長が21日にワシントンで記者会見し「銃を持った悪人を止められるのは、銃を持った善人だ。全米の学校に武装警備員を配置するようにすべきだ。」と語ったというニュースです。私だけでなく、大抵の日本人はビックリし、違和感を持ったのではないでしょうか。
現代は法の整備も進み、いかに人間性に基づいた社会関係を築くかが問われています。それをアメリカで言えば西部劇時代の論理で、日本で言えば刀を持った武士が刀の威力で自分の言い分を通そうとした時代の論理で、自分の家族や国の安全を守るのだと唱えても、紛争の根本的解決に至るのは難しいでしょう。この論理は日本で憲法9条の改正を唱えている人たちの論理でもあります。安倍首相や石原日本維新の会代表(前東京都知事)の云っていることはこういうことだといえます。勇ましい言動で人々を煽るのではなく、冷静に考えてほしいです。
アメリカでは事件後これまで銃規制に強力に反対してきた民主党の保守派議員が相次いで規制賛成に“転向”し、世論調査でも銃規制に賛成の回答が54%にのぼったということです。
大西 五郎
「学校武装論」に米大統領懐疑的 年内の銃規制意欲(2013.1.1 中日新聞)
【ワシントン=竹内洋一】オバマ米大統領は三十日、NBCテレビのインタビューで、東部コネチカット州の小学校での銃乱射事件を受け、有力ロビー団体「全米ライフル協会(NRA)」が提唱した全学校への武装警備員配置について「より多くの銃を学校に配備することが唯一の解決策ではない」と懐疑的な見方を示した。
大統領は、殺傷力の高い攻撃用銃器の販売禁止や銃購入者の身許調査厳格化への支持を重ねて表明。銃規制強化について「二期目の一年目に実現したい」と延べ、二〇一三年中の関連法案成立に意欲を示した。
大統領は事件後、再発防止に向けた具体策を一三年一月中にまとめ、議会に示す方針を表明。バイデン副大統領をトップとする作業チームが具体案の検討に着手している。
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アメリカではしばしば銃の乱射事件が起こりますが、昨年末の12月14日にコネチカット州ニュータウンの小学校で起きた事件は児童20人が犠牲となった(他に教員など6人死亡)だけに全米に大きなショックを与え、前々から問題となっていた銃規制の意見が高まっているそうです。そうした中でのオバマ大統領の規制強化の見解表明でした、
アメリカ開拓時代には銃で家族と財産を守ったという伝統があり、アメリカ合衆国憲法には「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有しまた携帯する権利は、これを侵してはならない。」という条項があります。これについては、民兵を組織するための州の権利であって、個人に銃所持を認めたものではないという学説もありますが、連邦最高裁判所は2008年7月に「この条項は個人の武装を認めたもの」とする判決を示しました。
それでも事件が起こる度に規制を要求する立法運動が起こりましたが、銃器の普及活動を行なっている全米ライフル協会などのロビー活動で規制がなかなか実現しませんでした。
これらのニュースが伝えられた中で、私が一番ビックリしたのは、全米ライフル協会のラビエール副会長が21日にワシントンで記者会見し「銃を持った悪人を止められるのは、銃を持った善人だ。全米の学校に武装警備員を配置するようにすべきだ。」と語ったというニュースです。私だけでなく、大抵の日本人はビックリし、違和感を持ったのではないでしょうか。
現代は法の整備も進み、いかに人間性に基づいた社会関係を築くかが問われています。それをアメリカで言えば西部劇時代の論理で、日本で言えば刀を持った武士が刀の威力で自分の言い分を通そうとした時代の論理で、自分の家族や国の安全を守るのだと唱えても、紛争の根本的解決に至るのは難しいでしょう。この論理は日本で憲法9条の改正を唱えている人たちの論理でもあります。安倍首相や石原日本維新の会代表(前東京都知事)の云っていることはこういうことだといえます。勇ましい言動で人々を煽るのではなく、冷静に考えてほしいです。
アメリカでは事件後これまで銃規制に強力に反対してきた民主党の保守派議員が相次いで規制賛成に“転向”し、世論調査でも銃規制に賛成の回答が54%にのぼったということです。
大西 五郎