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新聞の片隅に載ったニュースから(70)     大西五郎

2013年01月03日 18時55分27秒 | Weblog
新聞の片隅に載ったニュースから(70)

 「学校武装論」に米大統領懐疑的 年内の銃規制意欲(2013.1.1 中日新聞)

 【ワシントン=竹内洋一】オバマ米大統領は三十日、NBCテレビのインタビューで、東部コネチカット州の小学校での銃乱射事件を受け、有力ロビー団体「全米ライフル協会(NRA)」が提唱した全学校への武装警備員配置について「より多くの銃を学校に配備することが唯一の解決策ではない」と懐疑的な見方を示した。
 大統領は、殺傷力の高い攻撃用銃器の販売禁止や銃購入者の身許調査厳格化への支持を重ねて表明。銃規制強化について「二期目の一年目に実現したい」と延べ、二〇一三年中の関連法案成立に意欲を示した。
 大統領は事件後、再発防止に向けた具体策を一三年一月中にまとめ、議会に示す方針を表明。バイデン副大統領をトップとする作業チームが具体案の検討に着手している。

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 アメリカではしばしば銃の乱射事件が起こりますが、昨年末の12月14日にコネチカット州ニュータウンの小学校で起きた事件は児童20人が犠牲となった(他に教員など6人死亡)だけに全米に大きなショックを与え、前々から問題となっていた銃規制の意見が高まっているそうです。そうした中でのオバマ大統領の規制強化の見解表明でした、
 アメリカ開拓時代には銃で家族と財産を守ったという伝統があり、アメリカ合衆国憲法には「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要であるから、人民が武器を保有しまた携帯する権利は、これを侵してはならない。」という条項があります。これについては、民兵を組織するための州の権利であって、個人に銃所持を認めたものではないという学説もありますが、連邦最高裁判所は2008年7月に「この条項は個人の武装を認めたもの」とする判決を示しました。
 それでも事件が起こる度に規制を要求する立法運動が起こりましたが、銃器の普及活動を行なっている全米ライフル協会などのロビー活動で規制がなかなか実現しませんでした。
 これらのニュースが伝えられた中で、私が一番ビックリしたのは、全米ライフル協会のラビエール副会長が21日にワシントンで記者会見し「銃を持った悪人を止められるのは、銃を持った善人だ。全米の学校に武装警備員を配置するようにすべきだ。」と語ったというニュースです。私だけでなく、大抵の日本人はビックリし、違和感を持ったのではないでしょうか。
 現代は法の整備も進み、いかに人間性に基づいた社会関係を築くかが問われています。それをアメリカで言えば西部劇時代の論理で、日本で言えば刀を持った武士が刀の威力で自分の言い分を通そうとした時代の論理で、自分の家族や国の安全を守るのだと唱えても、紛争の根本的解決に至るのは難しいでしょう。この論理は日本で憲法9条の改正を唱えている人たちの論理でもあります。安倍首相や石原日本維新の会代表(前東京都知事)の云っていることはこういうことだといえます。勇ましい言動で人々を煽るのではなく、冷静に考えてほしいです。
アメリカでは事件後これまで銃規制に強力に反対してきた民主党の保守派議員が相次いで規制賛成に“転向”し、世論調査でも銃規制に賛成の回答が54%にのぼったということです。
                                       大西 五郎
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「従米か愛国か」(1) 文科系  (題を変えました)

2013年01月03日 16時26分45秒 | 歴史・戦争責任・戦争体験など


1 前置き
 このブログをやり出してから7年間ずっと、一つの疑問があった。近年の世界情勢認識において誰が考えても最大の問題のはずだが、50年ぶりの冷戦終結後もアメリカの軍事力はなぜ減っていかなかったのかという問いだ。なんせ、リーマンショク以降も、世界の恐慌状態やますます深刻になる貧困層対策を尻目に、冷戦時以上の軍事充実ぶりである。世界の不幸の大本のひとつと述べても良いのではないか。これは日本にとっても最大の政治情勢問題なのであって、ここの正しい認識を抜きにしては日本のどんな政治・経済、社会問題も何一つ正確には分析できないという性格を有していると考えていた。そこへ格好の著者の好著が出て来たから、去年すぐに買って、読み始めていた。孫崎享の「戦後史の正体」と「アメリカに潰された政治家たち」である。前者は昨年8月、後者は9月の第一版第一刷発行である。悪書を読むのは人生最大の浪費と言うが、この著者と著作が僕の問題意識から言ってその正反対のものではないかと、まず示しておきたい。
 
 孫崎享はこういう人物だ。43年生まれで外務省に入省し、ウズベキスタンやイランの大使を歴任し、国際情報局長から、最後は防衛大学教授を務めていた。日本最高レベルの情報掌握者であって、かつ冷戦直後の93~96年にウズベキ大使を務めていたとなれば、冷戦後のアメリカ、その恥部などを最もよく知っている人物と言えるだろう。そういう人物が退職後の晩年に近くなって反米物を書くとすれば、これは一読の価値ありというものである。この2冊の本をしばらく紹介していきたい。

2 冷戦後の米最大課題二つ
 はじめに、冷戦後のアメリカと、その対日政策の始まりの部分を見てみる。以下『 』は、僕のエントリーでいつものように著作の抜粋だ。「戦後史の正体」第6章「冷戦終結と米国の変容」からとったものである。

 孫崎はこの章の書き出し近くで、こんな文章を引用している。後のアメリカ統合参謀本部議長コリン・パウエルが、議長就任の前年1988年春にソ連のゴルバチョフから打ち明けられた話なのである。
『「1988年春、ゴルバチョフは私に『将来私は冷戦を終わらせるつもりだ。あなたは新しい敵を探さなければならない』と述べた。『信じられない。しかし彼は本気だ』私は口にこそ出さなかったがこう思ったものである」(中略)
 米軍がこれまで維持してきた膨大な兵士や兵器は不要になります。ソ連を仮想敵国として作られてきた軍事戦略も意味のないものになります』
『こうした状況のなかで米国が考えるべきことは次のふたつです。ひとつは「ソ連が崩壊したあとも、われわれは強大な軍事力を維持する必要があるだろうか。もし維持しようとした場合、国民の支持が得られるだろうか」という問題です。もうひとつは「日本の経済力にどうやって対抗するか」という問題です』

 終戦直後の日本の戦後方向を、アメリカ、占領軍が途中から転換させ始めたというのは有名な話である。足腰立たぬように押さえつける方向から、冷戦に対して活用していこうと。そのためにこそ、天皇を中心とした戦前からの種々の体質なども、一定温存し始めたのであった。これは、戦後史の定説になっているはずだ。その時以来の、日本の方向転換が冷戦終結によってなされ始めたと、そういうことなのである。どんなふうにして?  (続く)
コメント (3)
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