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新聞の片隅に載ったニュースから(72)     大西五郎

2013年01月26日 09時58分02秒 | Weblog
新聞の片隅に載ったニュースから(72)

  「大津波予想せず」 検察聴取に東電前会長(2013.1.25 中日新聞)

 東京電力福島第一原発事故をめぐり、業務上過失致死傷容疑などで掲示告訴・告発された東電の勝俣恒久前会長(72)が、検察当局の任意の事情聴取に「大津波は予想していなかった」という趣旨の説明をしていることが関係者への取材で分かった。
 業務上過失致死傷罪を問うには、津波や地震によって放射性物質がまき散らされる事故が起きると予測できた「予見可能性」と、安全対策を怠った「結果回避義務違反」を立証する必要がある。今回の事故では、東電の想定津波六・一㍍を上回る一〇㍍超の津波によって全電源が喪失し、原子炉が冷せなくなったことで放射性物質が拡散したとされる。
 勝俣氏は聴取に「予測を超える大津波が原発の機能を喪失させた」などと説明し、過失を否定したとみられる。
 東電は二〇〇八年、政府の地震長期評価を基に、想定される津波を一五・七㍍と試算。だが、東電の原子力部門は当時社長だった勝俣氏に試算結果を伝えず、「緊急性は低い」として対策を施さなかったとされる。勝俣氏は聴取で、こうした経過も説明したとみられる。
 検察当局は昨年八月、福島県民らの告訴・告発を受理し、東京・福島両地検が捜査。勝俣氏をはじめ清水正孝元社長(68)ら東電幹部や政府関係者の事情聴取を進めている。

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 2008年に東京電力の原子力部門が、政府の地震長期評価を基に、想定される津波を15.7㍍と試算したが、当時社長だった猪俣恒久氏には知らされていなかったということが考えられますか。最高責任者の社長に責任が及ぶのを避けようと、そのような筋書きにした疑いが残ります。そうでないとするなら、東京電力の企業マネジメントシステムがおかしいということになります。
 それだけではありません。2006年に国会で京都大学工学部原子核工学科を卒業した共産党の吉井英勝衆議院議員が、津波により原発の敷地が浸水し、原発の全電源が喪失する危険があることを指摘して政府に対策をとるよう要求しました。以後毎年国会で吉井氏によってこの警告がなされていました。当時はマスコミも原発の安全神話にとらわれていましたから、大きなニュースになることはありませんでしたが、原発を稼動させていた電力会社の経営者は全電源喪失が国会で問題になっていたことを知っていたと考えるのが普通です。すくなくとも原子力部門の人間が知って上層部に報告したはずです。
 また、経済産業省の原子力安全保安院と原子力安全基盤機構は、2004年のスマトラ島沖地震で発生した津波でインドの原発が被害を受けたことから、2006年に「津波で原発の敷地に海水が浸水することについての勉強会」を始めました。東京電力など電力会社はオブザーバーとしてこの勉強会に参加していたことを事故から1年以上たった昨年5月になって東京電力も認めました。しかし2011年12月に公表した事故報告書には勉強会への参加に触れていませんでした。
東京電力の責任逃れの隠蔽体質がここにも顔を出しているということです。

                                       大西 五郎
コメント (1)
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