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フクシマ健康調査、一事が万事  文科系

2014年05月28日 01時54分31秒 | 国内政治・経済・社会問題
 最近ここでフクシマ原発事故・県民健康調査検討委員会が発表した子どもの甲状腺癌関連数字が大いに問題になっている。ところで、この委員会の発足時の「闇」を暴露した本が岩波新書から13年9月第一刷発行で出ていて、去年11月16日にこのブログに僕が書評紹介エントリーを書いた。著者は、日野行介・毎日新聞東京社会部記者である。この委員会が当初から正式委員会の前に必ず秘密会議を開いていた事を暴露して、会議決定方向・結論の誘導をしていたのではないかと日野氏が告発記事を書いたのだが、この記事に至るまでの長い努力のいきさつがこの本の内容である。この記事自身は12年10月3日の毎日新聞に載って、福島県議会など世を大変騒がせたものだった。この時までの1年数か月で既に、8回の正式会議と8回の事前秘密会議とが終わっていて、あらかたの検討委員会方針は決まり、その初期調査も着手されてしまっていたのである。フクシマ事故放射能被害健康調査関連の全てが、国の責任分も含めてこの一機関に委ねられていたにもかかわらずということだった。

 この本の一部を改めて、再掲する。同書中にはこの検討委員会を最初に主導した1~10回までの座長である山下俊一福島県立大学副学長への13年4月3日の直接インタビューを記事にしたものが15ページ分載っている。そこで、日野氏は山下氏のこんな応答も引きだしている。

 日野氏「『資料は(正式会議の)事前には配られていない。県は私にもストーリーを持ってこない』と(以前の私とのインタビューで)言っていましたね。なんであんなことを。」
 山下氏「県を擁護したつもりでした」
 日「問われる問題であることは分かっていたんですね」
 山「そこまでは分かりませんでしたよ」
 日「あれは嘘ですよね」
 山「まあ端的に言えば」
 日「秘密会を開く目的は、一定の結論を導くため、過小評価する目的ではないんですか」
 山「少なくとも結論ありきではない」
 日「本会議で何を話すか、逆に何を話さないようにするかまで秘密会で決めています。健康診査の線量基準などは典型例ですが、先生は再三わたって『今回は(本会合で)議論しないように』と釘を刺しています。これは議論の制限であり、情報操作ではないのですか」
 山「これは私の意見として言ったものです」
 日「なぜ本会合で県民の前でしてはいけないんですか」
 山「してもいいと思います。議論を尽くせない段階だったからだと思います」
 日「山下先生としては表に出せる議論と出せない議論を分けたつもりはないのですか」
 山「まったくない」
 日「県も同じ考えでしょうか。進行表の書き方は違いますよね。それに沿ってやる以上は分けたことになるのではないですか」
 山「座長としては進行表を使いますから、県への配慮がなかったかといえば嘘になる・・・・。」

 以上は同書194~195ページから抜いたものだ。なお、山下氏は、13年6月の11回からは会を退かれている。
 この書は、フクシマ県民の健康調査のことを語ろうとする人にとって必読の書だと、僕は考える。また、上の福島県事務局の会議への事前操作と疑われたものについて、その原案作りに国が絡んでいないわけはないと僕は確信する。この大事故の唯一の大々的健康調査に国が絡んでいないなどとは到底考えられない。原子力発電行政そのものを進めてきたのが国だからである。
コメント (5)
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