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新聞の片隅に載ったニュースから(171)    大西五郎

2014年10月06日 18時55分04秒 | Weblog
消費税10% 反対7割超 世論調査 家計負担増、強い懸念(14.10.5 中日新聞)

本社加盟の日本世論調査会が九月二十七、二十八日に実施した全国世論調査で、来年十月に予定されている消費税率10%への再増税に反対する人が72%に上り、賛成の25%を大きく上回ったことがわかった。安部晋三首相は予定通り再増税するかどうかをことし十二月に決めるが、景気に配慮して判断時期を先送りするよう求める声も出ている。
四月に税率が8%に上がった後、家計のやりくりが厳しくなったと感じている人は「有る程度感じている」を含めて82%に達した。財政再建の必要性に一定の理解を示す意見もあるが、再増税でさらに負担が増すことへの懸念が強い。
税率8%への増税が決まる直前の昨年九月に実施した共同通信社の電話世論調査では、賛否はほぼ並んでいた。これに比べて再増税への反対論が広がっており、消費低迷も続く中、首相は難しい判断を迫られている。
再増税に反対するのは、男性が68%だったのに対し女性は77%で、主婦などが家計の厳しさをより強く感じているようだ。大都市よりも小都市や郡部で反対が多いとの傾向も出ている。
反対する理由は「低所得者の負担が重くなり過ぎる」が49%で最も多く、「景気に悪影響を与える」が
19%で続いた。賛成する理由は「年金・医療などの社会保障制度を維持するため」が52%と最も多かった。
反対した人に政府がどうするべきか聞くと「十二月に判断せず、景気動向を見極める」が46%で最多だった。一方「再増税は実施しない」は26%にとどまり、将来的な再増税の必要性を感じている人も多いようだ。
四月の増税前と比べて「消費を控えている」と答えた人は41%だった。再増税時の負担軽減策では、生活必需品の消費税率を低くする「軽減税率」の導入が60%でトップだった。
日本経済の先行きに対する不安を「大いに感じている」「ある程度感じている」とした人は計86%に上る。その理由は「少子化と人口減少が進む」が53%を占めた。

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「共同通信が昨年九月に実施した調査」というのは、14、15の両日実施したもので、中日新聞が16日朝刊で紹介しています。8%への引き上げ「反対」が50.0%、「賛成」が46.8%でした。共同通信は10月1、2日にも全国緊急電話調査を行いましたが、このときは8%への引き上げには「賛成」53.3%、「反対」42.9%でしたが、2015年10月からの10%への再増税には61.6%が「反対」しています。8%への引き上げは社会保障費の確保のためには「止むを得ないか」と考えたであろう人も、10%への引き上げには抵抗が強かったようです。さらに今回の調査では「反対」が72%にまで増えました。生活の実感から再増税には抵抗が強まったことがわかります。
安倍首相は「国民に丁寧に説明する」といいながら、国会答弁などでも自分の考えを述べ立てるだけです。こうした国民の声を素直に受け止める政治を行なうべきです。
                                          大西 五郎
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世界経済史の今を観る、番外編 随筆「退廃極まる政治」   文科系

2014年10月06日 16時40分02秒 | Weblog
随筆「アメリカ共和党に見る退廃極まる政治」
  

 12年の米大統領選挙で、この演説ほど話題になったものはあるまい。こう解説されて大評判になったものだ、
「オバマは税を払わない奴のための政治。私は納税者のために働く」

『九月二六日。ロムニー陣営の幹部らは米キニピアック大などが発表した世論調査に青ざめた。中西部オハイオ州で十ポイント、南部フロリダ州で九ポイントという大差でオバマ氏が支持率の優位をみせたからだ。数ポイント差の接戦とされていた両州でロムニー氏の劣勢が濃厚になった。(中略)
 支持率低下の最大の要因は相次いだ失言だ。
「オバマ氏に投票する四七%の国民は政府に依存し、自分は被害者で政府が面倒を見る必要があると考えている。所得税も払っていない」――。庶民感覚のない大富豪ぶりを指摘されてきたロムニー氏だが、その印象は決定的になった。弱者切り捨てと受け取られかねないだけに、共和党内部からも批判が集中した。(以下略)』(日経新聞)

 さて、選挙演説でこう話す感覚!?それが大統領有力候補の口から出るアメリカって、一体どういう国なのか。この演説のさわり部分は、日本なら明治時代にあった「制限選挙制度」の考え方と親類なのだから。「選挙権を持つのは、○○円以上の納税者男子とする」というあれである。こういう人を大統領候補に選ぶ政党が確か下院では多数党だった。訳が分からないが、こういう傾向がこの三十年ほどかの国に打ち続いた重大な政治変化に起因するのは明らかだろう。

 八一年に始まったレーガン大統領の政治は、なんと「画期的」なものであったか。大減税を行った。それも大金持ちには、特に。また、こう称して、法人税減らし、投資資金控除などにも邁進していった。
「一般消費者の側ではなく供給側をこそ、これからは刺激していく。そういう景気対策をとる」
 すると、凄まじい格差が生じた。だぶついたこれらの所得、資金でもって今度は、こんな画策が始まる。八〇年代急成長をとげた中南米、アジアなどで汗水垂らして蓄えた金が、九十年代には一夜にしてアメリカに奪われていくことになる。通貨危機という形で世紀の移り目に世界中で起こったマネーゲームがそれだ。全国の大学経済学部のために作られた教科書から、そのアジア通貨危機の発端、九七年のタイ国の一例を抜き出してみよう。
『投機家はタイに自己実現的通貨投機をしかけた。一ドル二五バーツに事実上固定していたタイ・バーツが貿易収支の悪化から下落すると予想し、三ヶ月後に二五バーツでバーツを売りドルを時価で買う先物予約をすると同時に、直物でバーツを売り浴びせた。タイ中央銀行は外貨準備二五〇億ドルのほとんどすべてを動員して通貨防衛を試みたが力尽きた。』(東洋経済「現代世界経済をとらえる VER5」二〇一〇年。一二一頁)
 これは、その五年前にヘッジファンドの雄ジョージ・ソロスがイングランド銀行を、空売りでもって完敗させたのとそっくり同じやり方である。ソロスは、東西ドイツ統一でイギリスからドイツへとマルクが還流していくと見越して、ポンドの空売りとマルク買い攻撃をしかけたのである。なお、空売りとはこういうものだ。間もなく安くなると見込んだ通貨、株などを大量に借り受けそれを売り、最も安くなった時を見計らった安値でこれを買い戻して貸し主に現物を返すことによって、その差額を取得するという手法だ。元金はその借り受け株や通貨などの総額の4%ほどを見せておくだけでよいから、25倍ほどの大ばくちが打てるというやり方でもある。

 このようにしてアメリカには、日本より遙かに激しかった超格差がもっと膨らんでいった。〇五年には、一%の国民が国民所得の二二%を占めるというように。この非人間的社会現象を前にしたら、こんな説でも流布させるしか自己防御術はないのだろう。
「大金持ちの金は、サービス業などにも大いに流れていくのだ」
 これをトリクルダウン説という。トゥリクルとは、ぽたぽたと滴り落ちるという意味だ。「下」の人をバカにしていてふざけたような表現と僕は感じるが、確かに幾分かそうなるには違いない。が、何十億円ものボーナスが付く人々も多いこの超格差を打ち消す勢いでこんな喧伝がなされてきたというのが、いかにも今のこの国らしい。
 これらの出来事すべての間にも、アメリカの軍事費はいっこうに減らなかったのである。それまでの軍隊強化の口実、「冷戦」が終わったというのに。こういう「口実創造」、意識して国家の敵を作り出すやり口も含めて、これもお金持ち本位政治の国ということなのだろう。こうして八十年代以降のアメリカは「好景気に沸き続けた」のだそうだ。ただこの好景気も基本的には金融が儲けただけであって、ITバブルを除いてはアメリカの製造業はどんどん衰えていくことになる。貿易収支の大赤字がその証拠と言われ、この赤字を支えてきたのは日本や中国などだ。米国への輸出などで儲けた金をアメリカに還流させ、この金でアメリカがこれらの国の商品をさらに買い増し、アメリカの家計赤字などを増やしてきただけだったと、これも今や通説である。こんなやりかたも、ドルが基軸通貨だったから可能だったこと。次第にこんな手は使えなくなってきたから、ドルはどんどん安くなっていくはずだ。そしてさらに何よりの悲劇はこれ。アメリカのこの金融本位経済がサブプライム住宅バブル爆発で、一兆ドルを超える莫大な国家赤字を積み足したことだ。その分「軍事を削るか、福祉を削るのか」との国論分裂も激化したりしつつ、ドルはさらに安くなっていくのだろう。これではアメリカは、中国が怖いわけである。中国はどうも、作られた「強敵」ではないようだ。アメリカから儲けた金で大量のドルと米国債を所有し、その金で軍事力も強化してきた。嘘の理由でイラクに戦争を仕掛けたなど強面一本でやってきたアメリカ流儀も、中国にはどうも通じそうもない。元安をどうやって崩せるか。さもなくば、覇権の交代がおこるのか。とにかく日本だけは味方に付けておかねばならぬ。そして、あわよくば、アメリカの前衛部隊、楯になっていただけないものか。

 以上の間中、金融によって整理統合・合理化されるだけだったアメリカ現物経済は、失業者、半失業者を、つまり相対的貧困者をどんどん生み出し、国としての購買力をなくしているのだ。これでどうして景気が良くなるのだろうか。アメリカはもちろん、世界の景気も。いや、万一こういうやり方すべてを前提として「アメリカの株価にかぎって景気が良くなった」としても、人類にとってどんな意味があるというのだろう。憎しみの連鎖から、世界が滅びていくのではないか。

 ロムニーの発言は、この三〇年かけてアメリカがたどり着いた「到達点」なのでもあろう。
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世界経済史の今を観る(5)08年バブル破綻と救済の構造   文科系

2014年10月06日 02時16分31秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 1970年代初頭の金本位制、固定相場制崩壊以降には、小さなバブルとその破裂は無数に起こっているという。IMF(国際通貨基金)の08年調査によればこのように。
『1970年から2007年までの38年間に、208カ国で通貨危機が、124カ国で銀行危機が、63カ国で国家債務危機が発生しています。金融危機は、先進国、新興工業国、開発途上国を問わず、アジア、ヨーロッパ、南北アメリカ、アフリカを問わず起こっていたのです。これに対し、第二次大戦後1970年以前の時期には、国際金融危機や大規模な一国金融危機はほとんど発生していません』(岩波ブックレット12年刊 伊藤正直・東京大学大学院経済学研究科教授「金融危機は再びやってくる」P3)

 また、08年のような史上かってなく大きなバブル崩壊について、必ず起こるとも予言されてきたのである。経済学者からはもちろん、高等数学が分かる人からも。例えば、数学者である藤原正彦・お茶の水女子大学教授はその著作「国家の品格」(新潮新書 06年4月第24刷分)でこう予言していた。
『新聞等ではなぜかあまり騒がれておりませんが、このデリバティブの残高が、国際決済銀行の発表によると2004年時点で1兆円の二万五千倍と言われています。二万五千兆円ですね。わずか三年前の残高の2.2倍です。ここ10年では25倍という恐るべき急増です。多分、京(きよう)だか京(けい)だか知りませんが、2京五千兆とでも言うのでしょう。・・・・リスク率を4%と仮定しても、一千兆円です。銀行やヘッジファンドはデリバティブの主役ですから、大規模デリバティブが一つでも破綻すると、その瞬間に資金の流れが止まり、連鎖的に決済不能に陥ります。一千兆円という数字は、銀行のリスク許容能力である自己資金の総額の数倍にも達しているのです。・・・・いつ世界経済をメチャクチャにするのか、息をひそめて見守らねばならないものになっています。しかもなぜか、これに強力な規制を入れることも出来ない。そもそもマスコミはこれに触れることすら遠慮している。』(p32~34)
 上の「デリバティブ残高」と「リスク率4%」というのは、レバレッジ、証拠金取引ということに関わっている。通貨、債券、株式などの先物買いなどのデリバティブ(金融派生商品)取引は、「想定元本」の取引を、その4%ほどの証拠金でもって行うことができる。つまり手元資金の25倍ほどの梃子を利かせる大ばくちが出来るのである。逆を言えば、儲ける場合の金額も大きいけれど、自己責任が負えないような大損もあるということだ。

 こういうものが破裂して、さて世界はどうなったか。今は、どうなっているのか。こんな重大なことが、藤原氏も言うように、その後のマスコミで追跡調査や反省などほとんど社会問題として正しく反省されたようには見えないのである。全く不思議なことだ。アメリカ政府資金だけでも1兆ドル遙かに超えるほどに使ったはずの公的出来事なのに。こんな不思議な事態は、金をもっている権力者たちが政府ぐるみでその権力をフルに使ってあらゆるマスコミ社会に対して口止めをしているとしか僕には思えない(藤原氏もそう思っているはずだ)。新自由主義社会の最大の恥部をみんなして隠しているわけである。これほどにおかしい問題処理をしておいて、「アベノミックスの超株高!」とか「アメリカ株価、リーマン以前に戻す!」とかを今叫んでいるのでは、世界が今回と同じ政府資金投入という社会主義的不公正・弥縫対策を何度も繰り返すことになるのは、必然だと思う。今現在でさえ、日銀・政府が日本最大の株式などの所有者であるという事実を、どれだけの人々が知っているだろうか。政府が率先してバブルを作っているとも言えるのである。量的緩和というのが、そういう意味だとさえ言えるのである。つまり、バブル育成は、今の先進諸国家の常態になっている。現在の株高にはこうして、実態的な性格がどれだけあると言えるのだろうか。
 上記伊藤正直氏著作の題名「金融危機は再びやってくる」とは、そういう意味なのである。

 この間、根本的に「正しく」景気、購買力をよくするべく、世界先進国の失業者に職を与えるとか臨時、パートを正規職に変えるとかは、世界で何も進んでいないのである。世界の先進国の失業者たちになんの変化もない「景気」「株高」に、どんな意味があるのか。だからこそ資本で物を作っても何も売れないから、資本がどこでも、何度もマネーゲームに走るしかなかったのではないか。その元凶連中は100億とかのボーナスをもらって食い逃げしていくだけでなく、その会社は国家救済までされるのにである。彼らに騙されるようにして家を買わされ、数年で高い利子に替わって払えなくなり、その虎の子の家までを取り上げられたうえに借金漬けにされたサブプライムローンの人々は、その一生をめちゃくちゃにされたのである。アメリカだけではなく、ギリシャでも、スペイン、ポルトガル、イタリアでも同じことが起こったのである。
これは戦争と同じだ。それも、バブルの膨張、破裂のたびに何度も繰り返される戦争。

 数百万のサブプライム家庭を殺したにも等しい投資銀行幹部たちは大儲けをした「英雄」、「セレブ」のまま。対するに、たった一軒の家のローンが払えなくなった人々はその人生を殺されたにも等しいということだろう。こんな事を何度繰り返すというのか。なんと不思議な世の中なのだろう。
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