「撃ち方やめ」報道 首相側近「私が言った」説明を修正(14.10.31 朝日新聞)
朝日新聞や他の全国紙などが30日付け朝刊で、安倍晋三首相が側近議員に「撃ち方やめになればいい」と発言したと報じたことについて、首相は30日午前の衆院予算委員会で、朝日新聞を名指しして「捏造だ」と発言した。朝日新聞などは、29日に首相と側近議員の昼食会の様子を出席者に取材するなどして記事化した。しかし、朝日新聞が取材した出席者は30日夕、「撃ち方やめ」は自分の発言だったと述べ、首相の発言だったとしたこれまでの説明を修正した。
この出席者は29日の昼食会後、複数の報道機関の記者に対して首相の発言として説明していた。朝日新聞は30日付朝刊4面で「首相『撃ち方やめになれば』」の見出しで、首相が29日の側近議員である萩生田光一総裁特別補佐と山本一太前科学技術担当相との昼食会で、民主党の枝野幸男幹事長をめぐる政治資金問題が発覚したことを受け、「これで撃ち方やめになればいい」と発言したと伝えた。
だが首相は30日午前の衆院予算委員会で枝野氏の質問に対し、「きょうの朝日新聞ですかね、『撃ち方やめ』と私が言ったと報道が出た。これは捏造です。朝日新聞は安倍政権を倒すことを社是としていると、かつて主筆がしゃべったということです。私に確認すればすぐ分かることです。私が言ってもいない発言が出ているので、大変驚いたところです」と発言した。
朝日新聞が取材した出席者は30日夕、複数の報道機関の取材に、「私が『これで、撃ち方やめですよね』と言ったら、総理たちも理解を示した」と、これまでの説明を修正した。
また枝野氏は同日午後の記者会見で、「産経新聞、毎日新聞、日本経済新聞、共同通信、そして朝日新聞が報道している」と指摘。「一般的に考えて、これだけ各社そろって同じ報道をしているということは、捏造だと主張する側に証明する責任があると述べた。
朝日新聞が菅官房長官に30日午後の記者会見で政府の見解について聞いたところ、菅氏は「首相自身が自分の言っていないことを書かれたからそう言ったのじゃないかと思う。政府の立場で申し上げることは控えるべきだと思う」と語った。
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実際に30日の産経新聞、毎日新聞、日本経済新聞、共同通信(47NEWS)に当たってみました(産経新聞は名古屋配達では31日)。各紙とも首相が「撃ち方やめになればいい」と発言したと報じていました。
首相が閣僚や政務官などの「政治とカネ」の問題が次々に明らかになっている時に民主党の枝野幹事長の政治資金収支報告書に収入の一部が記入されていないことが判って、これで任命責任者である自分への批判をかわそうとしたと考えたのだと思いますが、そのことが表に出ると首相が批判されると考えて、側近に発言を修正させたのだと思います。(朝日新聞では「昼食会出席者」となっていて、発言者の氏名は伏せられていますが、産経新聞は「首相は萩生田光一総裁特別補佐にこう語った」と、説明者が萩生田氏であることを明らかにしています。)
安倍首相は国会の答弁などでも質問者に反論したり、質問されてもいないことを永々と説明(主張)したりして、野党議員から「傲慢だ」と指摘されていますが、首相は批判されることを極端に嫌う性格があるようです。批判が止まる「撃ち方やめ」を望んだことが十分推測されます。
大西 五郎