業者と接触「業務」 情報漏洩問題岐阜県警が回答(14.11.26 朝日新聞)
岐阜県大垣市での風力発電施設建設をめぐり、反対運動に関わりの無い市民運動家らの個人情報を事業者にもらしていた岐阜県警が、住民抗議に対し、事業者との接触を認めた上で、「通常行なっている業務」と回答していることがわかった。
中部電力の子会社「シーテック」(名古屋市)の議事録によると、昨年8月~今年6月、県警は同社に対し、無関係の住民の病歴や学歴などを伝え、県警が職務上知りえた秘密を漏洩していた疑いがもたれている。
19日付けの「回答」は県警本部長名。住民側は謝罪や再発防止策など5点を求めたが、回答はそれには対応せず、「公共の安全と秩序維持に当たるという責務を果す上で、通常行なっている警察業務の一環である」などとした。県警刑務部は取材に対し、個人情報を集め、事業者に漏らしたことについては「今後の活動に支障があり、答えを差し控える」と話した。
住民側の山田秀樹弁護士は「事業者が認めている以上、県警は接触までは否定できなかったのだろう。住民運動を敵視し、無関係の人の情報まで集め、企業に流したことを包括的に認め、開き直ったと憤る。右崎正博・独協大学教授(憲法学)は「警察が情報収集し第三者に提供する場合、県の個人情報保護条例によって必要な範囲に限られる。風力発電施設の建設反対は該当しない。今回は病歴や学歴の情報をもらしており、重大な人権侵害だ。」と述べています。
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この問題は今年7月に明らかになったものです。シーテックは大垣市上石津町と関ヶ原町に16基、最大出力4万8千kWの風力発電施設の建設を計画していますが、上石津町の上鍛冶屋地区は建設に伴う土砂崩れや低周波による健康被害などを懸念して、測量に伴うシーテック社の立ち入り反対を決議しました。これに対して大垣警察署が反対運動のリーダーについての情報や大垣市在住でダム反対などの運動家の女性・同市内の法律事務所の名前を挙げて、地区の反対運動がそういう所と連携することを心配していると告げました。そしてダム反対の運動家の学歴や法律事務所の事務局長の病気のことなどの個人情報をシーテック社に伝えたというものです。
これに対して上鍛冶屋地区の住民代表は岐阜県警本部長や県公安委員会に事実関係の調査と報告を求めましたが、回答がないため、シーテック社に情報を漏らしたとされる県警職員4人を地方公務員法違反の疑いで岐阜地検に告訴していました。それに対する県警の回答です。
この事例は、警察が住民運動などを常時監視していることを示したものです。いつの間に特高警察が復活し、治安維持法や国防保安法の時代に戻っているのでしょうか。
この問題について秘密保全法に反対する愛知の会は「この事件は私たちが指摘してきた、秘密保護法による国民監視の濫用によって市民の権利が侵害されるという事態が、いままさに進行していることが明らかになりました。この事件は、国家による国民監視を進め、市民の自由を萎縮させる秘密保護法が施行されてはならないことを示したものです」という声明を発表しています。
大西 五郎
岐阜県大垣市での風力発電施設建設をめぐり、反対運動に関わりの無い市民運動家らの個人情報を事業者にもらしていた岐阜県警が、住民抗議に対し、事業者との接触を認めた上で、「通常行なっている業務」と回答していることがわかった。
中部電力の子会社「シーテック」(名古屋市)の議事録によると、昨年8月~今年6月、県警は同社に対し、無関係の住民の病歴や学歴などを伝え、県警が職務上知りえた秘密を漏洩していた疑いがもたれている。
19日付けの「回答」は県警本部長名。住民側は謝罪や再発防止策など5点を求めたが、回答はそれには対応せず、「公共の安全と秩序維持に当たるという責務を果す上で、通常行なっている警察業務の一環である」などとした。県警刑務部は取材に対し、個人情報を集め、事業者に漏らしたことについては「今後の活動に支障があり、答えを差し控える」と話した。
住民側の山田秀樹弁護士は「事業者が認めている以上、県警は接触までは否定できなかったのだろう。住民運動を敵視し、無関係の人の情報まで集め、企業に流したことを包括的に認め、開き直ったと憤る。右崎正博・独協大学教授(憲法学)は「警察が情報収集し第三者に提供する場合、県の個人情報保護条例によって必要な範囲に限られる。風力発電施設の建設反対は該当しない。今回は病歴や学歴の情報をもらしており、重大な人権侵害だ。」と述べています。
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この問題は今年7月に明らかになったものです。シーテックは大垣市上石津町と関ヶ原町に16基、最大出力4万8千kWの風力発電施設の建設を計画していますが、上石津町の上鍛冶屋地区は建設に伴う土砂崩れや低周波による健康被害などを懸念して、測量に伴うシーテック社の立ち入り反対を決議しました。これに対して大垣警察署が反対運動のリーダーについての情報や大垣市在住でダム反対などの運動家の女性・同市内の法律事務所の名前を挙げて、地区の反対運動がそういう所と連携することを心配していると告げました。そしてダム反対の運動家の学歴や法律事務所の事務局長の病気のことなどの個人情報をシーテック社に伝えたというものです。
これに対して上鍛冶屋地区の住民代表は岐阜県警本部長や県公安委員会に事実関係の調査と報告を求めましたが、回答がないため、シーテック社に情報を漏らしたとされる県警職員4人を地方公務員法違反の疑いで岐阜地検に告訴していました。それに対する県警の回答です。
この事例は、警察が住民運動などを常時監視していることを示したものです。いつの間に特高警察が復活し、治安維持法や国防保安法の時代に戻っているのでしょうか。
この問題について秘密保全法に反対する愛知の会は「この事件は私たちが指摘してきた、秘密保護法による国民監視の濫用によって市民の権利が侵害されるという事態が、いままさに進行していることが明らかになりました。この事件は、国家による国民監視を進め、市民の自由を萎縮させる秘密保護法が施行されてはならないことを示したものです」という声明を発表しています。
大西 五郎