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時短を世界的問題にしたい  文科系

2017年02月20日 16時53分35秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 この文章は、ここのところ僕が提起してきた「6時間労働論」の現時点における要約です。なお、6時間と僕が語って来たのは便宜的な一例と言うか、ある経済学者の以下のような提言との中間を取ったものというか、まーそんなところ。この間たびたび引用してきたその経済学者は「週20時間労働」を「提案」しています。そして、グローバリゼーションを主導してきた英米などが、リーマン・ショック、「百年に1度の危機」で言わば大きすぎる破綻を来してどんどん内向きになり始めた現在、8時間からの短縮がそんな遙か彼方のことではないと示してみたいもの。これが30年程で実現するかどうかはともかくとして、もっと激しく論じられるように必ずなると思います。

『私は非自発的雇用の解決には労働時間の大幅な短縮が必要だと考えている。具体的には、週40時間、1日8時間の現行法定労働時間数を、週20時間、1日5時間に短縮するように労働基準法をあらためるべきだと考えている。企業による労働力の買い叩きを抑止するためには、年間実質1~2%の経済成長を目指すよりも、人為的に労働需要の逼迫を創り出すほうが有効だからだ。経済学者は、そんなことをしたら企業が倒産すると大合唱するかも知れない』(高橋伸彰立命館大学教授著「ケインズはこう言った」、NHK出版新書2012年8月刊)。
 なお、高橋氏は通産省大臣官房企画室主任研究官、米ブルッキングス研究所客員研究員などを歴任された日本経済論、経済政策の専門家です。

 さて、こういう議論がなぜ間もなくおおいに日程に上ってくると思うのか。以下の理由が上げられるでしょう

1、8時間労働制は、1894年のイギリスで成立し、1919年のILO条約で世界的な原則となりました。よってこれは、人類史としては19世紀の遺物とも言えます。それ以前産業革命後の子供女性労働者も含めた無制限労働時間制という時代から、「世界一斉の」8時間労働制なったわけです。この成立史が、以下のような現情勢がら世界的議論に上らざるを得ないと、まず言いたいのです。

2、20世紀70年代までの各国経済政策の指針になっていたケインズ経済学は、需要サイドの経済学と言われました。国家財政政策でもって有効需要を作り出し、失業者を出さないようにする理論と理解されています。
 それが、70年代に現れた経済現象、スタグフレーションなどをきっかけとして供給サイド経済学全盛に替わったことによって、昨今この30年程の金融グローバリゼーション世界が生まれました。そして今は、その結末であるリーマンショック不況によって、グローバリゼーションに世界的反省が始まった時期とも言われています。
 グローバリゼーションの結末「1%対99%」へと主導してきた米英が挫折して内向き経済に変わってきたのが、その証拠とされています。こんな情勢では、需要サイド経済学であるケインズ理論が話題にならざるを得ない訳です。

3、需要サイドから現世界経済を観た場合には「1%対99%」の大きすぎる格差や、現世界に溢れかえる失業者、不安定雇用者の問題はとてつもなく大きなものになります。ちなみに、近代世界史に反しているという意味でも。
 政治的民主主義は18世紀世界史の産物であり、これによって権利としての「機会の平等」が世界万人に一応認められる事になりました。グローバリゼーションへの反省が始まった今は、この「機会の平等」が「結果の平等」に繋がっていなかったとして大きな反省が必要になるはずです。
 一方でまともに投資する場所がなくなった金が短期投資としてのマネーゲームに明け暮れ、他方に南欧、中東、北アフリカなどの若者失業者の大群とか、日米などの不安定雇用者の群れ。「機会の平等」世界が、どうしてこんなに大きな「結果の不平等」を生んでしまったのでしょうか。日本などではどうして、19世紀の遺物である8時間労働制がこんなにも容易に無視されているのでしょうか。

4、さて、金融グローバリゼーション政策が貫かれてきた現世界先進各国は、どこも有効需要に困っています。ちなみにまた、日中のような輸出型国家ほど、内需に困っています。不安定雇用者・長時間労働増も含めて給料水準を低くしてこそ輸出型経済でありえたという過去があるからです。ところが今、安倍首相、麻生財務相らが「給料を上げてくれ。内部留保が多いのにそうしない会社は、守銭奴である」等と叫び続けてきました。これは、例えポーズに過ぎないと観る経済学者でさえこういう狙いを観るはずです。世界的需要不足に抗して内需を高めてデフレを克服し、軽度のインフレーション経済を作り上げ、景気を上向きにしたいという狙いです。

5、世界的需要不足の震源地としても、失業者や不安定雇用者が今後特に問題になると思います。それとともにグローバリゼーションに抗する流れですが、ここまでも強調されてきたワークシェアが更に声高に叫ばれていくでしょう。ワークシェアは、失業者・不安定雇用者の救済であるとともに、長時間労働の解消、有効需要の創出の問題、さらには時短に繋がっていく要求でもあると思います。


 失業問題とこそ挌闘したケインズが今のこの世界を観たら、こんな豊かな世界に失業者が溢れていたり、8時間労働も守られなくなっていることに驚嘆する事必定です。金融グローバリゼーション世界がそれだけ歴史的後戻りをして来たという事だと思います。
コメント (1)
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