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米の対中政策で一言   文科系

2017年08月17日 08時22分47秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 表記のことに関わって、一言。

 トランプが、予想外れなほどに中国への姿勢が柔らかいとマスコミが報じている。
「まるで揉み手をしながらのように、ニコニコと・・」
 こう描いてきた新聞もある。何故なのか、この答えは軍事論議では到底分からないが、政治経済論議史を踏まえた観点からは、かなり容易になること。
 米産品を世界一の格差がある中国の金持ちたちに買って欲しいこと。次いでそれ以上に、元の完全自由化も含めて金融自由化を「お願いしたい」のである。アメリカが唯一得意なマネーゲーム、株操作、為替操作、デリバティブ売りなどによって、この国に累積した世界一の黒字収支分を掠め取りたいということだろう。
 だがこれは相手の制度問題絡みであって、「お願い」しかないのだから、無理。いくら揉み手をしてお願いしても。中国がユーラシア大陸とその海回路のインフラ整備で莫大な有効需要を作ってさえ、それに割り込むことさえも出来ないはずなのだ。これでもって、BRICSの連携こそは更に種々進むのだろうが。

 だから結局旧ソ連にやったように中国に軍拡競争とか、経済イチャモンから経済制裁というブロック経済主義的戦略を仕掛け返すことになろうが、軍事はいざ知らず、経済では日が昇る国と沈む国。随分複雑で、どういうことになるのか? これは、「帝国の興亡」というお馴染みのテーマだが、ここにおいて旧帝国は血みどろの存続戦に世界を引き込むのであるか?

「対中国の近い将来に、アメリカからゴルバチョフが出るか否か?! それこそが世界の最大関門である」
 と、こう問うたのが、伝統的イギリス経済学出身の老政治経済学者にして大の知日家、ロナルド・ドーア
。ソ連のゴルバチョフが「負けた」と諸手を挙げたから、両国の血みどろの戦いが避けられたという意味である。

 なお、ドーアは、もう一つの「平和的な帝国引退」例をこう挙げている。
「第二次世界大戦後には、世界の4分の1を領していた大英帝国が、その座を平和裏に降りるという奇跡が起こった」

 上記のイギリスとソ連、この両帝国の史上珍しい大英断には、どんな原因、背景が存在していたのだろうか。20世紀世界史における民主主義の発展、人の命の同じような大事さという感じ方、考え方の進展。この事は間違いなく原因の一つだったと思う。
コメント (2)
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随筆  酷いスイミングスクール   文科系

2017年08月17日 06時04分30秒 | 文芸作品
   酷いスイミングスクール


〈やっぱり、息継ぎの時に下半身がかなり沈んでしまう。これじゃーこの昇級試験もダメ、パスしないだろう。八級に上がる試験は難しいとずっと聞いてきたけど、もう四回落ちることになるんだなー……〉。Mスポーツクラブ三階観覧席のラス越しに一階の二五メートルプールを懸命に泳いでいるハーちゃんに目を懲らしながら、僕はそう呟いた。
 三〇分後、着替えて戻って来たハーちゃん。苦笑いと自嘲とを混ぜ合わせたような顔で近づいてくると、黙って通知表を渡す。案の定、五項目各四点ほど計二〇点の点検項目が今日も一つ埋まったきり。あと三つほど残っている。

M総合スポーツクラブのスイミングスクールに孫のハーちゃん、もうすぐ七歳の女の子が通っている。大変流行っていて、土曜日などは一レーンに子ども十数人。つまり、六レーンなら八〇人を見て、これが一時間。ウイークデーの参加者は少なくなるにしても、土日のそれぞれ数時間だけでも何百人になろうかという大変な人気教室である。
 今のハーちゃんは、二五メートルをしっかりしたフォームで泳げるようにするクラスに居る。ところで彼女は、前のクラスまでは、スポーツ好きの僕が傍らで教えてきたこともあって、このクラスに入る直前には既に二五メートルを泳ぎ切ることが出来ていた。これは、僕自身が確認していることなのだ。それが、このクラスで確か八か月ほどになる現在、フォームも悪くなっていて二五メートルを泳ぎ切るのもあっぷあっぷなのである。当然二か月に一度の昇級試験にも、もう四回も落ちている。頑張って通っている彼女が落ちて帰ってくる日などは、可哀想でならない。

 さて、ハーちゃんの通知表のあちこちに目を配っていると、たまたま四月に赴任した新しい担当の先生が通りかかった。そこで、思い切ってこう切り出してみたのである。
「お尋ねしたいんですが、この子はこのクラスに入ったときはもう二五メートル泳げていたんですよ。それがいまは……?」
 と通知表を示しながらの僕の言葉に対して返ってきた返事に、僕はまー驚いたこと! なんと、平然と、こう返してきたのである。
「悪い癖がついたんでしょうね」。
〈そんな事は分かりきっている。悪い癖がつくと、子どもの場合は特に長い長期停滞が起こることも。でも、だからこそ悪い癖を付けないようによく注意していて、付いてしまったら芽の内に摘み取るべく早いうちに直すのがスクールというものだろう。それを「よくある普通のこと」と放置して憚らぬこの応対は一体何なんだ?!〉
 これが、月四時間のプール使用料金も含めてだが八千円というお金を取るスクールなのである。“それにしても……クラス人数の多さはどうなっているのか? ”などなど、返す言葉を考えているうちに、その先生は向こうに行ってしまった。
 なお、このスクールには別料金を払う特別授業というのがあって、速く進みたい人はこれを希望することも出来る。すると当然こんな推察も自然に起こってくるというもの。
“普通クラスで悪癖がついた子どもは儲けもの。昇級したければ金を出すだろう”。そう言えばこのスクールはハーちゃんと同じ癖を持った子が過半数とも見えるほどに異常に多いのである。この癖は、クロールでは最も多いものということも付け加えておこう。

 まー、こういうスクールを選んだ親が悪いのだ。この悪癖も。長期停滞も。そして昇級試験に何回も落ちることによってスポーツ成功体験を乏しくして、水泳を嫌いにするというやり方も。ついでに、普通の成功体験を得ようとすると大金が必要になる仕組みまでも。これら全部ここを選んだ親が悪いのだから、この責任は大金払って取り返せということも含めて、親の選択なのである。これらは、「事前によく調べたら分かること」なのだから。ただし、どう調べて良いのか? 

四年近くかかってこういう内情が分かった以上、このスクールを止めさせようと思う。幸いすぐ近くに僕が通っている市営のスポーツセンターがあって、そこのプールには有志先生らが家族的にやっている小集団の子ども教室がいくつもある。皆が微笑みながらやっている雰囲気が楽しそうで、子ども同士の会話などもずっと多そうだ。料金も遙かに安い。
 Mスポーツクラブに通っている連れ合いの料金は「月」八〇〇〇円。対するに、市営クラブ・ジムにだけ通っている僕の高齢者定期券は「年」四二〇〇円で、毎日通ってもこの値段は変わらないのである。別に高齢者向けプール回数券は一一枚千円で、ハーちゃんの小学生料金一回二百円を含めて僕と二人の教室なら一回三百円。こりゃ、僕が当分ここに時間を使うことになるのかな。

コメント (3)
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