日米声明の焦点、「台湾問題」には、実におかしな論理が使われていると思う。最近のアメリカ外交に特徴的な「先制的防衛」論理とでも言えるようなものだ。それは、こういう理屈でなり立っている。
①近い将来中国が台湾に武力を行使することは確実だから、それに対して備えをしなければならぬ。
②それが日本にとっても死活問題だから、日本も応分の備え、負担をしなければならぬ。
③そもそも、これらの前提としてこういう論理がある。台湾を一つの独立国として、中国国内問題扱いにはしない。
はじめに、なによりも③についてだが、これは複雑な歴史のあることとて、今はこれだけを示しておく。もし国際問題だとしたら、今の国際法下では何よりも国連において扱うべき事だろう。アメリカが「①の戦争は必然、対処方を」などと勝手に決めて、それに備え、それを日本にも押しつけるということ自身がおかしいのである。アフガニスタン、イラクすべてアメリカによる有志国戦争という国連・国際法無視として起こった。
その上で①だが、「中国が近く台湾に武力を使う」とどうして断言できるのか。ここがこの声明の一番おかしいところだ。こういう未来断定に基づくアメリカの先制的「防衛」論こそ、近年の世界平和を最大限乱してきた基ではなかったか? こういう論理で相手国に臨めば、そこからはチキンレースしか出てこないはずだ。
ちなみに米中問題とは結局すべて、アメリカの7割にまでになった中国のGDPがこれ以上進むことをアメリカが容認できないというだけのことではないのか。としたら米中問題とは、国際的正当性も何もないアメリカの言い掛かりに過ぎぬものだろう。