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サッカーライター、西部謙司の慧眼   文科系

2021年04月20日 00時21分25秒 | スポーツ

 サッカーダイジェストにあった識者30人による順位予想において、西部謙司の慧眼を指摘しておきたい。ただし、今のところはという条件を付けて。

 西部は、名古屋を2位に上げ、鳥栖を5位に上げているのである。名古屋については、1位が1人、2位が4人いるからまだ分かるとしても、鳥栖の5位はちょっと凄くて、よく観ていたというよりも調べていたと評するほかはない。識者の予想ならば、何よりもよく調べてみることだと思う。あとの29人の鳥栖評価は良くて10~12位が各1人ずつだったから、彼らは鳥栖については何も調べていなかったということになる。鳥栖の現状からすれば、今後も結構「地力を発揮して」、5位前後にはなっていくと、今なら僕も思うからだ。このオフに新たに取った選手、酒井、飯野がぴったり嵌まりすぎているのは、予想外のJ2新潟独走に名古屋から来たばかりの千葉和彦が嵌まりすぎているのと同一の現象だろう。

 ただこの鳥栖の強化については、一つ著しい特徴がある。昨年において鳥栖のU15、U18が全国制覇を果たしていると知ることができた。川崎や鹿島と同様に育成がとても良いのである。育成コーチでもあった金明輝トップチーム現監督の手腕と並んで、鳥栖というこの地方クラブの力は、どうみても本物なのである。あの名古屋ボールへの組織的寄せの鋭さと、林、酒井の「嵌まり具合」から観て今年5位以内には入るだろうが、今後まだまだ強くなると思う。ただし、この監督が強豪チームに引き抜かれず残っていてくれる限りにおいてはということである。

 この鳥栖を観ていると、僕はなにか、過去にずっと追いかけて行った岡崎慎司を通じてその1年間を見守ることになったレスターのプレミア優勝奇跡を幾分か思い出すのである。2部常連だったチームが起こしたあの奇跡が、2~3年後の鳥栖でも起こらないかなーなどと。レスターのあの奇跡も、監督と、岡崎などチーム組織への適材適所を実現したフロントとの協働の産物であった。
 因みに、この金監督はジェフ千葉時代の阿部勇樹の同僚で、2011年から鳥栖の指導者を始めているとあった。そして、奇しくも鳥栖監督時代のフィッカデンテ現名古屋監督にも仕えていた。

 それにしても、サッカー解説者らの不勉強を、今年の鳥栖ほど晒したものはないのであって、このことはよーく覚えておきたい。今こんな事を言うのは結果論にすぎぬとしても、西部謙司のような人もいるのだから。

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