Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

三人書房

2024-08-11 08:59:32 | 読書
柳川一「三人書房」東京創元社 (2023/7)

*****大正八年東京・本郷区駒込団子坂、平井太郎は弟二人とともに《三人書房》という古書店を開く。二年に満たない、わずかな期間で閉業を余儀なくされたが、店には松井須磨子の遺書らしい手紙をはじめ、奇妙な謎が次々と持ち込まれた──。同時代を生きた、宮沢賢治や宮武外骨、横山大観、高村光太郎たちとの交流と不可解な事件の数々を、若き日の平井太郎=江戸川乱歩の姿を通じて描く。第十八回ミステリーズ!新人賞受賞作「三人書房」を含む連作集。
乱歩デビュー作「二銭銅貨」発表から百年の年に贈る、滋味深いミステリ。*****

5篇からなる連作.受賞作「三人書房」の真相をぼくは評価しない.
「北の詩人からの手紙」グスコー・ブドリの曲解がご愛嬌.
以下の3篇の書き下ろし には,ちょっと乱歩の探偵小説と共通の馬鹿馬鹿しさがある.「謎の娘師」だけには有名人が登場しない.ジェンダーネタは,大正時代だったら受けただろう.
「秘仏堂幻影」もオブラートに包んだエログロ.
「光太郎の<首>」で心理に立ち入るあたり,泡坂妻夫を思わせる.

いとうあつき によるカバーイラストが良いが,舞台となった大正時代には見えない.

三人書房に居候する青年の恋愛は扱われる.でも乱歩がこの時期 読み聞かせ会で知り合ったという坂手島の小学校教師 村山隆子とのロマンスはない.シリーズが書き継がれ,そのうち登場するのかな.

図書館で借用.
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