Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

ジャズ版 アランフェス協奏曲

2024-08-13 10:20:47 | ジャズ

ロドリーゴのアランフェス協奏曲 第2楽章の楽譜を発掘した.総譜ではなくギターの独奏部分だけ.国藤和枝 採譜.定価 200 円.楽譜の奥付けというものには,なぜか年月日がないが,楽譜下に Copyright 1968 by Editions SALABERY, Paris とあった.
おきまりの「禁じられた遊び」に始まり,あの頃はクラシック・ギターに入れ込んでいた.この曲もそれほど難しいとは思わなかった...でも最後までは行かなかった。

ナルシソ・イエペス独奏で日比谷公会堂でこの曲を聞いた.小編成のオーケストラで,開発されたばかりの 10 弦ギターだった.マイクは使わなかったように思う.この頃は第2楽章を退屈に感じていた。

この曲をジャズで演るようになったのは,1960 年 ギル・エヴァンス - マイルズの Sketches of Spain からだろう.なぜ第2楽章だけ? と思ったが,世間のジャズメンが右へ倣え するのに,こちらも慣れてしまった.

原曲の第2楽章は 11 分内外だが,マイルズ版では 16 分超.前半はほとんど原曲をなぞっている.ギターによる高音・高速のアルベジオをフリューゲルホーン / トランペットで聴くと,ギターにはないヒステリックな感じがいい ! トップ画像右は全8ページのうちの5ベージ目.曲の後半の原曲のこのカデンツァや,ブリッジ近くで弾く硬い低音の奏法,フラメンコ特有のラスゲアードが目立つ部分は,Sketches os Spain の別な曲から輸入の輸入で置き換えている.エンディングはまた原曲に戻る.

右はジム・ホールのアランフェスの,あまり話題にされることがない,デヴィッド・マシューズ・オーケストラをバックにした 11 分弱の協奏曲版.ロドリーゴの原曲は # ふたつ (途中3つ・4つに転調) だが  ♭ 系に転調している.オーケストラの部分は,楽器編成は違うが,ほぼ原曲をなぞっているのに対し,ギターソロの部分は自由に弾いている.クラシックギターの奏法も取り入れているが,いつもと同じギターを使っているのかどうか,ぼくには判らない.
ジム・ホール ファンとしては,青ジャケットの CTI 盤 (こちらもキーは ♭ ひとつ) に劣らぬ名演と思う.

モダン・ジャズ・カルテットとローリンド・アルメイダの Collaboration 中のアランフェスは,ギターに関しては全く楽譜通り.イエペスにくらべのと淡々とした演奏.原曲の管弦楽の管の部分をピアノ,弦をヴァイブが受け持っているようだ.こんなことをして,演奏する側としては面白いのだろうかと思いつつ,けっこうぼくは愛聴している.
1992 年 ? の MJQ + アルメイダのコンサートでのアランフェスでは,アルメイダにやや よぼよぼ感があった.カルテットは生音なのに,彼だけはマイクを使った.カルテットの誰よりも彼は年長だったのだ.1995 年に亡くなった.
もっぱら Los Angeles Four のアルメイダとして知られているが,クラシックとジャズの両刀遣い.C 側でのお薦めはひとり二重奏による Bach is Beautiful. Youtube にはなんとクラシック・ギター協奏曲の自作自演が存在している.

1982 年の川崎 燎によるアランフェスは,フロントのギターはもちろん,彼自身が開発したギター・シンセサイザによるバックもふくめ独演の力作.ジャケにはキーボードシンセは一切使っていないとことわっている.
一部 カデンツのバックにギターシンセが聞こえたりするが,基本的には意外なことに全く楽譜通り...と思ったら,最後の2分で暴れてくれた.隠れ名演である.
この方もぼくよりお若いのに,すでに故人.

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