路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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《社説②・12.05》:基礎年金底上げ 負担増の議論 腰を据えて

2024-12-05 09:31:40 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

《社説②・12.05》:基礎年金底上げ 負担増の議論 腰を据えて

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・12.05》:基礎年金底上げ 負担増の議論 腰を据えて 

 年明けの通常国会の焦点の一つとなる公的年金制度改革のメニューが出そろった。本丸は、基礎年金(国民年金)の給付水準の底上げである。

 公的年金制度は2階建てになっている。1階部分が基礎年金で、20歳以上60歳未満の全ての人に加入義務がある。保険料は定額だ。

 その上の2階部分が厚生年金で会社員らが加入する。保険料は報酬に比例し、労使が折半する。

 国民年金は未納者のほか免除や猶予を受ける人も多い。財政は苦しく、将来給付水準が目減りしていくのは確実だ。自営業者やフリーランスなど老後に国民年金しか受け取れない人もいる。底上げは待ったなしの課題である。

 厚生労働省が打ち出したのは、厚生年金の財源の一部を基礎年金に振り分ける案だ。

 これは社会保険の枠組みを大きく崩す上、兆円単位の安定財源が必要になってくる。政府も国会も腰を据えて、負担増の議論と向き合わなくてはならない。

 公的年金の原資は、現役世代の保険料と公費だ。少子高齢化で現役世代が減る一方、高齢者は増え給付の総額は膨らんでいる。このため物価や賃金に応じて給付を抑える「マクロ経済スライド」という仕組みが発動されている。

 財政が堅調な厚生年金は、減額調整が2026年度に終わる。基礎年金では57年度まで続き、給付水準が3割目減りする。そこで厚生年金の積立金を基礎年金に回して終了時期を36年度に合わせる、というのが今回の案だ。

 基礎年金は全ての国民が受け取るので、厚生年金受給者の大半も給付が手厚くなる―。厚労省はこう説明する。

 しかし厚生年金の減額調整は、10年延びる。この間、給付の総額が増えるとしても、厚生年金の給付は抑制されることになる。

 そもそも厚生年金と国民年金は歴史的な成り立ちが異なり、財政も別だ。会社員らの保険料で国民年金の目減りを穴埋めするのは、負担と給付のバランスを崩し、社会保険の趣旨をゆがめる。

 公的医療保険でも、会社員らの保険料が高齢者医療に流用されてきた。現役世代に安易に負担を求めるやり方を続けてよいのか。

 厚生年金の財源を振り向ける必要性と、その場合の負担と給付の見通しについて、まずは詳細な説明が求められる。

 基礎年金の財源の半分は国庫だ。底上げに伴う追加負担分は、70年度には2・6兆円に上る。財源論の先送りは許されない。 

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月05日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張②・12.01】:基礎年金の底上げ 課題隠さず丁寧な説明を

2024-12-01 05:01:40 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【主張②・12.01】:基礎年金の底上げ 課題隠さず丁寧な説明を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張②・12.01】:基礎年金の底上げ 課題隠さず丁寧な説明を 

 年金制度の改正を検討している厚生労働省が、全ての国民が受け取る基礎年金(国民年金)の給付水準を底上げするための改革案を専門部会に示した。

厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館

 現行制度のままでは基礎年金の水準が著しく低下する。その原因である年金財政の悪化を食い止めるため、厚生年金の積立金を重点的に基礎年金の財源に振り向ける案である。

 これにより、将来的に基礎年金の水準を3割程度改善させることができるとみている。

 国民年金のみを受給する自営業者らや、現役時代の賃金が低く年金の少ない人にとって水準低下は特に深刻だ。底上げを目指すのは当然である。

 問題はその手法だ。会社員らが老後のために支払ってきた厚生年金の積立金を、全国民が恩恵を受ける基礎年金に使うことに理解を得られるのか。

 厚労省は、基礎年金の水準を底上げすれば厚生年金を含むほぼ全ての年金受給者の給付水準がいずれは改善するという。だが、当面は厚生年金の水準が現行制度より低下する。

 そこにどう対処するのか。厚労省は制度改正の利点だけでなく、課題も含めて丁寧に説明を尽くさなくてはならない。

 給付水準低下が懸念されるのは、これまでの年金制度の運用で、人口減や平均余命の延びなどに応じて年金水準を抑制するためのルール「マクロ経済スライド」の適用が進まなかったことが大きい。著しく影響が出るのは基礎年金である。

 改革案などによると、基礎年金の給付水準が底上げされる効果が出るのは、国民年金のみの受給者が令和18年度以降だ。

 厚生年金受給者も22年度ごろから底上げされるとみられるが、それ以前の水準が現行制度よりも低下する見通しについて、厚労省は詳細な説明をしていない。当面の給付水準がどのくらい低下するのかなどの点をもっと明確にすべきである。 

 もとより、国民年金と厚生年金では加入者の納める保険料に差がある。厚生年金には企業の負担分もある。積立金を使うのならば、情報開示を徹底して議論を尽くさねばならない。

 基礎年金の財源の半分は税金なので、改革案の実現には、厚生年金の積立金だけでなく、毎年兆円単位の国の財源も必要になる。その確保策も厚労省は明示してもらいたい。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年12月01日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・11.28】:在職老齢年金 働く意欲をそがぬよう

2024-11-29 16:05:15 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説②・11.28:在職老齢年金 働く意欲をそがぬよう

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・11.28】:在職老齢年金 働く意欲をそがぬよう

 もっと働きたいという高齢者の意欲をそぐことなく、共に社会を支える環境づくりを進めたい。

 厚生労働省は、働いて一定の収入がある高齢者の年金支給額を減らす「在職老齢年金制度」を見直す。適用する基準額(賃金と年金の合計)を現在の月50万円から62万円へ引き上げる方向で、満額支給となる対象を広げる。 

 減額されない枠内に就労を抑える年金世代の「50万円の壁」を取り除き、人手不足の緩和につなげる狙いだ。「働き損」を改めつつ、年金財政や現役世代らへの影響なども包括した改革の議論が求められよう。

 制度は1965年に導入。高齢者にも年金制度を支えてもらう目的で2000年の改正以降、賃金と厚生年金(基礎部分除く)の合計が基準額を上回った分の半額を減らす仕組みとされた。

 働き続ける高齢者が増え、賃金と年金の両方を受ける65歳以上は22年度末で約308万人に上る。基準超えは約50万人で、年金支給は年4500億円抑えられた。

 今回の見直し案で、基準額を62万円に引き上げると満額支給は約20万人増えると見込まれる。

 現状では「年金が減らないよう調整して働く」高齢者が4割超という国の調査もあり、本人の受給増と企業の人手確保を後押しすると期待の声が上がる。欧米などでは減額の仕組みがなく、制度自体の廃止を求める意見も根強い。

 ただ、減額対象を縮小して支給総額が増えると年金財政の悪化は避けられず、将来的な給付水準を低下させかねない。

 これを補うため、厚労省は高所得の会社員が払う厚生年金保険料の上限を引き上げる案も複数示した。納める保険料が増えると、本人が老後に受け取る年金額は増えるが、現役世代の負担感が増すことには抵抗もあるだろう。

 政府は9月改定の高齢社会対策大綱で、希望に応じた就労や社会参加を進め、60代後半の就業率を現行52%から57%へ引き上げるとした。法改正で70歳までの就業機会確保は企業の努力義務とされており、働きやすい環境や多様な選択肢の整備も重要である。

 年金改革では、財政検証で明らかになった基礎年金の目減りへの対策も不可欠だ。厚労省は、底上げには厚生年金の積立金や巨額の税の投入が必要とするが、確保のめどは立っていない。

 老後の安心を社会全体で支える持続的な年金制度に向け、丁寧な説明と合意形成が欠かせない。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月28日  16:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・11.27》:在職老齢年金 現役世代も視野に議論を

2024-11-29 09:31:35 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

《社説①・11.27》:在職老齢年金 現役世代も視野に議論を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・11.27》:在職老齢年金 現役世代も視野に議論を 

 人口減で人手不足が深刻になる中、高齢世代の就労意欲をそぐ年金の「壁」の見直しが急がれるのは確かだ。

 けれど、それが現役世代へのつけ回しになる可能性がある。長期の視点で議論する必要がある。

 働いて一定の収入がある高齢者の厚生年金を減額する「在職老齢年金」を巡り、厚生労働省は年金が減り始める「基準額」を、現在の月50万円から62万円へ引き上げる方向で調整に入った。

 在職老齢年金は、賃金と厚生年金の合計が基準額を上回った場合、超えた分の半額を減らす仕組みだ。減額されないよう「働き控え」をする人が少なくない。

 引き上げに伴い、満額の受給者は約20万人、総額で約1600億円増える見込みだ。

 在職老齢年金制度は1965年に始まり、2000年の改正で現行の仕組みとなった。

 働きながら年金を受給している高齢者は22年度末で約308万人。約50万人が当時の基準額(47万円)を超え、年4500億円の年金支給が停止されていた。

 厚生年金は応能負担で保険料を支払い、その拠出に応じて受給する仕組みだ。老後に一定の収入があるからといって支給を停止するのは、社会保険の趣旨になじまない。在職老齢年金の基準額の引き上げはうなずける。

 ただし、年金給付が増えると、年金財政が圧迫される。ひいては将来の世代が受け取る年金の水準低下を招きかねない。

 厚労省は財政悪化を防ぐため、高所得の会社員が支払う厚生年金保険料の上限を引き上げる案を示している。

 国民の所得のうち税金や社会保険料をどれだけ払っているかを示す国民負担率は、近年、50%に近づきつつある。中でも大きく伸びているのが、主に現役世代が担う社会保障負担だ。

 在職老齢年金の基準額を超える人は、比較的生活に余裕があると言える。そうした高齢者の年金を増やすため、現役世代にこれ以上の負担を求めることに、理解を得られるだろうか。

 公的年金は、現役世代の保険料と公費で賄われる「仕送り方式」だ。少子高齢化に伴い、支え手である現役世代は減り続けている。支え手の範囲をどう増やしていけるかが課題の一つだ。

 年金制度改革は、来年の通常国会の焦点の一つになる。将来にわたり制度が機能していくには、今何を変えるべきなのか。与野党で議論を尽くしてほしい。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月27日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・11.27】:年金制度改革 負担増に理解得る努力が必要

2024-11-27 05:00:50 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説①・11.27】:年金制度改革 負担増に理解得る努力が必要

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・11.27】:年金制度改革 負担増に理解得る努力が必要

 老後の生活を支える公的年金を持続可能な制度とするには、負担増も含め、不断に見直していくことが欠かせない。 

 政府は、目指す改革の狙いや意義を丁寧に説明し、国民の理解を得る必要がある。

 厚生労働省が公的年金制度の改革案を発表した。今夏にまとめた5年に1度の財政検証を踏まえた内容となっている。

 財政検証で最大の懸案とされたのは、基礎年金の財政悪化だ。

 基礎年金の保険料収入と支給の収支を安定させるには、2057年度まで、物価や賃金の上昇よりも年金の支給額の伸びを抑制する「マクロ経済スライド」を適用し続けねばならない。

 基礎年金は、20歳以上が全員加入する公的年金の「1階部分」にあたる。パートや自営業者が加入する基礎年金は、国民年金と呼ばれ、その実質的な支給額の目減りは老後の生活を直撃しよう。

 そうした事態を避けるため、改革案では、比較的財政に余裕のある、会社員や公務員が加入している厚生年金の積立金の一部を、基礎年金に充当するとした。

 その場合、基礎年金の財政は36年度には安定し、支給額も3割程度底上げされる見込みだ。

 一方、会社員ら基礎年金と厚生年金の両方を受け取る人は、厚生年金の積立金の減少の影響で今後10年程度、支給が減るという。

 基礎年金の財政が安定すれば、支給額も増えることになる。だが、会社員の中には自分が納めた厚生年金保険料がなぜ、国民年金の「救済」に使われるのか、不満を抱く人もいるのではないか。

 政府は、給付と負担がどう変化していくのか、具体的な金額を提示することが重要だ。

 国民年金を巡っては、岸田前内閣が保険料の納付期間を5年延長する案を検討したが、自営業者らの反発を警戒して見送った。将来、厚生年金を受け取る人に負担を求めるなら、自営業者らの納付期間の延長を再検討してはどうか。

 現在、高齢者が受け取っている賃金と厚生年金の合計が月50万円を超えると、年金は減額されている。改革案は、この「在職老齢年金制度」の見直しも提案した。

 年金の減額を嫌い、働く時間を抑えている高齢者は多い。制度の見直しは、年金が減額される合計の上限額を引き上げ、より長く働いてもらう狙いがある。

 ただ、制度を見直した場合、年金の支給額は増えることになる。その財源をどう賄うのか。厚労省は具体策を示すべきだ。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年11月27日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【厚労省】:満額年金、月収62万円まで ■働く高齢者に支給拡大

2024-11-26 07:00:10 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【厚労省】:満額年金、月収62万円まで ■働く高齢者に支給拡大

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【厚労省】:満額年金、月収62万円まで ■働く高齢者に支給拡大

 厚生労働省は、働いて一定の収入がある高齢者の厚生年金を減らす「在職老齢年金制度」の適用基準額(賃金と年金の合計)を現在の月50万円から62万円へ引き上げる方向で調整に入った。満額支給となる対象を拡大する。「働き損」を解消して高齢者の就労を促し、人手不足対策につなげるのが狙い。関係者が25日、明らかにした。

 厚労省の社会保障審議会の年金部会=25日午後、東京都千代田区

 同日開いた社会保障審議会の部会には62万円への引き上げを含む三つの見直し案を示した。全ての国民が受け取る基礎年金(国民年金)の給付水準を底上げする案も提示。厚生年金の積立金を活用し、2036年度以降の給付水準を現在の見通しより3割ほど改善させる。与党との協議を経て、年金制度改革の関連法案として来年の通常国会に提出を目指す。

 在職老齢年金は、賃金と厚生年金(基礎年金部分除く)の合計が基準額を上回った分の半額を減らす仕組み。部会では基準額を(1)62万円に引き上げ(満額受給の高齢者20万人増)(2)71万円に引き上げ(同27万人増)(3)制度廃止(同50万人増)―3案を提示した。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・厚労省・社会保障・年金問題】  2024年11月26日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【厚労省】:働く高齢者の年金減「緩和」へ ■人手不足対策で

2024-11-19 06:10:30 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【厚労省】:働く高齢者の年金減「緩和」へ ■人手不足対策で

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【厚労省】:働く高齢者の年金減「緩和」へ ■人手不足対策で 

 厚生労働省は、働いて一定の収入がある高齢者の厚生年金を減らす「在職老齢年金制度」を見直し、対象を縮小する方向で調整に入った。働きながら年金を満額受け取れる高齢者が増える。「働き損」を解消して就労を促し、人手不足の緩和につなげる。現在は賃金と年金の合計が月50万円(基準額)を上回った分の半額を減らす仕組み。この基準額を62万円や71万円に引き上げる案を軸とする。与党との協議も経て年末までに決める。関係者が18日、明らかにした。

 厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館=東京・霞が関
厚労省
 在職老齢年金の基準額(イメージ)
 在職老齢年金の基準額(イメージ)

 支給額が膨らみ年金財政に影響するため、現役世代に当たる高所得の会社員らの保険料負担を増やす案も検討する。減額を完全になくす案も協議するが、徴収する保険料を大幅に増やす必要がある。保険料を折半する会社員と企業の反発を考慮して見送る方向だ。来年の通常国会への関連法案提出を目指す。

 2022年度末時点で、働きながら年金を受給する65歳以上は約308万人。うち約50万人が当時の基準額(47万円)を超えていた。減らした総額は年間4千億円以上だった。就労意欲を阻害しているとの指摘があった。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・厚労省・厚生年金を減らす「在職老齢年金制度」を見直し、対象を縮小する方向で調整に入った】  2024年11月19日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【厚労省】:「106万円の壁」見直し、保険料の会社負担増やす特例案…「従業員51人以上」も撤廃へ

2024-11-15 23:47:30 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【厚労省】:「106万円の壁」見直し、保険料の会社負担増やす特例案…「従業員51人以上」も撤廃へ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【厚労省】:「106万円の壁」見直し、保険料の会社負担増やす特例案…「従業員51人以上」も撤廃へ

 厚生労働省は15日、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の年金部会で、パートなどの短時間労働者が厚生年金に加入した際に支払う保険料について、会社側の負担割合を増やせる特例制度の導入案を示した。年収が106万円を超えるなどして保険料支払い義務が生じた場合の手取りの減少を緩和し、労働時間の抑制を避ける狙いがある。

 現行制度では、保険料は加入者と会社側が半分ずつ負担している。会社員や公務員の扶養に入っている配偶者は、保険料を払わなくても国民年金などを受け取れるが、パートなどで従業員51人以上の企業に勤め、週20時間以上働く月額賃金8万8000円(年収換算約106万円)以上の人は、厚生年金への加入が義務づけられる。加入すれば、将来受け取れる年金は増えるが、年収が106万円を超えると、保険料の支払いで手取りが年10万円程度減るため、働く時間を抑制する問題が生じていた。

 会社側の負担割合を増やす制度は、労使の合意を前提とする。例えば、週20時間働いて保険料が新たに発生する人の場合は、会社側が9割を負担し、年収が上がるごとに会社側の負担割合を減らし、一定水準で半分ずつの負担に戻す制度を想定する。手取り減を緩和することで働き控えを防ぎ、人手不足の解消を図りたい考えだ。ただ、15日の部会では、「大企業しか負担を増やせない」などと否定的な意見が相次いだ。

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厚生労働省

 同省はこの日の部会で、厚生年金の加入要件のうち、企業規模と賃金の要件は撤廃し、「週20時間以上」の労働時間の要件は維持する方向性や、従業員5人以上の飲食サービス業や理美容業などの個人事業所を加入対象に加える案を提示した。おおむね了承されたが、106万円の賃金要件の撤廃については一部の委員から異論もあり、議論を続ける。

 同省によると、これらの見直しが実現すれば、新たに200万人が加入対象になる。年末までに改革案を取りまとめ、来年の通常国会に年金改革関連法案を提出することを目指す。

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 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 政治 【政策・厚労省・社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の年金部会・パートなどの短時間労働者が厚生年金に加入した際に支払う保険料について、会社側の負担割合を増やせる特例制度の導入案】  2024年11月15日  23:47:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【厚労省】:厚生年金加入「106万円の壁」撤廃へ、「週20時間労働」の要件維持…

2024-11-09 06:46:00 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【厚労省】:厚生年金加入「106万円の壁」撤廃へ、「週20時間労働」の要件維持…手取り減少のケースも

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【厚労省】:厚生年金加入「106万円の壁」撤廃へ、「週20時間労働」の要件維持…手取り減少のケースも

 厚生労働省は、パートなどの短時間労働者が厚生年金に加入する要件のうち、年収106万円以上の賃金要件を撤廃する方針を固めた。「労働時間週20時間以上」の要件は残す。制度改正が実現すれば、保険料負担が生じる「106万円の壁」がなくなる一方で、「週20時間」が壁として残り、賃金水準によっては手取りの減少につながるケースも出てくることになる。

厚生労働省
厚生労働省

 同省は来年の通常国会に制度改正を盛り込んだ年金改革関連法案を提出することを目指す。 

 短時間労働者は、2016年10月から一定の要件のもとで厚生年金の加入対象になった。現在は〈1〉従業員が51人以上の企業などに勤務〈2〉週20時間以上働く〈3〉月額賃金が8万8000円以上(年収換算約106万円)〈4〉学生ではない――などの要件を全て満たすと加入が義務づけられる。

 政府は企業規模要件を撤廃する方針を既に固めており、今後は週20時間以上働けば、厚生年金への加入を義務とする。近年は最低賃金が上昇し、週20時間程度働いた時点で年収106万円を上回るケースが増えていることが背景にある。

 これにより、約200万人が新たに加入対象となる見込みだが、実際は労働を週20時間未満に抑え、加入を避ける人が出てくる可能性もある。

パート労働者らが厚生年金に加入する要件
パート労働者らが厚生年金に加入する要件

 会社員や公務員の扶養に入っている配偶者は、「第3号被保険者」として自身は社会保険料を負担しなくても年金を受け取り、健康保険にも加入することができる。このため、社会保険料を払わなくて済むよう、働く時間を抑える人もおり、人手不足の要因になっているといわれる。

 106万円の賃金要件の撤廃検討は、将来受け取る年金額を増やし、老後保障を手厚くする狙いがある。一方、毎月の保険料負担が生じて手取りが減るため、反発が出る可能性もある。

 「年収の壁」にはこのほか、所得税が課される「103万円の壁」、従業員が50人以下の企業等に勤める人に社会保険料の支払いが発生する「130万円の壁」などがある。

 第一生命経済研究所の星野卓也主席エコノミストは「『103万円の壁』の見直しは非課税の範囲をより増やそうという話なのに対し、『106万円の壁』はみんなに社会保険料がかかるようにしようという話だ。手取り増という話とは逆行する」と指摘している。

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 政治 【政策・厚労省・パートなどの短時間労働者が厚生年金に加入する要件のうち、年収106万円以上の賃金要件を撤廃する方針を固めた】  2024年11月08日  23:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【厚労省】:マイナ保険証「解除」受け付け開始も申請は書面のみ…政府ゴリ押しのツケが保険者・被保険者に

2024-11-02 13:30:20 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【厚労省】:マイナ保険証「解除」受け付け開始も申請は書面のみ…政府ゴリ押しのツケが保険者・被保険者に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【厚労省】:マイナ保険証「解除」受け付け開始も申請は書面のみ…政府ゴリ押しのツケが保険者・被保険者に

 現行の健康保険証の新規発行停止まで、2日で残り1カ月。12月からマイナ保険証しか使えないと誤認させる政府の宣伝のせいで、慌ててマイナ保険証に切り替えた患者もいるだろうが、そんな人に朗報だ。実は先月28日からマイナ保険証の登録解除が可能になっている。

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        見逃してしまう(厚労省HPから)

 厚労省によると、解除希望者は例えば国民健康保険なら各市町村、被用者保険なら組合や協会などに解除手続きを申請し、資格確認書の交付を受ければOK。周知徹底すべきだが、厚労省のホームページには申し訳程度に〈【事務連絡】マイナ保険証の利用登録解除について〉と記載されているだけ(写真)。意地でも解除させたくない感がアリアリだ。

 解除申請は基本的に書面で行う。面倒なのはもちろん、保険者側も余計な事務の手間・コストがかかる。申請から解除まで2カ月以上を要する場合もあり、時間もかかる。政府によるマイナ保険証のゴリ押しのツケを被保険者・保険者が負わされる格好だ。

 現行の保険証の廃止期限である12月2日以降も最長1年間は使用でき、マイナ保険証を保有していない人には資格確認書を送る──。こうした運用にもかかわらず、政府はマイナ保険証の利用率を上げんがためにチラシに〈ご注意ください!〉〈本年12月2日から現行の健康保険証は発行されなくなります〉などと脅しめいた文句を並べ、切り替えを喧伝。利用率を上げた医療機関にカネをばらまく「禁じ手」にまで手を染めた。

 政府を挙げてのマイナ推進の“被害者”もいる。兵庫県内に住む60代女性は昨年秋ごろ、薬局にかかった際、勝手にマイナカードを保険証に紐付けられてしまったという。

 「いきなり『身分証明書を見せて』と言われ、マイナカードを見せたところ、こちらがお願いしてもいないのに『保険証を紐付けておきました』と。『解除して』と言っても、『こちらではできません』と返されて腹が立ちました。解除したいですよ」(60代女性)

 今年5月にも、都内薬局で現行の保険証を突き返された男性が、マイナ保険証に登録させられる事態が判明。薬局の対応が物議を醸した。同じような被害者、すなわち解除希望者はアチコチにいると考えられる。

 マイナ保険証の利用率は9月時点で13.8%にとどまる。利用促進の予算だけでも約890億円に上る。一体、いくらムダなコストと時間をかければ気が済むのだろうか。

                 ◇  ◇  ◇

 トラブル続出のマイナ事業だが、絵に描いたような政・官・業の癒着ぶりは【もっと読む】『マイナンバー事業1兆円に群がる政官業“腐敗”の三角形…相次ぐトラブルの裏に巨額利権の甘い蜜』で取り上げている。

 ■関連記事

 元稿:日刊ゲンダイ DIGTAL 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・話題・厚労省・現行の健康保険証の新規発行停止まで、2日で残り1カ月】  2024年11月02日  13:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【厚労省】:国民健康保険料、上限3万円引き上げを提示…来年度から実施の見通し

2024-10-31 21:10:30 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【厚労省】:国民健康保険料、上限3万円引き上げを提示…来年度から実施の見通し

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【厚労省】:国民健康保険料、上限3万円引き上げを提示…来年度から実施の見通し 

 厚生労働省は31日、自営業者らが加入する国民健康保険(国保)の保険料の年間上限額を、3万円引き上げて109万円とする案を社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の医療保険部会に提示した。部会で異論は出ず、来年度から実施される見通しだ。

厚生労働省
厚生労働省

 高齢化などで医療費が増加する中、高所得者の保険料の上限を引き上げることで、中間所得層の負担増を抑える狙いがある。厚労省の試算(モデルケース)によると、新たな上限額は単身世帯で年間給与収入が約1170万円以上の場合に適用される見込みで、国保加入世帯の約1・5%が対象となるとみられる。

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 政治 【政策・厚労省・社会保障・自営業者らが加入する国民健康保険(国保)の保険料の年間上限額を、3万円引き上げて109万円とする案】  2024年10月31日  21:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・10.21】:2024衆院選・社会保障 負担と給付の議論尽くせ

2024-10-27 06:59:55 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説・10.21】:2024衆院選・社会保障 負担と給付の議論尽くせ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・10.21】:2024衆院選・社会保障 負担と給付の議論尽くせ

 社会保障制度は、私たちの暮らしを支える基本的な仕組みだ。年金、医療、介護、子育てなど関心の高いテーマばかりなのに、今回の衆院選で踏み込んだ議論がほとんど聞こえてこない。

 少子高齢化に伴い、社会保障負担率は1990年度の10・6%から24年度には18・4%に増えた。税を含めた国民負担率は50%近い。「江戸時代の年貢と変わらない」という国民のため息に、政治は真剣に向き合うべきだ。

 負担増は今後、ますます迫られる。国民の審判を受ける選挙で詳しく触れるのは得策でない―。各党がそう考えているとすれば不誠実過ぎる。

 自民党は、岸田政権で示した、年齢ではなく能力に応じて負担する「全世代型社会保障」を推進している。今回の衆院選では、窓口負担が3割となる後期高齢者の対象を広げる検討を進めるという。

 立憲民主党も高所得者の負担増を強調したほか、日本維新の会は高齢者医療費の負担を原則3割に引き上げるとした。国民民主党は金融資産などを加味した負担割合に言及している。

 各党が高齢者の負担増に触れたことは理解はできる。ただ「タブー視」されてきた高齢者負担に踏み込んだというより、そこからも徴収しなくては制度がもはや維持できないということではないか。

 24年度の社会保障給付費は約137兆円。内訳は年金に約61兆円、医療に約42兆円、介護に約13兆円、子ども・子育てに約10兆円である。国の負担は約37兆円で、税収の半分以上が費やされる計算だ。

 今でも政府も国民も負担は限界に近いだろう。加えて40年度には人口の約35%が高齢者になる。さらなる保険料上昇を抑えるために給付内容にめりはりをつけ、思い切った削減も視野に入れるべきだ。

 社会保障制度をいかに立て直していくか。各党は、より具体的な方策を議論してもらいたい。医療だけでなく、年金や介護、子育てなども状況は同じである。

 その前提として、国民の権利と義務を明確にすることが欠かせない。日本の社会保障制度は租税制度と複雑に絡み合って、ほとんどの国民が理解困難なものになっている。

 政府は、40年以上も保険料財源の拠出を通じた安易な財源調整を続けてきた。健康保険組合は、自分たちの給付に充てられるはずの保険料を他の制度の拠出金として吸い上げられている。そのために財政が悪化し、解散にまで追い込まれる健保が相次いでいる現状は見過ごせない。

 岸田内閣が創設した子ども・子育て支援金も、公的医療保険に上乗せして国民や企業から集める。本来は税で対応すべきなのに、増税批判をかわすために支援金として社会保険料から徴収する手法は改めるべきだろう。

 社会保障制度は、被保険者である国民の納得と信頼がなくては立ちゆかない。そのためには税制と複雑に絡み合った制度を簡素化し、負担と給付の関係を透明化することが必要だ。衆院選でその議論を尽くしてもらいたい。 

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年10月21日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・10.24》:衆院選2024 社会保障の将来像 支え合う仕組みの議論を

2024-10-24 02:06:40 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

《社説②・10.24》:衆院選2024 社会保障の将来像 支え合う仕組みの議論を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・10.24》:衆院選2024 社会保障の将来像 支え合う仕組みの議論を

 少子高齢化が進む中、社会保障制度の持続性を高める取り組みが急務となっている。にもかかわらず、衆院選での論戦は低調だ。

 高齢化に伴い、年金や医療などに掛かる費用は今後、さらなる増加が見込まれる。財源となる税や保険料など負担のあり方を議論しなければならない。

 今から手を打つべきなのは、65歳以上の人口がピークを迎える2040年代への備えである。総人口に占める割合は現在の29%から35%超に達する。

 就職氷河期を経験した団塊ジュニア世代が高齢期に入る。不安定な就労を余儀なくされ、低年金となる人が少なくない。

 政府は公的年金制度の見直しを進めており、給付水準の底上げが論点の一つだ。自民、公明両党は、基礎年金の拡充を公約に盛り込む。しかし、数兆円規模とみられる財源の確保策は示していない。

 医療を巡っては、負担のあり方が焦点だ。高齢者医療には現役世代の保険料が充てられているため、現行制度のままでは今後、働き手の負担が過大になりかねない。 

 高齢者の自己負担の割合を年齢ではなく、支払い能力に応じて決めるべきだとの考え方がある。だが、負担の線引きなどについては慎重な議論が求められる。

特別養護老人ホームで入所者に話しかける介護職員。介護現場の人手不足は深刻な状況だ=東京都目黒区で2023年11月、寺町六花撮影

 介護分野での喫緊の課題は、担い手をいかに確保するかだ。

 厚生労働省の推計によると、40年度には272万人の介護職員が必要になる。今でも人手不足が深刻だが、60万人近くも増やさなければならない。そのためには賃金や就労環境の改善が欠かせない。 

 立憲民主党は、医療や介護に携わる人材の待遇改善を進めるとしたが、財源には触れていない。

 山積する問題にどう向き合うのか、将来像を描くのは政治の役割である。

 旧民主党政権下の12年に与野党が合意した「税と社会保障の一体改革」は財源の問題に切り込み、消費税の増税を決めた。一部を少子化対策に回し、現役世代にもメリットのある「全世代型社会保障」を打ち出した。

 しかし、政治はそれ以降、負担の議論に蓋(ふた)をしてきた。無責任というほかはない。一体改革の原点に立ち戻り、党利党略にとらわれない骨太の議論を展開すべきだ。

 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年10月24日  02:02:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説・06.03】:介護保険料の上昇 住民目線で根本議論を

2024-06-07 07:01:15 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説・06.03】:介護保険料の上昇 住民目線で根本議論を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・06.03】:介護保険料の上昇 住民目線で根本議論を

 物価高と相まって、とりわけ年金暮らしの高齢者にとって負担は重荷だろう。

 65歳以上の人が本年度から支払う介護保険料が、全国平均で月額6225円となり、過去最高を更新した。3年に1度の見直しで、半数近くの自治体が引き上げた。

 高齢者の増加でサービスの需要が増しただけではない。深刻な人手不足が続く介護職員の賃上げに充てるため、公定価格の「介護報酬」を増額改定したことも影響した。

 介護保険制度の財源は国と自治体の公費が50%、残り50%を40歳以上が支払う保険料で賄う。改定の議論で、サービス利用時の自己負担が2割の人の範囲を拡大するなど給付と負担の見直し案を検討したが、大半は先送りされた。

 制度が始まった2000年度と比べ、保険料は21倍に膨らんだ。手をこまねくうちに、ただ上昇の一途をたどったように映る。

 高齢者の人口はこれからまだ増え、40年にピークを迎える。介護職員の賃上げは、もはや避けられない。制度を根本的に見直さなければならない時に来ている。

 増える負担をどう分かち合うか、政府は財源問題から逃げてはならない。利用料の2割負担の人を増やす案は入り口に過ぎない。一定の所得や資産がある人を対象に相応の負担を求める検討が必要だ。保険料の支払い開始年齢の引き下げや、公費を増やす可否も議論せねばならない。

 負担の程度は、介護サービスをどの水準で維持するかで変わってくる。高齢者だけでなく、介護を担う家族を支える制度でもある。現役世代の介護離職や、子どもや孫の「ヤングケアラー」の顕在化は喫緊の社会課題となった。負担を抑えたいばかりに、必要以上にサービスを切り下げては本末転倒だ。住民目線での議論が欠かせない。

 保険料の地域差が大きい背景にも目を向けたい。介護保険制度は市区町村が保険者であり、地域の特性に合わせた運用が求められる。一概に高いから問題というわけでなく、負担に見合うサービスの質や量なのか、住民に納得感があるかが肝心である。

 今回の改定で最高額は大阪市の9249円だった。1人暮らしの高齢者が多く、訪問介護などのサービス利用が増えたという。所得が低い世帯の割合が高いのも要因だ。超高齢社会で格差の拡大も進む中、どの自治体でも起こり得る未来像といえるだろう。

 逆に3千円台の自治体は、体操教室など介護予防に力を入れ、高齢者の働く場を充実させた地域が目立つ。健康寿命を延ばす地道な対策が、いかに重要かを物語る。

 広島県内23市町でも67184828円と差が出た。認知症や、要介護度の上がる後期高齢者の増加に備えたサービス充実のために上げた市町もあれば、見込みより利用が少なく下げた市町もある。

 なぜこの額になったのかを自治体は住民に丁寧に説明すべきだ。制度が持続可能なのか見通しの提示も要る。制度の根本議論に向けた土台として、実態をまず共有したい。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年06月03日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・05.10】:マイナ保険証 年内一本化 混乱を懸念

2024-05-10 05:05:50 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説②・05.10】:マイナ保険証 年内一本化 混乱を懸念

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・05.10】:マイナ保険証 年内一本化 混乱を懸念 

 現行の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードに機能を持たせた「マイナ保険証」に一本化するまであと半年余りとなった。
 
 全国のマイナ保険証利用率は3月で5%台と低迷するが、政府は予定通り12月に実施する考えだ。
 
 マイナンバーと保険証のひも付けミスは判明分で9千件以上に及ぶ。政府は再発防止策を講じたというが国民の不信感は拭えない。
 河野太郎デジタル相は自民党国会議員に対し、マイナ保険証が利用できない診療所や病院について支援者に情報提供するよう呼びかける文書を配布していたという。
 強権的に映る手法は反発を招きかねず、実施時に混乱が生じる恐れがある。最長1年という現行の保険証使用の猶予では済まない。年内一本化の方針を撤回し、制度を再考するよう求めたい。
 厚生労働省の調べでは都道府県別利用率は沖縄が2.7%、鹿児島が9.5%など地域でばらつきがある。道内は5.7%である。
 また、病院の12.5%に対し規模の小さな診療所は5.2%、薬局が4.1%など身近な施設ほど利用が進んでいない。
 国は今月から7月までを促進月間として利用者が増えた施設に一時金を支給する。既に1月から217億円を計上し利用件数分の支援金を出し、来月にはデジタル化に対し診療報酬も加点する。
 無駄を排除して膨張する医療費を抑制するのがマイナ保険証導入の目的だったはずだ。やみくもに利用率を上げようと巨費を投じるのは本末転倒ではないか。
 国は医療機関同士で利用者の情報を共有できるのがメリットと強調してきた。だが現在利用できるのは薬剤情報や診察履歴、メタボ健診の結果などにとどまる。
 薬剤情報は「お薬手帳」で間に合う。血液検査やCT画像など患者と医師双方に有益な情報共有のシステム構築は検討段階という。
 マイナカード自体も各地で誤交付が相次ぎ、福島県で委託業者が個人情報を私的利用するなど不祥事も起きた。システムや情報管理に問題ありと言わざるを得ない。
 能登半島地震では被災者にJR東日本のICカード「Suica(スイカ)」が配布され、避難所の情報管理に利用された。
 河野氏自ら「本来はマイナンバーカードでやるべきだが読み取り機の準備が間に合っていない」と述べ、不備を認めている。
 デジタルに不慣れな高齢者ほど保険証の利用機会は多い。紙の保険証廃止を急ぐべきではない。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年05月10日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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