路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説・05.02】:年金納付5年延長論 国民の不信、払拭しなくては

2024-05-04 07:01:35 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説・05.02】:年金納付5年延長論 国民の不信、払拭しなくては

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・05.02】:年金納付5年延長論 国民の不信、払拭しなくては 

 年金制度の給付水準を点検する、5年に1度の「財政検証」の方向性が決まった。

 納付期間を5年間延長し、20歳から65歳になるまでの45年間にした場合や、厚生年金の加入要件を緩和した場合の影響などを試算するという。今夏に公表される試算結果を踏まえ、政府は年末までに具体案を詰め、来年の通常国会に法案を提出する。

 改正は年金給付の原資を増やし、受け取る年金の目減りを防ぐ狙いがある。少子高齢化などで、根幹がぐらつく制度を立て直すことに異論はない。そのためにも、土台となる数字はきちんと示し、議論を深めてもらいたい。

 今回の中心はやはり納付の5年延長だろう。平均寿命が延びて少子化も進む中、高齢でも働ける人は働き、なるべく「支える側」に回ってもらう考え自体はうなずける。

 しかし、国民年金にしか加入していない自営業者などは5年間で約100万円の負担増になる。物価高や他の社会保険料の重さに苦しむ中、年金のゴールを後退させるような改正には納得できない人もいるのではないか。

 現行の年金制度は財源の範囲内で給付を行う。100年安心とされるのは制度自体であって、将来の受給額は長引く経済低迷の影響で大きく目減りしてしまう懸念がある。

 5年延長すれば、現行なら全額納付の場合で年額77万円の受給額が約10万円増える。ところが、5年延長の保険料が目減り分の穴埋めに使われれば、給付額は負担増に見合うほどは増えない。そうなると5年延長は保険料引き上げと何ら変わらなくなる。

 国民年金の加入者は約1400万人。このうち低所得などを理由にした一部・全額免除が380万人、学生など納付猶予が230万人、未納者が90万人いる。厚生年金などと違って社会的弱者が多く、全額納付者が半数に過ぎないため、国が2分の1を国庫負担して給付を支えている。

 5年延長分にも国庫負担を適用するには、新たな財源措置が必要になる。仮に政府が対応を見送れば、国民の受給額は負担増に見合った給付増につながらないことになる。

 やりくりに窮する国民年金に厚生年金の財源を回す案も浮上している。だが、別制度のお金を流用するのは筋が通るまい。年金積立金は好調で残高が200兆円以上に膨れている。この一部を財源に充ててもいいのではないか。

 年金制度は見直しが繰り返され、仕組みが複雑化してしまった。国民が「また負担増か」と怒る背景には、制度の分かりにくさに加え、政治への不信感もあるだろう。

 岸田文雄首相は5年延長を含め「まだ何も決まったものはない」と国会で強調した。それはその通りだが、防衛費増額など、閣議決定で大枠を決める強引な政権運営を国民は決して忘れてはいない。

 5年前の前回は、参院選への影響を意識して政府が検証結果の公表を選挙後に遅らせたと批判もされている。課題を国民に明確に示し、議論を透明化しなくては、年金制度の信頼は到底取り戻せまい。

 元稿:中国新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年05月02日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【小沢一郎氏】:「詐欺、悪質商法。国民は重税、自民は脱税」自民の”金融所得で保険料増検討”報道に

2024-04-28 00:15:00 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【小沢一郎氏】:「詐欺、悪質商法。国民は重税、自民は脱税」自民の”金融所得で保険料増検討”報道に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【小沢一郎氏】:「詐欺、悪質商法。国民は重税、自民は脱税」自民の”金融所得で保険料増検討”報道に

 立憲民主党の小沢一郎衆院議員が27日までに自身のX(旧ツイッター)を更新。保険料増に関する自民党の新たな検討について、厳しく私見をつづった。

小沢一郎衆院議員(2020年撮影)

 小沢氏は、自民党が医療や介護の保険料算定について、金融所得を反映させることなどについて検討する議論を始めたことを「金融所得で保険料増を検討」などの見出しで報じる、共同通信の記事を添付。「『さあ新NISAだよ!非課税でお得だよ。年金も危ういから今後は自分で何とかしてね!』と盛んに誘導して、それから待ってましたとばかりに『やっぱり保険料は取ります!』というだけのこと。詐欺、悪質商法」と記した。そして「国民は重税、自民は脱税。変えませんか?」と続けた。

 この投稿に対し「ほんと これはひどい政策」「ふざけるな」「おっしゃる通りです」などとさまざまな声が寄せられている。

  元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・政局・立憲民主党・保険料増に関する自民党の新たな検討について】  2024年04月27日  14:23:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【人生100年時代の歩き方】:ついに国民年金65歳まで納付案が…政府がヒタ隠す「年金積立金250兆円」という都合の悪い真実

2024-04-24 07:15:50 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【人生100年時代の歩き方】:ついに国民年金65歳まで納付案が…政府がヒタ隠す「年金積立金250兆円」という都合の悪い真実

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【人生100年時代の歩き方】:ついに国民年金65歳まで納付案が…政府がヒタ隠す「年金積立金250兆円」という都合の悪い真実

 おおむね5年に1度行われる厚労省の「年金財政検証」。2019年の検証では約30年後の標準的ケースの給付水準が2割減ると公表されているが、今回は国民年金の保険料納付期間を5年延長する案(65歳まで)が検討される。契約時と支払い時の約束事が違う。民間保険会社なら訴えられるレベルだ。

<picture>年金の納付期間を5年延長する案が検討されるが…(C)日刊ゲンダイ</picture>

 年金の納付期間を5年延長する案が検討されるが…(C)日刊ゲンダイ

                 ◇  ◇  ◇

 国民年金の納付期間延長の狙いは「給付額を増やす」ためと説明されている。

 現在の保険料は月1万6980円。5年分の負担額は101万8800円となる。これに対し満額の受給額は月約6万8000円。納付期間が40年から45年に1.125倍に増えるのなら、受給額もその倍率の月7万6500円(8500円増)にならなければおかしい。国民年金は、自営業者や20歳以上の学生のほか、会社を定年退職した人も加入する可能性があるので他人事ではない。

 「国民年金の保険料1万6980円は定額負担ですので、厚生年金の最低負担額8052円(折半額)の2倍ほど。会社員でも60歳を越えると雇用が不安定になる人もいますし、1万6980円の負担は心理的な不安感になるでしょう。もちろん5年長く納付した分、受給額も増えるのなら納得できますが、今の年金制度上では難しいと思われます」(特定社会保険労務士・稲毛由佳氏)

 突然のルール変更。タレントのパトリック・ハーラン氏は情報番組で「アメリカだったら大きな反発、フランスだったら暴動が起きるくらいの条件だと思うんです。ずっと払っていた時の約束ともらう時の約束が違うじゃないかと」と疑問視。「皆さん素直なのはいいですけど、もう少し声を上げていいと思いますよ」と続けていた。

 実際、フランスでは昨年、受給開始年齢を62歳から64歳に引き上げる政府方針に対し各地でデモや暴動が起き、ボルドー市庁舎の玄関が放火される事件まで起きた。結局、マクロン大統領は批判を押し切って64歳支給に引き上げたが、支持率は20%台にまで急降下している。さすがに放火はいただけないが、日本人は少しおとなしすぎるのではないか。

 ■「しょうがない」という声も多い

「しょうがないよねという声は確かに多いですね。国に『少子高齢化』『子や孫世代の負担を減らすため』だと言われれば、余計に反対しづらくなります」(稲毛氏)

 しかしこれ、見事に政府の術中にハマっているのではないか。社会保障審議会(年金数理部会)の資料によれば、これまでの年金積立金がなかなかゴッツイ金額に膨らんでいるのだ。

 ■「財源が足りない」という国のウソに騙されるな

 「22年度の年金収支状況は、収入総額が54.6兆円。内訳は保険料収入40.7兆円、公費負担13.4兆円などです。対して高齢者にお支払いしている年金給付費は53.4兆円。差し引き0.9兆円のプラスでした。さらにこの年の運用益は3.5兆円のプラス。これらの結果、年金積立金は前年度に比べ4.4兆円増の250.5兆円にまで膨らんでいます」(ジャーナリスト・中森勇人氏)

 何かというと、保険料を払ってくれる若者が減っている、受給者が増えたと言われるが、今の高齢者や現役世代がコツコツ貯めた積立金が250兆円もある。「そこから補充すればよいのでは」という意見が出てくるのももっともだ。

<picture>「子や孫世代の負担を減らすため」と言われたら…(C)日刊ゲンダイ</picture>

 「子や孫世代の負担を減らすため」と言われたら…(C)日刊ゲンダイ

 ◆民間保険会社がやったら訴えられるレベル

 そもそも小泉政権だった20年前の「年金100年安心プラン」の試算では、1961年度生まれの会社員男性の厚生年金は「月額平均32万円」と公表されていた。もちろん、そうはならず、むしろ財政検証のたびに「マクロ経済スライド導入」「受給年齢の繰り上げ拡大」「パート労働者の年金加入」などどんどん条件が悪くなっていく。

 これと同じことを民間保険会社が個人年金や養老保険でやったら、訴えられてもしょうがないレベルだろう。

 企業年金の制度改悪でも、一方的な減額は認められないという最高裁の判断が出ている。

 例えば、NTT退職者(約14万人)の企業年金減額をめぐって争われた裁判。NTT(原告)が支給額の減額を承認しない厚労相(被告)を訴えたものだが、東京地裁、東京高裁とも減額を認めず、最高裁も上告を棄却している(2010年6月)。特に東京高裁は株主配当を優先するNTTの姿勢を強く批判したほどだった。

 もみじ銀行が退職役員の慰労年金を廃止したことで争われた裁判でも、最高裁は退職時に会社との間の契約内容が確定しているとし、原告の同意なく年金を廃止するのは無効と判断している(同年3月)。

 一方で、企業年金の減額が認められたケースもある。松下電器産業(当時)が退職者年金の算定の基礎となる約定利回り年7.5~10%を2%引き下げる改定を行ったことで元社員たちから訴えられた裁判。当時の松下は経営状況が悪く、さらに年金規定に経済状況に変動があった場合の改定・廃止条項があったため、最高裁は「被告会社の経済状況からすれば、規定の改定は認められる」と判断した(07年5月)。

<picture>主婦年金見直しも示唆した武見厚労相(C)日刊ゲンダイ</picture>

  主婦年金見直しも示唆した武見厚労相(C)日刊ゲンダイ

 ◆時の政権によって司法判断も変わる

 前者の判断は民主党政権時、後者の判断は自民党政権時。あまり考えたくはないが、単なる偶然だろうか。

 自民党政権に戻った現在はどうか。公的年金の受給者が支給額が段階的に引き下げられたとして国の減額処分取り消しを求めた集団訴訟。昨年12月、最高裁は減額を「合憲」と判断した。

 その理由を裁判長は「年金を引き下げずに給付額を維持すると、現役世代に負担を強いることになり、財源の圧迫にもつながる」と指摘している。

 ハテ? どこかで聞いたような話だ。

 「加入年数を延長しないと維持できないような年金制度は、寿命が尽きた制度と言わざるを得ません。また、保険料の増額だけでは限界があり、最終的には税金として徴収するしかないでしょう。立憲民主党の肩を持つわけではありませんが、税金と年金保険料などを一体的に徴収する『歳入庁』の創設もひとつの案だと思います」(稲毛氏)

 税金と聞くとアレルギー反応を起こす人もいるだろうが、所得の多い人には少し多めの負担をお願いし、また税方式なら国民年金の未納問題もクリアできる。

 果たして、国の言っていることが正しいのか、それとも国民がおとなしすぎるのか。少なくとも「しょうがない」と言っているうちは何も変わらない。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・国民年金問題】  2024年04月24日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【生活保護】:申請、4年連続で増加 コロナ禍、物価高追い打ち 23年、25万5079件

2024-03-07 07:05:50 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【生活保護】:申請、4年連続で増加 コロナ禍、物価高追い打ち 23年、25万5079件

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【生活保護】:申請、4年連続で増加 コロナ禍、物価高追い打ち 23年、25万5079件 

 2023年1~12月の生活保護申請が前年比7・6%増の25万5079件となり、4年連続で増加したことが6日、厚生労働省の統計で分かった。比較可能な13年以降で最多だった。新型コロナウイルス禍で困窮した家計に物価高騰が追い打ちをかけたとみられる。賃上げや株価上昇の効果が行き届いていない状況が浮き彫りとなった。

 厚労省によると、コロナ禍で収入が落ち込み、困窮者向けの公的支援が縮小する中、食料品や光熱費などが値上がりし、貯蓄が減少したことで申請者が増えているという。担当者は「コロナ禍の影響が長引いており、増加傾向はしばらく続くとみられる。引き続き動向を注視したい」としている。

 厚労省が発表した統計(23年3月までは確定値、同4月以降は速報値)に基づき、年間の申請件数を集計した。

 23年12月の生活保護申請は1万8695件で、前年同月と比べて5・6%増えた。増加は12カ月連続。

 23年12月から保護を受け始めたのは1万8801世帯で、前年同月比7・2%増加。それ以前から受けている人を含む受給世帯数は165万3778世帯となり、0・4%増えた。受給停止中を除く164万5271世帯の内訳は、高齢者世帯が前年同月とほぼ同数の90万6709世帯を占めた。現役世代を含む「その他世帯」は26万438世帯(2・0%増)、母子世帯が6万5461世帯(3・5%減)だった。

 22年度の1カ月平均の確定値も公表した。申請は2万475件で前年度と比べて6・9%増えた。増加は3年連続。(共同)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・政策・厚生労働省・社会保障・生活保護制度】  2024年03月06日  11:58:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【砂上の安全網④】:生活保護の「水際作戦」の背景には偏見 国はマイナンバー並みの熱意で「正しい理解」の普及に努めるべき

2024-03-07 07:05:40 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【砂上の安全網④】:生活保護の「水際作戦」の背景には偏見 国はマイナンバー並みの熱意で「正しい理解」の普及に努めるべき

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【砂上の安全網④】:生活保護の「水際作戦」の背景には偏見 国はマイナンバー並みの熱意で「正しい理解」の普及に努めるべき

 ◆<砂上の安全網④>

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 社会 【話題・社会保障・群馬県桐生市における生活保護の水際作戦】  2024年02月19日  17:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【砂上の安全網③】:生活保護、水際作戦が常態化? 桐生市の「異様さ」がデータで見えた 「最低水準」の背後に何があったのか

2024-03-07 07:05:30 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【砂上の安全網③】:生活保護、水際作戦が常態化? 桐生市の「異様さ」がデータで見えた 「最低水準」の背後に何があったのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【砂上の安全網③】:生活保護、水際作戦が常態化? 桐生市の「異様さ」がデータで見えた 「最低水準」の背後に何があったのか 

 ◆<砂上の安全網 ③>

 群馬県桐生市に住む黒田正美さん=仮名=が、父・杉本賢三さん=同、2017年5月に63歳で死去=の生活保護を申請しようとした際、司法書士が窓口に同行するまで、市がかたくなに申請を拒んだことは前回までに詳述した。いわゆる「水際作戦」に、黒田さんは「父が救いを求めたとき、親身に対応してくれればもっと長生きできたと思う」と、悔しさを語る。
 桐生市は10年ほど前から、生活保護を開始した世帯の割合が群馬県内の他市に比べて明らかに低い状態が続いてきた。生活保護の申請を受け付けた割合も、同時期から低水準が続いた。水際作戦は常態化していた可能性があり、研究者やケースワーカーでつくる「生活保護情報グループ」と本紙が連携し、県作成の資料から分析した。
 桐生市は、人口に対する生活保護受給者の割合を示す「保護率」が11年度をピークに一貫して低下し、22年度までにほぼ半減した。11年連続の低下は県内の市で唯一で、受給者も11年度の1163人から、22年度は547人と半減した。
 生活保護の申請や開始は世帯単位で行われる。分析では、申請や開始の件数を当時の世帯数で割って、各市の推移を比べた。
 結果、桐生市は申請、開始ともリーマン・ショックの影響が現れた09年度ごろは県内トップクラスの水準だったが、11~14年度に大幅に低下し、最低水準に定着した。申請を受け付けても開始に至らないケースも相次いでいた。
 
 一方、生活保護を受けた世帯数に対する保護廃止の割合は、記録を確認した05年度以降ずっと県の平均値に近かった。
 
 生活保護情報グループのメンバー桜井啓太・立命館大准教授(社会福祉学)は「急速に申請、開始が減っている。窓口に相談に来た段階で申請する意思をくじくような説明をするなど、申請権の侵害がなかったかを総チェックする必要がある」と指摘する。生活保護の受給者らへの市の厳しい対応が知られていたことで、相談に行きづらい雰囲気があった恐れもあるという。
 
 ◆「数字をコントロールしたことはない」と桐生市
 
 近隣地域は、主な産業や高齢化率などが似ているため、保護率や保護開始の割合などは似た推移をたどりやすい。桜井准教授は「保護率を見ているだけでも桐生市の異様さは分かる。県の監査が形骸化していなかったかも検証が必要だ」と、県の桐生市に対する指導姿勢も疑問視した。
 
 市福祉課は保護率が低い理由について、昨年12月18日と今年1月15日の記者会見で、それぞれ「高齢者世帯の死亡などによる保護世帯の自然減によるもの。数字をコントロールしたことはない」とコメントしている。
 
                ◇
 
<連載・砂上の安全網>
 生活保護は「最後のセーフティーネット(安全網)」とも呼ばれる。国民の生存権を保障した憲法25条を根拠とする制度だからだ。しかし、桐生市では保護費を1日1000円に分割した上に満額支給しなかったり、受給者から預かった印鑑を無断押印したりするなど、違法性を強く疑われる運用が表面化した。黒田さんの体験から問題点を洗い出す。(この連載は、小松田健一と福岡範行が担当します)
 

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 社会 【話題・社会保障・群馬県桐生市における生活保護の水際作戦】  2024年02月18日  17:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【砂上の安全網②】:「市を訴えるってこと?」・・・福祉課職員に怒鳴られた娘、尊厳否定され死んだ父 生活保護めぐり心に傷

2024-03-07 07:05:20 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【砂上の安全網②】:「市を訴えるってこと?」・・・福祉課職員に怒鳴られた娘、尊厳否定され死んだ父 生活保護めぐり心に傷

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【砂上の安全網②】:「市を訴えるってこと?」・・・福祉課職員に怒鳴られた娘、尊厳否定され死んだ父 生活保護めぐり心に傷

 ◆<砂上の安全網 ②>

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 社会 【話題・社会保障・群馬県桐生市における生活保護の水際作戦】  2024年02月17日  17:39:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【砂上の安全網①】:これが生活保護の水際作戦…電気も水道も止められているのに「家族で支え合って」と突っぱねた市職員

2024-03-07 07:05:10 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【砂上の安全網①】:これが生活保護の水際作戦…電気も水道も止められているのに「家族で支え合って」と突っぱねた市職員

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【砂上の安全網①】:これが生活保護の水際作戦…電気も水道も止められているのに「家族で支え合って」と突っぱねた市職員

 ◆<砂上の安全網 ①>
 
「お父さんが大変なことになっているので、すぐ見に行ってください」
 2015年7月、群馬県桐生市に住む黒田正美さん=仮名=の携帯電話が鳴った。声の主は同市福祉課の職員だった。

 ◆木くずで起こした火で煮炊きしていた父

 当時、黒田さんは30代後半。父の杉本賢三さん=仮名、当時(61)=と市営住宅で同居していたが、結婚で独立し、杉本さんは単身生活を送っていた。駆け付けると、ライフラインは全て止められ、石油ストーブの燃焼筒に外で拾い集めた木くずを入れてマッチで着火し、わずかに残ったコメを煮炊きしていた。窮状を見かけた近所の住民が市へ通報したのだという。
 
 杉本さんは料理人として働いていたが、心臓疾患などによる体調悪化で就労困難な状態が続いていた。黒田さんは市福祉課に相談したが、「家族で支え合って」「実家に戻りなさい」と相手にしてもらえなかった。同年8月、杉本さんはやむを得ず市内の実家で暮らす妹、黒田さんにとっては叔母の家に身を寄せる。
 
黒田さん(仮名)が書きとめていたメモ。父親の困窮と桐生市の対応が記されている

黒田さん(仮名)が書きとめていたメモ。父親の困窮と桐生市の対応が記されている

 しかし、以前から折り合いが悪かったため、杉本さんは母屋に入れず、隣接する廃工場に身を置いた。猛暑で知られる桐生市でエアコンも風呂もない住環境は、ただでさえ万全ではない体力を奪った。

 ◆「家計簿をつけて」「1日800円で生活」

 叔母は無職、黒田さんは当時子育て中で働いておらず、夫の収入も父親を養うだけの余裕はなかった。窮状から脱するには生活保護以外に道はなく、黒田さんは父と叔母の生活保護を申請するため、市福祉課を訪れた。しかし、担当職員は「1カ月、家計簿をつけてください」と告げる。「生活保護を受けている人で1日800円で生活している人もいる。見習うように」と申請させなかった。いわゆる「水際作戦」だ。
 
 さらに、同課職員が自宅に来て夫の通帳を見て収入を確認し、家賃や車のローン残額などを聞き出した。「なぜそんなことまでされないといけないのか」と憤ったが、ここで職員の機嫌を損ねたら、さらに不利な扱いを受けるかもしれない、という懸念から何も言えなかった。
 
群馬県の桐生市役所

群馬県の桐生市役所

 見かねた友人から、黒田さんは困窮者支援に取り組む仲道宗弘司法書士(群馬県伊勢崎市)を紹介され、窓口に同行してもらったことで、同年9月にようやく保護が決まった。

 ◆暴言「社会性のなさから生活保護になった」

 その際、担当職員は窓口で黒田さんに「お父さんの社会性のなさから生活保護になった」と、大声で暴言を吐いたという。窓口は個室ではなく、執務フロアで周囲に大勢の職員や他の来訪者もいた。黒田さんは「悔しくてたまらなかった」と振り返る。
 
 黒田さんは仲道司法書士の助言で、一連の経過をメモで記録していた。
 
 「町でぐうぜん父の姿を見かけ、びっくりする。ホームレス状態」「市へ電話をすると、『家族で支え合って』『実家にもどれ』の一点ばり」
 生活保護が決まってからも、杉本さん、黒田さん父娘にはさらなる試練が降りかかった。

                ◇
 
<連載・砂上の安全網>
 生活保護は「最後のセーフティーネット(安全網)」とも呼ばれる。国民の生存権を保障した憲法25条を根拠とする制度だからだ。しかし、桐生市では保護費を1日1000円に分割した上に満額支給しなかったり、受給者から預かった印鑑を無断押印したりするなど、違法性を強く疑われる運用が表面化した。黒田さんの体験から問題点を洗い出す。(この連載は、小松田健一と福岡範行が担当します)

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 社会 【話題・社会保障・群馬県桐生市における生活保護の水際作戦】  2024年02月16日  17:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政府】:子育て増税?実質負担なし? 国民から「月500円弱」徴収する子育て支援金、岸田首相の説明が分からない

2024-02-13 06:10:10 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【政府】:子育て増税?実質負担なし? 国民から「月500円弱」徴収する子育て支援金、岸田首相の説明が分からない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政府】:子育て増税?実質負担なし? 国民から「月500円弱」徴収する子育て支援金、岸田首相の説明が分からない 

 政府が少子化対策の財源確保のために2026年度から公的医療保険料と併せて徴収する「子ども・子育て支援金」を巡り、野党が「子育て増税だ」との批判を強めている。岸田文雄首相は国会で1人当たりの徴収額を月平均500円弱と示したが、「実質的な負担は生じさせない」と繰り返す。保険料として徴収しながら「負担なし」とする複雑な説明は、国民の納得を得られるだろうか。(井上峻輔、坂田奈央)

 ◆やっと示した「粗い試算」

 「負担増なのに支援金という言葉でごまかしてきた。あり得ない」。立憲民主党の泉健太代表は9日の記者会見で、首相の説明を批判した。政府は支援金制度の創設を盛り込んだ「子ども・子育て支援法等改正案」を16日にも閣議決定し、月内に国会に提出する方針だ。
 
衆院予算委に臨む岸田首相=9日、国会で

衆院予算委に臨む岸田首相=9日、国会で

 首相は6日の衆院予算委員会で「粗い試算」として徴収額を初めて表明。支援金が総額1兆円となる28年時点で「月平均500円弱」になると述べたものの、医療保険と併せて徴収するため、実際は加入する保険制度や所得によって金額は異なるとした。
 
 答弁を引き出した立憲民主党の早稲田夕季氏は「国民負担ゼロどころか事実上の子育て増税だ」と主張。「年間なら6000円。いや、1万円かもしれない。共働き世帯だったら2万円かも。『負担が増えない』という言葉を撤回してほしい」と迫った。首相は従来通り「賃上げと歳出改革によって社会保険負担の軽減効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度を用意するので、実質的な負担は生じない」と応じ、その後も同様の答弁を繰り返した。

 ◆「実質」の意味するところは?

 「実質負担なし」は本当なのか。6日の衆院予算委で国民民主党の玉木雄一郎代表は「支援金が実質負担にならないために必要な賃上げはいくらなのか」と詰め寄った。だが、首相は「賃上げと歳出改革の両方を活用することで…」と繰り返して正面から答えず、不誠実な印象を残した。
 
 交流サイト(SNS)では「月500円弱」という言葉がトレンドワード入りし、政治とカネの問題も踏まえた厳しい声が相次いでいる。
 
  政府は医療・介護分野の歳出改革によって保険料負担の伸びを抑えるとするが、医療・介護従事者の賃上げも掲げる。賃上げが保険料上昇の要因となるが、政府は「賃上げによる保険料の増加分は『負担』に算定しない」などつじつま合わせのような主張も目立つ。野党からは「国民に『きちんと負担してください』と言うべきだ」(立民・奥野総一郎氏)と真摯(しんし)な説明を求める声も上がる。
 
 少子化対策の具体化に向けた政府会議で提言した東大大学院の山口慎太郎教授は「『実質負担なし』との説明は受け入れがたい。国民の反発を避けたいという思いがあるのだろうが、具体的な支援メニューをまとめた以上、給付だけでなく負担とセットで丁寧に説明するべきだ」と話す。

 ■政府の少子化対策 岸田文雄首相が「異次元の少子化対策」を掲げ、児童手当や育児休業給付の拡充、親の就労の有無を問わず保育を利用できる制度を盛り込んだ「こども未来戦略」を2023年12月に閣議決定した。国と地方を合わせて新たに年3兆6000億円規模の予算を充てる。財源確保の仕組みが整う28年度には、既定予算の組み替えで約1兆5000億円、社会保障の歳出改革で約1兆1000億円、「子ども・子育て支援金」で約1兆円を捻出する。支援金の徴収は26年度から始め、段階的に引き上げる。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・岸田政権・少子化対策の財源確保のために2026年度から公的医療保険料と併せて徴収する「子ども・子育て支援金」】  2024年02月12日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【小沢一郎氏】:「大嘘つき」岸田首相が「月額500円弱」と訴えた「子育て増税」のからくりに怒り

2024-02-13 06:10:00 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【小沢一郎氏】:「大嘘つき」岸田首相が「月額500円弱」と訴えた「子育て増税」のからくりに怒り

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【小沢一郎氏】:「大嘘つき」岸田首相が「月額500円弱」と訴えた「子育て増税」のからくりに怒り 

 立憲民主党の小沢一郎衆院議員は12日、自身のX(旧ツイッター)を更新。岸田文雄首相が少子化対策の一環で公的医療保険料に上乗せして徴収する「子ども・子育て支援金」の国民の負担額を、「粗い試算」とした上で1人平均「月500円弱」と述べたことについて「支離滅裂で意味不明」とバッサリ切った。

小沢一郎衆院議員(2024年1月1日撮影)

 

 「明らかな『負担増』なのに『支援金は負担増には当たらない』と主張する総理。支離滅裂で意味不明。大嘘つき。言葉でごまかし、国民を騙し続ける自民党。許されない」と投稿した。

 この国民負担増について、6日の衆院予算委員会で岸田首相を追及した立民の早稲田夕季議員は「ステルス増税」「事実上の子育て増税だ」と、そのからくりを厳しく批判。首相は「歳出改革と賃上げで負担軽減の効果を生じさせ、実質的な負担は生じない」と述べたが、SNSには「おい、事実上の増税じゃねーか、コレ!」「増税を勝手に決めるな」など厳しい批判が相次ぎ、「月額500円弱」はネット上のトレンドワードになったほどだった。

 試算では、所得額や加入する医療保険組合によって被保険者の月額の負担額は異なるため、「月額500円弱」ではとどまらず、年間で換算すると、1万円を超えるケースもあるとされる。首相の説明も不十分なままで、小沢氏の指摘にとどまらず、国民の怒りが今後さらに増幅していくのは避けられない。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・政局・立憲民主党・岸田政権の少子化対策の一環で公的医療保険料に上乗せして徴収する「子ども・子育て支援金」の国民の負担額を、「粗い試算」と発言】  2024年02月12日  15:33:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:週のはじめに考える 住宅供給という社会保障

2024-02-11 07:33:50 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説①】:週のはじめに考える 住宅供給という社会保障

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:週のはじめに考える 住宅供給という社会保障

 自然災害は「衣・食・住」と、それを支える「職」という生活基盤を一気に喪失させます。能登半島地震は私たちに、その恐ろしさをあらためて実感させました。

 生存を脅かす住宅の喪失は災害時に限りません。2008年、リーマン・ショック後の経済危機で多くの派遣労働者らが派遣切りに遭い、失業しました。

◆人間の生存権そのもの

 深刻だったのは失業に伴い職場が用意した寮からも追い出されたことです。その年末、市民団体などが東京・日比谷公園に設置した「年越し派遣村」に約500人の失業者が集まり、派遣切りの苦境が可視化されました。失業しても住まいがあれば、派遣村はできなかったかもしれません。
 
 職を失うと住む家も失う現実は憲法が保障する居住する権利、生存権をも踏みにじりました。
 
 欧州では住宅は国民の安全や健康を守る社会保障と位置付けられ戦災復興期を含めて政府などが公的住宅を整備してきました。国民側にも住宅の確保は基本的人権という思いがあり、市民運動を通して政府を後押ししています。
 
 日本でも戦後、公的住宅は整備されてきましたが、自力で確保が困難な人のための住宅確保は、今も十分とはいえません。
 
 住宅は年金、医療・介護、子育て支援、福祉サービスなど政府が責任を持つべき社会保障政策ではなく、個人の問題として考えられがちです。経済政策として持ち家が推奨されたこともあり、「公共財」という意識は希薄です。
 
 しかし、こう考えてみてはどうでしょう。低廉な賃貸住宅があれば、ほかの社会保障同様、年金で暮らす高齢者や非正規で働く人の生活を支えることができます。
 住宅に対する不安は、若い世代に子どもを産み、育てることをためらわせ、少子化の要因にもなっているのではないでしょうか。
 
 誰もが安心して住めるよう住宅を確保することは、政府や自治体が責任を持つ福祉という観点が不可欠ですが、日本の住宅政策から抜け落ちているのが現実です。
 実は日本には戦後の混乱期、住宅が社会保障政策になったかもしれない分岐点がありました。
 
 1951年、厚生省(現・厚生労働省)は低廉な公的住宅を建設するため「厚生住宅法案」をまとめていました。住居に困っている人を対象にした住宅だけでなく生活支援をも含む福祉政策でした。
 
 その動きに対抗したのが建設省(現・国土交通省)。中所得層向けに住宅供給を促進する「公営住宅法案」をつくり、住宅産業への支援に傾いていきます。
 
 
 両省の激しい駆け引きを経て、建設省の公営住宅法案に軍配を上げたのが、後に首相となる田中角栄氏=写真=でした。自ら推す建設省の案を、厚生省が口出ししづらい議員立法で法案化し、成立させたといわれています。
 
 公営住宅法は、厚生省案を一部盛り込み、憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活を営む」権利である生存権の実現を目的としてはいますが、社会保障政策としての理念は、時代の地層に埋もれてしまったのです。
 
 その後、田中氏は不動産・建設業界との連携を強め、民間による土地・住宅開発を推し進めます。それは「日本列島改造論」へとつながっていきますが、列島改造論は不動産業界の土地買い占めで地価高騰を招き、庶民の住宅確保はますます遠のいていきました。
 
 今でも住宅費は教育費と並び、家計には大きな負担のままです。失業者や高齢者、障害者、低所得者らなら、なおさらでしょう。
 
 少子高齢化が進み、住宅確保が難しい高齢の単身世帯も増加します。賃金が上がらない現役世代の状況も同じでしょう。住宅政策を社会保障政策として考えなければならない時代にきています。

 ◆誰ひとり取り残さない

 国交省、厚労省、法務省は合同で有識者検討会を開き、高齢者ら支援を要する人の住宅確保のあり方に関する報告書を昨年12月に発表しました。注目すべきは国交、厚労両省が72年前の対立を超え、連携を模索し始めたことです。
 
 報告書は政府に対し、入居の相談から住宅の確保、入居後の支援まで一体的な取り組みを自治体や経済団体などと協力して進めるよう求めています。
 
 縦割り行政の弊害を排し、生活困窮者に社会保障として住宅を供給することが生存権という憲法理念の実現であるとの意識を社会全体で共有できれば、誰ひとり取り残さない社会の実現に一歩近づけると思うのです。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年02月11日  07:33:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:年金額の改定 暮らし底上げ知恵絞れ

2024-01-29 07:46:40 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説②】:年金額の改定 暮らし底上げ知恵絞れ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:年金額の改定 暮らし底上げ知恵絞れ

 2024年度の公的年金額が決まった。23年度に比べて2・7%増と2年連続の増額だが、物価や賃金の上昇分を下回る。年金額の上昇を一定程度抑制する「マクロ経済スライド」が働くためだ。

 物価や賃金の上昇分に比べて年金額の増額を抑制するのは、将来世代の年金財源に充てるため。世代間の支え合いの仕組みだが、年金受給中の高齢者には痛手だ。制度の意義を十分説明し、理解を得る努力を尽くさねばならない。
 
 低年金者には年金とは別に月額最大約5千円の支援給付金制度がある。給付金の増額に加え、重い負担である住宅費軽減のために安価な住宅提供を検討するなど、暮らしの底上げに知恵を絞りたい。
 
 年金は働く現役世代の保険料で支えられている。賃上げが実現すれば保険料収入も増え、年金制度はより安定する。大幅賃上げが期待される今年の春闘で、企業と労働組合は誠実に交渉し、確実な賃上げにつなげるべきは当然だ。
 
 現役世代が将来受け取る年金額を増やすための制度改正も重要となる。
 
 厚生労働省は短時間労働者を対象に厚生年金への加入拡大を進めている。適用対象となる企業規模を現在の100人超から、今年10月には50人超に広げる。
 
 職場規模の違いで厚生年金加入に差がある現状は、社会保障の公平性に欠ける。一定の時間働いて一定の所得があれば加入できるようにすべきだ。いずれは企業規模要件の撤廃も検討してほしい。
 
 国民年金(基礎年金)の額を増やすために、保険料の納付期間を40年から45年に延ばす案も検討されている。保険料負担は増えるものの、受け取る年金額も約12%増える。
 
 長寿化により厚生年金加入者は60代以降も働き続け、保険料を引き続き負担することが一般的だ。国民年金の納付期間の延長も検討すべき課題だろう。
 
 国民年金では自営業者やフリーランスらを対象に、子どもが1歳になるまで両親の保険料納付を免除する子育て支援策を26年度中に実施することを目指している。厚生年金では既に同様の免除制度がある。
 
 どの世代、どんな働き方でも年金制度のメリットを受けられるようにすることが制度全体の信頼性を高める。政府にはよりよい制度に向けた不断の検討を求めたい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年01月29日  07:33:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:介護職の待遇 賃上げで奮闘支えねば

2024-01-23 08:07:50 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説①】:介護職の待遇 賃上げで奮闘支えねば

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:介護職の待遇 賃上げで奮闘支えねば

 介護サービスの対価として介護保険などから介護事業者に支払われる報酬の改定内容が決まった。現場で介護を支える職員の賃金が2024年度に2・5%、25年度に2・0%のベースアップになるよう事業者への報酬を増やす。

 ただ、想定通りの賃上げが実現しても昨年の春闘での主要企業の平均賃上げ率3・6%には及ばない。介護職の平均賃金は全産業平均より月額約7万円低いままだ。現場の奮闘に応えるには継続的な賃上げを実現する必要がある。
 
 介護報酬は3年に1度改定され今回は24年度から実施する。
 
 
 介護報酬全体の引き上げ幅は1・59%(国費で432億円)=グラフ。その一部を職員の賃上げに充て、特定職種に偏らないよう報酬配分にも柔軟性を持たせる。
 
 厚生労働省は賃上げ実施の実態を調査し、改善が必要な場合、速やかに策を講じるべきである。
 
 事業者への報酬が増えれば、保険料や利用者負担も増えることになる。政府は国民に対し、待遇改善の必要性を粘り強く説明しなければならない。
 
 今回の改定では、働きやすい職場づくりの一環で、介護現場の生産性向上策を検討する委員会設置を新たに事業者に義務付け、介護ロボットなどの技術を活用した場合の報酬も新設する、という。
 
 効率的で質の高いサービスを提供する取り組みは職員の待遇改善にもつながると期待したい。
 
 コロナ禍では医療機関に入院できず、介護施設にとどまった入所者に十分な医療が提供できないという課題も浮き彫りとなった。
 
 このため、あらかじめ医療機関との連携、感染症に対応する研修や訓練への参加、医療機関からの指導を受ける取り組みなどを対象に報酬を新設し、感染症対策を強化する。一方、感染症や災害時の「業務継続計画」を策定していない事業者への報酬は減額する。
 
 感染症や災害はいつどこで起きるか分からない。そうした非常時でも可能な限り介護サービスを提供し、高齢者が安心できるよう職員を確保して体制を整えておくことが必要だ。そのための介護報酬改定でなければならない。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年01月23日  08:07:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:改正健保法成立 全世代型の負担に理解求めよ

2023-05-18 05:00:45 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説①】:改正健保法成立 全世代型の負担に理解求めよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:改正健保法成立 全世代型の負担に理解求めよ

 後期高齢者医療制度を支える現役世代に、重い負荷がかかっている。政府は高齢者に丁寧に説明し、負担増への協力を求めることが大切だ。

 改正健康保険法が成立した。75歳以上が加入している後期高齢者医療制度の保険料を引き上げることが柱だ。

 高齢者の医療費は、全体で年間44兆円に上る医療費の4割近くを占めている。戦後生まれの「団塊の世代」は75歳を迎え、2025年には、全員が後期高齢者医療制度に移行することになる。

 医療費は今後も増え続ける見通しだ。制度の持続可能性を高めるには不断の改革が欠かせない。

 改正法は、75歳以上の保険料を段階的に引き上げる。24年度は、年金収入が年間211万円を超える人が対象で、25年度以降は年間153万円超の人に拡大する。

 厚生労働省の試算では、年金を含めた収入が年間200万円の人の場合、保険料は1年間で3900円増えるという。

 影響を受ける人は、75歳以上の4割に及ぶ大きな見直しだ。円滑な導入に向けては、高齢者の理解を得ることが重要となる。

 08年に始まった後期高齢者医療制度は、5割が公費、4割が現役世代からの支援金、1割が高齢者の保険料で賄われている。当初に比べ、高齢者1人あたりの負担が1・2倍になった一方、現役世代は1・7倍に増えている。

 病気になりがちな高齢期を若い世代が支えることは公的医療保険の大切な役割だ。とはいえ、現役世代の負担が過重になれば、世代間の不公平感が増幅しかねない。一定の収入がある高齢者に負担を求めるのはやむを得まい。

 ただ、食料品の価格や光熱費が上昇するなか、高齢者世帯にとって保険料の負担増は重荷だ。政府は必要なら、物価高騰対策を講じることも検討してもらいたい。

 負担増にとどまらず、医療費の伸びを抑えることも重要な課題だ。政府は、薬の重複投与などの無駄を省くとともに、安価な後発医薬品の利用を促すといった取り組みを強化してほしい。

 また、改正法には、子供が生まれた人に支給される出産育児一時金について、後期高齢者医療制度からも費用を支出する仕組みが盛り込まれた。幅広い世代で支え合う「全世代型社会保障」の考え方を具体化したものだ。

 少子化対策の財源に社会保険料を充てることは必要だが、それだけでは賄えない。税のあり方も含め、議論を深めるべきだ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年05月17日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:週のはじめに考える 困った時はお互いさま

2023-02-14 07:57:50 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説①】:週のはじめに考える 困った時はお互いさま

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:週のはじめに考える 困った時はお互いさま

 二〇二三年度の公的年金額が決まりました。賃金や物価が上昇したので年金額も増えます。ただ、その額は、年金額の上昇を抑える仕組みが働くため物価上昇分に届かず、実質的には目減りです。

 抑えられた給付額は、将来世代の年金財源に充てられます。この仕組みは、〇四年の制度改正で導入が決まりました。
 
 
 少子高齢化が進み、年金額の伸びを抑えないと現役世代が支払う保険料は際限なく上がります。それを防ぐために、保険料を一定のところまで引き上げて固定し、そこから得られる財源で年金を払う方式への変更です。
 
 この改正では厚生労働省のある官僚の嘆きが忘れられません。
 
 それまでは年金額について、高齢期の生活を支えるためにさまざまな経済指標を集め、突っ込んだ議論をしていたといいます。
 
 しかし、制度の考え方が必要な額でなく、払える額に変わってからは、こんな議論もなくなってしまったそうです。

 ◆低下する社会の「防貧力」

 日本の社会保障制度は、戦後の混乱期の貧困から救う「救貧」や貧困に陥ることを防ぐ「防貧」を中心に整備されてきました。高齢期の生活を主に支える公的年金は防貧の代表です。
 
 戦後の経済発展とともに年金、医療、介護、雇用、労災などの社会保険を整備して高齢や失業に伴う収入減や、傷病など医療の費用を社会全体で分担する仕組みを防貧力として育ててきました。
 
 しかし、必要な額ではなく、払える額しか払わないのでは、防貧力が土台から崩れかねません。
 
 その最大の要因は少子化に伴う人口減少と経済の停滞です。少子化は社会を支える人材を、経済の停滞は一人一人の支える力をそれぞれ奪います。
 
 国民生活基礎調査によると、二〇年の全世帯の所得中央値は四百四十万円で二十五年前の五百五十万円から二割減り、逆に四百万円未満の世帯数割合は増えています=グラフ。社会を中心で支える中間層が貧しくなっているのです。
 
 もうひとつ、社会保障制度を静かにむしばんでいる要因として「分断」が挙げられます。
 
 社会保障制度は支え合いの営みであり、それなしに制度は成り立ちませんが、制度を揺るがすような人間関係のざらつきが広がっているのです。
 
 企業の人事管理を支援する専門家からこんな話を聞きました。
 
 ある企業の社員食堂では出入り口に近い便利な場所を社員とパート従業員が利用し、奥の薄暗い場所は派遣社員や外部から来ている委託企業の従業員が利用するとの暗黙のルールがあるそうです。
 
 事情を知らない外部従業員が、いつもは社員が使う場所に座ろうものなら、苦情が出そうな空気が支配しているといいます。会話もかわされないことでしょう。そこにあるのは分断です。
 
 以前なら、立場が違っても同じ職場の仲間意識があり、それが安心感にもつながっていました。
 
 しかし、社会のあらゆる場面で個人が分断され、他人には構っていられなくなりました。自分以外を「敵」と見なすこともしばしばです。貧困が分断を拡大させ、コロナ禍で加速しています。
 
 自分の弱みを人に語り、理解し合うことで人はつながります。
 
 でも分断が進むと、同じ社会で生きていながら気持ちの交換が滞ってしまいます。話を聞いてもらいたいのに聞いてもらえないという不安が募り、助け合う気持ちも擦り切れています。
 
 絵本「ぼく モグラ キツネ 馬」(チャーリー・マッケジー著・川村元気訳、飛鳥新社)は、少年が動物たちとの対話を通して生きる意味を考える物語です。
 
 少年が「いままでにあなたがいったなかで、いちばんゆうかんなことばは?」と聞くと、馬は「たすけて」。「いちばん強かったのはいつ?」と聞くと、馬は「弱さをみせることができたとき」と答えます。

 ◆支え合い再生のために

 支え合いを再生するために、まずはお互いに人の話を聞くことから始めてはどうでしょう。
 
 誰かに自分の弱さを聞いてもらって理解してもらう。そうすれば不安でいっぱいの心に安心が芽生え、ほかの誰かの不安にも耳を傾ける余裕ができるでしょう。
 
 物語の馬が「勇敢な言葉」だと語った「助けて」のひと言が言える、そして聞いてあげられる社会にしたい。だって「困った時はお互いさま」ですから。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年02月12日  07:12:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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