【政界地獄耳・03.04】:「新たなる戦前」駒を進めかねない時期に、物足りない首相発言
『漂流する日本の羅針盤を目指:【政界地獄耳・03.01】:「新たなる戦前」駒を進めかねない時期に、物足りない首相発言
★25年2月6日(現地時間)首相・石破茂は米・ホワイトハウスを訪れ、翌7日にドナルド・トランプ米大統領と初の日米首脳会談を行った。トランプは就任以来、バイデン前大統領の功績の多くを覆すために大統領令を次々と発令。カナダ、メキシコにも外交とは言えない挑発を繰り返した。日米変人同士の会談としては注目されたものの、石破は外務省の振り付けと一夜漬けの勉強が功を奏し、日本メディアのワシントン電はいずれももろ手を挙げての成功としていたが、各社の社説はもう少し冷めていた。
★その体質からほかの選択肢はないのだろうが、外務省が演出すれば、日米同盟の強化を繰り返し、対米投資が大きいことで機嫌は取れたかもしれないが、石破だからこその成功とは言えまい。ただアメリカに寄り添うのか、トランプとともに歩むのかではだいぶ違う。ウクライナ支援に前のめりだったバイデン政権とトランプ政権の違いを日本外交はどう消化していくのか。そこが全く分からない。日本の報道だけ見ていたら、ゼレンスキー支持者とトランプ支持者が生まれ、対立するのは必然だろう。外交は利害の交渉だけではない。地政学と信頼関係も重要な要素になる。だが商取引だけが議題になる外交をテレビカメラの前でやるまでアメリカの外交は価値が下がったといえる。
★外交に値段をつけるために米露が組むなどという構図はどんな国際政治の世界にも想定されず、多分そんな小説ができても売れないだろう。ただ現実に起こっていることをみれば、外交のカードは交渉に使える資源か領土かカネということになる。首相は3月1日、この会談について「かなり感情的なやりとりだったようだが、平和を実現するためには忍耐も思いやりもいる。外交は感情をぶつけ合えばいいというものではない」「G7の結束が乱れないよう努力したい」と中途半端な感想を述べた。世界が新たなる戦前に駒を進めかねない時期に極めて物足りない。(K)※敬称略
◆政界地獄耳
政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】 2025年03月04日 07:39:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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