路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説】:英のTPP加入交渉 国内産業に影響ないか

2021-06-04 07:06:50 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、APEC、EPA他】

【社説】:英のTPP加入交渉 国内産業に影響ないか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:英のTPP加入交渉 国内産業に影響ないか 

 環太平洋連携協定(TPP)に英国が加入するための交渉が始まった。交渉の詰めはこれからだが、新規加入が実現すれば2018年12月の発効以来、初めてになる。

 参加国がアジア太平洋地域以外に広がることにもなる。米国の参加交渉からの離脱によって薄れがちだったTPPの存在感が増してこよう。保護主義の強まりに対し、自由貿易の枠組みが広がる意味は大きい。

 英国との交渉では、日本は議長国としてかじ取り役を担う。加入を望む中国やタイも推移を見守っている。日本の指導力や交渉力が問われることになる。

 TPPは日本、カナダ、オーストラリア、ベトナムなど11カ国が合意した自由貿易の枠組みだ。関税撤廃率は100%近く、国有企業優遇の原則禁止や知的財産の保護など、自由で公正な経済活動を目指した厳しいルールを定めている。

 英国は欧州連合(EU)を離脱した。TPPを新たな成長の足がかりと位置づけ、アジア太平洋地域との結びつきを強めたいとの思惑があるのだろう。

 日本をはじめとするTPP参加国も交渉入りを歓迎する。米国の不参加で、比較的大きな経済規模を有するのはカナダ、オーストラリアだけ。英国の参加をきっかけに、拡大機運が高まることを期待している。

 だが交渉を急ぐあまり、関税自由化の水準や投資・貿易などのルールを見直すことは避けるべきだ。

 英国は今年1月に発効した日本との経済連携協定(EPA)の交渉時に英国産チーズなどの関税引き下げを求めた経緯がある。今回の交渉でも議題にされる可能性はある。

 あしき前例ができれば、TPPに参加意欲を持っている中国やタイなども参加条件の緩和を迫ってくる可能性が高い。

 中国は知的財産保護や国有企業の優遇禁止のルールをクリアできていない。タイも農業や医薬品分野でTPPはマイナスという反対論が拡大し、結論が先延ばしになっている。

 高水準の協定が骨抜きにされればTPPの存在意義も失う。それでは本末転倒であろう。

 TPP発効以降、外国産の肉や乳製品、果物などは確かに安くなった。農産物の輸入は確実に増え、国内の農業に打撃を与えているのは間違いない。

 関税は段階的に撤廃され、生産者の苦悩は年々増す。加盟国が増えた場合の影響について国内で議論を尽くし、対策を講じるのが先ではないか。

 コロナ禍によって、国際的なサプライチェーン(供給網)が崩れ、食料需給にも大きな影響を与えている。

 頼みとなるのは国産農産物だが、日本の食料自給率は18年度にカロリーベースで37%と過去最低に落ち込み、上向く兆しは見えない。政府が目標とする25年度の45%達成は厳しいと言わざるを得ない。

 TPPの拡大によって過度な市場競争原理が農業分野に浸透すれば、輸入農産物などの流入拡大だけでなく、生産基盤の弱い中国地方の中山間地域の農業などにも深刻なダメージを与える恐れがある。

 輸入頼みでは危うい。政府は食料安全保障の観点から、危機感を持って自給率を高める農業振興策に取り組む必要がある。 

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年06月04日  07:06:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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《社説②》:新体制のWTO 貿易の秩序立て直す時だ

2021-02-22 02:03:40 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、APEC、EPA他】

《社説②》:新体制のWTO 貿易の秩序立て直す時だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:新体制のWTO 貿易の秩序立て直す時だ

 世界貿易機関(WTO)の事務局長に、ナイジェリアのオコンジョイウェアラ氏が選出された。3月に就任し、半年にわたるトップ不在という異例の事態がようやく解消される。

 初のアフリカ出身で、女性のトップも初めてだ。世界銀行の専務理事や母国の財務相を歴任した経験を生かし、自由貿易体制の立て直しに手腕を発揮してほしい。

 米中貿易戦争の深刻化で、WTOはまひ状態にある。前任の事務局長が任期途中で辞任し、後継選出が遅れたのもそのためだ。

 中国の影響力が強いアフリカからの起用には、米国のトランプ前大統領が反対していたが、バイデン政権が方針を転換した。

 米国は保護主義的な政策を改め、WTOの再建に貢献すべきだ。貿易紛争の解決機能を回復できるかが、その試金石となろう。

 WTOで司法の役割を担う「上級委員会」は委員不在のまま、1年以上活動していない。トランプ政権が、欠員補充を阻んでいたためだ。

 だが、自国の利害を優先するばかりでは、経済に悪影響を及ぼす。上級委を正常化させた上で、制度のあり方を議論するのが筋だ。

 先進国と途上国の対立緩和に向け、一層の努力も求められる。

 先進国には、中国への不満が根強い。WTO協定上、関税の設定などで優遇される途上国として扱われ、不透明な手法で自国産業を優遇していると見られるためだ。 

 ただし、トランプ政権のようにやみくもに制裁を発動しても解決はしない。議論を重ね、必要な改革を一歩ずつ進めるしかない。

 中国は、ルール順守の姿勢を徹底すべきだ。他国の信頼を得るには、企業補助金をはじめとする産業政策の透明化が欠かせない。

 WTOの最大の使命は、経済の変化に対応した投資や取引に関するルールを決めることだ。しかし、加盟国間の利害調整が難しく、役割を果たせていない。

 日本は、国境をまたぐデータの流通や電子商取引を円滑に行う環境整備を主導する。議論を前進させ、WTOを支えてもらいたい。

 コロナ禍で医療品を囲い込む保護主義的な動きも広がった。自由で公正な貿易を守るため、加盟国の協調を取り戻す契機としたい。 

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年02月22日  02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:WTO人事 新たなトップ支えねば

2021-02-20 07:27:15 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、APEC、EPA他】

【社説①】:WTO人事 新たなトップ支えねば

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:WTO人事 新たなトップ支えねば

 世界貿易機関(WTO)が次の事務局長人事を承認した。米中対立でWTOの影響力は低下しており、自由貿易の恩恵を受ける日本は、組織の再構築に向け新たなトップを全力で支えるべきだ。

 WTOが承認したのはナイジェリアのオコンジョイウェアラ元財務相だ。三月一日に就任する。女性としてもアフリカ出身としても初で意義深い人事と評価できる。
 一九九五年に発足したWTOは自由貿易のルールづくりを推進してきた。しかし国有企業を優先させながら経済成長を図る中国と、それに不信を抱く米国との対立が激化。その影響により加盟国間の紛争を処理する委員会が一昨年から活動停止となるなど、組織全体の機能低下が顕著になっていた。
 戦後の世界貿易は関税貿易一般協定(ガット)を通じて関税を緩和することで自由化を進めてきた。後継のWTOは交渉対象を労働移動やデジタル取引などにも広げ、強い紛争処理能力も持つ発展型ガットといえる組織だ。
 付加価値の大きい製品を生産し富を蓄えてきた日本は、ガットからWTOへと続く枠組みの中で国益を得てきた。停滞するWTOの再生は日本にとっても喫緊の課題である。
 オコンジョイウェアラ氏は就任後、直ちに山積した難題と向き合う。まずは米中対立の緩和だが、その際、米国だけでなく中国とも太いパイプを持つ日本は一定の役割を果たせるはずだ。人選をめぐって最終的に足並みをそろえた欧州ともスクラムを組めば確実に大きな力になる。
 米国を中心に傾きかけた保護貿易の流れを転換させる作業も重要だ。立場の弱い途上国への配慮を再び自由貿易の軌道の中に組み入れる必要もある。
 大国同士あるいは先進国同士、先進国対途上国。WTO内の利害関係は非常に複雑で、調整は難航を極めるだろう。ただ貧しい中から身を起こし、世界銀行で要職を務めるなど豊かな国際経験を積んだ同氏の手腕には期待してもいいのではないか。
 コロナ禍に関し同氏は早速、ワクチンが貧しい国に届くよう求めた。新型ウイルスが人類共通の敵である以上、格差解消を強く意識した視座は正当だ。
 今回の人事刷新はWTO再生のチャンスでもある。菅義偉首相をはじめ関係閣僚は具体的に支持を表明することで、WTOの新体制を力強く支えてほしい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年02月18日  08:12:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②》:英国のTPP加盟申請 自由貿易再建への弾みに

2021-02-03 02:05:50 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、APEC、EPA他】

《社説②》:英国のTPP加盟申請 自由貿易再建への弾みに

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:英国のTPP加盟申請 自由貿易再建への弾みに 

 日本など11カ国が参加する環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に、英国が加盟を申請した。

 認められれば、発足後初の新規加盟となり、自由貿易の枠組みがアジア太平洋の域外に広がる。保護主義の流れを反転させる効果も期待されよう。

 TPPは、デジタル化など経済の変化を反映した貿易や投資のルールを定めている。関税撤廃率をはじめ自由化の水準は高い。

 ただ、中国などが参加する地域的な包括的経済連携(RCEP)に比べれば小規模な経済圏だ。

 それでも英国がTPPを選んだのは、自由主義の価値観を共有する地域との連携を強め、中国をけん制しながらアジアの成長を取り込もうと考えたためだ。

 欧州連合(EU)離脱後、主体的に経済外交を展開している姿をアピールする思惑もうかがえる。

 TPP参加国は今春にも、英国との交渉に入る。既存のルールを受け入れることが加盟の前提だ。

 今年のTPP議長国である日本は申請を歓迎しているが、自由化の水準低下につながる変更を英国が求めてきた場合は、応じるべきではない。

 安易に妥協すれば、中国にいたずらに期待感を抱かせることにもなりかねない。中国は近年、貿易協定を通じて経済のルール構築を主導しようとする動きを強め、TPPにも秋波を送っている。

 しかし、国有企業の優遇や知的財産権の保護を巡って競争環境をゆがめているとの懸念を残したままでは、加盟のハードルは高い。

 制度を透明化し、企業が自由に活動できる環境の整備が先決だ。TPPは、中国に改革を迫る枠組みとしても有効といえる。

 最大の課題は米国の復帰である。バイデン政権は国内産業の保護に軸足を置いており、早期に実現する可能性は低い。

 韓国やタイなどもTPPに関心を示している。加盟国を増やして経済圏としての価値を高め、関与しないと国益を損なうとの認識を、米国に持たせることが肝要だ。

 世界貿易機関(WTO)の事務局長選出や紛争処理手続きの正常化を進める上でも、米国の対応が鍵を握る。日本は働きかけを強め、自由貿易の再建に向けて役割を果たすべきだ。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年02月03日  02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【質問なるほドリ】:RCEPの経済効果は? 参加国GDP押し上げ 日本は0.8%増の試算

2021-01-03 02:03:30 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、APEC、EPA他】

【質問なるほドリ】:RCEPの経済効果は? 参加国GDP押し上げ 日本は0.8%増の試算=回答・藤渕志保

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【質問なるほドリ】:RCEPの経済効果は? 参加国GDP押し上げ 日本は0.8%増の試算=回答・藤渕志保

 ■なるほドリ この前、ニュースに出ていたRCEPって何?

 記者 日本、中国、韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)の10カ国、オーストラリア、ニュージーランドが11月に合意した自由貿易協定「地域的な包括的経済連携(ほうかつてきけいざいれんけい)」ですね。英語表記の頭文字をとって「アールセップ」と読みます。アジア・太平洋地域の15カ国が工業製品や農林水産品の関税(かんぜい)引き下げ、投資やサービスのやり取りを促すためのルールを決めました。

 ※この記事は有料記事です。「ご登録日から1カ月間は100円」 いますぐ登録して、続きをお読み下さい。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【質問なるほドリ】  2021年01月03日  02:03:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:日英EPA締結 加速する自由化 検証を

2020-10-30 05:05:55 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、APEC、EPA他】

【社説①】:日英EPA締結 加速する自由化 検証を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:日英EPA締結 加速する自由化 検証を 

 日本と英国が経済連携協定(EPA)に署名した。来年1月1日の発効を目指し、政府は今国会に協定承認案を提出する。

 日本が欧州連合(EU)と結んでいるEPAの優遇関税を基本的に踏襲する。発効すれば、EUを離脱した英国と日本の間で関税が急激に上がって両国経済が混乱する事態は避けられよう。

 農産品についても日欧EPAの水準を超える市場開放はしない。英国が輸出増を狙ったブルーチーズは、EUの低関税枠に余りが出た場合に限り同等の関税を適用し、欧州全体の優遇枠は増えない。

 だが、日欧EPAが発効した昨年は欧州から豚肉やチーズなどの輸入が急増した。前後して環太平洋連携協定(TPP)と日米貿易協定も発効し、日本農業はかつてない自由化の波に直面している。

 自動車など工業品の輸出増と引き換えに農業に犠牲を強いる協定が相次ぎ発効したことで、生産現場にどんな問題が出ているのか。

 国会審議では、各協定の発効前に示した影響額試算との整合性も含め徹底検証が求められる。

 その上で、政府は必要な対策を機動的に講じるべきだ。

 「攻めの農政」を旗印にTPPなどの大型連携協定を次々に結んだ安倍政権を踏襲し、菅義偉首相は農産物の輸出拡大を掲げる。

 中韓も参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の早期妥結を目指すなど、さらなる市場開放にも意欲を見せている。

 だが「2019年の輸出額1兆円」の目標が達成できなかったところにコロナ禍が襲い、攻めの農政は行き詰まりが鮮明である。

 高齢化と人手不足にあえぐ農業者が輸入農産物の攻勢にさらされ、現場の疲弊にも拍車がかかる。

 新協定の市場開放が日欧EPAを超えないといっても、北海道をはじめ産地の不安は拭えない。

 いま必要なのは、自由化を急ぐことではなく、先進国で最低水準にある食料自給率の向上と生産基盤の強化である。

 そもそも政府が農産物を巡り、日欧EPAの水準を前提に交渉したのであれば容認できない。大幅な市場開放を受け入れた過去のEPAの水準が今後の貿易交渉の基準になりかねない。

 英国がTPPの加盟に意欲を示していることも気になる。

 加盟国が増えれば、国内農業へのさらなる打撃は必至だ。発効後の影響や既存対策の効果を精査しないまま、政府が後押しする姿勢を見せているのは看過できない。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年10月30日  05:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:日米貿易交渉 農業の犠牲拡大は論外

2020-01-29 05:05:35 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、APEC、EPA他】

【社説②】:日米貿易交渉 農業の犠牲拡大は論外

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:日米貿易交渉 農業の犠牲拡大は論外

 日米両政府は1日に発効した貿易協定について、「第2段階」の交渉で取り扱う分野を絞り込むための予備協議を近く始める。

 焦点は農産物を交渉対象から外し、対米総輸出額の約35%を占める日本車と関連部品の関税撤廃に道筋をつけられるかどうかだ。

 第1段階では、米国は多くの農産物で環太平洋連携協定(TPP)と同等かそれを上回る市場開放を勝ち取る一方、日本は米国が離脱前のTPP交渉で約束していた車関税撤廃さえ盛り込めなかった。

 日本車への追加関税発動を回避しようと、安倍晋三政権が米側の要求をほぼ丸のみした結果だ。

 大型貿易協定の発効が相次ぎ、中小零細が多い国内農家は大規模経営による米国産農産物などとの厳しい競争に直面している。政府は3250億円規模の国内対策を決めたが、実効性に疑問も残る。

 それなのに農業を再び犠牲にするような交渉は認められない。

 政府はトランプ政権の戦術にのせられないよう入念に戦略を練った上で、粘り強く交渉すべきだ。

 農産物交渉について、茂木敏充外相は「想定していない」と繰り返す。米国が既に成果を得たためというが、楽観的すぎないか。

 大統領選の予備選が2月に始まる米国では、第1段階で見送られたコメや乳製品の市場開放を求める声が出ている。

 農業は勝敗を左右する中西部の主産業であり、トランプ氏が11月の本選をにらみ日本に要求を強めてくる懸念は拭えない。

 安倍首相は日本車の関税撤廃が確約されているとして、協定を「双方にウィンウィン」と主張している。政府も関税撤廃を織り込んで協定の経済効果を算出し、撤廃しない場合の試算提出を拒んだ。

 だが協定には「撤廃に関してさらに交渉する」とあるだけだ。

 撤廃が決まっているというなら、自動車分野の交渉を米国に迫り、時期を明示させる必要がある。

 撤廃されなければ、関税撤廃率90%以上が目安とされる世界貿易機関(WTO)の2国間貿易協定のルールに反する可能性もある。

 気がかりなのは、米国が貿易とは関係ない安全保障などを絡めて圧力を強めかねないことだ。

 トランプ政権は昨年来、改定交渉が夏以降に本格化する在日米軍駐留経費に関し、日本側負担(思いやり予算)の増額を求めている。

 日本政府は米側と渡り合い、共同声明で掲げた「互恵的で公正かつ相互的な貿易」に近づける交渉を行うべきだ。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2020年01月28日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:日米貿易協定 疑問置き去りの承認だ

2019-12-05 05:05:55 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、APEC、EPA他】

 【社説①】:日米貿易協定 疑問置き去りの承認

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:日米貿易協定 疑問置き去りの承認だ 

 日米貿易協定がきのう、国会で承認された。

 環太平洋連携協定(TPP)、日欧経済連携協定(EPA)に続き国内農業に大きな犠牲を強いる協定にもかかわらず、国会審議は20時間余りにすぎなかった。

 疑問は多く残っているのに、政府は正面から答えようとせず、国民の不安は置き去りにされた。

 発効は来年1月1日の見通しで、署名から3カ月という異例のスピードだ。大統領選へ実績づくりを狙うトランプ政権に配慮し、期限ありきで承認を急いだ政府・与党は無責任と言うほかない。

 議論が深まらないまま採決に応じた野党の姿勢も理解しがたい。

 米国向け輸出の3割以上を占める自動車と関連部品の関税撤廃が継続協議となるなど、協定を巡ってはさらなる交渉が想定される。

 安倍晋三政権は農業を犠牲に車を守るかのような交渉姿勢を続けてきた。だが今回は米国が離脱前のTPP交渉で約束していた車関税撤廃すら勝ち取れなかった。

 その現実を直視すれば、交渉戦略の練り直しは避けられまい。

 安倍首相は協定を「双方にウィンウィン(相互利益)」と繰り返したが、審議で浮かび上がったのは日本が得た成果の乏しさだ。

 日本車に追加関税を課さないことを首相がトランプ氏に口頭で確認したと言いながら、野党が求めた議事録の提出を拒み続けた。

 農業市場の開放についても「TPP水準を守った」と誇ったが、米国産牛肉の関税は発効時にTPPの2年目水準まで下がるなど、TPPを上回る譲歩は明らかだ。

 これでは到底認められない。

 生活や産業に多大な影響を及ぼす経済連携交渉でまたも秘密主義が貫かれたことも見過ごせない。

 参加国と秘密保持契約を交わしたTPP交渉を皮切りに、政府は密室の中で譲歩を重ね、農業に打撃を与える内容で妥結してきた。

 とりわけ今回は最終合意まで内容が一切公表されず、TPPで交渉前に示された影響試算も、署名後に暫定値を示しただけだった。

 今後の対米交渉や東アジア地域包括的経済連携(RCEP)交渉ではこれを繰り返してはならない。

 農家の声に真摯(しんし)に耳を傾け、負の側面も含め交渉経過や合意内容を明らかにして、国民が納得できる理由を説明する責任が政府にはある。その認識を持つべきだ。

 農業はさらなる自由化の荒波に直面する。生産者の不安を払拭(ふっしょく)できる十分な対策を講じなければならないことは言うまでもない。 

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年12月05日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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【社説①】:週のはじめに考える バナナに貿易を学ぶ

2019-11-10 06:10:50 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、APEC、EPA他】

【社説①】:週のはじめに考える バナナに貿易を学ぶ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:週のはじめに考える バナナに貿易を学ぶ 

 米中の貿易対立が続いています。和解の兆しはあるが予断を許さない状況。超大国同士の覇権争いの中、踏みにじられる自由貿易について考えました。

 二〇〇一年十一月、カタールの首都ドーハ。世界貿易機関(WTO)はここで行われた会議で、新たな多角的貿易交渉の開始を決めました。当時、この会議を現地で取材しました。

 ドーハでの議論は参加国の思惑が入り乱れ、何度も膠着(こうちゃく)しました。議論が止まったという情報が流れる中、交渉官を務める経済産業省の官僚に「今は何をテーマにもめているのか」と聞きました。答えは「バナナ」。

 ◆命懸けの貿易交渉

 思わず「バナナ貿易でストップしているのか」と驚きました。すると「バナナを生産して暮らしている人たちはたくさんいる。一部の国にとっては命懸けの交渉なんだよ」と説明されました。

 バナナをめぐっては欧州連合(EU)がアフリカ諸国など旧植民地からの輸入を優先していた。これに対し生産国の中南米諸国などが反発して貿易摩擦になっていました。

 ラウンドと呼ばれる多国間の貿易交渉の目的は関税など貿易の障壁を崩すことです。貿易の自由度が増せば多くの国が豊かになるとの考えです。

 しかし、ラウンドでは先進国と開発途上国との争いが必ず起こります。簡単に関税を下げれば輸入が急増して自国の農業や産業が影響を受けるからです。

 不利な交渉結果を避けようと動くのは先進国も途上国も一緒です。交渉で負ければ先進国では特定の産業や農業の衰退につながり雇用問題に発展します。

 問題は経済基盤が脆弱(ぜいじゃく)な途上国です。負ければ社会不安や、時には人々の「飢え」につながります。故にバナナ生産国にとって交渉は「命懸け」なのです。

 ◆多国間交渉を拒む

 WTOは現在、貿易交渉の場としてはあまり機能していない。参加国が多すぎて意見調整が難しすぎるからです。

 そこで登場したのが環太平洋連携協定(TPP)や東アジア地域包括的経済連携(RCEP)といった特定の国々だけの交渉の場です。比較的少数の国々だけなら意見がまとまりやすく域内の貿易自由化は可能との発想です。

 ところが、狭い域内の自由貿易さえ拒否する為政者が現れた。トランプ米大統領です。米国第一主義を掲げるトランプ氏にとって、一定の枠組みに参加した国が共通の利益を目指す手法は邪魔な存在です。

 トランプ氏は自由貿易協定(FTA)など二国交渉に固執します。米国は強大な軍事力を持つ大国です。二国間ならたいていの国を交渉で負かすことができます。

 トランプ氏は制裁をちらつかせながら力ずくで交渉に持ち込みます。自由貿易の理想を掲げたWTOの精神を無視した姿勢ではないでしょうか。

 米国は一九三四年、互恵通商協定法を制定し、貿易相手国と関税を引き下げる協定を結んでいきました。これが戦後、関税貿易一般協定(ガット)に発展しWTOになったのです。トランプ氏は自国が育んできた自由貿易の仕組みを壊しているともいえます。

 トランプ氏に真っ正面から挑んでいるのが中国です。米国が制裁関税を課せばやり返す。中国は米国が主導する世界貿易のルールを変えようとしているのです。和解への努力は続いていますが、多くの国々が翻弄(ほんろう)されています。

 では日本はどうか。わが国は中国と違い一党独裁の国ではありません。他国を経済圏に収めるような一帯一路的野心もない。もちろん今の米国のように自国第一主義でもない。

 ただ日本は米国に譲り過ぎる一方、中国を警戒し過ぎているように感じます。米国には、日本の投資が多くの雇用を生み出している事実を堂々と主張すべきです。中国は間もなく低成長時代を迎え、他国との協調が欠かせなくなるはずです。

 ◆胆力が味方をつくる

 貿易の原点はお互いが「得をする」ことです。多国間の交渉になると、皆が「得をする」ことが目的となる。ただ先進国と途上国では経済的な条件が著しく異なります。だから、先進国が少しだけ自分たちの利益を譲って、途上国に振り向けることが極めて重要となります。

 相手を思いやる。日本の得意技のはずです。一房一房のバナナの輸出が人々の命の糧となる現実を思う想像力を持つのです。

 国益を見計らいながら途上国には可能な範囲で譲り、米中との交渉では安易に妥協せずに粘る。こうした胆力が味方をつくり国益を育てる滋養となるはずです。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年11月10日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【米国】:日本の農業市場開放に意欲 経済報告、FTA明記

2019-03-20 07:13:30 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、APEC、EPA他】

【米国】:日本の農業市場開放に意欲 経済報告、FTA明記

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【米国】:日本の農業市場開放に意欲 経済報告、FTA明記 

 【ワシントン共同】トランプ米大統領は19日、議会に提出する大統領経済報告を公表した。米国が離脱した環太平洋連携協定(TPP)発効により日本市場での競争条件が不利になったことを踏まえ、日本との新貿易交渉で農業分野を中心にさらなる市場開放への意欲を示した。

 経済報告では「日本と自由貿易協定(FTA)交渉に入る」と明記。日本側は物品の関税に対象を限定する「物品貿易協定(TAG)」を主張してきたが、交渉範囲を巡る認識のずれが改めて浮き彫りになった。

 元稿:西日本新聞社 主要ニュース アジア・世界 【北米・トランプ政権、対日本・自由貿易協定(FTA)】 2019年03月20日  07:13:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【タイ】:TPP参加「24日総選挙後」 副首相 海外からの投資期待

2019-03-05 06:15:50 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、APEC、EPA他】

【タイ】:TPP参加「24日総選挙後」 副首相 海外からの投資期待

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【タイ】:TPP参加「24日総選挙後」 副首相 海外からの投資期待 

 【ノンタブリ=木村留美】タイのソムキット副首相は四日、首都バンコク近郊で開かれた海外からの投資を呼び掛けるセミナーで、環太平洋連携協定(TPP)への参加について「(三月二十四日に投開票される)総選挙の後に参加しようとしている」と明かした。具体的なスケジュールは示さなかった。

4日、バンコク郊外・ノンタブリで、タイへの投資を呼びかけるセミナーであいさつするプラユット暫定首相=木村留美撮影

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 タイは日本の自動車メーカーや部品メーカーが進出するなど、自動車生産の一大拠点となっており、TPPへの参加が決まれば、生産拠点としての魅力が増す可能性がある。ソムキット副首相は「米中貿易摩擦の解決が見えない中で、中国の製造拠点を移転させる動きも出てくるだろう」と述べ、さらなるタイへの生産拠点の移転に期待をにじませた。東南アジア諸国連合(ASEAN)域内ではベトナムやマレーシアなど四カ国がTPPへの参加を決めている。

 この日のセミナーは二〇一九年を「投資の年」と位置付けているタイ政府主催で、バンコク近郊のノンタブリで開かれた。法人税減税をはじめとする税制優遇などを掲げ、日本や中国の企業を呼び込みたい考えで、セミナーにはプラユット暫定首相も出席。あいさつでは「市場が変化していく中で、タイにとって今年は大きな過渡期となる」と述べ、海外からの投資を促した。タイ投資委員会(BOI)によるとタイでは国内のほか、ラオス、マレーシアといった近隣国と結ぶ鉄道や道路の建設計画が日本や中国企業などによって進んでいる。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 経済 【企業・産業・タイ・TPP(環太平洋経済連携)】  2019年03月05日  06:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。 

 

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【社説①】:日欧EPA 恩恵の影も忘れずに

2019-02-04 06:10:20 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、APEC、EPA他】

【社説①】:日欧EPA 恩恵の影も忘れずに

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:日欧EPA 恩恵の影も忘れずに  

 日本と欧州の経済連携協定(EPA)が発効した。関税がほぼ撤廃されるが、ワインやチーズの「値下げ」に目を奪われず、生産者の不安や痛み、貿易自由化の負の側面は最小限にすべきだ。

 自由貿易協定のひとつである日本と欧州連合(EU)のEPAでは、農林水産品と鉱工業品の輸入関税を日本は94%、EUは99%撤廃する。

 欧州産のワインやチーズの値下げは始まっており、消費者には恩恵だ。チョコレートや革製品などでは十年以上の時間がかかるものもあるが、衣類はただちに関税が撤廃された。一方、日本の輸出では自動車で現在10%の関税が八年目に撤廃される。

 日欧の人口は合わせて約六億人。貿易総額は世界の四割弱。協定発効で世界最大級の自由貿易圏が生まれ、日本は国内総生産も雇用も増えると政府は試算する。ただ現実はどうか。

 日欧とも発展途上国ではなく、経済も市場も成熟している。それどころか日本では人口が減り始め、将来不安や所得の目減りで消費は長く停滞している。 

 値下げはワイン好きには朗報だが、国内の酒類市場は若者の飲酒離れもあり縮小を続けている。ワインが増えれば日本酒や焼酎、ビールなどの消費に響く。市場の小さいチーズは、チーズ好きが急増しない限り国産チーズの消費は減り、北海道を中心とした酪農への影響は避けられない。自動車市場は日欧ともに飽和状態といえる。

 市場が成熟した日欧の貿易自由化は、一方の利益がそのまま他方の損失につながる、いわゆるゼロサムゲームになる懸念がある。このため日欧は必ずしも協定に積極的ではなかった。その流れを変えたのが米トランプ大統領の保護主義だった。

 強まる保護主義に歯止めをかける国際協調として、EPAの持つ意味は決して小さくない。ただ、生産者の痛みや不安から目を離してはいけない。世界では今、その「痛み」が自由貿易やグローバル化への強烈な反発になり、国際協調体制の根幹を揺さぶっているのだから。

 これも試算だが、農林水産省はEPAで国内の農産物生産が最大六百八十億円減少、その三分の一はチーズなど乳製品としている。成熟した大人の日欧には、生産者への支援策も含め痛みを伴う「ゼロサム」ではない成果を生み出す工夫がほしい。それが自由貿易への信頼回復にもつながるはずだ。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年02月02日  06:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【日欧EPA発効】:ワインや衣料品安く 

2019-02-01 06:15:42 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、APEC、EPA他】

【日欧EPA発効】:ワインや衣料品安く 

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【日欧EPA発効】:ワインや衣料品安く  

 日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)が一日午前零時に発効。世界の国内総生産(GDP)の約三割、貿易総額の約四割を占める世界最大級の自由貿易圏が生まれ、保護主義的な動きを強める米国をけん制する。

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 日本は全品目の約94%の関税を撤廃する。ワインは現行の15%か一リットル当たり百二十五円の関税が即時撤廃され、一般的なボトルワインでは九十四円の値下げが期待できる。ただ、段階的に引き下がる品目も多く、チョコレートやパスタは十一年目、カマンベールなどソフト系チーズは十六年目(三万一千トンまで)に関税撤廃される。

 EU側は、全品目の約99%の関税を撤廃。日本がEUへ輸出する自動車は、10%の関税が八年目に撤廃される。自動車部品もほとんどの品目の関税が即時撤廃され、日本の輸出産業に追い風となる。

 日本政府は、協定発効によりGDPを約五兆二千億円押し上げ、雇用を約二十九万人増やすと試算する。一方、豚肉などの輸入拡大は日本国内の生産者に痛手となり、農畜産品の生産額は最大千百億円落ち込むと予想する。

 保護主義の台頭する風潮の中、日本はEPAや、昨年末に発効した環太平洋連携協定(TPP)を主導、安倍晋三首相は一月二十八日の国会で「自由で公正な経済圏を広げていくことがわが国の使命」と語った。

 ただ、日本の動きが米国を刺激し、今春にも本格化する米国との貿易交渉で、厳しい要求を招く懸念もある。 (矢野修平)

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 経済 【企業・産業・日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)】 2019年02月01日 06:15:00 これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。

 
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【日欧EPA】:6億人の経済圏に きょう発効、関税9割撤廃

2019-02-01 00:08:00 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、APEC、EPA他】

【日欧EPA】:6億人の経済圏に きょう発効、関税9割撤廃

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【日欧EPA】:6億人の経済圏に きょう発効、関税9割撤廃 

 日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)が1日発効し、国内総生産(GDP)合計で世界の約28%、域内人口が6億人を超える世界最大級の自由貿易圏が誕生した。相互に撤廃する関税の品目は9割超に上る。欧州産食品の値下がりが見込まれ、消費者は恩恵を受けるが、国内の農家には大きな打撃となる。経済界は自動車などの輸出増に期待する。

 日欧EPAのポイント

 日欧EPAのポイント

 日欧EPAは昨年末に発効した環太平洋連携協定(TPP)を上回る規模の経済圏となる。日欧EPAとTPPの参加国のGDP合計は日本の重複分を除いて世界の約35%を占め、人口は10億人を超える。(共同)

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 経済 【企業・産業・日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)】  2019年02月01日  00:08:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【こう動く2019日本】:(5)日米交渉 新貿易協定の範囲焦点

2019-01-07 06:14:50 | 【TTP、BRICS、RCEP協定、IPEF、FTA、APEC、EPA他】

【こう動く2019日本】:(5)日米交渉 新貿易協定の範囲焦点

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【こう動く2019日本】:(5)日米交渉 新貿易協定の範囲焦点 

 日本と米国が昨年九月に合意した新たな貿易協定の交渉は、当初見込まれた一月の開催が見送られ、三月ごろにずれ込む見通しだ。自国の利益を追求するトランプ米政権は、農産品などの早期の市場開放を強硬に迫ってくると予想される。

 米国は昨年末に対日交渉の目的を発表し、制度上は一月二十日以降に交渉できる状況となった。ただ、交渉を担当する米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は中国との協議も担当。対中協議の期限となる三月一日までは日本との交渉は先送りされそうだ。政府関係者は「日程は白紙。ライトハイザー氏が北京訪問に合わせて日本に来る可能性もある」と話す。

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 今後の日米交渉で焦点となるのは協議の範囲。日米間で認識が大きく食い違っているためだ。

 日本は交渉範囲を物品関税に限定し、協定の呼称を「日米物品貿易協定(TAG)」と説明する。一方の米国は、昨年末に示した交渉目的に関税だけでなくサービスやルール分野も明記。呼称も「米日貿易協定(USJTA)」と物品に限定していない。

 米国側は、農業団体が求める物品関税の交渉を早々に終わらせた上で、米議会の関心が強い金融や保険、医薬品などのサービス・ルール分野の交渉へ移る「二段階方式」を想定しているとみられる。

 これに対して日本側は、サービス・ルール分野は「米国が『非関税障壁』と一方的に主張すればなんでも『障壁』となり、取引のカードにされてしまう」(交渉筋)として、議論を避けたい思惑がある。

 このため日本は当面の関税交渉で、米国が保護したい自動車や鉄鋼で環太平洋連携協定(TPP)並みの引き下げを求め、議論を長期化させる方針。米国が難色を示せば「のめないなら日本の農産品もTPP並みの市場開放は認められない」と主張し、時間をかけた交渉に持ち込む構えだ。

 ただ、六月に大阪市で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議では日本が議長国として議論を主導する必要があり、トランプ米政権との全面対決はできない。

 米国の景気減速を受けてトランプ氏が大統領選再選に向けて功を焦り、日本に早期の成果を求める可能性がある。さらに、同盟国を重視したマティス国防長官の辞任で安全保障が取引の材料となる恐れもあるなど、懸念は多い。 (矢野修平)

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 政治 【政策・こう動く2019日本】  2019年01月06日  06:15:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 
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