路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説①】:次期戦闘機 輸出解禁へ政府は説明尽くせ

2024-02-08 05:01:30 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【社説①】:次期戦闘機 輸出解禁へ政府は説明尽くせ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:次期戦闘機 輸出解禁へ政府は説明尽くせ

 防衛装備品の輸出を促進し、弱体化した防衛産業を立て直す意義は大きい。日本の防衛力の強化にもつながろう。

 平和国家の理念を保ちつつ、時代の変化に応じた海外移転のルールを整えたい。

 岸田首相はイタリアのメローニ首相と会談し、英国を含めた3か国による次期戦闘機の共同開発を円滑に進める考えで一致した。

 自衛隊は現在、F15、F2、F35の3種類の戦闘機を保有しているが、このうちF15とF2は老朽化が指摘されている。次期戦闘機はそれらの退役を見据え、2035年頃に配備を始める計画だ。

 日本周辺の安全保障環境は極端に悪化している。抑止力を高めるために最新鋭機を導入することは重要だ。次期戦闘機の共同開発では、部品の調達などを含めて多くの企業が携わることになる。経済への波及効果も期待できよう。

 次期戦闘機を巡って課題となっているのは、共同開発した戦闘機を英伊以外の第三国に輸出することを認めるかどうかだ。

 日本は長年、装備品の輸出を制限してきた。1967年には、紛争当事国などへの輸出を禁じる限定的な武器輸出3原則を定めた。76年にはこれを事実上、全面的に禁輸する政府見解を決めた。

 現在の防衛装備移転3原則やその運用指針も、共同開発した完成品を輸出できる相手は、開発に携わった国だけに限っている。

 一方、国際社会では、共同開発した装備品を第三国に輸出するのが慣例となっている。量産化によって経費を抑えるためだ。

 輸出ルールの緩和に向けて、政府は昨年、自民、公明両党に検討を委ねたが、公明党は見直しに慎重で、与党協議は停滞している。公明党の山口代表は「殺傷能力を持つ武器の輸出に国民の理解は得られていない」と述べている。

 日英伊のうち日本だけが第三国への輸出を行わなければ、開発コストを補えないどころか、技術を提供しただけに終わる。また、国際社会から日本は制約が大きい国だとみられ、今後、他の共同開発に参加しにくくなりかねない。

 このため政府は、次期戦闘機を第三国に輸出する場合、相手国の政情を調べるほか、装備品の使用目的や管理方法を審査するなど、厳格な条件をつけることで輸出の容認にこぎつけたい考えだ。

 日本が関わった装備品が紛争を助長するような事態は、もとより避ける必要がある。自公両党は粘り強く協議し、一致点を見いだすことが大切だ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年02月08日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・12.29】:裏金同様の武器輸出と抜け穴 兵器ロンダリングに関与したツケの想定あるのか

2024-01-06 07:40:10 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【政界地獄耳・12.29】:裏金同様の武器輸出と抜け穴 兵器ロンダリングに関与したツケの想定あるのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・12.29】:裏金同様の武器輸出と抜け穴 兵器ロンダリングに関与したツケの想定あるのか 

 ★22日、政府は「防衛装備移転三原則」の運用指針を議論なく改正し、外国企業から技術を導入し国内で製造する「ライセンス生産」の装備品について、ライセンス元の国に輸出することを可能にした。つまり米国からライセンスを得て、国内で製造している武器の完成品を米国に逆輸出する。これを受けて政府は地対空ミサイルシステム「パトリオット」、巡航ミサイルなどを迎撃する「PAC2」、弾道ミサイルを迎撃する「PAC3」の米国輸出を決めた。それも現在自衛隊が保有し運用している“現品”を輸出するという。当然、わが国の防空システムは極めて手薄になる。ロシアは最近蜜月の北朝鮮を使い、日本海に向けミサイル実験を強化するだろう。

日本、アメリカにパトリオット・ミサイル輸出へ 「防衛装備移転三原則」を改定

日本、アメリカにパトリオット・ミサイル輸出へ 「防衛装備移転三原則」を改定
 
写真・図版
         ライセンス生産品 間接的な戦闘国支援の可能性

 ★この変則武器輸出は一体高く売れるのか、安く買いたたかれるのか。すぐさま、米ホワイトハウスのサリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は「決定は日本の自衛隊との緊密な連携のもと、アメリカ軍が確かな抑止力と対応能力を維持することにつながり、日本の安全保障やインド太平洋地域の平和と安定に貢献することになる」と大歓迎を表明した。誰が見ても3国間の武器輸出でしかないが、27日、さっそくロシア外務省ザハロワ報道官が警告した。日本が輸出したパトリオットは最終的にウクライナに渡る可能性を「排除できず」、そうした事態が確認された場合は「ロシアへの敵対行為とみなされ、2国間関係において日本に最も深刻な結果をもたらす」とした。また、ウクライナへの武器供給は「世界と地域の安全保障に否定的な結果をもたらす」「直接、間接を問わず、罪のない犠牲者を増やし、ウクライナの残虐行為を助長するだけだ」と、ありとあらゆる方向から日本をけん制した。

 ★日本の防衛装備移転三原則は戦時下の国・地域への供給を認めていない。まさに政治資金の裏金同様、抜け道を使っての運用だ。官房長官・林芳正は「ウクライナで使用されることは想定していない」ととぼけるが、兵器のロンダリングに関与したツケの想定はあるのか。(K)※敬称略

 ◆政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2023年12月29日  07:47:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:週のはじめに考える 草の根に民主主義あり

2023-12-24 08:20:50 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【社説①】:週のはじめに考える 草の根に民主主義あり

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:週のはじめに考える 草の根に民主主義あり 

 それは突然降って湧いた騒動でした。埼玉県中部、周りを秩父の山に囲まれた比企郡小川町で「弾道ミサイル避難訓練」が来年1月に実施される。そんな情報を元小学校教員の住民笠原恵子さん(75)が知ったのは9月でした。
 
 人口2万7千人余り。和紙の産地で知られるのどかな町で、戦時を思わせる訓練が行われる。しかも中学校で。町からは何も知らされておらず、問い合わせに担当者は計画を認めました。
 
 弾道ミサイル避難訓練は国民保護法の下、2016年から国が自治体に協力を呼びかけて共同実施しています。すでに全国70カ所以上で行われ、過去最多の今年は東京都内でも行われました。
 
 どんな訓練なのか。小川町では授業中に上空をミサイルが通過すると想定し、全国瞬時警報システム(Jアラート)が鳴ったら生徒は頭を押さえ、屋外では建物の陰に隠れるという内容です。

◆ミサイル訓練への反対

 ほかの自治体では住民も参加する中、小川町では中学生のみが対象でした。物々しい訓練が唐突に教育現場に持ち込まれたことに、笠原さんは違和感を抱きます。
 
 計画を伝えるチラシを作って地域に配り、受け取った住民には中学校の保護者も。多くの人が訓練が子どもたちの心に与える影響を心配していました。
 
 町はミサイル発射が繰り返される今、万が一に備えてどう身を守るのかを子どもたちに知ってほしい、と言います。
 
 とはいえ、ミサイル避難訓練を防災訓練と同じような感覚で行っていいのか。「敵国想定」の説明はしないとはいえ、子どもたちはどこの国が自分を狙うのかを考えざるを得ず、心の中に敵国が作り出されてしまうのではないか。
 
 そんな不安が住民らを突き動かし、グループをつくって訓練撤回を訴え始めました=写真。
 
 町は11月、訓練見送りを決めました。理由は住民の反対ではなく、ウクライナやイスラエル、パレスチナで戦争が起きている今、受験を控えた生徒たちを不安にさせないためとしていますが、住民の反対がなければ、そのまま行われていたと思わざるを得ません。
 
 訓練は見送られましたが、新たな火種がくすぶっています。
 
 埼玉県の大野元裕知事が記者会見で、小川町を「訓練はやるべきだ」と批判したのです。「訓練は確実に死傷者を減らせる」「実施しないのは命を軽んずる行為」「万一被害が出たら人災で、その責任は重い」という理由です。
 
 そもそもこの訓練には上空から飛来するミサイルから身を守る効果を疑問視する意見もあります。そのような訓練を自治体に強制するかのような発言は、県と市町村との対等な協力関係を求める地方分権の理念に逆行します。
 
 埼玉県内で訓練を受け入れたのは小川町と上里町だけで、ほかの市町村は応じていません。
 知事の発言は、小川町の決定に対する不当な介入であるだけでなく、ほかの市町村にも訓練受け入れを迫る圧力になりかねません。撤回すべきです。
 
 小川町の住民は今回、住民生活に重大な影響を及ぼす訓練でありながら、町が説明を十分にしないまま実施しようとした、住民不在の過程も問題にしています。
 
 町によると、訓練会場の中学校側から了解を得たのは今年1月。住民への周知は訓練の1カ月前で十分と考えていましたが、それでは住民が訓練について深く考える時間が十分とは言えません。
 
 政府は防衛費を関連予算を含めて倍増させようとしています。避難訓練は国民の危機を煽(あお)り、防衛力の抜本的強化に対する理解を高める狙いなのかもしれませんが、住民を一方的に従わせるやり方はかつての戦時体制を想起させ、正しいとは思えません。

 ◆平和を人任せにしない

 今回の「騒動」を経て、小川町の住民に変化が生まれています。他国を敵視することを前提とした訓練よりも、平和の構築にこそ取り組もうとする機運です。「小川町で平和を学ぶ会(仮称)」が結成されました。
 
 中学生の母親である松永由美さん(54)は「平和の問題をずっと他人任せにして、無防備に暮らしてきた。学校にはさまざまな国籍の子が通う。国籍や人種を超えて理解しあえる活動に努めたい」と言います。
 
 自分たちが住む町のあり方は、自分たちが考え、決めていく。そうした取り組みは町を変える力になるだけでなく、草の根から民主主義を鍛えることになります。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年12月24日  08:20:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説①】:武器輸出の拡大 平和主義と相容れない

2023-12-24 07:36:50 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【社説①】:武器輸出の拡大 平和主義と相容れない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:武器輸出の拡大 平和主義と相容れない

 政府が殺傷能力のある武器の輸出を拡大する方針を決めた。日本にとって望ましい安全保障環境の創出につながるというが、紛争当事国への間接的な武器輸出になれば紛争を助長し、憲法の平和主義と相容(あいい)れない。撤回を求める。

 きのう改定された防衛装備移転三原則と運用指針は、外国の許諾を得て日本で生産する武器の輸出を解禁した。これまでは米国がライセンスを持つ武器部品の対米輸出だけを認めていたが、完成品、部品とも、米欧のライセンス元国に輸出できるようにした。
 
 輸出拡大の第1弾として、米国のライセンスに基づいて日本で生産する迎撃用地対空誘導弾パトリオットの米国への輸出を決めた。ロシアに侵略されたウクライナへの支援で米国がミサイル不足に陥り、日本に輸出を求めていた。
 
 日本政府は輸出したパトリオットが第三国に提供されないことを米国に確認したと説明するが、米国が日本からの輸入で在庫を補った分、米国製のパトリオットをウクライナに提供すれば、日本から迂回(うかい)輸出した形になる。
 
 新たな三原則と運用指針は防弾チョッキなど殺傷能力のない防衛装備に限り、侵略された国への輸出を可能にした。紛争当事国に武器を輸出しないという一線を守りつつ、迂回輸出を事実上認めるのは言行不一致にほかならない。
 
 日本が紛争に加担したと受け止められれば、武器輸出を制限し、平和外交で培ってきた日本の国際的な信頼は大きく傷つく。国際支援は民生分野に徹するべきだ。
 
 政府は2024年度予算案に防空ミサイル導入や弾薬確保の費用を盛り込んだ。こうした防衛装備の不足を理由にして防衛予算の倍増方針を示しながら、ミサイル・弾薬の輸出に踏み切るのは政策の一貫性を欠くのではないか。
 
 武器輸出の拡大は政府・与党内の協議だけで決まり、国会で審議されていない。武器輸出に関する国会関与の在り方も議論されていない。国民の幅広い理解を得ず、憲法の理念に基づく政策を政府・与党の一存で転換することが許されてはならない。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年12月23日  07:36:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【視点】:隙のない訓練で離島守れ

2023-10-18 07:41:20 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【視点】:隙のない訓練で離島守れ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【視点】:隙のない訓練で離島守れ

 離島防衛を想定した陸上自衛隊と米海兵隊の共同訓練「レゾリュート・ドラゴン23」が国内各地で始まった。沖縄県内では石垣駐屯地と与那国駐屯地で共同の指揮所設置などが予定されている。  

 沖縄・八重山は台湾に近く、尖閣諸島を行政区域に抱える。好むと好まざるとにかかわらず、軍事力を拡大させる中国への最前線とならざるを得ない。政府・自衛隊は訓練を通じて隙のない備えを構築し、沖縄の離島を守り抜く決意を内外に示してほしい。  

 石垣駐屯地が3月に開設され、半年余りで米軍との共同訓練が八重山でも実施されることになる。県民、八重山住民の自衛隊に対する信頼は厚いが、米軍に対しては強い警戒感を持つ人が多いのも事実だ。「自衛隊が配備されれば米軍も来る」と訴え続けてきた基地反対派は批判を強めている。  

 ただ、中国の軍事力が強大化した現在、台湾や沖縄で紛争が勃発しても、自衛隊だけで対処するのは困難だ。現実問題として、日本の防衛は米軍との連携を前提に成り立っている。  

 その意味で八重山を舞台に、離島防衛を想定した訓練を日米共同で実施することには合理性がある。日米の連携を国際社会に改めてアピールできる意義も大きい。訓練の円滑な遂行を望みたい。  

 石垣市では訓練に反対する集会が開かれ、参加者からは訓練について「沖縄での戦争を想定したものだ」と日米両政府に抗議する声が上がった。  

 だが、その考え方は誤りだ。沖縄や八重山を戦場にしようとする動きを見せているのは日米ではない。沖縄周辺で異常な領土的野心を増幅させている中国である。 

 中国に対しては平和的な外交の姿勢を保ち続けるべきだが、外交は強固な抑止力とセットで初めて効果を発揮する。訓練は戦争の準備ではなく、あくまでも戦争を防ぐための準備であることを忘れてはならない。  

 訓練では陸自のオスプレイが初めて沖縄に飛来し、新石垣空港で患者輸送訓練を行う。だが、県はオスプレイの安全性に懸念があるとして、沖縄防衛局に空港の使用自粛を要請した。  

 米軍、自衛隊でオスプレイの使用実績が積み重ねられてきた現在に至っても「欠陥機」とレッテル貼りする動きがやまないのは残念だ。  

 垂直離着陸が可能なオスプレイが、有事や災害の際に威力を発揮するのは確実だ。反基地感情からオスプレイの飛行に反対するのは、技術革新の否定にもつながりかねず、将来的には県民自らの首を絞めることになる。  

 訓練の実施に当たり、石垣市は、住民の安全確保に万全な対策を講じるよう沖縄防衛局に要請した。石垣市議会は、住民に対する十分な説明がないままの訓練は慎むよう求める意見書を可決した。  

 訓練は住民生活と隣り合わせでもある。離島を守るため必要な訓練であるからこそ、政府・自衛隊は無用な混乱や誤解を招かないよう、住民生活に最大限配慮する必要がある。

 元稿:八重山日報 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【視点】  2023年10月18日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【視点】:与那国でも準備進む 日米訓練、空自将官が来島

2023-10-18 07:41:10 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【視点】:与那国でも準備進む 日米訓練、空自将官が来島

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【視点】:与那国でも準備進む 日米訓練、空自将官が来島

 14日から月末まで沖縄県や九州などで行われる日米共同訓練「レゾリュート・ドラゴン23」の準備が与那国島でも進んでいる。12日午後、空将と思われる要人が乗った航空自衛隊の大型ヘリ「CH47」が与那国空港に着陸。同乗者10人以上と共に与那国駐屯地に向かった。  <button class="sc-jZpXdb hEFHjm" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="26"></button><button class="sc-jZpXdb hEFHjm" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="26">大型ヘリ「CH47」から降りてきた空自関係者=12日午後、与那国空港</button>

大型ヘリ「CH47」から降りてきた空自関係者=12日午後、与那国空港

 レゾリュート・ドラゴン23では、石垣島や与那国島などの先島諸島の自衛隊施設で、主に陸上自衛隊と米海兵隊が参加して実働訓練を行う。  

 与那国町が公表した資料によると、与那国島では与那国駐屯地を会場に、陸自から九州・沖縄を管轄する西部方面総監部などの人員約50人、米海兵隊からは第3海兵機動展開部隊などから同数がそれぞれ参加する。訓練は駐屯地の中で行われる。空自関係者が来島するとの記述はない。  

 米軍は11日に石垣島に、12日午前に与那国島に、それぞれ訓練の準備を行う要員を派遣している。  

 12日に、空自関係者と米軍関係者が与那国駐屯地内で接触した可能性が高い。

 空自の「CH47」は与那国駐屯地の給油車両から燃料の補給を受け、数時間後に与那国空港から離陸した。

 元稿:八重山日報 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【視点】  2023年10月17日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

日米共同訓練(レゾリュート・ドラゴン23)について

陸上自衛隊と米海兵隊との日米共同訓練において、矢臼別演習場及び計根別着陸場が使用されますので、お知らせいたします。

令和5年度国内における米海兵隊との実動訓練(レゾリュート・ドラゴン23)の概要について(令和5年8月29日公表)

目的

陸上自衛隊及び米海兵隊の部隊が、それぞれの指揮系統に従い、共同して作戦を実施する際の相互連携要領を実行動により演練し、日米の連携強化及び共同対処能力の向上を図る。

期間

令和5年10月14日(土)~10月31日(火)

場所

健軍駐屯地、高遊原分屯地、日出生台演習場、十文字原演習場、霧島演習場、瀬戸内分屯地、矢臼別演習場、沖縄県内の一部の自衛隊施設及び在日米軍施設等

担任官

1.陸上自衛隊 西部方面総監 陸将 山根 寿一 
2.米海兵隊 第3海兵機動展開部隊司令官 中将 ジェームズ・ウィルソン・ビアマン

訓練実施部隊

1.陸上自衛隊等 西部方面総監部、第8師団、第15旅団、西部方面情報隊、西部方面特科隊、第2高射特科団、第5施設団、西部方面航空隊、西部方面システム通信群、西部方面後方支援隊、西部方面衛生隊、九州補給処、陸上総隊(第1ヘリコプター団)等 ※海上自衛隊及び航空自衛隊から、一部の部隊の参加を調整中

2.米海兵隊等 第3海兵機動展開部隊司令部、第3海兵師団司令部、第4海兵連隊、第12海兵連隊、第3機動展開部隊情報群、第1海兵航空団、第3海兵兵站群、米陸軍・米海軍・米空軍の一部等

特色

1.島嶼防衛作戦における陸自の領域横断作戦(CDO)と米海兵隊の機動展開前進基地作戦(EABO)を踏まえた連携要領の具体化を図るために実施する米海兵隊との共同訓練 
2.今年度7月に実施した前段(指揮所演習)の成果を踏まえ、南西地域を担当する西部方面総監部と第3海兵機動展開部隊司令部以下により実施する国内における米海兵隊との最大規模の実動訓練

矢臼別演習場で予定されている内容

陸上自衛隊19式装輪自走155mm榴弾砲(19WHSP)、155mm榴弾砲(FH-70)及び多連装ロケットシステム(MLRS)及び米海兵隊HIMARSによる共同実弾射撃訓練

計根別着陸場で予定されている内容

米海兵隊HIMARSを積載したC-130による離着陸訓練

問合せ先

陸上自衛隊 西部方面総監部 総務部 地域連絡調整室 電話096-368-5111(内線2863)
別海町役場 総務部 防災・基地対策課 防衛担当 電話0153-74-9640
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【僭越ながら「論」・09.15】:怪しい防衛費増額と危険な兆候

2023-10-05 07:03:30 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【僭越ながら「論」・09.15】:怪しい防衛費増額と危険な兆候

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【僭越ながら「論」・09.15】:怪しい防衛費増額と危険な兆候 

 大手メディアの報道が内閣改造と党人事一色となった。こうして新しい出来事に目を奪われるため、重要な政治課題が議論を尽くす暇もなく過去の出来事になっていく。本当にそれでいいのか?

 ■消えた防衛費増額問題

 7月下旬、フランス旅行に浮かれた自民党の女性議員たちが、エッフェル塔の前でポーズを決める写真をSNS上に投稿して大炎上。国民が諸物価高騰で苦しむ中での愚行であり、同党の議員が、国民の感覚とズレていることを証明した格好となった。世論の猛反発にたじろいだ自民党は、お荷物となった女性局長を更迭、幕引きを図った。

 不思議なのは、政治家の海外旅行に怒りの声を上げるこの国の主権者が、防衛費を5年間で現在の約1.6倍となる43兆円にまで増やすという、昨年12月に決まった政府の方針にさして反対しなかったことだ。中国、北朝鮮、ロシアといった危険な国が動きを活発化させているという前提があるにせよ、その後、この問題が深く議論されたという話は聞こえてこない。増額反対の論陣を張る特集記事も、寡聞にして知らない。

 「国防のためなら当然」という積極的な賛成なのか、「国がやることに反対しても仕方がない」というあきらめなのか分からないが、どちらであるにせよ積み上げ分の積算根拠や自衛隊自体の対応力が議論されることなく、「金額ありき」で方針が決まったことは確かだ。

 ■疑わしい算出根拠

 岸田文雄政権の方針は、2023~27年度の5年間の防衛費総額を、2017年度~2022年度計画の1.6倍に相当する43兆円に増やすというもの。2022年12月に防衛省が公表した「防衛力整備計画について」では、43兆円の内訳を次のように説明している。

 「防衛力整備計画について」では、この後、区分ごとに「主な事業」についての必要額が記載されているが、いずれの数字も積算根拠は示されておらず、高いのか安いのか分からない。“過大な数字を並べたのではないか”という疑念は払拭できない。

 防衛装備品の調達費を巡っては、度々疑惑が浮上し、背任事件に発展したケースもあった。戦闘機、自衛艦から制服や食糧に至るまでと防衛装備品の幅は広いが、防衛省に納める装備品は特殊なものが多いため、一般人には適正価格が分かりにくい。「国土防衛のため」と言われれば、なんでも通るような世の中であることも、調達費のブラックボックス化に拍車をかけているように思える。

 ■根拠に乏しい「GDP比2%」

 日本の歴代内閣は、防衛費をGDP(国内総生産)比1%以内にする方針を堅持してきたが、岸田首相は、これをGDP(国内総生産)比2%にすると決めた。なぜ2%にしなければならないのか――そのことについての説明はない。もちろん、予算を積み上げた結果ではなく、岸田首相が「2%ありき」で考えた末の愚行に他なるまい。おそらく右派への忖度なのだろうが、これがリベラル派として知られた誇りある「宏池会」を継いだ政治家のやることなのか――。

 国が必要だという防衛装備品の取得と施設整備には43兆5,000億円かかるという。現行計画の1.6倍だ。このうち27兆円は5年以内の支出分で、残り16兆5,000億円は28年度以降に繰り越すことになっている。

 下の図は「防衛力整備計画について」の1ページ目だが、防衛省の説明資料は、実に分かりやすく作成されている。しかし、庶民感覚では理解できない巨額な金額が動く防衛予算の組み立てに、ついていける国民は少ないはずだ。図にある「1兆円」という文字の、なんと軽いことか。

 ■自衛官約25万人、中国軍200万人超の厳しい現実

 右派から圧倒的な支持を得ていた安倍晋三元首相でさえできなかった防衛費のGDP比2%を実現した岸田首相。5年間で43兆円もの防衛費を使うというが、装備を一新して兵器を増やしたとして、本当にそれらを使いこなすことができるのか疑問だ。

 下の表は、防衛省が公表している2022年3月時点での自衛官の定員及び現員と充足率だが、定員24万7,154人のところ23万754人しかおらず充足率は約93%でしかない。残念ながら、これから先も、自衛官の数を増やす見通しは立っていないという。

  

 一方、目下 最大の仮想敵である中国人民解放軍の兵員は、陸・海・空などすべて含めて200万人を超えているとされ、我が国の約10倍。「ミリタリーバランス2022」を参考にした防衛省の公表資料によれば、中国との戦力差は歴然だ(*下参照)

  2023年度の中国の防衛費は1兆5,537億元=約31兆740億円、日本は6兆6,001億円である。5年間で43兆円という我が国の国防費の7割以上の額を、中国は1年間で費消するというわけだ。中国の軍事費は年々増大しており、次年度はさらに増える見込み。畢竟、戦力差は開く一方となる。軍拡競争に挑む形となった岸田政権の方針は、周辺諸国を悪い意味で刺激し、さらなる軍拡競争を招く恐れがある。

 右寄り急旋回した安倍晋三政権以来、「戦争ができる国」を目指す自・公の政治を認めてきたのはこの国の国民だ。特定秘密保護法、集団的自衛権の行使容認、安保法制、武器輸出3原則の放棄、共謀罪法と、戦後70年以上かけて先人たちが築き上げてきた「平和国家」の土台を、自公政権は数の力で崩した。そして岸田首相の防衛費増額――。歴史的にみれば、危険な兆候と言うべきかもしれない。

 政治家による遊び半分の海外研修はもちろん批判の対象だが、深く真剣な議論を継続しなければならないのは「本当の国防、本当の安全保障とは何か」という課題だろう。軍備増強に走って国民に塗炭の苦しみを与えたあげく、国家存亡の危機を招いたのは戦前の指導者たち。その歴史を振り返ることは、過去と未来の間に生きる、私たちの義務ではないのか。(中願寺純則)

 元稿:HUNTER 主要ニュース 【僭越ながら「論」】  2023年09月15日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・09.27】:「沈黙の艦隊」の時代とは政治家の態度が正反対 いまや自衛官より前のめり

2023-10-04 07:40:10 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【政界地獄耳・09.27】:「沈黙の艦隊」の時代とは政治家の態度が正反対 いまや自衛官より前のめり

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・09.27】:「沈黙の艦隊」の時代とは政治家の態度が正反対 いまや自衛官より前のめり 

 ★講談社の「モーニング」で1988年から8年にわたって連載された、かわぐちかいじ原作の「沈黙の艦隊」。30年も前の大人気コミックだ。累計部数は3200万部というからコミックファンのみならず一般読者や防衛・政界関係者まで広く読まれ話題になった。海江田四郎・二等海佐が艦長の海上自衛隊ディーゼル潜水艦「やまなみ」が沈没するが、それは日米政府の偽装工作で極秘に建造された日本初の原子力潜水艦「シーバット」へ乗組員ごと乗り換える作戦だった。米海軍第7艦隊所属となった原潜「シーバット」の艦長には海江田が任命され試験航海に出るが、突如、海江田は艦隊から離脱、独立国家「やまと」を宣言するというストーリー。29日には映画化され公開される。

 

 ★それに先立ち25日には超党派の映画議連が同作を国会内で上映した。主演でプロデューサーも務める大沢たかおもあいさつに立ち「国に従事しているみなさまに見てもらうことが可能なのかと相談したところ、協力をいただいて、今日の日を迎えることができました。30年という時を経て、新しい時代に向けて日本の未来のため、安全保障や世界の平和に対して、メッセージを込めながら大きなエンターテインメントに挑戦できないかということで、なんとか進めることができました」と語った。

 ★上映には1990年5月29日の衆院内閣委員会で当時の防衛庁長官・石川要三に「長官はこの作品はお読みになったことございますか」と質問した公明党代表・山口那津男や、主人公・海江田四郎が父親の名前と同じという衆院副議長・海江田万里など衆参の大物議員も出席。関心の高さを見せた。映画は日本の煮え切らぬ政治家に対して自衛官が1歩を踏み出すストーリーだが、30年もたってみると、政治家の方がずっと前のめりになっている現実にがくぜんとする。いまなら野党も原潜建造に賛成するのではないかと思ったが、いかに当時の政治家の方が慎重であったかと、映画を見てあらためて思い知らされた。(K)※敬称略

政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2023年09月27日  08:21:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:軍民両用技術 産官学の協力体制を整えたい

2023-10-01 05:00:50 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【社説①】:軍民両用技術 産官学の協力体制を整えたい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:軍民両用技術 産官学の協力体制を整えたい

 欧米や中国は、先端技術を軍事と民生の両面で活用し、国防力を強化している。日本も産官学で連携して国際競争力を高めると同時に、防衛力を向上させていく必要がある。

 政府は、各省庁が所管する国立研究開発法人の研究成果を、安全保障政策に反映させる方針を決めた。特に重要な研究として「情報セキュリティー」や「無人化・自律化」など9分野を挙げた。

 国立研究開発法人は現在、宇宙航空研究開発機構(JAXA)など27の組織があり、海洋、情報通信など様々な研究を進めている。そこで得られた知見を防衛装備品の開発に役立て、防衛力を効率的に強化する狙いがある。

 日本の科学技術関係予算は年4・8兆円に上るが、防衛省分は全体の5%弱にすぎず、十分に確保しているとは言えない。

 先端技術は軍事、民生双方に活用できる。こうした軍民両用(デュアルユース)の技術開発を進めていく意義は大きい。

 省庁間の協力とは別に、政府は優れた技術を持つ企業や、大学の研究者らとの連携も強化する方針だ。防衛装備庁に来年度、外部の研究者を支援し、装備品の開発につなげる研究機関を創設する。

 革新的な技術を獲得するため、失敗も許容するという。従来の政府にはない発想と言えよう。

 ただ防衛装備庁には既に、陸海空3自衛隊の各研究所と、サイバー対策などを担う次世代装備研究所の計四つの研究機関がある。

 このほか他省庁にも、先端技術を扱う研究機関は多い。防衛装備庁に組織を新設するなら、省庁横断で組織再編を検討すべきだ。

 デュアルユースを推進するには、意欲のある大学などの研究者に参加してもらうことが不可欠だ。だが、現在はそうした環境が整っているとは言い難い。

 科学者の代表機関・日本学術会議は、科学者が戦争に加担したという認識から、軍事目的の研究を長い間、拒否してきた。

 昨年ようやく、デュアルユース技術に関する見解をまとめ、研究の容認に含みを持たせたが、先月発表した文書では、そうした研究に関わった場合は「研究者の不利益に結びつくリスクもある」として消極的な姿勢を示した。

 「研究者の不利益」とは何を指すのか。装備品の研究開発に参加した人が批判される、というのであれば、それは学術界内の問題だ。研究者の裁量を認め、  しゅく せずに研究に携われるようにするのが学術会議の役割ではないのか。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年10月01日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【防衛予算概算要求7兆円 これだけの無駄】:⑥防衛予算「後年度負担」の罠…支払いは政権交代があっても将来まで続く

2023-09-26 23:55:00 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【防衛予算概算要求7兆円 これだけの無駄】:⑥防衛予算「後年度負担」の罠…支払いは政権交代があっても将来まで続く

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【防衛予算概算要求7兆円 これだけの無駄】:⑥防衛予算「後年度負担」の罠…支払いは政権交代があっても将来まで続く

 防衛省の概算要求には無駄が多い。本来なら7兆7000億円も必要はない。それにもかかわらず政治主導で先に予算額を決めてしまった。そのため防衛省は使い切りに窮して不要な事業を多数組み込んでいる。深刻なのは、その弊害は将来にも及ぶことだ。防衛予算の支出は5年後まで祟るからである。

<picture>防衛予算は7兆7000億円も必要ない。支払いは将来にも及び、政権交代しても続く(留任した鈴木俊一財務相)/(C)日刊ゲンダイ</picture>

 防衛予算は7兆7000億円も必要ない。支払いは将来にも及び、政権交代しても続く(留任した鈴木俊一財務相)/(C)日刊ゲンダイ

 それは「後年度負担」の影響である。兵器や施設は、後年度負担という形での購入となる。戦闘機や建物をつくるには2年から5年、必要である。そして、その支払いは基本的に現物と引き換えである。だから1年目は契約だけ、支払いは2年後から5年後となる。海自の大型艦だけは、若干事情は異なるが、やはり4年から5年後の引き渡し時に相当額を支払う仕組みである。

 来年度予算では、この後年度負担が一気に積み上がる。戦闘機2500億円、戦車自走砲装甲車1000億円、ヘリコプター4400億円、ミサイル3000億円、施設整備3900億円。海自大型艦は護衛艦と潜水艦で2700億円であり、さらに、おそらくはイージス・システム搭載艦7900億円のうち半額程度も加わる。

 ■防衛栄えて国滅ぶ…

 支払いは政権交代があっても続く。

 防衛費増額が不健全なのは、岸田首相の政権維持や防衛族の権益確保を目的としていることだ。また、陸自や兵器国産の無駄を残存させる内容である。なによりも防衛栄えて国滅ぶ内容だ。将来に必要な教育投資少子化対策、さらに国民生活の安定に必須の社会保障を毀損してまで必要のない軍拡を進める姿である。

 この悪政を正そうとしてもすぐにはできない。なぜなら、政権交代で防衛支出を抑えても支払いは5年後まで残るからだ。まさに将来に禍根を残す軍拡である。不思議なのは異を唱えるべき財務相が唯々諾々と受け入れたことだ。鈴木俊一財務相は齢70と政治家として後世に名声を伝える時期にある。それにもかかわらず死後の名声を自ら喪った。

 名蔵相・高橋是清とは真反対である。高橋翁は国家財政と国民経済を守るため身命を賭して軍拡予算と戦い、斥けた。そのため軍部の恨みを買い2.26事件で文字通り命を奪われた。だが、それにより名声は死後いよいよ高まった。

 その鈴木財務相が留任した。果たして防衛費の無駄遣いについて予算編成で厳しく査定できるのか。再び迎合するなら尸位素餐の批判は免れないだろう。(おわり)

文谷数重
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 ■文谷数重 元3等海佐・軍事研究家

  1973年、埼玉県生まれ。早大大学院修了。元3等海佐・

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース マネー 【トピックス・コラム・「防衛予算概算要求7兆円 これだけの無駄」】  2023年09月20日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【防衛予算概算要求7兆円 これだけの無駄】:⑤リノベや建て替えに3900億円を要求も…自衛隊施設の「耐震強化」にはまやかしがある

2023-09-26 23:54:50 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【防衛予算概算要求7兆円 これだけの無駄】:⑤リノベや建て替えに3900億円を要求も…自衛隊施設の「耐震強化」にはまやかしがある

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【防衛予算概算要求7兆円 これだけの無駄】:⑤リノベや建て替えに3900億円を要求も…自衛隊施設の「耐震強化」にはまやかしがある

 防衛省は来年度予算で施設の耐震強化を進めるとしている。隊員が勤務する庁舎や居住する隊舎について、特に1982年以前に建てられた建物9900棟を重点に耐震強化するのをはじめ、リノベーションや、建て替えに3900億円を要求している。

<picture>撤去する決まりの建物を遺し、その幽霊建物こそが「耐震強化」対象3900億円請求の多くを占める(C)日刊ゲンダイ</picture>

 撤去する決まりの建物を遺し、その幽霊建物こそが「耐震強化」対象3900億円請求の多くを占める(C)日刊ゲンダイ

 一見すると良い話に見える。隊員の安全確保と勤務環境の改善だからだ。

 だが、実態からすれば必要性は疑わしい。少なくともこの要求額は過大である。

 1つ目には対象に幽霊建物まで含むことである。

 施設の建て替えでは、前の建物は不要となる。自衛隊ではその建物は撤去する決まりだ。

 ただ、実際には残すことも多い。倉庫に使える、解体撤去費がもったいないといった理屈である。

 このような建物は幽霊となる。国有財産だが、本来は不要な建物なので維持費はつかない。耐震性が不足する建物の多くはこの類いである。

 この幽霊建物にまで予算を投じるのは間違っている。耐震補強よりも、原則通りに解体撤去して更地にすべきだろう。

  2つ目は将来の建物所要を反映していないことだ。今後、自衛隊の縮小は避けられない。つまり建物は余る。その際に残す建物を吟味すれば広範な改修は不要となる。

 特に隊舎の必要数は減るだろう。基地内で未婚の下士官兵が暮らす一種の寄宿舎だが、将来、過半は必要なくなるのではないか。自衛隊の縮小に加えて、隊舎制度の抜本的見直しは、募集難対策に必須だからである。隊員集めには、不人気な基地内居住の見直しと、隊外からの通勤拡大は必至である。

 実際に隊舎は昔から閑古鳥が鳴いていた。飲酒禁止や清掃義務、巡検の煩わしさから隊舎居住義務のある下士官兵も、別に外に下宿をとっていた。


 ■不要建物を含めた一律の改修や更新は無駄づかい

 もちろん、脆弱施設の強化そのものは悪い話ではない。たとえば、大災害時の救援拠点に使う自衛隊港湾や飛行場の津波対策や水害対策は必要である。通信や電力、給水、下水処理への耐震性付与も必要だろう。

 ただ、不要建物を含めた一律の改修や更新は無駄づかいでしかない。防衛費が増えたからといって野放図に進めてよい事業ではなく、強化する施設の峻別は必要である。少なくとも3900億円の支出は妥当ではない。 (つづく)

文谷数重
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 ■文谷数重 元3等海佐・軍事研究家

  1973年、埼玉県生まれ。早大大学院修了。元3等海佐・

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース マネー 【トピックス・コラム・「防衛予算概算要求7兆円 これだけの無駄」】  2023年09月16日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【防衛予算概算要求7兆円 これだけの無駄】:④防衛省の合理的な説明がつかない、「国産兵器」と「米国製」のダブル購入

2023-09-26 23:54:40 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【防衛予算概算要求7兆円 これだけの無駄】:④防衛省の合理的な説明がつかない、「国産兵器」と「米国製」のダブル購入

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【防衛予算概算要求7兆円 これだけの無駄】:④防衛省の合理的な説明がつかない、「国産兵器」と「米国製」のダブル購入

 「国産ミサイル」と「米国製ミサイル」のダブル購入──。防衛省は来年度の概算要求で、同規模のミサイルを別々に2種類購入しようとしている。しかし、これこそ無駄なのではないか。

 購入しようとしている国産ミサイルの一つは、AAM-4Bである。戦闘機から敵の航空機を攻撃するミサイルで24年度には160億円分を要求している。

<picture>いずれ発射する戦闘機もなくなるのにミサイル買っても…(空自提供)</picture>
いずれ発射する戦闘機もなくなるのにミサイル買っても…(空自提供)

 そして米国製のAMRAAMとの並行導入となっている。すでに日本はF-35戦闘機用に採用しており、来年度は410億円分を要求している。

 これは首をかしげる内容である。国産の性能は米国製には及ばない。たしかに以前は同等程度の性能であった。だが、登場後の改良回数は国産1回に対し、米国製は10回と大違いであり、現行型では射程や命中率、共同交戦能力で差がついている。

 それに、国産AAM-4Bミサイルは、いずれ発射する戦闘機もなくなる。国産ミサイルはF-2とF-15戦闘機用だが、どちらの戦闘機も寿命延長は難しく退役は遠くない。つまりAAM-4Bを買っても長くは使えない。ミサイルは30年もつが、10年後には肝心の戦闘機がなくなり始める。

 もう一つは国産の「新艦対空誘導弾」である。軍艦から敵航空機や敵ミサイルを迎撃するミサイルで新規導入に220億円を要求している。

 これは米国製のESSMブロック2との並行導入となる。概算要求には明記されていないが、米国製ミサイルの導入予定は公表されている。あるいはイージス搭載艦の艦艇建造費3950億円に含んでいるのかもしれない。

 こちらも筋が悪い。国産ミサイルは陸上用の転用型であり海戦に向いていない。まず、高度3メートル以下を飛ぶ敵ミサイルを確実に迎撃できるか怪しい。陸上ではあり得ない条件である。また、敵艦船への攻撃モードの用意があるかどうかもある。

 国産と米国製とでは、搭載数の差も圧倒的である。国産は軍艦用発射機の大きさを考慮していない。だから大型の発射セルに1発しか入らない。対して米国製は4発入るように設計している。32セルの軍艦なら搭載数は32発と128発の差がでてしまう。

 本来なら高性能の米国製で統一すべきである。日本を防衛する任務を優先するなら、そうしなければならない。また経済的でもある。発射機や教育、補修部品への二重投資も避けられる。

 だが、防衛省は国産品導入、しかも、米国製との並行配備を求めている。そこには合理的な理由は見つからない。防衛産業への忖度としかいいようがない選択である。  =つづく

文谷数重
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 ■文谷数重 元3等海佐・軍事研究家

  1973年、埼玉県生まれ。早大大学院修了。元3等海佐・

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース マネー 【トピックス・コラム・「防衛予算概算要求7兆円 これだけの無駄」】  2023年09月15日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【防衛予算概算要求7兆円 これだけの無駄】:③日本の防衛に大量の戦車や大砲は必要か? ドローン整備が遅れる原因に

2023-09-26 23:54:30 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【防衛予算概算要求7兆円 これだけの無駄】:③日本の防衛に大量の戦車や大砲は必要か? ドローン整備が遅れる原因に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【防衛予算概算要求7兆円 これだけの無駄】:③日本の防衛に大量の戦車や大砲は必要か? ドローン整備が遅れる原因に

 防衛省の概算要求は7兆7000億円に達した。平時であり戦争の兆しもない現状では不自然な予算規模である。

 その内容にも疑問は残る。不要兵器の大量購入があるからだ。予算拡大を好機として無駄遣いする形である。

<picture>戦車などの大量購入が必要な状況ではないのに…(C)日刊ゲンダイ</picture>

 戦車などの大量購入が必要な状況ではないのに…(C)日刊ゲンダイ

 その象徴が戦車や大砲の購入である。戦車はタイヤ式を含めて29両、大砲は19式軽自走砲を16門、購入する。ざっと500億円である。

 これらは不要な兵器である。1つ目に、陸自への新規投資そのものが誤っている。これは前回に述べたとおりである。

 2つ目に陸上戦力の需要とも合致しない。中国との想定戦場は南西諸島である。離島であり土地は狭く戦車や自走砲が活躍する余地はない。

 3つ目には、購入の必要そのものがない。戦車と大砲の保有目標は300両と、300門である。対して現状では戦車は90式、10式、16式で620両、大砲はFH-70と99式が600門もある。いずれも一線級であり更新は不要である。つまり、今以上に増やす必要はない。

 なぜ、このような無駄な兵器購入を進めようとしているのか。

 1つには戦車兵と砲兵の失業対策である。陸自では2職域は力を持っている。そして戦車と大砲を減らすと配置がなくなる。そのため削減を回避し、隙あらば数を増やそうとする。今回なら大陸国と海洋国の差を無視してウクライナ戦争での活躍を持ち出したあたりだろう。

 ■進まない陸自の近代化

 陸自の近代化が進まない原因でもある。戦車と大砲に多額の予算を使っている。だからドローンやそれと連結した情報システムの導入、上陸戦部隊の整備は遅れるのである。

 もう1つは本土決戦の束縛である。創設以来、陸自はソ連の侵攻に備えていた。訓練や教育もそれにあわせている。演習も北海道や本州で戦車や大砲を駆使してソ連やロシアと戦う構図である。

 隊員はこの価値観から抜け出せていない。陸自首脳もこの構造下で評価され昇任したのである。だから戦車と大砲をやめる決断はできない。

 しかし、これは自分たちがやりたい戦争だけをやろうとする姿である。将来にあるかもしれない中国との戦争に真面目に備える姿ではない。 (つづく)

文谷数重
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  1973年、埼玉県生まれ。早大大学院修了。元3等海佐・

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース マネー 【トピックス・コラム・「防衛予算概算要求7兆円 これだけの無駄」】  2023年09月14日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【防衛予算概算要求7兆円 これだけの無駄】:②「陸上自衛隊」の予算は防衛省最大の無駄…それでも見直しは政治力で潰される

2023-09-26 23:54:20 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【防衛予算概算要求7兆円 これだけの無駄】:②「陸上自衛隊」の予算は防衛省最大の無駄…それでも見直しは政治力で潰される

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【防衛予算概算要求7兆円 これだけの無駄】:②「陸上自衛隊」の予算は防衛省最大の無駄…それでも見直しは政治力で潰される

 7兆7000億円にまで膨れ上がった防衛省の来年度予算の概算要求。無駄な予算が相当、含まれている。最大の無駄は何だろうか。陸上自衛隊であろう。その規模、予算、人員は防衛省最大の無駄である。

<picture>本来ならば陸自は縮小されるべき戦力(陸上自衛隊観閲式での岸田首相=代表撮影)</picture>

 本来ならば陸自は縮小されるべき戦力(陸上自衛隊観閲式での岸田首相=代表撮影)

 本来なら陸自は縮小すべき戦力である。中国や北朝鮮との戦争では、ほぼ出番はない。海外派遣でもあまり使い道はない。それでいて陸海空の中で最大の予算を費消している。未公表だが、恐らく約2兆8000億円を要求しているはずである。

 もし削減すれば各種の問題が解決する。まず防衛予算に余裕が生まれる。それにより対中国で必須の海空戦力の強化が可能となる。陸自を半分にすれば、海空自衛隊は4割も増強できるのである。

 隊員不足も緩和する。陸自の予算定員を2万人、実人数で8000人ほど減らせば、自衛隊全体の人手不足も解消する。

 結果的に陸自自身の近代化も進むだろう。兵器不足や旧式化を訴えているが、それは15万人分も揃えようとした結果である。人員を半分にすれば兵器も半分で済む。しかも、少ない数なので全てを高額な最新式に更新できる。

 いずれも当然の話である。説明すれば中学生でも理解できるだろう。

 しかし、陸自削減は実現しない。防衛省も政府も与党実務家も、本当はその必要性を熟知している。なのに陸自の規模も予算も、そのままである。

 それはなぜか。組織防衛の成果である。陸自はこの40年間、日本防衛よりも陸自防衛に力を注いできている。

 陸自縮小論は最近の話ではない。その主張は50年も前の1975年ごろから始まっている。80年代には政府、与党さらには防衛族でも共通認識となった。たとえば85年には、自民党の藤尾政調会長、金丸幹事長も陸自削減を主張した。

 この動きに陸自は危機感を抱いた。削減は人員、予算、ポストほかの利権縮小を意味している。そして阻止のために政治力の獲得を進めた。組織内候補の国会送り込みと、そのための事実上の組織ぐるみ選挙である。活動も強引であり、なかには司令部で選挙資金を配り有罪となった例もある。

 ■陸自出身議員が拒否権を発動

この組織防衛が功を奏し、陸自削減は実現しないまま今に至っている。政権や防衛省が削減を進めても頓挫してしまう。防衛族として政界に送り込んだ陸自出身議員が、拒否権を発動するからだろう。また駐屯地選挙区で隊員と家族が票田として作用した結果でもあるのだろう。

 陸自を削減すれば防衛費増額は不要となる。それにもかかわらず陸自組織は現状維持であり陸自予算はむしろ増えている。これは陸自の政治力が生む不自然なる現状維持であり、不自然なる予算増なのである。 =つづく

文谷数重
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 ■文谷数重 元3等海佐・軍事研究家

  1973年、埼玉県生まれ。早大大学院修了。元3等海佐・

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース マネー 【トピックス・コラム・「防衛予算概算要求7兆円 これだけの無駄」】  2023年09月13日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【防衛予算概算要求7兆円 これだけの無駄】:①不要な「陸自予算」と「兵器国産」を見直せば、防衛費は5兆円で足りる

2023-09-26 23:54:10 | 【防衛省・自衛隊・防衛費、大綱・沖縄防衛局・軍需産業・Jアラート・シェルター】

【防衛予算概算要求7兆円 これだけの無駄】:①不要な「陸自予算」と「兵器国産」を見直せば、防衛費は5兆円で足りる

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【防衛予算概算要求7兆円 これだけの無駄】:①不要な「陸自予算」と「兵器国産」を見直せば、防衛費は5兆円で足りる

 防衛省の来年度予算の概算要求額が、過去最大の7兆7000億円にまで膨れ上がっている。この金額は適切な規模なのだろうか。従来、防衛費は5兆円前後であった。実に2倍に近い要求額である。しかし、そこに妥当性はない。

 まず、増額理由として挙げる中国脅威は現実的ではないからだ。冷戦期ソ連と比べると日中対立は平穏そのものである。

<picture>防衛相の予算の概算要求額は過去最大に(浜田靖一防衛相)/(C)共同通信社</picture>

 防衛相の予算の概算要求額は過去最大に(浜田靖一防衛相)/(C)共同通信社

 優先順位も誤っている。貧困が進み、こども食堂が出現している。平時に防衛費を増額する理屈はないだろう。今は大砲よりもバターである。

 それに将来にわたり支出できる額でもない。アベノミクスの失敗に長期の人口減少と経済は衰退局面である。8兆円近い防衛費は今後10年を経ずして支出困難となるのではないか。

 内容も浪費ばかりだ。なによりも陸上自衛隊向けの支出増額には無駄がある。

 ◆締めて2兆4000億円の節減に

  本来なら陸自は削減の対象である。陸上戦力は対中軍事力としては、ほとんど役には立たないからだ。また主力となる海空戦力強化の原資をつくるためにも削減が必要だ。だが、実際は逆の増額だ。未公表だが今年は2兆8000億円かそれ以上だろう。なお、金額を公表していた頃の陸自予算は1兆8000億円である。

 ■陸自増額を隠そうとする姑息

 しかも、防衛省は姑息にも陸自増額を隠そうとしている。いままで「防衛白書」では陸海空別の予算額を示していた。それが2022年度版以降、掲載していないのだ。なぜか。批判を避けるためだ。防衛費増額の中で冗費である陸自支出は削っていない。増額とわかると都合が悪いのだろう。

 もうひとつは「兵器国産」の無駄である。

 国産兵器には難がある。高価格、低性能、信頼性薄弱の三重苦である。それに当の自衛隊員も迷惑している。

 だが、防衛省はその国産兵器に大金を投じている。概算要求では国産戦闘機と各種の国産ミサイル開発に4400億円、また国産ミサイル購入に3000億円を要求している。合わせて7400億円である。

 防衛産業には特需であり結構な話である。

 ただ、それは防衛の充実にはつながらない。防衛産業にとっての利益でしかなく国や国民には害悪である。

 この「陸自」と「国産」の無駄を省けば防衛費増額は不要となる。陸自予算を従来の半分、1兆円とすれば1兆8000億円が浮く。国産兵器の開発をやめれば4400億円が不要となる。ミサイルも海外製購入なら半額の1500億円程度で済むだろう。締めて2兆4000億円の節減である。防衛費は従来の5兆円に収まるのである。(つづく)

文谷数重
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 ■文谷数重 元3等海佐・軍事研究家

  1973年、埼玉県生まれ。早大大学院修了。元3等海佐・

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース マネー 【トピックス・コラム・「防衛予算概算要求7兆円 これだけの無駄」】  2023年09月12日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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