【政界地獄耳・08.01】:不祥事続き防衛省、身内意識の改革が必要
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・08.01】:不祥事続き防衛省、身内意識の改革が必要
★不祥事が重なる防衛省にしんぶん赤旗が切り込んだ。今週30日、「南極で海上自衛隊の砕氷船『しらせ』が採取した氷を、自民党の防衛副大臣・鬼木誠が自身の選挙区内で児童や保護者に配っていたことが29日、本紙の取材でわかった。『南極の氷』という入手困難で希少価値の高いものを選挙区内で配ることは、公職選挙法(199条の2)が禁じる『寄付行為』に当たるのではないか」と指摘する。鬼木は防衛省の特定秘密漏洩再発防止委員会の委員長を務めており、鬼木自身も内側の理屈の中で副大臣という役職を選挙活動に利用していたという可能性はないか。
★その後の報道で鬼木の選挙区である衆院福岡2区で昨年4月から今月にかけ計5回、「しらせ」が持ち帰った氷を展示する催しを開き、鬼木や秘書が砕いて紙コップに1片ずつ入れ、小学生らに配っていた(共同通信)という。鬼木は「政治利用の意図は一切ない。子どもたちに南極の氷に触れてもらい、自衛隊のことを知ってもらう良い機会だと思った」とし、事務所は「財貨性のある金品ではなく、公選法違反には抵触しないと考える」と説明している。
★たかが氷といえども選挙区だけの配布となれば話は別だろう。防衛省は自衛隊への理解が深まるのならばと副大臣の“要求に応じ”て氷が準備された段階で防衛省が公金を使って持ち帰った氷は「財貨性」が生まれるのではないか。ただ選挙区以外でも実施されていればまだしもだ。副大臣や事務所の抗弁が通用するなら、選挙区だけで実施したことの説明はつかない。財貨性がないなら、今後は財貨性のない“何か”の選挙区での供与が考え出されるはずだ。その誤解を持たれないための法整備だが、自民党はそれを少しずつ拡大解釈し、合法性があると国民を慣らしてきた。その絶え間なきアイデアには脱帽するが、そういう時代ではないことにいまだ気付かないことが自民党の病巣でもある。こういう特権意識を廃し、副大臣室や省内が黙認してきたことは、自衛隊への理解を深めるならという身内意識だ。その意識改革も必要だ。(K)※敬称略
◆政界地獄耳
政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】 2024年08月01日 07:03:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。