路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【ファクトチェック・ニッポン!・09.21】:石破発言を拡散する人が見落としていること 民主主義とは結果ではなく「プロセス」にある

2022-10-05 06:28:30 | 【報道=事実に裏打ちされた報道、ファクトチェック(事実検証)・フェイク(偽...

【ファクトチェック・ニッポン!・09.21】:石破発言を拡散する人が見落としていること 民主主義とは結果ではなく「プロセス」にある

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ファクトチェック・ニッポン!・09.21】:石破発言を拡散する人が見落としていること 民主主義とは結果ではなく「プロセス」にある

 自民党石破茂元幹事長が発言を訂正し謝罪した。その発言は、「イギリスでは女王の国葬でも議会で決議している」というものだった。

<picture>石破茂元幹事長(C)日刊ゲンダイ</picture>

    石破茂元幹事長(C)日刊ゲンダイ

 TBSが、「この石破氏の発言についてNPO法人インファクトがイギリス議会に確認したところ『エリザベス女王の国葬に関し、議会の議決がなされた事実はなかった』ということです」と報じている。「インファクト」とは私が編集長を務めるオンライン・メディアだ。

 これを、安倍氏を支持する人々が拡散している。一方、安倍氏の国葬に反対する人からは、立岩は安倍氏の国葬に反対していたのではないか? との疑問の声が届いている。

 ■事実より「立ち位置」が優先される国

 まず、明確にしておきたいのは、ファクトチェックとは立ち位置によらず発言の事実を確認する作業であること。また、発言者を批判するものでもないこと。これらが日本では理解されていない。この国では、事実より立ち位置が優先される部分が極めて強いからだろう。

 ファクトチェックについて「事実を積み上げても真実は見えない」と批判する人もいるが、私はそう考えない。米ワシントン・ポスト紙の編集長だった故ベン・ブラッドレー氏は、「事実は時に不都合だが、長い目で見れば嘘より安全だ」と語っている。その言葉は今も同紙編集局に大書されている。それは、伝説的編集長とも称される氏の長い経験から出た言葉だろう。私のささやかな取材の経験とも符合する。

 ただし、石破氏発言のファクトチェックは誤解されている。少し説明しておきたい。この取材をインファクトのファクトチェッカーである田島輔氏が私にもってきた案件は、「英国でも女王の国葬は議会の同意が不要ではないか」というものだった。

 私は、「要不要ではなく、素直に石破氏の発言にある女王の国葬について議会で決議したか否かを調べて欲しい」と指示した。慣習法の国で法的な部分を確認するのは難しいとの判断と、ファクトチェックが政治的に利用されかねないとの懸念を抱いたからだ。

 事実の確認に徹して欲しいと念を押し、田島氏がそれに従って努力してくれた結果が前掲だ。しかし、実はインファクトの調べは、そこでは終わっていない。

 ■仮に英国で安倍元首相の国葬を行うなら?

 英議会は国葬について、「一般に君主に限られるが、在位中の君主の命令と資金を拠出する議会の議決によって、例外的に著名な人物にも拡大することができる」と説明した。首相も「例外的」な対応ということになる。つまり、仮に英国で安倍元首相の国葬を行うならば議会の議決が必要だということだ。石破氏の訂正を拡散する人は、そこを見落とすべきではない。

 自公が過半数を占める国会で審議をすれば結果は同じではないかとの指摘はある。それでも国会で審議して決議することに意味がある。民主主義とは得られた結果ではなく、そのプロセスにあるからだ。今回のファクトチェックは、その重要さをあらためて示すものとなったと言える。加えて、日本の民主主義についても疑問を呈するものとなったと言えるだろう。

 ※コラムへの感想や意見は以下のアドレスへ。 tateiwa@infact.press

立岩陽一郎
 ■立岩陽一郎 ジャーナリスト

 NPOメディア「InFact」編集長、大阪芸大短期大学部客員教授。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て現職。日刊ゲンダイ本紙コラムを書籍化した「ファクトチェック・ニッポン 安倍政権の7年8カ月を風化させない真実」発売中。毎日放送「よんチャンTV」、フジテレビ「めざまし8」に出演中。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・連載・「ファクトチェック・ニッポン!」】  2022年09月21日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【ファクトチェック・ニッポン!・09.14】:岸田政権の国葬強行に、責任ある野党は何をしなければならないのか?

2022-10-05 06:28:20 | 【報道=事実に裏打ちされた報道、ファクトチェック(事実検証)・フェイク(偽...

【ファクトチェック・ニッポン!・09.14】:岸田政権の国葬強行に、責任ある野党は何をしなければならないのか?

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ファクトチェック・ニッポン!・09.14】:岸田政権の国葬強行に、責任ある野党は何をしなければならないのか?

 安倍元首相の国葬について実のところ、好き嫌いの問題なのかもしれない。やりたければやればいいとも思う。むしろ、問題なのはそのプロセスだろう。国会での議論もなく、内閣が独断で決めて国会に事後説明する手法だ。その内閣の説明も、怪しい。

<picture>岸田首相は国葬を強行(C)日刊ゲンダイ</picture>

  岸田首相は国葬を強行(C)日刊ゲンダイ

 国葬(儀)の判断根拠は岸田首相によれば、

 ①総理在任期間が憲政史上最長の8年8カ月であること
 ②経済や外交での実績
 ③各国が弔意を表明
 ④選挙運動中の非業の死の4点を挙げた。

 まず①と②について、9月9日に行われた閉会中審査で、立憲民主党の泉代表が、それなら当時の「最長」でノーベル平和賞を受賞した佐藤栄作氏はなぜ国葬ではなかったのかと問うた。岸田首相は「そのときどき、その都度、政府が総合的に判断」と答弁したが、これでは議論にならない。国の政策には一貫性が必要だ。それが変わる時はその説明が求められる。それを「そのときどき、その都度」変わるものだと言い放ってしまえば、そもそも国会での議論など必要なくなってしまう。 

 ③に関して、弔問外交を語る人がいる。諸外国から首脳級が来るので、外交の場として使えるという説明だ。しかし、首脳級が来るという状況にはなく、仮に実務者による秘密外交ならメディアが集中する場を使うことはしない。無理のある説明だ。

 ④については素朴に考えて良い。なぜ安倍晋三元首相は銃で撃たれ死亡したのか? 例えば、元首相が「暗殺」されたと表現する識者がいる。「暗殺」とは何か? 「政治的に影響力を持つ人間を、政治的、思想的立場の相違に基づく動機によって殺害すること」というのが一般的だろう。今回の事件についてファクトチェックをするならば安倍元首相が「政治的に影響力をもつ人間」であることは間違いない。しかし「政治的、思想的立場の総意に基づく動機」はどうだろうか? これは容疑者の供述とかけ離れたものだ。

 逆にこう問いたい。仮に、安倍元首相が旧統一教会と全く関係を持たず、選挙における票の差配などをしていなかったとして、それでも今回の事件は起きたのか? そう考える人は極めて少数だろう。つまり、旧統一教会と関係のあった自民党国会議員の筆頭に元首相がいなければ、少なくとも元首相が狙われることはなかったと考えるのが自然だ。

 岸田政権は国葬を強行するだろう。その手法はまさに安倍元首相のそれで、結果的にこの政権を葬る儀式となるかもしれない。しかしそれで終わらないかもしれない。日本の民主主義を葬り去る儀式にもなり得るからだ。なぜなら民主主義とは、決定にあたって、それによって影響を受ける人びとが参加するシステムだからだ。その場が国民の代議機関である国会だ。有権者が選んだ議員の国会での議論を経ずに重要な決定が行われる国を民主国家とは呼ばない。責任ある野党は何をしなければいけないのか? これを真剣に考えなければいけない。普通に考えれば、非民主的に決まった儀式とは関わりを持たないということだろう。

 ※コラムへの感想や意見は以下のアドレスへ。 tateiwa@infact.press

立岩陽一郎
 ■立岩陽一郎 ジャーナリスト

 NPOメディア「InFact」編集長、大阪芸大短期大学部客員教授。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て現職。日刊ゲンダイ本紙コラムを書籍化した「ファクトチェック・ニッポン 安倍政権の7年8カ月を風化させない真実」発売中。毎日放送「よんチャンTV」、フジテレビ「めざまし8」に出演中。

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【ファクトチェック・ニッポン!・07.20】:安倍元首相の国葬について冷静な議論を求めたい。その場は国会であるはずだ

2022-10-05 06:28:10 | 【報道=事実に裏打ちされた報道、ファクトチェック(事実検証)・フェイク(偽...

【ファクトチェック・ニッポン!・07.20】:安倍元首相の国葬について冷静な議論を求めたい。その場は国会であるはずだ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ファクトチェック・ニッポン!・07.20】:安倍元首相の国葬について冷静な議論を求めたい。その場は国会であるはずだ

 安倍晋三元首相について政府は国葬を行うことを決めたという。岸田首相は、「憲政史上最長の8年8カ月にわたり、卓越したリーダーシップと実行力をもって、厳しい内外情勢に直面する我が国のために内閣総理大臣の重責を担ったこと、東日本大震災からの復興、日本経済の再生、日米関係を基軸とした外交の展開等の大きな実績をさまざまな分野で残されたことなど、そのご功績は誠にすばらしいものであります」と語った。

<picture>安倍晋三元首相の通夜に出席した岸田文雄首相(14日)/(C)日刊ゲンダイ</picture>

 安倍晋三元首相の通夜に出席した岸田文雄首相(14日)/(C)日刊ゲンダイ

 ■ミスリードな岸田発言

 また、「外国首脳を含む国際社会から極めて高い評価を受けており、また、民主主義の根幹たる選挙が行われている中、突然の蛮行により逝去されたものであり、国の内外から幅広い哀悼、追悼の意が寄せられています」とも強調している。

 小論では、安倍元首相は当初は外交を動かすために長期政権を目指したが、途中から主客転倒し、長期政権の維持のために外交を利用する形になったと指摘してきた。G7などの首脳外交の場では、その場を経験している首脳が新参の首脳に気を配るシーンがよく見られる。古株である安倍元首相がその役割を担い、それが各国の首脳に感謝されたことは想像に難くない。

 ところで、この岸田首相の発言は前段と後段を分けて考えることが可能だ。仮に「ご功績」の評価を認めたとしても、安倍元首相が数十年後に天寿を全うして世を去ったとしたら現首脳を含め「国の内外から幅広い哀悼、追悼の意」が寄せられる状況にはならなかったと思うからだ。

 つまり、この国葬は、安倍元首相が非業の死を遂げたことによって実施される運びとなったと考えるのが自然だ。これについて岸田首相は、「国葬儀を執り行うことで、安倍元総理を追悼するとともに、我が国は、暴力に屈せず民主主義を断固として守り抜くという決意を示してまいります」と語っている。

これは、かなりミスリードな発言だ。前回も指摘したが、少なくとも容疑者の供述を見る限り、事件は旧統一教会と安倍氏の関係の密なことを信じた逆恨みによる犯行であり、安倍氏の言論を封じようとしたものではない。従って、民主主義うんぬんを持ち出して事件を語るのは、少なくとも現段階では事実に基づいたものとは言えない。

 産経新聞の報道によると、日本維新の会松井一郎代表は、国葬について「反対ではないが、賛成する人ばかりではない」と述べたという。「『反安倍』はたくさんいる。批判が遺族に向かないことを祈っている」とし、「礼節を尽くすべき元首相だと思うが、その結果、遺族の負担にもなるということはよく考えてもらいたい」と語ったという。

 松井氏は国葬に反対の立場ではなく、記事も「反安倍」の存在を批判したいニュアンスを感じる。しかし、松井氏の発言そのものは、政治的な立場を離れて多くの人と懸念を共有している気がする。声高に賛否のいずれかを叫ぶよりも、冷静な議論を求めたい。その場は国会であるはずだ。それがなければ、元首相は国会軽視の代名詞になってしまうのではないか。

立岩陽一郎
 ■立岩陽一郎 ジャーナリスト

 NPOメディア「InFact」編集長、大阪芸大短期大学部客員教授。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て現職。日刊ゲンダイ本紙コラムを書籍化した「ファクトチェック・ニッポン 安倍政権の7年8カ月を風化させない真実」発売中。毎日放送「よんチャンTV」、フジテレビ「めざまし8」に出演中。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・連載・「ファクトチェック・ニッポン!」】  2022年07月20日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【漂流するメディア・09.25】:NHKは教訓にしていない…40代記者の過労死で、佐戸未和さんの両親は不信感を隠さなかった

2022-09-25 12:03:30 | 【報道=事実に裏打ちされた報道、ファクトチェック(事実検証)・フェイク(偽...

【漂流するメディア・09.25】:NHKは教訓にしていない…40代記者の過労死で、佐戸未和さんの両親は不信感を隠さなかった

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【漂流するメディア・09.25】:NHKは教訓にしていない…40代記者の過労死で、佐戸未和さんの両親は不信感を隠さなかった

 9月2日、NHKが40代の男性記者が過労死したことを発表した。NHKは、「公共メディアをともに支える職員が亡くなり、再び労災認定を受けたことは痛恨の極みであり、大変重く受け止めています」などとするコメントを発表した。報道によると、死亡した男性は東京都を取材する都庁クラブのキャップで、参院選や東京オリンピック・パラリンピックの取材指揮にあたっていたという。

 「再び」という言葉が、2013年に同じ都庁クラブで記者が過労死していることを指すことは日刊ゲンダイの「ファクトチェック・ニッポン」で書いた。今回は、その点をさらに詳細に書いておきたい。なぜなら、NHKの「大変重く受け止めています」というコメントが、一般の人が感じるよりはるかに軽いものだと言わざるを得ないからだ。

<picture>佐戸未和さんの遺影(写真)立岩陽一郎</picture>

 佐戸未和さんの遺影(写真)立岩陽一郎

 佐戸未和さん。2013年7月に、31歳の若さで亡くなった。都内の自宅で携帯を握りしめたまま倒れているところを、連絡がとれないと駆け付けた婚約者が発見。既に死亡していた。

 男性記者の過労死を知らせる報道資料には、「NHKでは、2013年7月に亡くなった佐戸未和さんが長時間労働による労災と認定されたことを受けて、業務の体制の進め方、勤務制度の見直しなどを行ってきましたが、再び職員が亡くなり、労災を受けるという事態になりました」と書かれている。

 さらに、「深く反省し、これまでの健康確保の施策を速やかに再検討していきます。さらに、外部の有識者を加えた検討会も設け、働く一人ひとりの健康をいっそう留意して再発防止を徹底していきます」とも。

 私は佐戸さんのご両親に連絡をとり、台風14号の影響で多少暑さが和らいだ9月15日にご自宅で話をうかがった。

 ご両親は、男性記者の家族のことを気遣いつつ、NHKへの不信感を隠さなかった。

 「ご家族のことを思うと胸が張り裂けそうになる。結局、NHKは未和のことを教訓になどしていない。そう思わざるを得ません」

 ご両親がそう思うのには理由がある。そもそも佐戸未和さんが過労死した事実をNHKは長く伏せていた。それは表に公表するか否かというレベルではなく、局内でも事実は伏せられていた。事実上のかん口令がしかれていた。

 当時、NHKにいた私もその事実を知らなかった。ご両親は未和さんの過労死の事実を共有して教訓にして欲しいと願っていたが、そうはなっていなかった。不審に思ったご両親の指摘で死の4年後に公表したが、その際、NHKはご遺族の希望で公表を控えていたとの言い訳をしているが、そうした事実はない。

 ◆過労死の調査報告書がないまま「働き方改革」を実施したNHK

  NHKはご両親に対して、未和さんの過労死をきっかけに「働き方改革」を実施したと説明している。それが前掲の「業務の体制の進め方、勤務制度の見直しなどを行ってきました」にあたる部分だ。これは事実だが、未和さんの死を教訓にしたという部分については怪しい、と少なくともご両親は感じている。

<picture>NHK(C)日刊ゲンダイ</picture>

  NHK(C)日刊ゲンダイ

 例えば、未和さんの死の2年後に出された「働き方改革」に関するNHKの内部文書がある。2015年10月の「報道局働き方プロジェクトNEWS 第1号」だ。そこには「休暇の取得の推進」、「泊まり体制の見直し」といった取り組みが書かれている。しかし未和さんのことには一言も触れられていない。

 私もその疑問を共有している。なぜなら、未和さんの過労死についてNHKはまともな調査をしているとは思えないからだ。普通、調査をすればその調査結果をまとめる。そして問題を洗い出し、改善すべき点を確認する。それがあって初めて「改革」に着手できる。

 ところが、NHKは未和さんの過労死について調査報告書、あるいはそれに類するものを作成していない。私の情報開示請求に「存在しない」と回答している。それをご両親に伝えた時、ご両親は私の言葉を信じなかった。父親の守さんは日本を代表する一流企業で海外支店長まで務めた人だ。いくらなんでも、「教訓にして働き方改革をする」と言っているのに、調査の結果をまとめた報告書がないということがあり得るのか?その後、自らNHKの幹部にそれを問い質している。2021年10月4日のことだ。ご両親がそれを克明に記録している。NHK側の回答だ。

「(未和さんの部署の関係者から)ヒアリングをしているんですけど、報告書という形でまとまったものは、結論としては存在しません」

 なぜ報告書をまとめなかったのか? それについては次のように話している。

「当時、他の記者も同じような働き方をしていたということで、未和さんに関して特別に、勤務管理が特別なことをした、というよりも、組織として、記者の労務管理が不十分だったということの認識だった」

 つまり、同じ働き方をしていた他の記者は死亡していないので、特別な事情は見当たらず、このため調査の結果をまとめることはしなかったという説明だ。

 当然、ご両親は納得していない。次のように指摘している。

「(未和さんの)労災の認定がされたときにも、その結果は聞いていらっしゃると思うんですが、その時点で、労災であれば当然企業責任が問われるわけですから、そこであらためてきちんと調査をして、当時の状況とかですね、過労死に至る経緯であるとかですね、相当詳しい調査をするのが普通の企業だと思うんですね。その結果は当然、普通の企業であれば社長であれ会長であれ、当然経営陣には報告されるし、NHKの中でも経営委員会なり執行部にも、『社内で労災が起こった』と報告されるはずなので、そのための調査リポートが作られると思うのですが、『それがない』と言うこと自体が私には信じられない」

 これに対して、NHK側は「(関係者への)ヒアリングはかなりしていて、調査はした」と応えている。このため、ご両親は再度以下のように質問している。

「普通ならヒアリングをすれば、当然調査記録として残しますよね。(報告書を作らないとは)理屈としておかしいですよ。誰が調査をしたのですか?」

 続けざまに以下の様に問うている。

「誰が誰に(ヒアリングを)したのですか? 何月何日に誰が誰にヒアリングをして、その結果はどうだったのか? それを何人にしたのか? そのヒアリング結果を踏まえて、どう結論づけられたのか?」

 NHKの担当者は沈黙するばかりだ。ご両親はそのショックを、「『調査報告書を作っていません』なんていうことを聞くとは夢にも思っていませんでした」との言葉で伝えている。

 ◆NHKでは10年間で91人が在職中に死亡している

 これがNHKの言う「大変重く受け止めています」の実態なのだろうか。ご両親ならずとも、憤りを通り越して呆れるほかない。

<picture>NHK過労死問題巡る動き(C)共同通信社</picture>

  NHK過労死問題巡る動き(C)共同通信社

 なぜ調査報告書を作らず、また作ることを拒否するのか? 実は、未和さんの過労死をめぐってNHK側は誰一人責任をとっていない。責任をとるどころか、直属の上司は地域の報道統括という要職に栄転しているし、さらに上の職員も栄転している。

 では、本当に誰にも責任はなかったのか? 未和さんが命を落とした2013年の7月の状況を見てみよう。7月21日に参議院選挙の投開票があり、日付が変わって22日の午前3時に帰宅している。そして問題の時間が迫る。

 まず、7月24日の午前3時頃に婚約者に電話をしている。それを最後に婚約者からの電話にもメールにも反応していない。そしてその日の夜、選挙取材の慰労会に未和さんは参加していない。しかし、誰も未和さんの安否を気遣っていない。実は7月25日に、婚約者が未和さんの職場に電話をして安否を問い合わせている。しかし、職場の人間は誰一人、未和さんの安否の確認をしていない。婚約者は東北在住だった。このため、この日の夜に自ら駆けつけて倒れている未和さんを発見している。それが当時の状況だ。

 ご両親は、NHKが早く動いてくれていれば未和さんは死ななくてすんだのではないかと思っているし、私もそう思う。

 調査報告書が作られないことについてご両親は、「5年後、10年後、あるいは20年後、私たちが亡くなったと、NHKの中で『そういえば20年前に佐戸未和という記者が亡くなった、過労死で。当時の経緯とか、顛末はどうだったのだろうか?』と振り返った時に、何が残るのか?」とNHKに問うている。これに対してNHK側は、「報告書がないという事実は弁解できない」と認めつつ、報告書を作るとは言っていない。

 頑なとも言えるNHKの態度の結果は、「ファクトチェック・ニッポン」にも書いたが、再度、それを書いておく。あるNHK職員から、未和さんの死は過労死ではないと言われたのだ。どういう意味か問うと、「彼女の死因は持病が原因だ。遺族からいろいろ言われてNHKが過労死の認定を受けられるようにした」と語った。

 この職員の話は全くもって事実ではない。労働基準監督署は未和さんの健康診断の結果などもすべて含めて検討した上で労災と認定している。また、NHKが佐戸さんの過労死認定のために尽力したという事実もない。すべてはご両親の努力の結果だった。私はこの話をご両親に伝えるかどうか迷った。それがご両親をどれだけ悲しませるか、当然、私にもわかる。しかし、隠すべき話ではないと、ご両親に伝えた。私はその時のご両親の苦痛にゆがむ表情を忘れることはできない。父親の守さんは絞り出すようにこう言った。

 「NHKは未和の死から何の教訓も得ていない。教訓を得ようともしていない」

 それを物語るような9月2日のNHKの発表だ。9年間で2件の過労死が発生したNHK。だが、それだけで終わらないかもしれない。

 NHKがまとめた「NHK労働者の在職死の件数」という資料がある。日本共産党の求めに応じてNHKが2018年3月14日現在でまとめたものだ。それによると、2008年6人、2009年12人、2010年11人、2011年7人、2012年10人、2013年11人、2014年7人、2015年9人、2016年11人、2017年7人となっている。2017年までの10年間で、実に91人が在職中に死亡している。この中に、家族が申請すれば過労死と認定されたケースがないと言い切れるだろうか。

 私は未和さんの遺影に手を合わせる時、必ず3つのことを祈る。1つは未和さんの安らかな眠り。そして残されたご家族のこと。そして、NHKがまともなメディアになること。今回遺影に手を合わせた際は、さらに男性記者とご家族の無念さを思い、彼の安らかな眠りとご家族のことを祈った。その祈りの数はさらに増えるのではないか。その懸念を抱かざるを得ない。

立岩陽一郎
 ■立岩陽一郎 ジャーナリスト

 NPOメディア「InFact」編集長、大阪芸大短期大学部客員教授。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て現職。日刊ゲンダイ本紙コラムを書籍化した「ファクトチェック・ニッポン 安倍政権の7年8カ月を風化させない真実」発売中。毎日放送「よんチャンTV」、フジテレビ「めざまし8」に出演中。

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【ファクトチェック・ニッポン!・07.13】:安倍元首相はファクトチェックの対象としては極めて重要な政治家だった

2022-07-20 06:07:40 | 【報道=事実に裏打ちされた報道、ファクトチェック(事実検証)・フェイク(偽...

【ファクトチェック・ニッポン!・07.13】:安倍元首相はファクトチェックの対象としては極めて重要な政治家だった

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ファクトチェック・ニッポン!・07.13】:安倍元首相はファクトチェックの対象としては極めて重要な政治家だった

 世界で報じられた安倍晋三元首相の死。米バイデン大統領も哀悼の意を示したが、私の留学時代の米国の恩師からもメールが来たのには驚いた。太平洋の向こうでも大々的に報じられたということだ。

 まず元首相の死を悼みたい。一方で、明確にしておかなければいけない点は、容疑者の供述からすると、これはテロではない。また、言論に対する暴力という外形的な事実はあるものの、それを狙ったものではない。それが逆に事件の怖さでもあるが、言論に対する挑戦という見立てで昭和初期の政治家暗殺と並べて報じるメディアには違和感を覚える。もちろん、供述通りかどうかは今後の捜査を待つしかないが、少なくとも現時点では、事件をテロと呼ぶことには抑制的である必要がある。

 安倍氏はファクトチェックの対象としては、極めて重要な政治家だった。それは、政治信条うんぬんとは関係ない。必ずしも事実に対して誠実だった政治家ではないからだ。以前も小欄で書いた通り、私の最初のファクトチェックは2017年の解散総選挙時に安倍氏が語った「(消費税)2%の引き上げで5兆円強の税収があります」だった。調べてみたら、前の年の税収を税率で割って1%当たりの税収を計算して、それを2乗にしただけのことだった。政府は「推計値」と抗弁したが、「推計」にもあたらない値だった。

 普天間基地の辺野古移設についても、「辺野古移設が唯一の解決策」という政府の方針をあたかも事実かのように強調したのは安倍氏だった。それは菅氏、そして今の岸田首相に引き継がれた。前回の総選挙時にそれは「事実」ではないと指摘すると、岸田首相は「辺野古移設が唯一の解決策という方針」と言い換えた。方針が正しい。

 CNNの報道で「安倍氏は長期政権を確立する中で多くのことを成し遂げた」という説明があった。インド太平洋地域のパートナーシップという、後にクアッドにつながる構想は安倍氏が提案したものだという。

 ■対米自立と対米追従

 安倍氏は外交で成果を出すには長期政権でなければならないと主張していたとされる。一方で、本当に外交的な成果があったかどうかには疑問もある。長期政権で外交を動かすとの狙いは、いつしか狙いと結果が逆になっていたのではないか。外交の場で華々しい姿を見せることが選挙で有利な状況を生み出すものとなったとの印象は強い。

 拉致問題は政権の最優先課題だとされた。もちろん、安倍氏が拉致問題に特別な思いで取り組んできたことは間違いない。しかし、解決を目指すなら外交を動かす必要があったが、(北)朝鮮に対して圧力一辺倒だった。訪朝時に会った(北)朝鮮の政府関係者は、「安倍さんは本気ではない」とみていた。

 疑問の多い政治家だった。例えば安倍氏は本音では親米政治家ではないと私はみている。尊敬する祖父、岸信介氏が目指したのは対米自立だったからだ。対米追従とも揶揄された安倍氏の本音はどこにあったのか。そうした点も含めて語ってほしい点は多々あった。今は、ご冥福を祈るしかない。

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立岩陽一郎
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 元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・連載・「ファクトチェック・ニッポン!」】  2022年07月13日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【ファクトチェック・ニッポン!・07.06】:「見ていないものについては言えない」と語る姿に本物のジャーナリストを見た

2022-07-20 06:07:30 | 【報道=事実に裏打ちされた報道、ファクトチェック(事実検証)・フェイク(偽...

【ファクトチェック・ニッポン!・07.06】:「見ていないものについては言えない」と語る姿に本物のジャーナリストを見た

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ファクトチェック・ニッポン!・07.06】:「見ていないものについては言えない」と語る姿に本物のジャーナリストを見た

 有力地方紙の京都新聞社で記者が自社の大株主らを刑事告発した。その詳細は既にさまざま報じられている。

 告発されたのは、大株主で相談役の白石浩子氏とその息子で取締役の京大氏。浩子氏には、去年までの約2年間で5700万円余りが京大氏から支払われていた疑いがある。浩子氏には勤務実態がないにもかかわらず約16億円の報酬を受けていたと第三者委員会が認定している。

<picture>京都新聞HDの元相談役らの告発状を京都地検に提出し、記者会見した同紙社員の日比野敏陽さん(左)ら(6月29日、京都市)/(C)共同通信社</picture>

 京都新聞HDの元相談役らの告発状を京都地検に提出し、記者会見した同紙社員の日比野敏陽さん(左)ら(6月29日、京都市)/(C)共同通信社

 告発した記者の一人が京都新聞の論説委員、日比野敏陽氏だ。記者会見で、「(京都新聞は)『我らは正義を守る、我らは自由を守る、我らは真実を守る』との社是を掲げている。この社是は『何なのか?』ということになる」と語った。新聞を愛するからこそ、内部から声を上げる必要性があるとも話した。

 日比野氏は友人だ。しかし、否、だからこそ連絡を取らなかった。告発が断腸の思いでの行動であることが想像できるからだ。私は以前、NHKの会長に退陣要求を出したことがあったが、心身がボロボロになった。友人が故に安易な発言も控えていた。

 出演する毎日放送の報道番組でこの問題が取り上げられた時も、最初はコメントはしなかった。しかし京都新聞社の「記者が個人による告発なのでコメントは特にない」とのコメントが伝えられた時には我慢できずに割って入り、日比野氏を知る人間として、「彼は常にマスメディア全体のことを考えている人であり、記者個人うんぬんで動く人ではない」と口にした。

 日比野氏について小欄で書いたことがある。東京の編集部長時代に当時の安倍首相の会見で、「仕組まれた質問にしか答えられないのか」と発言した時のものだ。全国紙、NHKとの事前にすり合わせた質疑が終わり、他の質問に応じずに官邸が会見を打ち切ろうとしたその時、めったに声を荒らげない日比野氏がそう声を荒らげた。この後、首相会見のあり方が変わる。

 本物のジャーナリストは主要メディアにはいないとの指摘がある。サラリーマンであってジャーナリストではないとの批判だ。しかし、実際には主要メディアにもジャーナリストはいる。確かに多くはないが、いる。日比野氏がその一人であることは間違いない。

 もう一人の本物のジャーナリストに最近会った。新田義貴氏。NHK時代の同僚だが、NHKを辞めてフリーランスで活動している。ウクライナにロシア軍が侵攻するとすぐに現地に入って取材。帰国後の6月末に関西に来てもらい同志社大と大阪芸大短期大学部で話してもらった。学生の問いに真摯に答えつつも、「見ていないものについては言えない」と語る姿に本物のジャーナリストを見た。

 その新田氏のウクライナ取材に同行した遠藤正雄氏はジャーナリストの中のジャーナリストということになるだろう。イラク戦争時に現地で奮闘していた姿を思い出す。現在、68歳。ウクライナ取材は遠藤氏の取材力、人脈、経験値があって可能だったと新田氏は語った。日本にこうした本物のジャーナリストがいることを誇りたい。もちろん、極めて少数ではある。

※コラムへの感想や意見は以下のアドレスへ。
 tateiwa@infact.press

立岩陽一郎
 ■立岩陽一郎 ジャーナリスト

 NPOメディア「InFact」編集長、大阪芸大短期大学部客員教授。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て現職。日刊ゲンダイ本紙コラムを書籍化した「ファクトチェック・ニッポン 安倍政権の7年8カ月を風化させない真実」発売中。毎日放送「よんチャンTV」、フジテレビ「めざまし8」に出演中。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・連載・「ファクトチェック・ニッポン!」】  2022年07月06日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【ファクトチェック・ニッポン!・06.29】:参院選「ファクトチェック」の主要な担い手は大学生 事実確認の取り組みに期待して

2022-07-20 06:07:20 | 【報道=事実に裏打ちされた報道、ファクトチェック(事実検証)・フェイク(偽...

【ファクトチェック・ニッポン!・06.29】:参院選「ファクトチェック」の主要な担い手は大学生 事実確認の取り組みに期待して

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ファクトチェック・ニッポン!・06.29】:参院選「ファクトチェック」の主要な担い手は大学生 事実確認の取り組みに期待して

 小欄のタイトルにもなっているファクトチェックという取り組みを始めたのは2017年。それから5年。少しはこの言葉も浸透してきたかとは思うが、まだ誤解されている面もある。ファクトチェックとは、政治家ら公人の発言やネット上で拡散している情報について事実かどうかを確認する作業だ。こう書けば、「それは理解している」と思う人は多いだろう。

<picture>早稲田大学(C)日刊ゲンダイ</picture>

     早稲田大学(C)日刊ゲンダイ

 しかし、実際にファクトチェックをやってもらうと理解が進んでいないことがわかる。まず、事実とは何か? という神学論争を始める人がいる。例えば、「事実を積み上げても真実は見えない」と言われることもある。だから、ファクトチェックなんて無駄な行為だと。

 ファクトチェックとは、発言を裏付ける根拠の有無を確認することだ。根拠があるのか? なければ事実として確認されていないと判定する。また、政治的な立ち位置から離れて判断することも大事だ。実はこれが理解されない。「ファクトチェックは政権監視のために行うべきだ」という意見をよく耳にする。これは間違いだ。ファクトチェックはあくまで事実の確認でしかない。その結果として政権を監視し批判することは可能だ。しかし、政権批判のためにファクトチェックを行うわけではない。もちろん、野党もファクトチェックの対象だ。

 ■「意見」は対象ではない

 加えて、どのような発言であっても、「意見」はファクトチェックの対象ではない。仮に政治家が「日本は世界で最も美しい国です」と語ったとして、これは意見でしかない。「美しくない点」をあげて、事実ではないと指摘することは可能だが、それはファクトチェックではない。意見はファクトではないからだ。

 ファクトチェックに最初に取り組んだのは2017年の解散総選挙。当時の安倍総理が「(消費税の)2%の引き上げにより、5兆円強の税収となります」と解散の理由を説明。素朴な疑問は、なぜ消費税を2%上げると「5兆円強」の税収となるのか? 研究者や財務省に確認した結果、単純に前の年の消費税額を税率で割って1%あたりの消費税収を2.7兆円と割り出し、それを倍にしただけの数字だった。つまり、消費税を2%引き上げたからといって「5兆円強の税収」とはならない。根拠がないと指摘した。

 その後、統一地方選、参院選、2021年の衆院選でもファクトチェックを行った。前回の衆院選では、ファクトチェックの主要な担い手は大学生だった。関西を拠点とする私のInFactには、同志社大学の学生が参加して与野党の党首らの発言などを対象にして10本のファクトチェック記事を出した。私たちとは別に早稲田大学も参加した。いわば、この選挙はファクトチェックで大学生が主要な役割を担った最初のケースとなった。

 今回の参院選でもInFactの主役は大学生だ。同志社大学に加えて、立命館大学の学生らも参加する。それを私たちファクトチェックの経験を積んだジャーナリストや弁護士がチェックして記事化する。ぜひ、学生の事実確認の取り組みに期待して欲しい。

 ※コラムへの感想や意見は以下のアドレスへ。 tateiwa@infact.press

立岩陽一郎
 ■立岩陽一郎 ジャーナリスト

 NPOメディア「InFact」編集長、大阪芸大短期大学部客員教授。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て現職。日刊ゲンダイ本紙コラムを書籍化した「ファクトチェック・ニッポン 安倍政権の7年8カ月を風化させない真実」発売中。毎日放送「よんチャンTV」、フジテレビ「めざまし8」に出演中。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・連載・「ファクトチェック・ニッポン!」】  2022年06月29日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【ファクトチェック・ニッポン!・06.22】:今回の選挙を「参議院」というものの機能を考える機会にしたい

2022-07-20 06:07:10 | 【報道=事実に裏打ちされた報道、ファクトチェック(事実検証)・フェイク(偽...

【ファクトチェック・ニッポン!・06.22】:今回の選挙を「参議院」というものの機能を考える機会にしたい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ファクトチェック・ニッポン!・06.22】:今回の選挙を「参議院」というものの機能を考える機会にしたい

 7月10日に投開票が行われる参院選挙。ある地域で計画された党首討論が中止となったと耳にした。自民党が参加を拒否したのが理由だという。主催者側の関係者は、「自民党は失点さえなければ勝てると踏んでいるので、盛り上げたくないのでしょう」と話した。

<picture>国会議事堂(C)日刊ゲンダイ</picture>

         国会議事堂(C)日刊ゲンダイ

 昨今の情勢を見ると自民党がそう考えたとしても不思議ではない。仮に、その推測が本当だとして、自民党が悪いのか? そう思わせる我々有権者が悪いのか? 間違いなく後者だろう。

 こうした中で、政府の衆院議員選挙区画定審議会が、1票の格差を2倍未満に収めるための小選挙区の区割り見直し案を勧告した。これによって、東京、神奈川など5都県で10増、宮城、和歌山、山口など10の県で10減となる。

 もともと自民、公明両党が議員提案したものだが、後に減となる県が明らかになると自民党内から激しい反発が出たと報じられている。山口県、和歌山県などは有力議員の地元だけに、わかりやすい反応だ。

 衆議院選挙において1票の格差を2倍未満におさえることは重要だ。有力政治家のために制度があるわけではない。一方で、1票の格差を是正する中で、結果的に地方の衰退を加速させる恐れがあることも否定できない。

 私は、その部分を埋める役割を参議院に持たせるべきだと考えている。現状では、参議院にも1票の格差の是正を求める考え方となっている。最高裁もそれを命じている。本当にそれでいいのか? この点を考え直した方がいいというのが私見だ。

 ■アメリカではどうしてる?

 ここで、別の国の例を見てみたい。100万余が2人を選ぶモンタナ州と約4000万人が2人を選ぶカリフォルニア州。これはアメリカの上院議員のケースだ。その1票の差は数倍などというレベルではない。桁が違う。

 アメリカも下院議員の区割りは国勢調査に基づいて目まぐるしく変わる。日本の衆院に近い下院では有権者の平等が重視されているからだ。しかし制度的に参院に近い上院では、人口の多少にかかわらず各州2人の選出だ。それを見直す動きがあるとは聞かない。民意をストレートに反映させる下院と、大所高所からものを考える上院とで議会を構成するという考えなのだろう。

 日本も、そうした衆参での役割分担を検討してもいいのではないか? 民意を反映させる衆院と民意から距離をおいて日本全体に目を向ける参院という役割分担を明確にしてはどうだろうか?

 今回の選挙を、各党の主張を見るだけでなく、参議院というものの機能を考える機会にしたい。例えば、疑惑を指摘され雲隠れする衆議院議員がいる。もちろん、国会議員の身分は守られねばならないが、例えば、参議院には衆議院議員の身分を剥奪する権限を与えることはあり得るかもしれない。もちろん、その前提として参議院議員は政党の枠組みを超えて日本全体を考える役割を担うといった規定も必要だろう。

 盛り上がりに欠けるとされる今回の選挙。ぜひ、そうした国会のあり方も含めて考える機会にしたい。

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立岩陽一郎
 ■立岩陽一郎 ジャーナリスト

 NPOメディア「InFact」編集長、大阪芸大短期大学部客員教授。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て現職。日刊ゲンダイ本紙コラムを書籍化した「ファクトチェック・ニッポン 安倍政権の7年8カ月を風化させない真実」発売中。毎日放送「よんチャンTV」、フジテレビ「めざまし8」に出演中。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・連載・「ファクトチェック・ニッポン!」】  2022年06月22日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【ファクトチェック・ニッポン!・06.15】:那覇軍港にオスプレイが3機飛来 なし崩し的に米軍の活動範囲が広がっている

2022-06-29 06:31:30 | 【報道=事実に裏打ちされた報道、ファクトチェック(事実検証)・フェイク(偽...

【ファクトチェック・ニッポン!・06.15】:那覇軍港にオスプレイが3機飛来 なし崩し的に米軍の活動範囲が広がっている

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ファクトチェック・ニッポン!・06.15】:那覇軍港にオスプレイが3機飛来 なし崩し的に米軍の活動範囲が広がっている

 6月に入り、再び沖縄に入った。雨天だったが、私には沖縄で欠かせないルーティンがある。那覇軍港周辺のジョギングだ。那覇市の中心部から500メートルと離れていない。周辺を走るコースだ。

<picture>(撮影)筆者</picture>

           (撮影)筆者

 6月7日、その軍港に巨大なコンクリートの壁が出現していた……と思ったら、米軍の輸送船「グアム」だった。共同利用が認められている海上保安庁の大型巡視船が小さく見える。

 周辺に迷彩色の米軍車両が並んでいる。これから積み込まれるのだろう。新たに運び込まれた車両は既に上陸し北部の海兵隊施設に運ばれているはずだ。この軍港にはこうした軍用車両以外にも、米軍関係者のための生活品などが運び込まれる。それらは米軍が契約した民間の大型貨物船で持ち込まれ、米軍施設内の店内で売られる。つまり沖縄の米軍のほか、米軍人の家族を含む関係者の生活を支える拠点が、那覇市の中心部の目と鼻の先に広がっている。

 その「壁」を横目にさらに走っていると、航空機3機が姿を現した。オスプレイ(写真)だ。地元の琉球新報(以下、新報)によると、前日の6日午前に飛来して着陸したという。新報の取材に対して、在沖米海兵隊は「船舶に積み込むため」と説明したというから、「グアム」に積み込むのだろう。

 オスプレイは垂直に離着陸ができる航空機だ。那覇市の中心部をかすめて飛び、軍港の真上で着陸したということか。この飛来を発見したのは新報の幹部だった。本人から、「屋上でたばこを吸っていたらオスプレイが那覇軍港に着陸したので、すぐに編集局に電話をした」との話を聞いた。新報の社屋は那覇市役所の道向かいで、商業施設や役所が集中する中心部だ。そこにオスプレイが飛んできて着陸したのだから、取材経験豊富な元記者が驚いたのも無理はない。

 新報によるとオスプレイの着陸は21年11月にもあり、これが2度目だという。そのたびに米軍は「5.15メモ」に準拠していると説明するという。「5.15メモ」は、沖縄の本土復帰時に米軍施設の使用目的を定めた取り決めだ。そこでは那覇軍港は「港湾施設および貯油所」とされている。新報によると、米海兵隊が当初示していたオスプレイの活動帯には、那覇軍港は含まれていなかったという。なし崩し的に米軍の活動範囲が広がっていると読むべきだ。那覇軍港は沖縄の空の玄関である那覇空港とも近い。那覇市が「市民県民をはじめ多くの観光客などの安全性を脅かすもので到底容認できない」と反発したのは当然だろう。

 私は米軍取材でオスプレイに何度か乗っている。水平飛行から垂直降下に切り替わる時に機体が揺れてヒヤリとしたことがある。事故も起きている。特殊な能力ゆえに危険性が指摘されている。那覇軍港の返還は既に日米間で合意しているが、代替地を求める米軍の要望が足かせとなって実現していない。しかし、沖縄県内には強襲揚陸艦や原子力潜水艦が接岸する米軍港が別にある。米軍の要望よりも優先すべきは、住民の安全なのは言うまでもない。

 ※コラムへの感想や意見は以下のアドレスへ。◎:tateiwa@infact.press

 

立岩陽一郎
 ■立岩陽一郎 ジャーナリスト

 NPOメディア「InFact」編集長、大阪芸大短期大学部客員教授。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て現職。日刊ゲンダイ本紙コラムを書籍化した「ファクトチェック・ニッポン 安倍政権の7年8カ月を風化させない真実」発売中。毎日放送「よんチャンTV」、フジテレビ「めざまし8」に出演中。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITAL 主要ニュース 政治・経済 【政治ニュース・連載・ファクトチェック・ニッポン!】  2022年06月15日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【ファクトチェック】:上場企業社長「必ず1億円をもらう」 細田衆院議長の発言は誤り

2022-06-04 06:00:00 | 【報道=事実に裏打ちされた報道、ファクトチェック(事実検証)・フェイク(偽...

【ファクトチェック】:上場企業社長「必ず1億円をもらう」 細田衆院議長の発言は誤り

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ファクトチェック】:上場企業社長「必ず1億円をもらう」 細田衆院議長の発言は誤り

 細田博之衆院議長が5月10日、東京都内で開かれた自民党議員のパーティーのあいさつで国会議員の定数増を主張した際、上場企業の社長は役員報酬として「必ず1億円をもらう」と発言した。しかし、上場規定などには、社長の報酬を1億円以上とする内容はなく、この発言は誤りだ。細田氏は毎日新聞の指摘を受け、発言を事実上修正した。(ファクトチェックの判定基準)【賀有勇】

ファクトチェック誤り

 細田氏は「いったいいくら歳費をもらっていると思いますか。議長になってもね、毎月もらう歳費は100万円しかない。『しか』と言うと怒られちゃうけどそんなにもらっているのかと言うけど、会社の社長は1億円は必ずもらうんですよ。上場の会社は」と発言した。

衆院本会議に臨む細田博之衆院議長=国会内で2022年4月14日午後1時3分、竹内幹撮影

 この発言が報道されると、直後から疑問の声があがった。毎日新聞の読者窓口「愛読者センター」にも5月12日に「ファクトチェックでこの発言がいかにおかしいか明らかにしてほしい」と要望が寄せられていた。

 株式上場などの総合サービスを行っている日本取引所グループ(JPX)に問い合わせると、新規上場や上場維持のための規定に、社長の報酬を1億円以上と定める内容はないと回答した。

 一方、金融商品取引法は、年間1億円以上の報酬を受け取る上場企業の役員名と報酬額の開示を義務づけている。しかし、「1億円以上の報酬をもらえるのかどうかは各企業の判断」(金融庁)であるため、細田氏の発言のように上場企業の社長が「必ず1億円をもらう」ことを意味しているわけではなかった。

 毎日新聞の指摘を受け、細田氏の事務所は「ことばの弾みで言ってしまった。『1億円もらうこともある』という趣旨だった」と電話で記者に回答し、発言を事実上修正した。

 ※:この記事は有料記事定です。今ならスタンダードプランが、1カ月無料!夏得キャンペーン開催中!。いますぐ登録して続きをお読み下さい。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【ファクトチェック】  2022年06月04日  06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【ファクトチェック・ニッポン!】:批判は自由だが「テレビに出すな」といった意見を封じる風潮には違和感を覚える

2022-05-26 00:55:00 | 【報道=事実に裏打ちされた報道、ファクトチェック(事実検証)・フェイク(偽...

【ファクトチェック・ニッポン!】:批判は自由だが「テレビに出すな」といった意見を封じる風潮には違和感を覚える

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ファクトチェック・ニッポン!】:批判は自由だが「テレビに出すな」といった意見を封じる風潮には違和感を覚える

 引き続きロシア軍のウクライナ侵攻を取り上げる。戦争を終わらせるためにNATOにロシアとの折衝を求めた橋下徹氏の発言に批判が出ているようだ。「テレビに出すな」という意見も散見される。批判は自由だが、「テレビに出すな」といった発言には違和感を覚える。

橋下徹氏(C)日刊ゲンダイ

        橋下徹氏(C)日刊ゲンダイ

 小欄は、意見を封じる考えにくみすることなく、分析に努めたい。3月11日の「めざまし8」でプーチン露大統領の発言を注視する試みを行った。発言では、NATOの拡大への危機感が強調されていた。それが本音かどうかはわからないが、少なくとも橋下氏の発言に根拠があるともいえる。冷静な議論が求められる。

 今回もバイデン米大統領の発言を注視する。今回は3月8日(現地時間)に行われた会見の内容を見る。その内容は日本でも報じられているが、全てが報じられているわけではない。この日バイデン氏は、「ウクライナ軍に10億ドル以上の支援をしてきた。アメリカからは武器が毎日到着している」と言及。その上で、「(NATOの)同盟国からの武器の受け渡しもアメリカが采配している」と語っている。

 バイデン氏は、2月15日の演説で「(装備に加えて)我々はウクライナ軍に対して訓練、アドバイス、情報を与えてきた」とも話している。これは過去形で語られていない。これを現在も行われていると解釈するか否か疑問だったが、3月8日の発言で確証を得た気がする。

 つまり、こういうことだろう。米軍はウクライナで直接の戦闘には従事はしていない。しかし、ウクライナに既に米軍が存在し、現在もウクライナ軍を側面から支援している。それは推測するに、軍事顧問団といった比較的規模の小さな部隊での派遣だろう。

 米軍が軍事顧問団を紛争地に派遣することはよくある。戦闘に直接参加することはないが、現地の軍隊の訓練、戦術のアドバイスなどを行う。特殊部隊として知られるグリーンベレーの役割の一つがそれだった。もちろん、公式にアメリカ政府がその事実を認めないケースが多い。

 アメリカの報道によれば、米軍の支援はさらに強化される方向だ。米欧州軍司令官を務めた退役将軍がCNNで、ウクライナの防空レーダーシステムは米軍が与えたもので、それがロシア軍の制空権支配を困難なものにしていると指摘していた。機雷の設置で黒海でのロシアの海軍力に打撃を与える可能性にも言及していた。

 こうした米軍の動きを踏まえてのことだろうが、ロシア軍で生物化学兵器の使用が検討されているとの報道もアメリカで出始めている。これに対してバイデン氏は、仮に使用されれば「ロシアは大きな代償を払う」と明言。事態は、米ロの事実上の衝突が当事者間で意識され始めている。

 バイデン氏の議会での一般教書演説から、アメリカはプーチン政権の転覆に向けてかじを切ったと読める。しかし先は見通せない。大事なのはさまざまな状況を想定しての分析だ。橋下氏の指摘も含めて、さまざまな選択肢を検討することが重要だ。意見を封じるような風潮は決して良い結果を生まない。 

立岩陽一郎
著者のコラム一覧
 ■立岩陽一郎 ジャーナリスト

 ジャーナリスト。91年、一橋大学卒業後、NHK入局。テヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て退職。現在は調査報道とファクトチェックを専門とするNPOメディアInFact編集長。同コラムを書籍化した「ファクトチェック・ニッポン 安倍政権の7年8カ月を風化させない真実」発売中。毎日放送「よんチャンTV」、フジテレビ「めざまし8」出演中。

 元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース】  2022年03月16日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【新刊紹介】:日本のタブー 3.0 (宝島社新書)

2022-02-07 23:56:50 | 【報道=事実に裏打ちされた報道、ファクトチェック(事実検証)・フェイク(偽...

【新刊紹介】:日本のタブー 3.0 (宝島社新書) 

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【新刊紹介】:日本のタブー 3.0 (宝島社新書) 

 山口組分裂・最終章、工藤會総裁の死刑判決、内閣情報調査室、太陽光発電利権、脱炭素社会の罠、入管の闇、カジノ利権、官房機密費――大手メディアがコモディティ化するなか報道されないタブーが増殖。

日本のタブー 3.0 (宝島社新書)

 新時代の日本の聖域をテーマに豪華執筆陣が独自取材。大手メディアが絶対に報道しない日本のシン・タブーを明らかにする――。 

 
 公開日:2022年01月08日
 
価格: ¥972(税込)
 
 ■この作品のあらすじ・みどころ

 強まる付度と加速する自主規制―。「報道しない自由」という安全地帯に逃げ込んだ既存メディアはレームダック化し、国民が知るべきこと、知りたいことへの視点は完全に放置された状態である。太陽光発電、カジノ、経済安全保障をめぐる怪しい利権構造、コロナワクチンと製薬マネーの実態、政権による流用疑惑がささやかれる官房機密費、入管庁で行われていた非人道的蛮行…。新時代の「聖域」に斬り込む16の深層リポート!

 元稿:宝島社 主要出版物 【宝島社新書】 2022年01月08日 08:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【新刊紹介】:安倍官邸vs.NHK  ■森友事件をスクープした私が辞めた理由

2021-12-26 06:41:00 | 【報道=事実に裏打ちされた報道、ファクトチェック(事実検証)・フェイク(偽...

【新刊紹介】:「文藝春秋BOOKS」安倍官邸vs.NHK  ■森友事件をスクープした私が辞めた理由 相澤冬樹著

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【新刊紹介】:「文藝春秋BOOKS」安倍官邸vs.NHK  ■森友事件をスクープした私が辞めた理由 相澤冬樹著

 【内容】

 なぜ放送されないんだ!

 政権を揺るがす「森友事件」の報道の最前線で活躍したNHKのエース記者が突如退職した。何があったのか?

 著者は「森友事件」の発覚当初から事件を追い続けたNHK大阪放送局の司法担当キャップだった。次々に特ダネをつかむも、書いた原稿は「安倍官邸とのつながり」を薄めるように書き換えられていく。NHKでも検察でも東京vs.大阪のせめぎ合いが続く中、ついに著者は記者職からの異動を命じられた。記者であり続けるために職を辞した著者が、事件の核心、取材の裏側、そして歪められる報道の現在を赤裸々に明かす、渾身のノンフィクション。

 【目次】

 はじめに
 第 1章 森友報道は「忖度」で始まった
 第 2章 一転して大報道合戦~小学校認可の行方~
 第 3章 クロ現製作ですったもんだ~けんかの末に仲間に~
 第 4章 注目を集めた籠池理事長夫妻の人物像
 第 5章 国有地問題から補助金詐欺へ~焦点を移す検察の捜査~
 第 6章 背任の実態に迫る特ダネに報道局長激怒
 第 7章 籠池前理事長逮捕の舞台裏
 第 8章 取材体制変更で担当を外された私
 第 9章 森友事件追及弁護団(仮称・阪口弁護団)の活躍
 第10章  近畿財務局職員の自殺が残した謎
 第11章 「口裏合わせ」の特ダネに圧力再び~プロの記者はこうして取材する~
 第12章  強者記者列伝~5本の指に入る記者+と、もう一人の優れもの記者~
 第13章  個性豊かな検事たちとの愉快なやり取り
 第14章  急転直下の検察捜査、財務省は全員不起訴 ~そして私は記者を外された~
 終  章  NHKから大阪日日新聞へ~森友事件の取材は続く~
 あとがき

 価格:税込 1620円

 ◆著者紹介

 相澤 冬樹 (アイザワ フユキ)  大阪日日新聞(新日本海新聞社)論説委員・記者。
1962年宮崎県生まれ。ラ・サール高校、東京大学法学部卒業。1987年NHKに記者職で入局。山口放送局、神戸放送局、東京報道局社会部記者、徳島放送局ニュースデスク、大阪放送局(大阪府警キャップ)、BSニュース制作担当などを経て、2012年大阪放送局に戻り、2016年司法キャップとなる。2018年8月NHKを退職し、同9月から大阪日日新聞へ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

 文藝春秋社 主要出版物 【教養・ノンフィクション】 2018年12月13日 09:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【報道】:森友スクープの元記者激白「安倍官邸vs.NHK」に込めた覚悟

2021-12-26 06:40:50 | 【報道=事実に裏打ちされた報道、ファクトチェック(事実検証)・フェイク(偽...

【報道】:森友スクープの元記者激白「安倍官邸vs.NHK」に込めた覚悟

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【報道】:森友スクープの元記者激白「安倍官邸vs.NHK」に込めた覚悟

 日刊ゲンダイは今夏、NHKで森友事件のスクープを連発した記者が左遷され、退社したことを報じてきた。その当事者である相澤冬樹氏(現大阪日日新聞論説委員・記者)が13日、「安倍官邸vs.NHK」(文藝春秋)を上梓。NHKでの森友報道への圧力や社内攻防などが実名入りで生々しく記されている。

相澤冬樹氏(C)日刊ゲンダイ

           相澤冬樹氏(C)日刊ゲンダイ

                            ◇  ◇  ◇

 テレビニュースというのは事実を報道するものだと、かつて視聴者は黙っていても納得してくれました。しかし、最近は疑念を持たれている。NHKという組織を離れた立場なら舞台裏を書けると思い、プロ記者の取材への信用を取り戻すためにも、覚悟の上で踏み込んで書こうと決めました。

 NHKで森友学園に関して報じてきた1年半の間、過去に体験したことのないことが多々起きました。財務省がおかしなことをやっているというニュースを出そうとするとさまざまな圧力が掛かった。なぜそんな判断になるのか。安倍官邸の関与は、はっきりとは分かりませんが、何かがなければそんな判断にはなりません。

 ■最近のNHKは政治と「折り合う」ではなく「べったり寄り添う」

 森友報道では、学園と昭恵夫人の関係についての部分が原稿から削除された。「国有地の売却前に近畿財務局が学園側に支払える上限額を聞き出していた」「財務省が学園に『トラック何千台ものゴミを搬出した』という口裏合わせを求めていた」という特ダネも、なかなか放送させてもらえなかった。特ダネ放送後に、NHK報道部門トップの小池英夫報道局長が大阪放送局の報道部長に叱責電話を掛けてきたこともあったという。

 NHKが政治と「折り合う」必要があるのは放送法に縛られている以上ある程度は仕方がない。しかし、最近は折り合うではなく「べったり寄り添う」になってしまっていて、やり過ぎです。なぜそれが起きているのかということです。国民の信頼を失いますよね。視聴者の信頼を失ったら公共放送は成立しません。

 日刊ゲンダイで報じたように、考査部への異動の裏に官邸への忖度はあったのか。

 異動の内々示があった時は、大阪地検特捜部の捜査が継続中でした。その真っただ中に担当記者を代えるという判断は不自然で不可解。そのうえ内々示も異例でした。大阪の副局長まで同席し、わざわざ「これからは考査の仕事に専念してもらう」と言われたのです。「もう報道には手を出すな」という組織の意思表示だと感じました。そこまでして私に記者をさせたくないというのは、つまり、私に森友報道をさせたくないのだと受け止めました。

 9月に大阪日日新聞へ移籍。森友報道は今後も継続していく決意だ。

 みんなすぐに真相を求めたがりますが、当事者が話さない限り分からない。時間が必要なんです。私は、記者はしつこさが大事だと思っています。長い時間をかけて、しつこく取材するつもりです。森友事件では犠牲者が1人出ている。その重みを感じつつ、まずは、なぜ彼が死に追いやられたのか、という背景を明らかにしたい。
(取材・文=小塚かおる/日刊ゲンダイ)

 元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース 政治・経済 【政治ニュース】  2018年12月20日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【NHK】:“左遷”の森友スクープ記者「記者続けたい」と退職へ

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【NHK】:“左遷”の森友スクープ記者「記者続けたい」と退職へ

 『漂流日本の羅針盤』:【NHK】:“左遷”の森友スクープ記者「記者続けたい」と退職へ

 NHK森友問題に関するスクープ連発していたA記者が、考査部門に“左遷”されたことを、日刊ゲンダイが今年5月に報じたが、そのA記者が8月末でNHKを辞めることが分かった。

NHK(C)日刊ゲンダイ

          NHK(C)日刊ゲンダイ

 A記者は、NHK大阪放送局考査部相澤冬樹副部長(55)。本人のフェイスブックによれば、8月31日にNHKを退職し、9月1日からは、新日本海新聞社の傘下の「大阪日日新聞」で記者として働くそうだ。フェイスブックには、<この仕事(記者)を愛し、誇りを持ち、これからも記者を続けたい、その一心で今回の転職を決めました>とある。

 相澤氏に確認すると、NHKを退社することを認めたうえで、こう言った。

 「フェイスブックに書いたように、記者をやりたいという思いが強く、NHKでは二度と記者に戻れないと状況的に考えて退職を決意しました。これまで外部の取材には応対してきませんでしたが、辞めることはもう確定していますし、個人的なことなのでお伝えしても問題ないかと思います」

 NHKは、先日の安倍首相の鹿児島での出馬表明の生中継といい、ますます「アベ様のNHK」と化している。森友関連のスクープも、もう出てこないのだろうか……。

 元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース 政治・経済 【政治ニュース】  2018年08月30日  15:25:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

 

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