路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【社説・12.14】:【補正予算案通過】熟議で国会の存在示せ

2024-12-16 05:05:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説・12.14】:【補正予算案通過】熟議で国会の存在示せ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.14】:【補正予算案通過】熟議で国会の存在示せ

 少数与党政権はひとまず最初の難関を越した。しかし、「政治とカネ」問題など課題は山積する。真剣に向き合わなければ信頼の回復はおぼつかない。

 2024年度補正予算案は衆院を通過し、参院で論戦に入った。近く成立する見通しとなった。

 自民、公明両党に加え、日本維新の会と国民民主党などが賛成した。維新と教育無償化の実務者協議開始を申し合わせ、賛成を取り付けた。国民とは所得税が生じる「年収103万円の壁」を巡り、25年からの引き上げで合意して協力を得た。

 また、立憲民主党が求めた能登半島地震の被災地復興関連予算の増額に応じた。予算案が修正されるのは28年ぶりで、異例の対応に対立回避の姿勢が見て取れる。
 ただ、年収の壁引き上げは国民が主張する178万円を目指すとするが、具体的な方法や幅は決まっていない。ガソリン税に上乗せされている暫定税率の廃止でも一致したものの、その時期は未定だ。
 石破茂首相は、熟議の上で多くの党の賛成を得たと強調する。強硬姿勢を崩さない野党に譲歩を迫られたというのが実態だろう。
 税制改正が絡み、年収の壁の引き上げは詳細を先送りした。一方で、税収減少による地方財政への影響を懸念する意見が根強い。穴埋めの財源を含めた丁寧な制度設計が求められる。甘い対応では政権への圧力として跳ね返ることになる。
 補正予算案の歳入は、約半分を国債発行で賄う。国債に依存する構造が続き、財政悪化に歯止めがかからない状況だ。内閣府は基礎的財政収支(プライマリーバランス)が25年度に黒字化すると試算するが、懐疑的な見方も多い。
 基金の積み増しなど緊急性が低い支出が補正予算案に含まれるとして、野党側は削減を主張した。審議時間が限られる補正予算案への巨額計上はこれまでも問題視されてきた。過半数の獲得を狙う与党と政策実現を目指す野党との駆け引きがあるとはいえ、政策の必要性は十分審議が深まったようには見えない。
 裏金事件を受けた政治改革関連法案は各党の姿勢が異なる。自民案は使途公開が不要な政策活動費を廃止する一方、使途を非公開にできる方策を示していた。国会に設置する第三者機関の監査で支出の透明性は確保できるとするが、野党の批判は根強い。
 第三者機関を国会に設置する内容の法案は公明と国民も共同提出した。立民案は寄付と政治資金パーティー券購入禁止から政治団体を除外し、野党内にも反発がある。
 首相は、必要な法整備を含め年内に結論を示す必要があるとする。合意形成には距離があり、修正協議で一致点を見いだせるかが焦点だ。

 来年の通常国会は25年度予算案を審議し、参院選も控える。野党が引き続き攻勢を強めるのは必至だ。国会軽視が改まり、議論が深まることは歓迎される。熟議に向けて野党の責任もまた重い。

 元稿:高知新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月14日  05:00:00  これは参考資料です。転載等は各自で判断下さい。

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【主張①・12.13】:政治改革審議入り 臨時国会で成立を確実に 企業団体献金の禁止は早計だ

2024-12-15 05:03:25 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【主張①・12.13】:政治改革審議入り 臨時国会で成立を確実に 企業団体献金の禁止は早計だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張①・12.13】:政治改革審議入り 臨時国会で成立を確実に 企業団体献金の禁止は早計だ

 政治資金規正法の再改正などに向け、衆院政治改革特別委員会で実質審議が始まった。

 自民党や立憲民主党など与野党各党が国会に提出した法案は9本に上り、いずれも提出会派だけでは過半数に届かない。

 パーティー収入不記載事件の再発防止や政治資金の透明性向上のため、与野党は修正協議で合意を形成してほしい。

衆院政治改革に関する特別委員会で答弁する自民党の小泉進次郎理事(春名中撮影)

 重要なのは実効性のある改革を早期に実施することである。政策の円滑な遂行には、政治への信頼回復が不可欠だ。現在開会中の臨時国会で、必ず成立させなければならない。

 ◆立民案は説得力を欠く

 野党の多くが企業・団体献金の禁止を求めている。現状の規制では政治家個人への献金は禁じているが、政治家が代表を務める政党支部に対しては認めている。

 自民は「企業献金が悪で個人献金が善だという立場は取らない」として、容認する方針に変わりはない。これに対し、立民案は企業献金を禁止する一方で、政治団体による献金は認めている。

 このため、日本維新の会や国民民主党は「抜け穴がある」として法案の共同提出に加わらなかった。

 立民は、支持団体の労働組合がつくる政治団体からの献金は受け続けたいのだろう。企業・団体献金に関し「腐敗や癒着構造の温床となり、政策決定を歪(ゆが)める」と主張する一方で、政治団体の献金を認めるのは説得力を欠く。

 そもそも企業も業界団体なども社会の構成員で、政治活動の自由は認められるべきだ。

 個人献金が定着していない日本で企業・団体献金を禁じれば、世襲ではない人や、業界団体、宗教団体など大きな組織を背景に持たない人にとって、選挙活動が不利になる弊害が出てくる。企業・団体の幹部が個人として献金する抜け道を閉ざすことも難しい。税金が原資の政党助成金の積み増しは、国民の理解を得られまい。

 企業・団体献金を早計に禁止すれば、普通の国民が国政を目指すことが困難になり、議会制民主主義が後退しかねない。法改正にあたっては、そうした深刻な事態も考えておきたい。この点を、自民ははっきり訴えるべきである。

 規正法は「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにする」と定めている。企業・団体献金を禁じるよりも、透明性を高め、政治資金の流れを国民の監視下に置くことが本来あるべき姿だ。

 ほかにも論点はある。政党から国会議員に支出される、使途の公開が不要な政策活動費についてである。

 自民案は廃止とし、同時に支出先などを例外的に非公開にできる「公開方法工夫支出」を設けるとした。外交上の秘密や企業の営業秘密に関するものを想定している。第三者機関を設置し、監査することで正当性を担保するという。

 ◆対象幅広く監査実施を

 立民は自民案を「新たなブラックボックスを生む」と批判し、維新や国民民主、共産党などと政策活動費を完全に廃止する法案を共同提出した。 

 公開することで国益が害されることが懸念される議員外交まで否定するのか。例えば台湾の要人が来日し、日本政府の関係者が面会できない場合、政党が果たす役割は大きい。

 第三者機関をめぐっては、自民案が監査対象を公開方法工夫支出に限定しているのに対し、国民民主と公明党が共同提出した案は、国会議員の政治団体に広げている。この案のように幅広く政治団体を監査対象とし、調査権限を十分に与えた組織にすることが肝要ではないか。

 外国人と外国法人のパーティー券購入禁止は自民も立民も盛り込んでいる。国政が外国勢力からの影響を防ぐために禁止は欠かせない。これは日本の主権を守ることにほかならない。

 パーティー券の代金はパーティーへの参加の対価という位置づけだが、実際は政治活動への事実上の経済支援となっている。外国人、外国法人の政治献金が禁じられている一方で、パーティー券購入は認められているのはおかしい。パーティー券購入に、外国人への参政権付与などの政治的動機があっても不思議ではない。

 ただ、両党の案には違いがある。立民案には罰則を設けているのに対し、自民案にはそれがない。罰則を設けて実効性を持たせるべきだ。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年12月13日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・12.14】:政治改革論議 接点を探り法改正につなげよ

2024-12-14 05:00:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説①・12.14】:政治改革論議 接点を探り法改正につなげよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.14】:政治改革論議 接点を探り法改正につなげよ

 政治改革について、各党が全ての項目で合意するのは難しいとしても、対立点を強調するだけで改革が何ら進まない事態は避けねばならない。 

 少なくとも一致できる部分は今国会で法改正を実現すべきだ。

 衆院で政治改革の議論が本格化している。与野党が提出した政治資金規正法改正案などの関連法案は、9本にも上る。政治資金の監視を行う第三者機関の設置など、共通点も少なくない。

 だが、委員会審議では各党が自らの主張を述べ合うことに終始しており、このままでは収拾がつかなくなる恐れがある。来年の通常国会に、政治資金改革を進展のないまま持ち越したら、政策課題の議論が停滞しかねない。

 焦点となっているのは、企業・団体献金の禁止の是非だ。

 立憲民主党は禁止法案を提出し、自民党に受け入れを迫っているが、自民は「個人献金が善で企業・団体献金が悪、という立場はとらない」と反論している。

 立民は、税金を原資とする政党交付金の創設を決めた30年前、自民も企業・団体献金の禁止を約束したはずだ、と主張している。当時野党の河野洋平自民党総裁が近年、衆院の聞き取り調査でそう述べていることなどが根拠だ。

 しかし、当時の改革の根底には、健全な政治活動を支えるうえでは企業・団体献金と個人献金、政党交付金の三つの資金源をバランス良く組み合わせることが望ましい、という考え方があった。

 実際、当時改正された規正法の付則には、施行後の状況を踏まえ「5年後に見直しを行う」とあり、企業・団体献金の上限額などの見直しを示唆しているだけだ。

 立民は、企業・団体献金が政治を 歪 ゆが めているという。だが、それを禁じた場合、政党が大口の個人献金者に依存する事態もありうる。政党が過度に政党交付金に依存するのも適切とはいえまい。

 政党が党幹部らに支給している政策活動費の廃止も、 概 おおむ ね一致している。自民は、廃止する代わりに、個人名を公表しなくても済む新たな支出の枠組みを設けるよう求めている。ただ、政策活動費との違いはわかりにくい。

 自民内では、立民など野党の案をベースとして、自民の主張を付則に加える案も浮上している。

 残り少ない会期内で決着を図ることができなければ、政策活動費の原則廃止や第三者機関の設置などに限って今国会で法制化し、その後、改めて与野党で協議を続ける方法もあるのではないか。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月14日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・12.13》:補正予算で与野党合意 数合わせ超える政策論を

2024-12-14 02:01:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

《社説①・12.13》:補正予算で与野党合意 数合わせ超える政策論を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.13》:補正予算で与野党合意 数合わせ超える政策論を

 国会での数合わせに終始することがあってはならない。

 石破茂政権の発足後初となる総額14兆円の補正予算案が、衆院を通過した。野党の主張を一部受け入れるのと引き換えに、過半数の賛成を得て可決にこぎつけた。

会談し合意書を取り交わす(左から)国民民主党の榛葉賀津也幹事長、自民党の森山裕幹事長、公明党の西田実仁幹事長=国会内で2024年12月11日午後4時17分、平田明浩撮影

 第2次安倍晋三内閣以降、「自民1強」の数の力に任せ、異論に耳を貸さない国会運営が目立っていた。だが、衆院選で惨敗した自民、公明両党は少数与党となり、野党との対話抜きには政権を存続できない状態だ。 

 与野党が真摯(しんし)に議論し、異なる意見にも配慮しながら合意形成を図る。それが議会政治のあるべき姿である。

<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2024/12/13/20241213ddm005070123000p/9.webp?1" type="image/webp" />衆院本会議で2024年度補正予算案が可決され一礼する石破茂首相(右端)ら=国会内で2024年12月12日午後5時29分、平田明浩撮影</picture>
衆院本会議で2024年度補正予算案が可決され一礼する石破茂首相(右端)ら=国会内で2024年12月12日午後5時29分、平田明浩撮影

 今回の与野党合意はそれに向けての第一歩だったが、政策論議が深まったとは言えない。自公が予算成立を最優先し、野党も目先の成果に固執したためだ。

 所得税がかかり始める「年収103万円の壁」を巡っては、「178万円を目指して来年から引き上げる」ことで、自公と国民民主党が合意した。

 物価高を考慮した年収の壁の引き上げは必要だが、最大7兆~8兆円の税収減につながる。政府や自治体の財政を一層悪化させかねない。

 ところが、決着を急いだ自公国3党は、そうした懸念に対する説明を果たしていない。互いに都合良く解釈できるよう、具体的な上げ方などを曖昧にし、財源問題は先送りされた。無責任な姿勢だと言わざるを得ない。

 同時に自公は、野党第1党の立憲民主党の要求にも応じる「両てんびん」の戦略を取った。能登半島地震の復旧・復興費として、補正予算案に1000億円を上積みした。予算案の修正は28年ぶりとなる異例の対応だ。

 一方で、緊急性がないとして立憲が求めた基金の減額要求には応じなかった。「規模ありき」の問題が国会で精査されないまま、立憲も予算案採決を容認した。

 妥当性を吟味せずに巨額の財政出動を繰り返せば、国の借金が歯止めなく膨らみ、将来世代にツケを回すことになる。

 安易に妥協を重ねるようでは、国民本位の政治とは言えない。「熟議の国会」を通じた政策の実現を追求すべきだ。

 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月13日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《余録・12.13》:能の演目にもなった源頼政のヌエ退治…

2024-12-14 02:01:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

《余録・12.13》:能の演目にもなった源頼政のヌエ退治…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《余録・12.13》:能の演目にもなった源頼政のヌエ退治…

 能の演目にもなった源頼政のヌエ退治。頭はサル、胴はタヌキ、尾はヘビ、脚はトラというキメラのような妖怪を射止めた。出典の平家物語にはその後、やはりヌエの名の怪鳥を退治した話も出てくる

迫力ある立ち居振る舞いで「鵺(ヌエ)」を演じる十世片山九郎右衛門=岐阜市の市民会館で

 ▲「目ざすとも知らぬやみ」に包まれた夜、見事に仕留めた。目を刺されてもわからない闇夜とも、目当ても見つからない暗闇とも解釈される。古くは「目ざす」単独よりも「目ざすとも知らぬ」の形で使われることが多かったという

 ▲こちらは無論「知らぬ」とのセットではあるまい。自民、公明、国民民主の3党幹事長が所得税の「年収103万円の壁」について「178万円を目指して来年から引き上げる」と明記した文書に署名した

衆院予算委員会で2024年度補正予算案が可決し、立憲民主党の山井和則野党筆頭理事(左端)に声をかける石破茂首相(右手前から2人目)。右手前は加藤勝信財務相=国会内で2024年12月12日午後0時48分、平田明浩撮影

 ▲今では目標の意味が定着した「目指す」だが、ニュアンスは微妙。新明解国語辞典には(1)最初からそのものだけを目あてとする(2)「志向する」意の和語的表現――とある。国民民主が(1)と考えても自民は(2)が本音かもしれない

 ▲少数与党下の国会で自民が立憲民主党の修正要求も受け入れて補正予算案が衆院を通過した。自民1強時代には見られなかった政治状況だ。水面下の取引もあるのだろう。だが数合わせや政治的打算だけが先行するのでは熟議と程遠い

 ▲主張が一定せず、とらえどころがない政党や政治家は正体不明のヌエに例えられてきた。そんなヌエ的存在ばかりが増えても困る。国民に顔を向けた政策論議を重ね、互いに相手の主張に耳を傾けて妥協点を探る、伯仲してこその国会を見たい。

 元稿:毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】  2024年12月13日  02:06:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・12.11》:政治改革特別委 国民が納得する改正こそ

2024-12-11 09:31:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

《社説①・12.11》:政治改革特別委 国民が納得する改正こそ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.11》:政治改革特別委 国民が納得する改正こそ 

 互いの主張に耳を傾け、熟議して最適な案を練り上げるべきだ。

 自民党の派閥パーティー裏金事件を受け、政治改革法案を議論する衆院の政治改革特別委員会の議論が本格化した。

 論点は数多い。まず、党から幹部らに支給し、使途公開が不要な政策活動費の扱いだ。野党7党が提出した案は廃止で一致する。それに対し、自民案は廃止を打ち出した一方で、使途を非公開にできる「公開方法工夫支出」を新設する内容だ。

 政党との取引を知られたくない企業や、台湾外交に関する支出などへの配慮を想定。非公開が正当かどうか監査する第三者機関を、国会に設置するとしている。

 政活費は、自民の二階俊博元幹事長が在任中の5年間に計約50億円を受領し、不透明な政治を招いたと問題になった。非公開の余地を残す資金の新設に理解が得られるのか。立憲民主党の野田佳彦代表は「新たなブラックボックスだ」と批判を強めている。

 非公開の必要があるのか、徹底した議論が要る。

 もう一つの論点は、企業・団体献金の是非だ。立民が社民党などと共同で提出した法案は、会社・労働組合などによる寄付と政治資金パーティー券購入の禁止を明示した。政策決定をゆがめ、「腐敗の温床」になるとの理由だ。

 これに対し、自民は「禁止するべきではない」と強調。石破茂首相はきのうの衆院予算委員会でも、企業・団体献金の禁止は「憲法21条が定める表現の自由に抵触する」と述べている。

 ただし、首相は5日の衆院予算委で「企業は見返りを期待している」ことはある程度認めている。公開性を高めるだけで、政財界の癒着や、政策のゆがみにつながるとの疑念を払拭するのは簡単ではないだろう。

 一方で野党の足並みもそろっていない。立民案は禁止対象から政治団体を除いており、国民民主党や日本維新の会が「抜け道になる」と指摘して、共同提出に加わらなかった。

 野田代表は「個人の意思でつくった政治団体の寄付は禁止できない」とするものの、不透明さは残る。国民民主や維新は立民案を批判するだけでなく、野党が一致する方向に法案を修正できないか、協議を続けるべきだ。

 各党の溝がうまらないなら、21日の会期末に執着する必要はないだろう。閉会中審査や通常国会でも議論を深め、国民が納得できる法改正につなげる必要がある。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月11日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【自民の坂本哲志国対委員長】:衆院政倫審への世耕弘成氏の出席認識めぐり迷走

2024-12-10 17:09:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【自民の坂本哲志国対委員長】:衆院政倫審への世耕弘成氏の出席認識めぐり迷走

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【自民の坂本哲志国対委員長】:衆院政倫審への世耕弘成氏の出席認識めぐり迷走

 自民党の派閥パーティー収入不記載事件を受け、党として衆院政治倫理審査会(政倫審)への出席を促す対象議員について、自民幹部の発言が迷走する一幕があった。自民の坂本哲志国対委員長が10日、当初は衆院にくら替えした旧安倍派の世耕弘成前参院幹事長も含まれるとの認識を示したが、数時間後に撤回。世耕氏は参院議員時代の今年3月に参院政倫審に出席していた。

自民党の森山裕幹事長。右は坂本哲志国対委員長(春名中撮影)

 坂本氏は同日午前、国会内で記者団にこれまで衆院政倫審に出席していなかった議員らに出席を促す意向を重ねて表明した上で、「国会の状況を対象の15人あるいは16人の方に説明したい」と言及。野党側が出席を求めていたのは萩生田光一元政調会長ら15人で、世耕氏は含まれていなかったにもかかわらず、坂本氏は世耕氏も対象に含める可能性があると示唆した。

 だが、この発言について自民の森山裕幹事長が記者会見で「(世耕氏は)参院での政倫審に出席しており、再度、衆院から出るかどうかは本人の判断による」と説明。これを受けて坂本氏も同日午後に再び国会内で記者団に対し、世耕氏が今年3月に参院の政倫審に出席していたことを理由に「出席を促す予定はなく、出席は本人の判断によると認識している」と自身の発言を訂正した。

 元稿:産経新聞社 主要ニュース 政治 【政局・自民党・国会・衆院政治倫理審査会(政倫審)】  2024年12月10日  17:09:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・12.04】:「政治は何をしていたのか」海江田万里の言葉

2024-12-09 07:40:20 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【政界地獄耳・12.04】:「政治は何をしていたのか」海江田万里の言葉

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・12.04】:「政治は何をしていたのか」海江田万里の言葉

 ★2日の衆院本会議の冒頭、立憲民主党前衆院副議長・海江田万里の永年勤続表彰があり、謝辞に本会議場に立った海江田は「初当選した第40回選挙では細川政権の誕生により、いわゆる『55年体制』が崩壊し、『政治改革』が叫ばれ『政治とカネ』の問題を解決するため、小選挙区比例代表並立制の選挙制度が導入されました。しかし、それから31年が経過して、再び国会で『政治とカネ』の問題が取り上げられ、『政治改革』が大きなテーマになっていることに対し、この間、政治は何をしていたのか、私自身、内心じくじたる思いがします」と語った。

野田佳彦 馬淵澄夫 海江田万里 野田国義 吉田はるみ 安定的な皇位継承に関する検討委員会 

 ★海江田は日本新党出身。初当選が細川政権でいきなり与党になる。当時の同党初当選組は追加公認を含め38人。現職の国会議員を並べても自民党元総務会長・遠藤利明、前幹事長・茂木敏充、元金融相・伊藤達也、元防衛政務官・山田宏、元環境副大臣・中田宏、立憲民主党元首相・野田佳彦、元官房長官・枝野幸男、参院副議長・長浜博行、日本維新の会共同代表・前原誠司、日本保守党共同代表・河村たかし、細川護熙・小池百合子が第40回衆議院議員総選挙立候補で参議院議員を退職。繰り上げ当選した国民民主党・円より子も14年ぶりに返り咲き、11人が国会にいる。また愛媛県知事・中村時広、都知事・小池は衆院から転身している。

 ★日本新党は中道保守。細川連立政権は非自民・非共産の枠組みで政権を担ったが、同党解散後、そうそうたる政界の役職を担う人材として、それぞれの立場で各党に君臨している。彼らの30年は政治改革の歴史でもある。自民党・社会党で構成される「保革」の二項対立といわれた55年体制を壊し、93年の政界再編と自民党分裂から生まれた細川連立政権、いわゆる93年体制を与党議員として体現した日本新党の残党たちは、この政治の現実をどう見るか、どう切り抜けるのか、どう知恵を絞れるか。最後の仕事をする時期に来たのではないか。(K)※敬称略

 政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2024年12月04日  07:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張②・12.07】:佐藤議員への脅迫 背景にテロの容認がある

2024-12-08 05:03:35 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【主張②・12.07】:佐藤議員への脅迫 背景にテロの容認がある

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張②・12.07】:佐藤議員への脅迫 背景にテロの容認がある 

 テロリズムの容認やネット上の中傷の蔓延(まんえん)が、新たな事件を誘発している。テロや中傷は徹底的に憎み、社会から排す努力を続けなくてはならない。

自民党の佐藤正久議員

 自民党の佐藤正久参院議員に令和4年7月27日ごろ、「安倍晋三を斃(たお)すことができました」「今度はあなたの番です」などと記した手紙を送りつけたとして、警視庁は脅迫の疑いで、北海道立高校教諭の男を逮捕した。

 安倍元首相は同月8日、山上徹也被告に殺害されていた。

 男は山上被告を「わが教祖」と記し、調べには「佐藤議員の言動が日本国憲法や基本的人権をないがしろにしていると立腹していた」などと容疑を認めているという。

 安倍氏銃撃事件では、その直後から旧統一教会に家庭を破綻させられた被告の成育環境に同情する声があり、「犯行はテロではなかった」とする間違った言説がメディアでも横行した。ネット上では被告を礼賛する書き込みもあふれた。

 佐藤議員への脅迫は、こうしたテロの肯定や賛美という誤った言説に影響を受けた可能性が高い。安倍氏銃撃は、政治的宗教的主張を暴力に訴えた、明白なテロ事件である。

 テロ対処の要諦は、テロリストの主張に耳を傾けないことである。この点で安倍氏銃撃事件への社会の反応には大きな瑕疵(かし)があった。

 実際に事件は昨年、岸田文雄首相(当時)への爆弾テロ事件も誘発した。

 一方で東京・池袋の乗用車暴走事故をめぐり、妻子を亡くした遺族男性を名指しして「殺してあげようか」などのメールを約10通送信したとして、警視庁は横浜市の中学3年の少女を、脅迫と威力業務妨害の疑いで書類送検した。少女は直後に「ひどい発言をして申し訳ありません」と謝罪メールも送っていたというが、一度吐いた言葉はのみ込めない。

 これもネット空間に氾濫する「氏ね」「シネバ」といった罵詈(ばり)、中傷の数々がハードルを下げてはいないか。「保育園落ちた日本死ね」といった書き込みを「魂の叫び」と多くのメディアがもてはやした過去もある。多くの五輪選手もまた、誹謗(ひぼう)や攻撃の対象となった。

 悪(あ)しき風潮を止める手立てを社会全体で考えたい。

 ■「あなたの番」安倍氏暗殺挙げ佐藤氏を脅迫容疑 北海道立高教諭を逮捕

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【主張】  2024年12月07日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・12.07》:伯仲の予算委 政治改革へ問われる真価

2024-12-07 09:31:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

《社説①・12.07》:伯仲の予算委 政治改革へ問われる真価

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.07》:伯仲の予算委 政治改革へ問われる真価 

 政治改革を巡る与野党の認識の差が浮き彫りになった。

 石破茂内閣の発足後初めて開かれた衆参の予算委員会である。論点は「政治とカネ」の問題の政治改革や、「年収の壁」問題が争点になる経済対策、選択的夫婦別姓などである。

 政治改革では、立憲民主党が「改革の本丸」(野田佳彦代表)とする企業・団体献金の禁止を巡り各党が論議を交わした。主張の違いは数多い。

 ▽企業・団体献金は政策をゆがめるのか▽企業献金と政党交付金を同時に受け取るのは1994年の政治改革関連法成立時点の合意に反するか▽民主主義のコストは誰が支えるのか―などである。

 政策のゆがみについて、野党は「企業献金は利益誘導的な性格があり、見返りを期待している」(立民・大西健介氏)、「企業や団体が献金するのは既得権を保護するため」(日本維新の会・岩谷良平氏)、「自民党の政策は経団連の要求通りに進んだ」(共産・田村智子氏)として、企業・団体献金の禁止を求めた。

 石破首相は「透明性を高めれば政策はゆがめられない」「国民がゆがんだと認識すれば、国民の審判に表れる」と反論した。

 裏金事件では議員に還流されたパーティー券収入が政治資金収支報告書に記載されなかった。事件の詳細はなお不明だ。政策がゆがんだ懸念が拭えないから、衆院選の結果に表れたのではないのか。首相の主張に説得力はない。

 石破首相は、94年の政党交付金導入は、企業・団体献金の廃止が前提ではなかった、とも述べた。当時の細川護熙首相と河野洋平自民党総裁の説明と異なる。歴史的な事実をねじ曲げていないか。

 企業・団体献金の約95%が自民党関係に集まる中、献金を巡る与野党の認識の差は大きい。廃止した場合の影響や個人献金のあり方も論議する必要がある。政治にカネがかかる現状を変える策も議論の対象になる。献金の是非を含めた「政治とカネ」問題の本格論戦は約30年ぶりだ。選挙制度や議員定数の問題にも踏み込むべきだ。

 与野党伯仲の国会を受け、石破首相は冒頭「国民にいかに納得をいただくのかが大事」と述べている。質問をはぐらかさないで、自分の言葉で答弁しようという意識も見えた。

 主張の違いを明確にして公開の場で「熟議」し、与野党と国民が納得できる改革案を進める必要がある。拙速な議論に終わると政治不信を深めるだけである。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月07日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【参議院】:政倫審非公開、首相「無意味ではない」…27人中23人が希望に「拒むことはできない」

2024-12-07 07:04:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【参議院】:政倫審非公開、首相「無意味ではない」…27人中23人が希望に「拒むことはできない」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【参議院】:政倫審非公開、首相「無意味ではない」…27人中23人が希望に「拒むことはできない」

 石破首相(自民党総裁)は6日の参院予算委員会で、自民派閥の政治資金規正法違反事件の真相究明に向けた参院政治倫理審査会を巡り、審査を非公開で行うことについて「無意味だとは思わない。中身のある審議を期待する」と強調した。

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参院予算委員会で答弁する石破首相(6日、国会で)=川口正峰撮影

 参院自民では、政倫審に出席を希望する27人のうち、23人が非公開での審査を希望している。政倫審は原則非公開だが、本人が公開を受け入れて委員の過半数の議決がある場合には、国会議員や報道関係者が傍聴できる。首相は「(出席希望者が)非公開でお願いしたいと言って拒むことはできない」と理解を求めた。

 政治資金規正法の再改正に向け、自民案に盛り込まれた「要配慮支出(仮称)」に関しては、外交や営業の秘密など対象が「ごく限定的」になると説明。「抜け道として、いいかげんなことをやろうとは全く考えていない」と訴えた。

 元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 政治 【政局・国会・参議院・自民派閥の政治資金規正法違反事件の真相究明に向けた政治倫理審査会の開催】  2024年12月07日  07:06:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・12.06】:予算委集中審議 東アジアの安全保障を論じよ

2024-12-07 05:01:40 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説①・12.06】:予算委集中審議 東アジアの安全保障を論じよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.06】:予算委集中審議 東アジアの安全保障を論じよ

 石破内閣発足後、ようやく実現した本格的な国会論戦だったが、質問する側も答弁する側も、通り一遍の主張に終始したのは物足りなかった。 

 衆院予算委員会で集中審議が行われた。

 立憲民主党の野田代表は、韓国で出された戒厳令を巡る混乱についての日本への影響を 質 ただ した。

 首相は「尹錫悦大統領が進めてきた日韓関係の改善の努力が損なわれてはならない」と述べた。

 戒厳令を巡る混乱は韓国の内政問題で、日本側がそれ以上、言及する段階ではない。だとしても隣国の政治が不安定化すれば、影響は日本だけでなく、東アジアの安全保障体制にも及びかねない。

 2022年の大統領就任後、尹氏は日韓間の懸案だった元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)訴訟問題に一定の決着をつけ、日本との関係改善に 舵 かじ を切った。

 その後、日米韓の防衛協力も前進した。3か国で北朝鮮の弾道ミサイルの発射情報を即時に共有する仕組みができたのは、尹氏の政治決断によるところが大きい。

 仮に尹氏が失脚して韓国に反日的な政権ができ、日米韓の防衛協力が機能しなくなるような事態は避けねばならない。

 野田氏はまた、トランプ次期米大統領とどう関係を構築していくつもりなのか、尋ねた。首相は「日本の国益と米国の国益は両立する、と米側に臆せずに言っていく」と述べるにとどまった。

 この日の質疑で、日韓や日米関係について問い質したのは野田氏ら立民の2人だけだった。

 国際情勢は激変し、日本が果たすべき役割も問われている。今後の予算委では、そうした認識に立ち、政府も与野党も外交政策を建設的に論じることが重要だ。

 一方、政治資金問題では、立民や共産党などが企業・団体献金を禁止するよう求めたが、首相は「資金の透明性を高めることが自民党の立場だ」と強調した。

 この1年、与野党が政治とカネの問題を国政の最大の課題であるかのように扱っていることには首を 傾 かし げざるを得ない。今国会で決着をつける必要がある。

 予算委では、立民が選択的夫婦別姓を早期に法制化すべきだと訴えた。自民からは、同姓制度を維持しつつ、旧姓も法律上の姓として使用を認める手もある、といった提案があった。首相は各党の議論を見守る考えを示した。

 選択的夫婦別姓は、社会や家族のあり方に大きな影響を与える問題だ。慎重に議論すべきだ。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月06日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・12.07】:予算委の首相 意見受け止め合意探れ

2024-12-07 04:03:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説①・12.07】:予算委の首相 意見受け止め合意探れ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.07】:予算委の首相 意見受け止め合意探れ 

 石破茂首相の就任後、初となる予算委員会が衆参両院で相次いで開かれた。
 
 首相は質問の多くに自ら答え謙虚な姿勢で熟議に臨むと強調した。だが言葉とは裏腹に、野党の提案はかたくなに受け入れず、歩み寄ることもなかった。
 
 特に自民党裏金事件を受けた政治改革を巡っては、焦点の企業・団体献金の禁止や政策活動費の全廃を拒否し続けた。裏金の実態解明に向けた党による再調査の要求も退けた。
 少数与党の国会は持論を貫くだけでは合意形成は図れない。これでは自民1強時代の対応と何ら変わらないだろう。消極姿勢が目に余る。
 自民党の示す改革案に保身の論理があるのは明らかだ。首相は党利党略を捨て去り、野党の意見を聞き入れるべきである。その背後にある民意を真摯(しんし)に意識しなければならない。
 立憲民主党の野田佳彦代表は企業・団体献金を「政官業の癒着の象徴」と指摘し、全面禁止するよう求めた。首相は「禁止より公開だ」と主張し、別の議員の質問には企業・団体献金によって「政策がゆがめられた記憶はない」と反論した。
 だが、企業・団体による献金先の9割は政権党の自民党だ。営利を目的とした企業・団体が見返りを一切期待せずに献金していると断言できるだろうか。政策決定に疑念を持たれるような仕組みは改めるのが当然だ。
 首相が連携を期待している国民民主党は立場を明確にしていない。先月の共同通信の世論調査では7割近くが企業・団体献金を禁止すべきだと答えた。衆院選での政治とカネへの厳しい審判を忘れず、国民民主党も禁止を明言すべきだ。
 旧安倍派の元会計責任者が裁判で、政治資金の還流再開が幹部協議で決まったと証言したことについても、首相は「新しい事実とは認識していない」と述べ、再調査を拒否した。
 開き直りが甚だしい。旧安倍派幹部の国会証言と食い違うのはなぜか。どちらかが虚偽を述べたのか。野党は元会計責任者の参考人招致を求めた。実現し真実を確認せねばならない。
 首相は秋の党総裁選で選択的夫婦別姓の導入やマイナ保険証の移行時期の見直しに前向きな姿勢を示していた。予算委では「総裁選で当選したら掲げた政策をその通りにやるということにはならない」と弁明したが、党内世論に配慮しすぎである。
 政治改革も同じ構図だ。内向き姿勢を打ち破らなければ支持は高まらない。首相は指導力を発揮し、一歩踏み出すべきだ。
 
 元稿:北海道新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月07日  04:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説①・12.04】:伯仲国会の野党 連携して政治改革迫れ

2024-12-04 16:05:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説①・12.04:伯仲国会の野党 連携して政治改革迫れ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・12.04】:伯仲国会の野党 連携して政治改革迫れ

 国民の審判による与野党の伯仲状況で、民意を映す熟議の国会を取り戻せるか。野党の責任はいっそう重いといえよう。

 臨時国会で衆院選後、初の与野党論戦が本格化した。

 衆参の代表質問では、大幅議席増となった立憲民主党の野田佳彦代表らが、自民党裏金事件を受けた抜本的な政治改革を迫った。

 野田氏は「企業・団体献金の禁止が改革の本丸だ。なぜ議論の俎上(そじょう)に載せようとしないのか」と訴え、所信表明演説で触れなかった石破茂首相を批判した。

 「不適切と考えていない」とかわす石破氏だが、金権腐敗の温床だと日本維新の会、共産党なども禁止を訴えた。先月の共同通信世論調査でも約7割が禁止を支持している。これを追い風に、立民は政治資金規正法を再改正する法案の野党共同提出を目指す。

 ただ、立民が呼びかけた法案協議に国民民主党は出席せず、野党の足並みはそろっていない。

 国民民主は野党第3党に躍進して多数派形成の鍵を握る形となり、「年収103万円の壁」の見直しなど与党との政策協議を優先する姿勢にみえる。石破氏は政治改革でも国民民主を取り込もうと秋波を送っている。

 だが少数与党となった自民を後押しし「補完勢力」に陥るなら、たちまち有権者に見放されよう。

 野党第1党の立民は、党利党略を排した「抜け穴のない抜本改革」で野党結集の軸となり、対峙(たいじ)していく役割が求められる。

 立民は、歳出13兆円超の政府補正予算案にも緊急でない支出が多いとし、7兆円規模に減額を求めた。借金頼みで膨張した財政を見直す姿勢は認めたい。委員長を担う予算委員会でも中身をしっかりと吟味してほしい。

 野党第2党の維新は、存在意義が問われていよう。衆院選の議席減で馬場伸幸代表が引責辞任し、代表選で吉村洋文大阪府知事が圧勝した。知名度の高い「エース」に立て直しを託したといえる。

 吉村氏は、政権への対決姿勢を強めて存在感の発揮を掲げた。

 馬場氏は「第2自民党でいい」と公言し、通常国会で欠陥だらけの与党の規正法改正に手を貸した姿勢が支持離れを招いたのは否めない。

 共同代表に京都選出の前原誠司衆院議員を選んだ。閣僚や党首の経験への期待だろうが、10月に合流したばかりで国会議員を主導できるのか。立民や国民民主との連携を含め立ち位置が問われよう。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月04日  16:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・12.04》:代表質問の答弁 「ゼロ回答」では合意遠い

2024-12-04 09:31:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

《社説①・12.04》:代表質問の答弁 「ゼロ回答」では合意遠い

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・12.04》:代表質問の答弁 「ゼロ回答」では合意遠い 

 議論を深めて合意を得ようとする意欲が感じられない。 臨時国会の代表質問における石破茂首相の答弁である。先の衆院選で少数与党となって初めて迎えた本格的な国会だ。野党の協力なしに法案も予算案も成立しない。それなのに、石破首相は踏み込んだ答弁を避け、従来と同様の見解を繰り返した。

 今国会の焦点は、政治資金規正法の再改定など「政治とカネ」の問題や、経済対策の財源となる総額約14兆円の補正予算案だ。「政治とカネ」では企業・団体献金の是非や、使途公開が不要な政策活動費の廃止などが問われる。

 立憲民主党の野田佳彦代表は政策活動費の全廃を要求し、企業・団体献金禁止を「改革の本丸」として「なぜ議論の俎上(そじょう)に載せようとしないのか」と追及した。

 石破首相は政策活動費を廃止する方針を示したものの、「外交や企業の営業秘密への配慮」として使途を非公開にする支出も温存する意向を表明。企業・団体献金は「不適切とは考えていない」と述べた。野党に対する「ゼロ回答」といえる。

 裏金事件に関係した議員の衆院政治倫理審査会への出席は「必要な説明責任を果たすよう促している」としただけだ。

 衆院選の結果は、政府と自民党の裏金問題に対する姿勢や、政治資金規正法の改定が中途半端に終わったことなどに対して、有権者の批判が表れた。石破首相は信頼を取り戻すために、「政治とカネ」問題の徹底した議論が欠かせないことを改めて認識すべきだ。

 一方通行の質問と答弁になる代表質問では、議論の限界もある。首相と全閣僚が一問一答形式で質問に答える予算委員会は衆院で5日、参院で6日に開かれる。

 衆院の委員長は立民の安住淳氏だ。代表質問で浮き彫りになった政府と野党の認識の違いを前提に論点を整理し、議論を深める必要がある。与野党伯仲の国会論戦の試金石となる。

 気になるのは、国民民主の対応だ。同党が訴える政策「103万円の壁引き上げ」の要求を自公が取り入れることで、補正予算案の早期成立に向け、自公国3党が協力する方針を確認している。

 3党協力がさらに進めば従来と同様、密室交渉が中心となる。石破首相は国民民主の代表質問でも「103万円の壁」の引き上げ幅は「税調会長間で議論を深めてほしい」と述べた。公開の場での「熟議」が求められていることを忘れてはならない。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2024年12月04日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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