【国際チーム】:ブラックホール撮影初成功 一般相対性理論を裏付け
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【国際チーム】:ブラックホール撮影初成功 一般相対性理論を裏付け
地球から遠く離れた銀河の中心にある超巨大ブラックホールの輪郭を撮影することに史上初めて成功したと、日本などの国際チームが10日、世界6カ所で同時に記者会見を開き発表した。
各地の電波望遠鏡を連携させ、極めて高い解像度での観測を実現した。
ブラックホールに吸い込まれるガスなどが出すエックス線を観測した例はあるが、光さえ逃れられない「黒い穴」を初めて直接捉えた。100年以上前に存在を予言したアインシュタインの一般相対性理論を裏付けた形。会見に登壇した国立天文台の本間希樹教授は画像を示し「これが人類が初めて目にしたブラックホールの姿。たった1枚の写真だが、非常に大きな意味を持った1枚です」と紹介した。
撮影に成功したブラックホールの画像を映し出し、記者会見する本間希樹・国立天文台教授(共同)
超巨大ブラックホールとその周辺を激しく流れる高温ガスの様子を計算し描いた想像図(米アリゾナ大提供=共同)
ブラックホールは恒星の残骸など大量の物質が圧縮され、強い重力を持つ天体。
チームは日本などが運用する南米チリのアルマ望遠鏡や欧州、南極など6カ所の望遠鏡を組み合わせ、直径1万キロと地球サイズの仮想的な電波望遠鏡を作成。2017年4月、地球から約5500万光年離れたおとめ座のM87銀河の中心にあるブラックホールを観測、データから画像を作成する作業を進めていた。
画像では、高温のガスやちりが放つ直径1千億キロの円形の光を背景に、ブラックホールが黒く浮かび上がった。質量は太陽の65億倍とされた。
観測には国立天文台水沢VLBI観測所(岩手)や東北大、広島大に加え、欧米などから200人以上の研究者が参加した。
従来はさまざまなシミュレーションに基づき、吸い込まれるガスやちりの円盤、中心付近から噴き出す高速・高温のガス「ジェット」などの想像図が描かれてきた。(共同)
◆谷口義明放送大教授(銀河天文学)の話
ずっとあると言われながら誰も見ていなかったものを初めて視覚的に捉えた。間違いなくノーベル賞級といっていい。研究者らはブラックホールの存在を前提に理論を積み上げ、数々の宇宙の現象を説明してきた。存在が確かめられたことで土台がしっかり固まり、これまでの研究の努力や理論の正しさも証明された。
元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題】 2019年04月10日 22:37:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。