【衆院3補選】:自民全敗、首相の「選挙の顔」としての資質に疑問符…早期解散の回避望む声拡大も
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【衆院3補選】:自民全敗、首相の「選挙の顔」としての資質に疑問符…早期解散の回避望む声拡大も
衆院東京15区、島根1区、長崎3区の3補欠選挙が28日、投開票された。唯一の与野党対決だった島根1区は、立憲民主党の亀井亜紀子氏(58)が自民党の錦織功政氏(55)を破って当選を果たした。自民は、島根1区以外で候補者擁立を見送ったため、不戦敗を含めて異例の全敗を喫した。立民は3補選すべてを制した。政権への打撃となるのは必至で、岸田首相の求心力の低下は避けられない状況だ。
3補選は、自民派閥による政治資金規正法違反事件後初の国政選挙で、「政治とカネ」が大きな争点となった。保守地盤の島根で敗れたことで、自民内では首相の「選挙の顔」としての資質に疑問符がつき、早期の衆院解散の回避を望む声が広がる可能性がある。
島根1区(松江市など)補選は、自民の細田博之・前衆院議長の死去に伴うもので、亀井氏と錦織氏の一騎打ちとなった。
亀井氏は28日夜、松江市内で記者団に「保守王国といわれる島根県での結果で、大きなメッセージとなって岸田政権に届く」と強調した。立民は、泉代表や野田佳彦・元首相らが相次いで応援に入り、政権批判を展開した。亀井氏は衆参両院議員を務めた政治経験を訴え、元自民国会議員の父・久興氏の支援も得て保守層を切り崩した。
自民は首相が2度にわたって現地入りしたほか、組織固めにも注力したが、逆風をはね返せなかった。自民は、現行制度となった1996年衆院選以来独占してきた島根県での小選挙区の議席を失った。
東京15区(東京都江東区)補選は、前法務副大臣の柿沢未途氏(自民を離党)の議員辞職を受け実施。計9人が立候補する混戦となり、立民の前江東区議、酒井菜摘氏(37)が競り勝った。
酒井氏は28日夜、江東区内で「利権やお金でなく、国民の声を受けて動く政治の訴えに理解をいただいた」と語った。立民は、知名度の高い蓮舫参院議員らを応援に送り込み、無党派層の支持を広げた。
元会社員の金沢結衣氏(33)を擁立した日本維新の会は、馬場代表らが立民批判を強めたが、届かなかった。小池百合子・東京都知事に近い政治団体「ファーストの会」の推薦を受けた作家の乙武洋匡氏(48)は、浸透しきれなかった。無所属で前参院議員の須藤元気氏(46)、諸派の政治団体「日本保守党」の飯山陽氏(48)も及ばなかった。
長崎3区(長崎県大村市など)補選は、政治資金規正法違反で有罪が確定した谷川弥一氏(自民を離党)の議員辞職により行われ、立民の前衆院議員、山田勝彦氏(44)が野党同士の一騎打ちを制した。
山田氏は28日夜、大村市で「来たるべき解散・総選挙では政権交代を訴えて戦いたい」と意気込んだ。2021年衆院選で比例復活当選だった山田氏は地元での知名度を生かして政権批判票の受け皿となった。維新の学習塾経営、井上翔一朗氏(40)は支持に広がりを欠いた。
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元稿:讀賣新聞社 主要ニュース 政治 【政局・選挙・衆院東京15区、島根1区、長崎3区の3補欠選挙】 2024年04月28日 23:23:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。