路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【金子勝の「天下の逆襲」・10.05】:「強い経済を取り戻す」アベノミクスの末路…年内に日本のGDPは世界4位に転落

2022-11-17 07:01:20 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【金子勝の「天下の逆襲」・10.05】:「強い経済を取り戻す」アベノミクスの末路…年内に日本のGDPは世界4位に転落

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金子勝の「天下の逆襲」・10.05】:「強い経済を取り戻す」アベノミクスの末路…年内に日本のGDPは世界4位に転落 

 臨時国会がようやく始まった。岸田政権にとっては6回目の国会だが、菅政権の末期を彷彿とさせている。野党は攻め時だ。

 岸田首相ほど信条や矜持がない政治家も珍しい。葬儀委員長を務めた「国葬」の弔辞で「あなたが敷いた土台の上に持続的で、すべての人が輝く包摂的な日本を、地域を、世界をつくっていく」などと、安倍元首相に語りかけていた。文字通り受け取れば、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との癒着も、「強い経済を取り戻す」と言いながら日本経済をメチャクチャにしたアベノミクスも野放し。この国を破綻させることになるだろう。


 日本の転落…進むことも後戻りも出来ず(2013年9月、米ニューヨーク証券取引所のトレーディングフロアを視察する安倍首相)

 円安物価高が止まらない。政府も日銀の黒田総裁も「一時的」と言い続けているが、8月の消費者物価指数(生鮮食品を除いた総合指数)は前年同月比2.8%上昇。食品の値上げは10月だけで6500品目に上る。米FRB(連邦準備制度理事会)が先月、3会合連続で0.75%の利上げに踏み切ると、円相場は1ドル=145円の壁を突破。政府・日銀は慌てて円買いドル売りの為替介入を実施したが、たった4日ほどで効果は消失した。なぜか? アベノミクスで大量発行した国債を日銀に押し付けたために、この国の金融政策は柔軟性を失った。利上げはできないと、海外投資家に足元を見られているからだ。

 日本の外貨準備高は8月末時点で1.3兆ドル(約185兆円)。世界的に見ても高水準だが、為替介入にすぐ回せる外貨預金は20兆円ほど。大半を占める米国債を売りに出せば、米国の金利が上昇。日米金利差は拡大し、かえって円安を加速させる。そもそも、米政府の容認なしに動けないだろう。

 8月の貿易赤字は過去最大の約2.8兆円(速報値)となった。今年は史上最悪の貿易赤字となって、ドル買い需要もどんどん膨らむだろう。こんな状況で為替介入しても焼け石に水。政府日銀は歴史的敗北を喫する可能性が高い。

 金融緩和を継続しながら為替介入する矛盾した政策が成功する見込みはまったくない。円安はドル建て経営の大企業にはオイシイが、中小企業や庶民にとって輸入物価高は死活問題だ。インフレで虎の子の貯蓄が目減りする年金生活者は言うまでもない。

 経済大国を誇ってきたこの国のGDPは年内にドイツに抜かれて世界4位となり、遠からずインドにも追い越されて5位に転落するだろう。反転攻勢のカギは岸田を政権から引きずり降ろすことだ。

金子勝
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 ■金子 勝 立教大学大学院特任教授

 1952年6月、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。法政大学経済学部教授、慶應義塾大学経済学部教授などを経て現職。慶応義塾大学名誉教授。文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」などにレギュラー出演中。近著「平成経済 衰退の本質」など著書多数。新聞、雑誌、ネットメディアにも多数寄稿している。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・連載金子勝の「天下の逆襲」】  2022年10月05日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。


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