【社説・05.01】:自転車に青切符 安全通行につなげたい
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・05.01】:自転車に青切符 安全通行につなげたい
自転車の交通違反に「青切符」を交付し反則金を納めさせる制度の導入を柱とする道交法改正案が、衆院を通過した。成立すれば2年以内に施行される。
自転車の違反にはこれまで、重大なケースを除いて多くは罰則のない指導や警告が出されてきた。
それを大きく転換し、取り締まりの網を広げる。
背景に事故の増加がある。自転車側の違反が目立つ。道内も昨年は自転車が起こした死傷事故が100件と前年より増えた。
電動アシスト付きなど高性能な自転車が普及し、配達の自転車も行き交うようになっている。利用者にルールに沿った走行を促す必要性は高まっていると言える。
自転車は本来、環境に優しく健康にも寄与する乗り物だ。
それが「走る凶器」にならないよう、新制度を安全な通行空間の確保につなげたい。
青切符は車やバイクの比較的軽微な違反に適用されてきた。それを自転車にも導入する。
16歳以上が対象で、信号無視や一時不停止などを主に取り締まる。こうした行為で警察官の注意に従わなかったり、危険を生じさせたりした場合の交付を想定しているという。
酒酔い運転など重大違反は刑事処分に進む「赤切符」の対象だ。
違反の種類や危険度から警察が青か赤かを判断するのは分かりにくさもある。恣意(しい)的な運用があってはならない。
取り締まりが行き過ぎないよう、参院審議では運用指針や該当例をより明確にすべきだろう。改正内容を広く周知し、交通安全教育を徹底することも重要になる。
自転車は軽車両に分類され、やむを得ない場合を除き車道の左側を走行するのが原則だ。
しかし車が高速で走り、路上駐車も多い車道に危険を感じ歩道を使う自転車は多い。自転車専用レーンなどが足りていない現状では仕方のない面がある。国や自治体は整備を本格化させるべきだ。
一方で、歩道をスピードを出して走る自転車に危ない思いをした人も多いだろう。接触や衝突は重大事故になりかねない。
自転車利用者は、あくまでも歩行者の安全が最優先であることを肝に銘じたい。
改正案には、車が自転車を追い抜く際に安全な速度で進むよう義務付ける規定も盛り込まれた。
車のドライバーは、車道を自転車と共有する意識を持つことが大切になる。
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年05月01日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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